花粉の時期になると、花粉が原因と思われるアレルギー性鼻炎のために夜眠れなくて困っている方もいるでしょう。
ただし、花粉症が辛すぎて「花粉のせいで眠れない」と思っているだけで、本当に眠れない理由は別にある可能性もあります。
ほかのことが原因なのであれば、その時の症状について知り、自分が当てはまっているかを把握したうえで対策を行うことが望ましいです。
この記事では、花粉症が睡眠障害に繋がる可能性や寝不足の状態が続くことのリスク、花粉症や睡眠障害に対する対策について、説明します。
- 花粉症の鼻詰まりは睡眠障害に繋がる可能性がある
- 花粉症が原因で起こる睡眠障害の例
- 寝不足の状態が続くことによるリスク
- 仕事や勉強のパフォーマンスが落ちる
- 太りやすくなる
- 生活習慣病などの疾患に繋がる
- 寝不足の症状がひどい場合は睡眠障害の可能性も
- 花粉症の対策方法
- 服についた花粉を払い落とす
- マスク、眼鏡、帽子を着用する
- 表面がすべすべした素材の服を着る
- 入室後、すぐにうがい、手洗い、洗顔をする
- 窓や戸をなるべく閉めておく
- こまめに掃除する
- 睡眠の質を高める方法
- 寝る前にストレッチなど軽く体を動かす
- 就寝3時間前までに夕食を摂り、規則正しい食生活を意識する
- 就寝時間の約90~120分前に入浴する
- 温かい飲み物で体温を上昇させる
- 就寝前のアルコールやカフェインの摂取を控える
- アロマを焚いたり心地良い音楽を聴いたりしてリラックスする
- 体に合う寝具(マットレスや枕など)を使う
- まとめ
花粉症の鼻詰まりは睡眠障害に繋がる可能性がある
花粉症は、花粉が原因で起こるアレルギー性鼻炎です。よく見られる症状は、鼻水・くしゃみ・鼻づまり・目のかゆみ・充血などですが、花粉の種類や個人によって症状は異なります。
また、花粉症の鼻づまりによって、睡眠障害や睡眠の質の低下に繋がる可能性があります。
花粉症が原因で起こる睡眠障害の例
花粉症が原因で起こる睡眠障害として、鼻づまりによるケースがあります。鼻づまりが生じると息がしにくくなってしまい、ひどい場合は睡眠時無呼吸症候群に繋がる可能性もあるため、注意が必要です。
また、アレルギー反応によって発生する免疫物質には、眠気を感じさせる物質が含まれています。そのため、花粉によるアレルギー性鼻炎の症状があらわれている時期は、ほかの時期に比べて眠気が生じやすいといえます。
このほか、花粉症の治療薬が原因で眠気が生じる場合もあります。花粉症の方に処方される治療薬の多くは、効き目が強いほど副作用による眠気も強くなる傾向があるといわれています。
寝不足の状態が続くことによるリスク
寝不足の状態が続くことによって考えられるリスクとしては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 仕事などのパフォーマンスが落ちる
- 太りやすくなる
- 生活習慣病などの疾患に繋がる
仕事や勉強のパフォーマンスが落ちる
寝不足の状態が継続すると集中力も低下するため、仕事や勉強のパフォーマンスも低下してしまいます。また、健康を損なうことによって遅刻や欠席が増え、勤務状況や学業に悪い影響を及ぼす可能性も考えられるでしょう。
脳の働きが悪くなるため、クリエイティブな職や学科に所属している方の場合は、なかなかアイデアが出てこなくなるかもしれません。
太りやすくなる
睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌が減ってしまいます。成長ホルモンの分泌が減ると、新陳代謝が低下したり太りやすくなったりと影響があらわれます。
また、睡眠中は食欲抑制効果のある「レプチン」と呼ばれるホルモンも分泌されます。
睡眠が足りないと、このレプチンの分泌が不足するだけでなく、食欲を増進させるホルモンである、「グレリン」の分泌も高まります。
このように睡眠不足だと、さまざまな要因で太りやすくなります。
生活習慣病などの疾患に繋がる
質の低い睡眠は生活習慣病の罹患リスクを高めるだけでなく、すでに生活習慣病に罹っている場合、その症状も悪化させてしまいます。
慢性的に寝不足状態の方は、糖尿病や心筋梗塞・狭心症などの生活習慣病にかかりやすいことも分かっています。
また、寝不足の状態が続くと、体内時計のリズムが狂ってしまいます。体内時計の乱れは生活習慣病の原因の一つです。対策をするには、体内時計のリズムを整えられるように規則正しい生活を心がける必要があります。
