寝る前にスマホを操作すると、ブルーライトの影響によって睡眠の質が低下します。そのため、寝る前はスマホを見ないほうが良いのですが、どうしてもスマホを見るのがやめられない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、寝る前にスマホを使うとどんな悪影響があるのか、何時間前なら操作して良いのかなどを解説します。
スマホを見る代わりに就寝前に習慣づけたい行動も紹介するので、寝る前のスマホ操作をやめたい方はぜひ参考にしてください。
寝る前のスマホ操作による悪影響とは
スマホの画面からは「ブルーライト」が多く放射されており、これが睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性があります。
ブルーライトとは、人の目で見える青色の「可視光線」で、目の奥にまで届く強い光です。ブルーライトを含むものとしてスマホやパソコンが有名ですが、実は自然の光である太陽光にも含まれます。
また、私たちが規則正しい睡眠と起床ができるのは「メラトニン」というホルモンの働きが関係しており、メラニンは明るい光を浴びると分泌量が減り、暗い場所では分泌量が増加します。
つまり、寝る前にスマホの画面を見ると、放出されるブルーライトによって脳が「昼間」だと誤認識し、メラトニンの分泌が抑制されるということです。その結果、「なかなか寝付けない」「眠りが浅い」などの睡眠トラブルに繋がるリスクがあります。
睡眠は、心身の疲労回復のために重要な生理現象です。睡眠の質が低下すると、頭痛や疲れ目、集中力の欠如などを招く可能性があるため、睡眠の質を高めるためにも、寝る前のスマホ操作は控えたほうが良いでしょう。
大井美恵子
女医によるファミリークリニック 院長
パソコンを使って仕事をされる方は、特に意識的に目を休める必要がありますが、スマホは何時間見ていても飽きないため集中して長い時間見てしまいがちです。視力低下の原因は、最近はスマホの使いすぎによると指摘されています。特に暗いところでは目への刺激が強いため、短時間に留めましょう。
スマホ操作は寝る2時間前までにやめることをおすすめ
一般的に、スマホの操作は就寝2時間前までにやめることが推奨されています。
その理由は、ブルーライトによりメラトニンの分泌が抑えられるだけでなく、スマホで興味のあるサイトを見続けたり、アプリをしたりすると脳への刺激になるため、不眠に繋がりやすくなるためです。
睡眠の質を高めるためには、リラックスした状態でベッドに入ることが望ましいといえます。「就寝2時間前は早すぎる」と感じる方もいると思いますが、そのような方も、最低1時間前にはスマホを操作するのはやめるよう心がけましょう。
大井美恵子
女医によるファミリークリニック 院長
人間は、日が暮れてきて「夕方だ。夜だ。」と体では分かっていても、目からの刺激を受けると再び昼間のような状態に頭が覚醒してしまいます。そうすることで頭が長時間起きている状態になるため、頭を休める時間がなくなり、脳疲労を起こします。
寝る前のスマホがやめられないなら使い方を工夫する
スマホは、就寝の2時間前には操作を終えることが望ましいですが、どうしても寝る前にスマホを操作したい場合は、スマホのブルーライトを軽減できるよう使い方を工夫しましょう。
スマホのブルーライトを軽減させる工夫として、以下の3つの方法がおすすめです。
- ブルーライト比率の認証マークがついたスマホを使う
- 夜間モードで使用する
- ブルーライトを軽減できる商品やアプリを活用する
ここでは、それぞれの方法を詳しく解説します。
ブルーライト比率の認証マークがついたスマホを使う
ブルーライトを軽減させるには、ブルーライト比率の「認証マーク」が付いているスマホを使う方法があります。ブルーライト比率の認証サービスは、2020年7月よりテュフズードジャパン株式会社が提供を開始したサービスです。
一般的なホワイトLEDライトのブルーライト率は35%前後ですが、ブルーライト比率の認証マークがついた製品は比率が25%以下と定められています。
また、ブルーライトを低く抑えた低ブルーライトモードを搭載している製品もあるので、スマホを購入する際は確認すると良いでしょう。
夜間モードで使用する
近年のスマホには、ナイトシフトやブルーライトフィルターなど、ブルーライトをカットする機能が搭載されています。
スマホによっては、指定の時間になるとブルーライトがカットされるよう設定することも可能なので、就寝時間がある程度決まっている方であれば、事前に設定しておくのもおすすめです。
機能の使い方や設定方法は機種によって異なるため、取扱説明書で確認しましょう。
