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2023.10.16 更新

【医師監修】高血圧なら寝る姿勢に注意!正しい寝姿勢や食事の改善ポイントなど紹介

【医師監修】高血圧なら寝る姿勢に注意!正しい寝姿勢や食事の改善ポイントなど紹介

現在高血圧に悩んでおり、寝る時の姿勢が血圧に影響するのか気になる方もいるかもしれません。

高血圧になるとさまざまな疾患に繋がる可能性もあるため、できるだけ正しい姿勢で寝たいと考えるでしょう。

高血圧の方が血圧の正常化を目指すなら、寝姿勢に気を付ける以外にも、日頃から対策を行うことが大切です。

この記事では、睡眠と高血圧の関係や、高血圧の方におすすめの寝姿勢を紹介します。高血圧の方が取り組める日常的な対策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

  1. 高血圧と睡眠にはどんな関係性がある?
  2. 高血圧の方は横向きで寝る姿勢がおすすめ
  3. 高血圧改善のために実践できる4つの対策
  4. 血圧が高い状態が続くなら、必ず医療機関を受診する
  5. 1日2回の血圧測定を習慣にする
  6. 血圧が気になる時は減塩、アルコール摂取を控える
  7. 禁煙する
  8. 高血圧が気になるなら睡眠の質を高めることも大切
  9. 3食規則正しく食べる
  10. ゆっくり入浴して体を温める
  11. 適度な運動を習慣にする
  12. 快適に眠れるように就寝環境を整える
  13. まとめ

高血圧と睡眠にはどんな関係性がある?

高血圧とは、血圧が高い状態が続いていることを指す言葉です。一時的に血圧が上昇しただけでは、高血圧とはいいません。

血圧は1日中変動するもので、起きている間は交感神経が優位に、就寝中は副交感神経が優位になるという自律神経の動きと連動して上下します。健康な人の場合は、朝起きた時から血圧が上昇し、夕方以降は血圧が低下、就寝中は血圧が低い状態です。

睡眠不足が高血圧に繋がるのは、睡眠不足になって体内時計が乱れると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることが理由と考えられます。自律神経が乱れると血圧が安定しなくなるため、高血圧を招く可能性があります。

高山哲朗

高山哲朗

かなまち慈優クリニック 理事長

高血圧の発症率は、睡眠時間が5時間以下と短めの方が高いことで知られています。一方、8時間以上と長めの方は糖尿病の発症リスクが上がることが報告されています。

人によって多少異なりますが、長すぎず短すぎない7時間程度の睡眠が良いと考えられます。

睡眠時間が短いと交感神経が活性化するため、血圧が上昇するとされています。

高血圧の方は横向きで寝る姿勢がおすすめ

高血圧の方の中には、睡眠時無呼吸症候群を併発している方もいることが考えられるため、横向きで寝る姿勢が良いと考えられます。

睡眠時無呼吸症候群とは、顎が小さいなどの骨格上の影響や、舌がのどの奥に落ちたり肥満によって脂肪がつきすぎたりして、気道が塞がれることで起こる病気です。睡眠時無呼吸症候群になると、寝ている時に何度も呼吸が止まったり呼吸が浅くなったりする症状があらわれます。

仰向けで寝ると重力によってのどに舌が落ち込み、気道が塞がれる可能性が高くなるため注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群の方は就寝中の気道を確保するために、横向きで寝る姿勢がおすすめだとされています。

高血圧の方は横向き寝をしたほうが良いというのは、睡眠時無呼吸症候群との関連性を考慮したうえでいわれているのでしょう。

高山哲朗

高山哲朗

かなまち慈優クリニック 理事長

睡眠時無呼吸症候群を患っている方は、睡眠不足の状態になっています。そのため交感神経が活性化し、血圧が上昇します。

これが高血圧と睡眠時無呼吸症候群の併発が多いとされる理由です。

高血圧改善のために実践できる4つの対策

前述したとおり、高血圧と睡眠不足、寝姿勢には関連性がありますが、「寝姿勢を改善させたから高血圧が治る」というわけではありません。高血圧が気になっているのであれば、寝る姿勢以外に必ず対策を行うことが必要です。

