「最近ぐっすり眠れない」「目が覚めてもすっきりしない」など、睡眠で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ぐっすり眠れない原因は、心体に関することから生活習慣に関することなどさまざまなものがあります。
この記事では、ぐっすり眠れない理由を、精神面、身体面、習慣面の3つの要因から解説します。また、それぞれで具体的な対処法を紹介するため、睡眠で悩みのある方はぜひ参考にしてください。
ぐっすり眠れない原因
ぐっすり眠れない理由にはさまざまなものがあり、複数の原因による場合も少なくありません。眠れない原因を大きく分けると、以下の3つとなります。
- 精神的な原因
- 身体的な原因
- 生活環境・習慣の原因
それぞれの原因を詳しく解説します。
精神的な原因
精神的に眠れない場合には、以下のような原因が考えられます。
- ストレス
- 自律神経の乱れ
ストレス
過度なストレスがかかると体は緊張状態となり、ぐっすり眠りにくくなります。例えば、「仕事が気になる」「対人関係で問題があった」場合などにストレスがかかります。
特に、几帳面な方や神経質な方はストレスをより感じやすく、睡眠の妨げになるケースがあります。
自律神経の乱れ
人には交感神経と副交感神経の2つの自律神経があります。活動時は交感神経が優位に、休息時は副交感神経が優位に働くことでバランスを保っています。
ただし、自律神経に乱れが生じると、夜でも交感神経の働きが優位となり、眠りにくくなります。
身体的な原因
身体的に眠れない場合には、以下のような原因が考えられます。
- 腰痛
- いびき
- かゆみ
腰痛
腰痛を持っている方は「痛みにより不快感がある」「心地良い寝姿勢がとれない」「寝返りが打てない」などの理由から睡眠の質が低下する場合があります。
いびき
いびきは睡眠中に鼻やのどなどの気道が狭くなり、呼吸の際に生じる音です。いびきは睡眠時の呼吸に影響を与えるため、ぐっすりと眠れない原因になります。
また、睡眠時に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」の場合は注意が必要です。呼吸が止まることにより血中酸素濃度が低下し、睡眠中に何度も目覚める場合があります。睡眠時以外にも、日中の眠気や高血圧などさまざまな悪影響があります。
かゆみ
皮膚のかゆみなどの不快感も、睡眠を妨げやすい要因です。
眠りに落ちる過程では、手足などの末端の血管が拡張しますが、この血管の拡張により、かゆみがひどくなる場合があります。かゆみにより、睡眠が妨げられ、睡眠の質が低下します。
生活環境・習慣の原因
生活環境や習慣で眠れない場合には、主に以下のような原因が考えられます。
- 寝具が合っていない
- カビやダニ
- 不規則な睡眠習慣
- 就寝前のスマホやパソコン
- 飲酒
寝具が合っていない
マットレスや枕などの寝具は、睡眠中の体を支える役割を果たしています。そのため、寝具が合っていないと、自然な寝姿勢が取れず睡眠の質が低下する原因となります。
また、自分に合っていない寝具を使用し続けると、腰や首などに負担がかかり腰痛や肩こりの原因にもなるため注意が必要です。
カビやダニ
寝室や寝具は、湿気や皮脂などが溜まりやすく、カビやダニが繁殖しやすい環境が揃っています。カビやダニが繁殖すると、かゆみやアレルギーによる咳などにより寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったりする場合があります。
不規則な睡眠習慣
人の体は、体内時計によって夜になれば眠くなり、日中は活動できるように調整されています。
しかし、夜更かしや交代制勤務などで睡眠習慣が不規則になると、体内時計のリズムが崩れ「深夜でも眠れない」「早く目が覚めてしまう」など睡眠に影響がでる場合があります。
就寝前のスマホやパソコン