寝不足の症状がひどい場合は睡眠障害の可能性も
花粉の時期に寝不足がひどいと、花粉症の鼻づまりでの寝不足と考えやすい傾向があります。
ただし、症状によっては花粉症のせいで寝られないのではなく、睡眠障害の可能性も考えられます。睡眠障害とは睡眠に関連した病気の総称で、代表的な疾患としては不眠症や睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシー(居眠り病)などが挙げられます。
不眠症は健康を維持するために必要な睡眠時間が、量的または質的に低下します。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まることで体が酸欠状態になるため、睡眠が中断される病気です。目を覚ました後でもあらためて眠ることはできますが、眠り始めると再び無呼吸の状態になるので、慢性的な睡眠不足となって日中の眠気に繋がります。
ナルコレプシーは「居眠り病」という別名にもあるように、時や場所に関係なく一日に何回も居眠りをしてしまう、という症状が主にあらわれる病気です。過眠以外の症状としては、感情が昂ぶっている時に手足などの力が急に抜けたり(カタプレキシー)、寝ている最中に金縛りにあったりといったものがよく見られます。
このように睡眠障害は、疾患の種類によってあらわれる症状が大きく異なります。症状がひどく、不安な場合は医療機関を受診しましょう。
睡眠に関するお悩みをお持ちの方で、原因や改善方法についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
花粉症の対策方法
花粉症による鼻詰まりでなかなか眠れない場合は、花粉症の対策を行う必要があります。花粉症の対策方法としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 服についた花粉を払い落とす
- マスク、眼鏡、帽子を着用する
- 表面がすべすべした素材の服を着る
- 入室後、すぐにうがい、手洗い、洗顔をする
- 窓や戸をなるべく閉めておく
- こまめに掃除する
それぞれの対策方法について、詳しく説明します。なお、花粉症の症状がひどく日常生活に支障をきたす場合は、これらの対策を行うと同時に、医療機関を受診して薬を処方してもらうことも検討しましょう。
服についた花粉を払い落とす
外出すると、身に付けているものには当然花粉が付いてしまいます。それを家に戻ったままそのままにしておくと、家にいながら外と同じように花粉に苦しむことになるため、玄関や家の外で、服やカバンなどについた花粉をしっかり払い落とすようにしましょう。
マスク、眼鏡、帽子を着用する
花粉症の症状が出るのを防ぐためには、花粉を吸いこんだり花粉が肌に触れたりすることを避ける必要があります。マスク、眼鏡、帽子を着用することで、花粉との接触を多少なりとも抑えることができるでしょう。眼鏡に関しては通常のものでも良いですが、防御カバーのついた花粉症用のものであればより効果的でしょう。
表面がすべすべした素材の服を着る
上述したように、服についた花粉は家に入る前に払い落とすことが重要ですが、手間を考えるとそもそも服にはあまり花粉がついていない状態が望ましいです。
表面がすべすべした素材のものには花粉も付着しにくいので、一番上に羽織るコートなどはそういった素材のものを選ぶと良いでしょう。具体的な素材としては、ウール素材よりは木綿や化繊のものが望ましいです。
入室後、すぐにうがい、手洗い、洗顔をする
服についた花粉を払い落としても、肌に付着している花粉まで落とすことはできません。そのため、家に帰ったらすぐにうがい、手洗い、洗顔をして、花粉をしっかり落とすことが重要です。
窓や戸をなるべく閉めておく
花粉症の症状を抑えるためには、花粉との接触機会を減らすことが何よりも重要です。窓や戸をなるべく閉めておくことで、外から花粉が入ってくることを防ぎやすくなります。コロナ対策などで換気を行う場合でも、なるべく喚起は短時間にとどめるようにしましょう。
こまめに掃除する
窓や戸を閉めていても、外からの花粉の侵入を完璧に防ぎきることは難しいです。そのため、家の中に花粉が溜まってしまうこともありますが、こまめに掃除を行うことで溜まった花粉を除去できます。特に花粉が入ってきやすい玄関のドアや窓の近くは、入念に掃除しましょう。
睡眠の質を高める方法
睡眠障害が疑われる場合は、睡眠の質を高めることも重要です。睡眠の質を高める方法としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 寝る前にストレッチなど軽く体を動かす
