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2024.01.22 更新

【医師監修】睡眠不足は太る原因になる?睡眠と食欲に関わるホルモンについて解説

【医師監修】睡眠不足は太る原因になる?睡眠と食欲に関わるホルモンについて解説

最近太った気がする」と感じる方は、睡眠の質を見直してみましょう。睡眠不足は、太ってしまう原因の一つです。そのまま睡眠不足の生活を続けていると、肥満を解消しにくくなる可能性があります。

この記事では、睡眠不足だと太ってしまう理由や睡眠不足のデメリット、睡眠の質を高める方法などを紹介します。

  1. 睡眠不足だと太る理由
  2. 睡眠不足は太る以外にもさまざまなデメリットがある
  3. 生活習慣病のリスクが高まる
  4. ストレスを受けやすくなる
  5. 集中力が下がる
  6. 良質な睡眠をとるうえで大切なのは時間ではなく「質」
  7. 睡眠の質を高める方法
  8. 寝る前に軽くストレッチする
  9. 就寝時間の90分〜120分前に入浴する
  10. 就寝前に温かい飲み物を飲む
  11. 就寝3時間前までに夕食を済ませる
  12. リラックスする
  13. 体に合った枕やマットレスを使う
  14. まとめ

睡眠不足だと太る理由

肥満はさまざまな要素が原因となり得ますが、そのなかの一つが睡眠不足です。人は睡眠不足になると食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減少し、食欲を高めるホルモン「グレリン」が増大するといわれています。

その結果、食事の量が増えてしまい、肥満に繋がる可能性があります。

また、睡眠不足によってグレリンが分泌されると、高脂肪・高カロリーな食事を好むようになると考えられているため、高脂肪・高カロリーな食事をたくさん食べると、さらに太りやすくなってしまうでしょう。

齋藤幹

齋藤幹

さいとう内科・循環器クリニック院長

グレリンは胃から血液中に分泌されて、脳の食欲中枢を刺激し、空腹感を生みます。このグレリンによる空腹感を改善させるため、高脂肪・高カロリーな食事を好むようになります。

睡眠不足は太る以外にもさまざまなデメリットがある

睡眠不足は、「太りやすくなる」という点以外にも、さまざまなデメリットがあります。主なデメリットとして挙げられるのが下記の3つです。

<睡眠不足のデメリット>
  • 生活習慣病のリスクが高まる
  • ストレスを受けやすくなる
  • 集中力が下がる

それぞれのデメリットについて、以下で詳しい内容を見ていきましょう。

生活習慣病のリスクが高まる

睡眠不足の状態が続くと、生活習慣病のリスクが高まる可能性があるので注意しましょう。肥満も生活習慣病の一つですが、睡眠不足はほかの生活習慣病を引き起こすきっかけになると考えられています。

睡眠不足だと体を覚醒に導く交感神経が優位となり、血圧が高い状態が続きやすくなります。

その結果、血糖値をコントロールする役割を持つインスリンの働きが悪くなることで、生活習慣病である高血圧を引き起こしたり、糖尿病の発症リスクを高めたりします。

齋藤幹

齋藤幹

さいとう内科・循環器クリニック院長

睡眠不足が続くことでも、グレリンの分泌が増え、レプチンの分泌が減ります。そのため、食欲亢進となり肥満になりやすくなります。また、高血圧や糖尿病以外にも、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こすことになります。

ストレスを受けやすくなる

睡眠は疲労回復だけでなく、脳の休養や感情の整理などさまざまな役割を持っています。毎日しっかり睡眠をとって心身を休養させてあげれば、健康的で活力ある日々を過ごすことができるでしょう。

しかし、寝不足で疲れが取れずにリフレッシュできていないままだと日々のストレスを受けやすくなり、些細なことでイライラしてしまう可能性があります。

集中力が下がる

脳は普段から多くのエネルギーを消費しているため、毎日睡眠を取ってエネルギーを回復させなければいけません。

しかし、睡眠不足だとエネルギーを十分に回復できず、疲れやすくなったり集中力が下がったりする可能性があります。

このように、睡眠不足には肥満をはじめとした数々のデメリットがあります。健康的な生活を送るためにも、睡眠は普段からしっかりとりましょう。

良質な睡眠をとるうえで大切なのは時間ではなく「質」

肥満の解消や予防のために、まず睡眠時間の確保を優先する方は多くいるのではないでしょうか。しかし、良質な睡眠をとるうえでは、長く眠ることではなく、睡眠の質を高めることが大切です。

睡眠時間をどれだけ伸ばしても、睡眠の質が低いと熟睡することはできません。その場合、朝起きた時に体の疲れやだるさが残ってしまいます。スッキリと寝た感覚を得られず、疲れやすくなってしまう可能性もあるでしょう。

そのため、良質な睡眠をとりたい方は、まず睡眠の質を高めるように意識してみてください。睡眠の質が高ければ1日の覚醒・就寝のリズムが整いやすくなり、生活習慣の乱れからくる肥満も防ぎやすくなります。