ブルーライトを軽減できる商品やアプリを活用する
ブルーライトをカットするスマホ専用のフィルムやスマホアプリを活用するのも有効です。スマホアプリは無料でダウンロードできるものも多いため、費用をかけずにブルーライトを軽減できます。
ブルーライトを軽減できる商品やアプリはさまざまあるので、自身に合った対策を検討すると良いでしょう。
大井美恵子
女医によるファミリークリニック 院長
ブルーライトを軽減する各種商品による対策によってブルーライトが軽減されていても、ゼロになっているわけでありません。「全か無かの法則」のようなもので、刺激が多少ある事は変わりないので、完全になくす努力をする必要もあります。
スマホの代わりに取り入れたい寝る前におすすめの行動
睡眠の質を高めるためには、ストレスを解消することが大切です。寝る前にスマホを見る代わりに、自身がリラックスできる行動を習慣づけることで、スムーズに就寝のスイッチが入れやすくなります。
寝る前の行動としては、以下の5つがおすすめです。
- ゆっくりストレッチする
- 就寝の約90~120分前に入浴する
- 温かい飲み物を飲んでリラックスタイムを過ごす
- アロマやお香でリラックスする
- リラックスできる音楽を聴く
それぞれの行動を詳しく解説します。
ゆっくりストレッチする
寝る前は、ストレッチや筋弛緩法を行い、身体のこりをほぐしてリラックスしましょう。呼吸数や心拍数が上がる激しい運動は眠気の妨害になってしまうため、呼吸と連動させた簡単な運動にとどめるのがポイントです。
また、就寝前に運動を行うと体が覚醒してしまうので、運動は就寝の約3時間前までに済ませましょう。
就寝の約90~120分前に入浴する
眠気は、内臓や脳など体内の「深部体温」が下がってきた時に感じます。就寝の約90~120分前に入浴すると、血行が良くなり体温も上がるため、ちょうど良いタイミングで深部体温が下がって眠気が促されるでしょう。
人によって入浴時間の長さやお風呂の温度は異なりますが、目安は以下のとおりです。
- 38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度
- 42℃の熱めのお湯であれば5分程度
- 半身浴なら約40℃のお湯で30分程度
また、入浴剤を利用すれば、保温効果や香りによるリラックス効果も期待できるため、ぜひ好みの香りの入浴剤を取り入れてみてください。
温かい飲み物を飲んでリラックスタイムを過ごす
ノンカフェインのお茶やコーヒー、ルイボスティーなど、温かい飲み物を飲んで、寝る前の時間をゆっくりと過ごすのも良いでしょう。なお、カフェインの入った飲み物は眠りの質が低下する原因になるため、おすすめできません。
温かい飲み物は数多くありますが、ハーブティーは身体が温まり、香りでリラックス効果も期待できます。
また、ホットミルク(牛乳)には、メラトニンの素となるトリプトファンが含まれているので、安眠効果が期待できるでしょう。
ただし、牛乳や砂糖入り飲料は、飲んだ後に歯磨きをする必要があるため、自身の就寝前の行動パターンに合わせた飲み物を選ぶようにしましょう。
アロマやお香でリラックスする
寝る前は、自身の好きな香りのアロマやお香でリラックスするのもおすすめです。アロマやお香の香りによって不安や緊張がほぐれると、睡眠の質が高まる効果が期待できるでしょう。
また、アロマやお香はハードルが高いと感じる方は、枕元に吹きかけるピローミストを使ってはいかがでしょうか。寝る前にシュッと枕に吹きかけるだけで、手軽に利用できます。
リラックスできる音楽を聴く
脳がリラックスしている時はα波(アルファ波)と呼ばれる波形があらわれます。就寝前はアルファ波の状態でいるのが望ましいため、アルファ波を誘発する音楽を聴くのも、睡眠の質を高めるのに有効な手段です。
寝る前に聴く音楽としては、「歌声がはいっていない」「自然音」「高周波を含む」といった特徴を持つものが適しているでしょう。
アップテンポの激しい音楽や歌詞入りの曲は脳が活性化してしまうため、避けたほうが良いとされています。
まとめ
寝る前にスマホの画面を見ると、ブルーライトの影響によりメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質に悪影響を与えます。スマホ操作は、就寝の2時間前には終えるよう心がけましょう。
また、睡眠の質を高めるためには、寝る前にスマホを見る以外の方法でリラックスすることが大切です。ゆっくりストレッチをしたり、温かい飲み物を飲んだり、自身がリラックスできる行動を習慣づけましょう。
リラックスする方法は人によって異なるため、ぜひ自身に合った方法を見つけてください。