- 就寝3時間前までに夕食を摂り、規則正しい食生活を意識する
- 就寝時間の約90~120分前に入浴する
- 温かい飲み物で体温を上昇させる
- 就寝前のアルコールやカフェインの摂取を控える
- アロマを焚いたり心地良い音楽を聴いたりしてリラックスする
- 体に合う寝具(マットレスや枕など)を使う
寝る前にストレッチなど軽く体を動かす
人の体は、深部温度が下がることで自然と眠くなるようになっています。普段は手足などの末端部分から熱を放出することで温度を下げていますが、血行が悪いと上手く熱が放出されないため、不眠および睡眠の質の低下に繋がりやすくなります。
足裏や手先といった末端部分のストレッチを行って血行を良くすることで、熱を上手く放出できるようになるので、質の高い睡眠をとりやすくなるでしょう。
就寝3時間前までに夕食を摂り、規則正しい食生活を意識する
規則正しい食生活を心がけることも、睡眠の質を向上させるためには欠かせません。食事をとるタイミングにも注意を払う必要があり、寝る直前に食事をすると、食べたものを消化するために胃腸が活発に動いている状態で眠りにつくことになります。
胃腸が活発に動いている分、肉体が熟睡できない状態になっているので、睡眠の質が悪くなってしまいます。食べたものを胃腸が分解し終わるには約3時間が必要なので、就寝する3時間前までには夕食を摂るようにしましょう。
就寝時間の約90~120分前に入浴する
寝る直前の入浴は睡眠の質を高めるうえでは好ましくありません。入浴は就寝時間の約90~120分前に入浴することを意識しましょう。
また、お湯の温度は38℃程度のぬるめが良く、入浴時間は25~30分程度が理想的です。そうすることで副交感神経が優位になるので、睡眠の質を高めることに繋がります。
熱いお風呂に入ることが好きな方もいるかと思いますが、熱いお風呂に入ると交感神経が優位になるので、反対に眠りにくくなります。睡眠の質を考えるうえでは、熱いお風呂に入ることは避けるほうが望ましいでしょう。
温かい飲み物で体温を上昇させる
温かい飲み物は、体の内側から体温の上昇を促す作用があります。上述したように、体温が下がると眠気も自然と生じるので、睡眠前に温かい飲み物を飲むことは、睡眠のリズムを作るという点で非常に効果的です。ただし、カフェイン入りのものを飲むと目が冴えて眠りにくくなるので、白湯やカモミールティーといった、ノンカフェインのものを選ぶことがおすすめです。
就寝前のアルコールやカフェインの摂取を控える
アルコールは、神経に作用したり代謝によって尿意をもたらしたりする可能性があります。「寝酒」と称して睡眠前にお酒を飲まれる方もいるかもしれませんが、控えたほうが良いでしょう。
また、先ほども少し触れましたがカフェインには覚醒作用があります。コーヒー・緑茶・チョコレートといったカフェインを含むものを摂取することも、就寝の3〜4時間前からは控えるようにしましょう。
アロマを焚いたり心地良い音楽を聴いたりしてリラックスする
リラックスすると副交感神経が優位になるので、眠りにつきやすくなります。リラックス方法は人それぞれだと思いますので、ぬるめのお風呂にゆっくりと浸かるのも良いですし、アロマを焚いたり好きな音楽を聴いたりするのも良いでしょう。
ただし、寝る直前に強い光を長時間見るという行為は、睡眠に悪影響を与える可能性が高いです。そのため、ゲームをしてリラックスするというのは、睡眠の質を高めるという観点からは避けたほうが賢明です。
体に合う寝具(マットレスや枕など)を使う
睡眠環境を見直して体に合った寝具を使うことも、眠りの質を高めることに繋がります。今使用しているものよりも自分に合った寝具を選ぶことで、熟睡できるようになるかもしれません。
特に寝具の硬さや体圧分散性は睡眠の質に大きく影響するので、それらの点を意識して寝具選びを行うことで、睡眠環境の改善に繋がりやすいでしょう。
まとめ
夜眠れなくて寝不足が続くと、仕事や勉強のパフォーマンスが落ちたり生活習慣病などの疾患に繋がったりといったリスクが考えられます。夜眠れない理由としては花粉症による鼻詰まりも考えられますが、睡眠障害の可能性もあります。
花粉症の場合は家に花粉を持ち込ませない対策、睡眠障害の場合は睡眠の質を高めるための対策が必要です。気になる場合は、花粉症なのか睡眠障害なのかをきちんと見極めるためにも医療機関を受診し、適切な対策を行いましょう。