高血圧の改善を目指すための対策には、以下の4つがあります。

  • 血圧が高い状態が続くなら、必ず医療機関を受診する
  • 1日2回の血圧測定を習慣にする
  • 血圧が気になる時は減塩、アルコール摂取を控える
  • 禁煙する

それぞれ詳しく解説します。

血圧が高い状態が続くなら、必ず医療機関を受診する

血圧が高い状態が続いていたり高血圧の症状がつらかったりする場合、まずは医療機関を受診して専門医に相談しましょう。

高血圧と診断されるのは、最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上です。この数値を目安にして、高血圧が続くのであれば受診することをおすすめします。

高血圧から動脈硬化が起こり、脳出血脳梗塞などに繋がる可能性もあるため、高血圧を放置しないよう心がけてください。

ちなみに、高血圧の治療は食事・運動療法から始める場合が多いです。食事・運動療法でも改善がみられない時は、相談のうえで薬物療法を取り入れるのが一般的です。

1日2回の血圧測定を習慣にする

高血圧が気になる方は、血圧測定を習慣にして健康管理を行いましょう。日々の血圧を記録したものを医療機関に持参すれば、普段の血圧の状態を医師に正確に伝えるためにも役立ちます。

家庭で血圧を測定する時は、測定条件を毎日揃えることが重要です。血圧の数値が安定しやすい上腕部で、毎日朝と夜の2回測定しましょう。

血圧の変動が激しい時の計測を避けるため、朝は起床後1時間以内の排尿後、夜は就寝前の落ち着いている状態の時に測る方法がおすすめです。

血圧が気になる時は減塩、アルコール摂取を控える

塩分アルコールを摂り過ぎると血圧が上昇しやすくなるため、高血圧の時はできるだけこれらの摂取を控えましょう。

塩分を摂取すると体内に水分が溜まりやすくなり、血液の量が増えて血圧が上昇します。なお、塩分の摂取量は、1日6g未満が目安です。

また、少量のアルコールを飲むと一時的に血圧が下がりますが、大量にアルコールを飲むと血圧が上昇してしまうため、過度な飲酒は控えるようにしましょう。厚生労働省では、「節度ある適度な飲酒(※)」として、1日平均純アルコールで20gを推奨しています。

ただし、ここで紹介した数値はあくまでも目安であり、性別や体質、年齢などによって適する量は異なる点に注意してください。

(※)厚生労働省 アルコール (3)「節度ある適度な飲酒」について

高山哲朗

高山哲朗

かなまち慈優クリニック 理事長

高血圧の方が日常生活で気をつけるポイントとして、肥満がある方は減量し、適正体重を維持することが望ましいといえます。

肥満の方は4~5kgの減量で、収縮期血圧が4mmHg程度下がることが知られています。

禁煙する

高血圧の方が喫煙をすることは非常に危険です。たばこには血管の収縮を促す化学物質が含まれているため、喫煙をすると血圧が上がってしまいます。

また、喫煙は高血圧だけでなく、動脈硬化や心筋梗塞などの原因にもなります。高血圧の悪化やほかの疾患の発症を防ぐためにも、禁煙を徹底しましょう。

禁煙が続くか不安な方は、禁煙外来の利用も視野に入れると良いかもしれません。

高血圧が気になるなら睡眠の質を高めることも大切

高血圧が気になるなら睡眠の質を高めることも大切

前述のとおり、寝不足によって交感神経が優位になると、血圧が高くなりやすい傾向にあります。そのため、自分にとって必要な睡眠時間をしっかり確保することで、睡眠の質が高まり、血圧にも良い効果が期待できるでしょう。

高血圧の改善を目指す方が睡眠の質を高めるには、まず生活習慣の見直しから始めることをおすすめします。生活習慣を見直すポイントとして挙げられるのは、以下4つの方法です。

  • 3食規則正しく食べる
  • ゆっくり入浴して体を温める
  • 適度な運動を習慣にする
  • 快適に眠れるように就寝環境を整える

3食規則正しく食べる

人間の体内時計は約25時間といわれており、地球の周期とは約1時間の差があるため、何もしないと体内時計は日々ずれていきます。1日の始まりである朝食を食べることで体内時計がリセットされるため、3食規則正しく食べて体を目覚めさせましょう