睡眠の質を高める方法

睡眠の質を高める方法はさまざまありますが、効果的で実践しやすい方法としては下記の6つが挙げられます。

  • 寝る前に軽くストレッチする
  • 就寝時間の90分〜120分前に入浴する
  • 就寝前に温かい飲み物を飲む
  • 就寝3時間前までに夕食を済ませる
  • リラックスする
  • 体に合った枕やマットレスを使う

以下では、それぞれの方法を順番に紹介します。

寝る前に軽くストレッチする

寝る前に軽くストレッチする

1日の疲れが体に溜まっていると筋肉が緊張したままで、眠りにくくなる可能性があります。そのため、睡眠の質を高めたい方は、寝る前にストレッチをするなど体を軽く動かしてみましょう。寝る前にストレッチをすれば体の緊張がほぐれ、寝つきが良くなります。

また、夕方の時間帯に習慣的に運動をすると、さらに睡眠の質を高められるといわれています。より良質な睡眠をとりたい方は、夕方の運動と寝る前のストレッチを習慣にすると良いでしょう。

ただし、運動の内容が激しすぎると、睡眠に良くない影響が出る可能性があるので注意してください。夕方に体を動かす際は激しい運動を避け、軽めの有酸素運動に留めましょう。

齋藤幹

齋藤幹

さいとう内科・循環器クリニック院長

夕方に運動を行う際は、体に負担が少なく長続きするような早足の散歩や、軽いランニングなどがいいでしょう。

また、寝る前のストレッチは、深部体温をあげないように、深い呼吸とリラックスすることが重要です。仰向けに寝て、両手をバンザイするように伸ばしましょう。次に、両手両足をゆっくり伸ばして背伸びをします。

30秒を目安にゆっくりと深呼吸をしながら行うと良いでしょう。

就寝時間の90分〜120分前に入浴する

人は体内部の体温「深部体温」が低くなると体が休息状態になり、眠気が訪れる仕組みになっています。深部体温は就寝時の時間帯に自然と下がっていきますが、より効率良く下げたい方は就寝時間の90分〜120分前に入浴すると良いでしょう。

入浴中は深部体温が上がりますが、お風呂上がりには徐々に下がっていきます。そのため、就寝時間の90分〜120分前に入浴をすると、丁度良いタイミングで自然と眠気が訪れてくれます。 ただし、お風呂の温度が高すぎたり、入浴時間が長すぎたりすると眠りにくくなる可能性があるので注意してください。

入浴は38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度、半身浴なら約40℃のお湯で30分程度、42℃の熱めのお湯であれば5分程度に留めることをおすすめします。

就寝前に温かい飲み物を飲む

深部体温を下げて気持ち良く入眠するには、温かい飲み物を飲むのも効果的です。就寝前に温かい飲み物を飲むと体温は上昇しますが、その後下がっていく過程で眠気が訪れてくれます。

ただし、カフェインやアルコールが含まれている飲み物を飲むと、睡眠の質が低くなってしまうので注意してください。

カフェインには覚醒作用が含まれているため、眠れなくなってしまう可能性があります。また、アルコールを摂取して寝ると途中で目が覚めやすくなり、睡眠の質の低下に繋がります。

そのため、お酒全般、カフェインを含んだコーヒーやエナジードリンク、煎茶をはじめとしたお茶類などは避けるようにしましょう。寝る前に飲むのなら、白湯やホットミルクなど刺激が少ない飲み物がおすすめです。

就寝3時間前までに夕食を済ませる

就寝直前に食事をすると、就寝中に消化活動が行われる影響で睡眠の質が低くなるので注意しましょう。胃腸が行う消化活動によって脳が刺激されてしまい、眠りが浅くなる可能性があります。

なお、消化活動には一般的に2時間〜3時間かかるといわれています。消化活動を終わらせてから眠るためにも、夕食は就寝3時間前までに済ませましょう。

リラックスする

体や精神が緊張状態にあると寝つきにくくなるため、就寝前はなるべくリラックスして過ごしましょう。リラックスできる方法は人によってもさまざまですが、例としては下記の4つが挙げられます。

  • 温かい飲み物を飲む
  • アロマを焚く
  • 心地良い音楽を聴く
  • 読書するなど

体に合った枕やマットレスを使う

眠っている時に使う寝具は睡眠の質に影響しやすい要素なので、できるだけこだわりましょう。

特に寝具の合う・合わないは重要なポイントです。マットレスや枕などの寝具は各製品で高さ・硬さなどが異なるため、使う人によって合うかどうかが変わってきます。

寝具が体に合っていないと、違和感により寝つきにくくなる可能性があります。普段寝にくさを感じている方は、この機会に自分により合っている寝具を探してみると良いでしょう。

まとめ

睡眠不足は肥満の原因になるだけでなく、集中力の低下やストレスの増加、生活習慣病のリスクが高まるなど、健康面に良くない影響を及ぼします。

あまり眠れていないと感じる方は、この機会に睡眠の質を改善してみると良いでしょう。

この記事の監修者
齋藤幹
齋藤幹さいとう内科・循環器クリニック院長
1996年北海道大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院にて内科研修。その後東京大学医学部付属病院(循環器内科)や専門病院での経験を経て、2019年に「さいとう内科・循環器クリニック」を開業。医学博士、内科認定医、総合内科専門医、循環器専門医・指導医、臨床研修指導医。
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