就寝前にはリラックスした状態でいることが大切ですが、リラックス状態になる方法の一つとして音楽を聴くことが挙げられます。
「寝る前に音楽を聴く」という方法は手軽に実践できるため、誰でも簡単に取り入れやすいでしょう。
ただし、どんな音楽を聴いても良いわけではなく、音楽の種類によっては脳が興奮して寝付きづらくなり、逆効果になる可能性もあります。音楽を聴いてスムーズに入眠するには、就寝前に向いている音楽のジャンルを把握しておくことが大切です。
この記事では、音楽が睡眠にもたらす効果や、寝る前に聴くのに向いている音楽の特徴などをわかりやすく解説します。就寝前のリラックスタイムに音楽を取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
睡眠前に音楽を聴くことによる効果
就寝前に音楽を聴くことは、リラックスして入眠するために効果的だと考えられているようです。その理由は、人間の生体機能をコントロールする「自律神経」が大きく関わっています。
自律神経には、活動モードの「交感神経」と、体を休めるモードの「副交感神経」という2つの種類があり、就寝前には副交感神経が優位になった状態が理想的です。
自律神経が整っていれば、日中に交感神経が優位な状態から、夜になるにつれて自然と副交感神経に切り替わっていきます。自律神経がスムーズに切り替わることで心身がリラックスしやすくなり、自然な眠気が促されるのです。
なお、リラックスした状態であることを判断する際、脳の活動状態をあらわす「脳波」が使用されますが、リラックス状態をあらわすのは「α波(アルファ波)」という脳波です。
音楽のなかにはアルファ派を誘発する効果を持つものがあるため、睡眠前に音楽を聴くことで副交感神経が優位な状態になり、リラックスして入眠しやすくなると考えられます。
睡眠前におすすめできる音楽の特徴
睡眠前に音楽を聴くことでスムーズに入眠しやすくなるとはいえ、どんな音楽を聴いても良いわけではありません。就寝前に聴くのに向いているのは、アルファ波を誘発する音楽です。
アルファ波を引き出す効果があるとされる音楽の特徴として、以下のことが挙げられます。
- 高周波が含まれる音楽
- 歌詞がない音楽
- リズムが一定の音楽
それぞれについて、以下で詳しく紹介します。
高周波が含まれる音楽
空気の振動の周期をあらわす「周波数」という言葉があり、単位は「Hz(ヘルツ)」で示されます。
人間の耳で聞き取れる音は20〜20,000ヘルツの間で、そのなかでも特に聞き取りやすいとされるのは、2,000~4,000ヘルツの音です。2,000~4,000ヘルツの音には、蝉の鳴き声、鳥のさえずり、赤ちゃんの泣き声などが該当します。
一方、アルファ波を引き出すのは、4,000ヘルツ以上のいわゆる「高周波」と呼ばれる音楽です。4,000Hzに近い高周波が含まれる音楽として代表的なものに、モーツァルトの音楽があります。
歌詞がない音楽
就寝前には、歌詞が入っていない音楽を聴くようにしましょう。
歌詞が入っている場合、歌詞の意味を考えるために脳が活発に働き、睡眠の妨げになる可能性があります。歌詞の内容によっては、リラックスするどころか気分が高揚し、逆効果になるでしょう。
歌詞が入っていない音楽のなかでも、楽器だけで演奏されたクラシック音楽や、オルゴール調にアレンジされた曲がおすすめです。
リズムが一定の音楽
人間は、一定のリズムがある「1/f ゆらぎ」の音楽を聴くと心地良く感じるといわれています。
1/f ゆらぎとは、規則性があるなかに不規則が混在するゆらぎのことです。解明されていないところも多いですが、心拍のリズムのような生体リズム、アルファ波の周波数と同じゆらぎ方であるとされています。
1/f ゆらぎを持っているのは、雨の音・川のせせらぎ・波の音など、自然のなかで聞こえる音が多いところが特徴です。このことから、就寝前に自然音を聞くことも、リラックス状態を引き出すためにおすすめといえるでしょう。
睡眠前に聴くのはおすすめできない音楽の特徴
就寝前に聴くのにおすすめの音楽がある一方、おすすめできない音楽もあります。
基本的には、脳を働かせたり興奮させたりする音楽はおすすめできません。脳が覚醒すると、寝付きづらくなり睡眠の妨げになる可能性があるためです。
具体的には、以下のような特徴を持つ音楽は避けたほうが良いでしょう。
- 歌詞が含まれる音楽
- 激しい音楽
- テンポが速い音楽
また、前述したクラシック音楽やオルゴール、自然音であっても、大音量で聴くことは避けることが望ましいです。大きな音が脳への刺激となって交感神経が優位な状態になるため、スムーズな入眠が妨げられる可能性があります。
睡眠時に音楽を流す際の注意点
寝る前におすすめの音楽であっても、聴き方によっては睡眠の妨げになる可能性があるため注意が必要です。
睡眠前に音楽を聴く際には、以下のポイントに注意しましょう。
- タイマーをかけて睡眠中は静かに過ごす
- イヤホンやヘッドホンは長時間着用しない
それぞれの理由について、以下で詳しく紹介します。
タイマーをかけて睡眠中は静かに過ごす
深い睡眠に入るためには、できる限り静かな環境で就寝することが推奨されるため、入眠時には音楽を消すのを忘れないようにしましょう。
アルファ波を引き出す音楽はスムーズな入眠には効果的だとされていますが、睡眠中にも音楽が流れていると熟睡の妨げになる可能性があります。
音楽を聴いていると心地良くなり、そのまま寝てしまうという方は、タイマー機能を活用して自動的に音楽が止まるように工夫すると良いでしょう。
イヤホンやヘッドホンは長時間着用しない
日頃からイヤホンやヘッドホンを着用して音楽を聴いている方は、「イヤホン難聴」に注意しましょう。
イヤホン難聴とは、内耳の細胞が傷ついたり疲労したりすることで起こる難聴のことです。イヤホンやヘッドホンを着用して大音量で長時間音楽を聴いていると、イヤホン難聴になるリスクが高まるとされています。
また、イヤホンやヘッドホンを着用することで皮膚に炎症が起こり外耳炎になれば、痛みやかゆみが生じる可能性もあります。
イヤホンやヘッドホンを使う際には、音を控えめにしたり数時間ごとに15分ほどの休憩を挟んだりして、耳に過度な負担をかけないよう気を付けましょう。
まとめ
就寝前に音楽を聴くと、脳波がアルファ波になって副交感神経が優位な状態になるため、入眠しやすくなります。
手軽に実践できる方法なので、クラシック音楽やオルゴール曲、自然音などを、ぜひ就寝前に取り入れてみてください。
その際には、入眠時に音楽がとまるようタイマー機能を活用し、静かな環境で眠りましょう。イヤホンやヘッドホンを着用する方は、適度に休憩をとることも大切です。
リラックスできる音楽を就寝前に取り入れ、スムーズに入眠して睡眠の質を高めることを目指していきましょう。