また、就寝直前に食事をすると消化活動が優先されて寝付きづらくなるため、夕食は寝る3時間前には済ませることが望ましいです。

さらに、就寝前には、睡眠を妨げるカフェインアルコールを摂らないように気を付けましょう。塩分を摂取することで血圧が上昇してしまうため、漬物・汁物・加工食品などの塩分の多い食品を控えるよう心がけてください。

ゆっくり入浴して体を温める

寝る前にぬるめのお風呂で体を温めてリラックスすることで、睡眠の質の向上が期待できます。

体を温めるには、38℃のぬるめのお湯で25分~30分ほど入浴する方法がおすすめです。ただし、高血圧の方は長湯しないほうが良いとされるため、自分に適する入浴時間は医師に尋ねてみると良いでしょう。

お風呂は就寝の約90~120分前までに済ませると、寝床に入るタイミングで体温が下がり、スムーズな入眠に繋がりやすくなります。就寝直前に熱すぎるお風呂に入ると、体や脳が覚醒して寝付きづらくなるため避けたほうが良いです。

また、入浴の時に急に体を温めるとヒートショックになる恐れがあるため、入浴前にしっかりと浴室を温めておきましょう。

適度な運動を習慣にする

適度な運動は、血流を良くするうえに、疲労により夜に自然な眠気が促されやすくなるため、毎日の習慣として取り入れましょう。ウォーキング・軽いジョギング・散歩など、有酸素運動を1日30分程度行うことが目安です。

毎日忙しくてまとまった時間が取れない方は、階段を使う買い物に歩いて行くなど、普段の生活の中で体を動かすことを意識しましょう。

ただし、高血圧で医療機関を受診している場合は、医師にどの程度まで運動して良いか確認してから運動に取り組んでください。もし運動中に動悸や息切れがした場合は、すぐに運動を中止して、医師に相談しましょう。

快適に眠れるように就寝環境を整える

快適に眠れるように、寝室や寝具などの就寝環境を整えましょう。寝室の温度は、夏場は25℃〜26℃、冬場は22℃〜23℃を目安に、エアコンなどで調整してください。理想的な湿度は、通年50%〜60%程度です。

また、落ち着いて眠るためにも、室内の明かりを消して暗くし、テレビや音楽にはタイマー機能を活用するなど、静かな環境を整えるようにしましょう。

睡眠に適している音のレベルはWHO(世界保健機関)の推奨は30dB以下で、深夜の郊外やささやき声程度といわれています。人の話し声や外から聞こえる騒音など、音の環境にも注意してください。

さらに、直接肌に触れる枕やマットレスなどの寝具は、寝心地が良いと感じるものを使用しましょう。枕は高さや硬さが合っているものを選び、マットレスは体圧分散性に優れていて適度な反発力があるものを選ぶことをおすすめします。

また、就寝時のパジャマは、体を締め付けない肌触りの良いものを着用すると快適に眠りやすくなります。夏場は通気性が良い素材、冬場は保温性が高い素材と、季節に合わせて素材を変えるのも良いでしょう。

なお、寝不足が血圧に与える影響については以下の記事でも解説しています。寝不足気味の方は、ぜひ参考にしてください。

寝不足 血圧
【医師監修】寝不足が血圧に与える影響とは?高血圧の対策方法についても解説

まとめ

高血圧が気になっている方には、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考え、寝る時に気道が確保できる横向き寝がおすすめだとされています。

ただし、血圧の改善を目指すなら、寝姿勢を意識するだけでなく、塩分やアルコール、喫煙を控えつつ血圧測定を習慣にすることも大切です。

高血圧が続く場合や睡眠時無呼吸症候群の可能性がある場合は医療機関を受診して、適切な診断を受けて治療を行いましょう。高血圧を放置していると、脳出血脳梗塞などに繋がる可能性もあるため注意してください。

また、寝不足は血圧の上昇に繋がりやすいため、食生活や運動習慣、入浴方法といった生活習慣を見直しながら、快適に眠れるように就寝環境も整えていきましょう。

この記事の監修者
高山哲朗
高山哲朗かなまち慈優クリニック 理事長
平成14年慶應義塾大学卒業、慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、平成29年 かなまち慈優クリニック院長。医学博士。日本内科学会認定医。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本医師会認定産業医。東海大学医学部客員准教授。予測医学研究所所長。
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