スマホやパソコンなどが発するブルーライトや強い光は、眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑えます。
メラトニンが増加するほど眠気が促されるため、分泌を抑えるスマホやパソコンなどの使用は睡眠を妨げる原因となります。
飲酒
アルコールには寝付くまでの時間を短縮し、寝付きを良くする作用があります。
しかし、睡眠の後半部分で目覚めやすくなるため、睡眠が浅くなりやすいことがわかっています。また、アルコールによる利尿作用やいびきも眠りを浅くする要因となります。
精神的な原因でぐっすり眠れない場合の対処法
ここからは、それぞれの原因ごとに対処法を解説します。
精神的な原因でぐっすり眠れない場合には、以下のような対処法があります。
- ストレスを解消する
- 「眠らなければいけない」という気持ちを捨てる
- 寝る前にリラックスする
それぞれを詳しく解説します。
ストレスを解消する
ストレスが原因の場合は、「ストレスを解消する」「ストレスと上手につきあう」ことが大切です。ストレス解消には、主に以下のような方法があります。
- ストレッチで体の緊張をほぐす
- 親しい人と会話や食事をする
- 音楽や読書、旅行など仕事と関係ない趣味をもつ
- 自然と触れ合う機会をもつ
ストレッチは、ストレスで緊張した体をリラックスさせることに効果的です。また、親しい人との会話や食事、音楽や読書などの趣味は、心や気持ちを開放させ、ストレス解消に繋がります。
「眠らなければいけない」という気持ちを捨てる
眠れない時に「眠らなければいけない」と焦るほど、目が冴えてしまい眠りにくくなります。
「眠くなったら寝よう」程度の気持ちでいると、心や体の緊張がとけ、眠りにつきやすくなります。
寝る前にリラックスする
心と体をリラックスさせ、副交感神経を優位にさせるとぐっすりとした睡眠に繋がります。
入浴は心身のリラックスに効果的です。就寝2~3時間前に、38℃のぬるめのお湯で入浴すると、リラックスでき寝付きが良くなります。
そのほか好きな音楽を聴く、好きな本を読むなど、自分に合ったリラックス方法を試してください。
身体的な原因でぐっすり眠れない場合の対処法
身体的な原因で眠れない場合には、以下のような対処法があります。
- 自分に合った寝具に変える
- 口テープを使用する
それぞれを詳しく解説します。
自分に合った寝具に変える
体に負担のかからない自分に合った寝具を選びましょう。「自分に合った寝姿勢がとれる」「寝返りが打ちやすい」といった観点から選ぶと、体の負担を軽減できるほか睡眠の質の向上に繋がります。
寝具を選ぶ際は通気性も重要な点です。通気性の高いマットレスや枕、掛け布団を使用すると、かゆみの原因となるダニの発生を抑えられます。また、睡眠中にかく汗を放出してくれるため寝苦しさの改善に役立ちます。
口テープを使用する
いびきが気になる方には、口テープを使用する方法があります。口テープを貼ると、口呼吸から鼻呼吸へと誘導されるため、いびきの軽減が見込めます。
ただし、いびきが大きすぎる場合や就寝中に呼吸が止まる場合は、睡眠時無呼吸症候群の恐れもあるため医療機関へ受診することをおすすめします。
生活環境や習慣が原因でぐっすり眠れない場合の対処法
生活環境や習慣が原因で眠れない場合には、以下のような対処法があります。
- 生活リズムを整える
- スマホやパソコンは就寝2時間前までにする
- 過度な飲酒や寝酒を控える
- 寝具の手入れを定期的に行う
それぞれを詳しく解説します。
すぐにご家庭で実践できる方法も多いので、ぜひ生活に取り入れてみてください。
生活リズムを整える
生活リズムを整えると睡眠習慣も規則正しくなり、眠りやすくなります。
生活リズムを整えるには、起床後に朝日を浴びることが重要です。朝日を浴びることで、体内時計が調整されます。
また、就寝時間を揃えることも大切です。週末の夜更かしや長すぎる昼寝は、生活リズムが乱れる原因となります。
スマホやパソコンは就寝2時間前までにする
スマホやパソコンの使用は就寝2時間前までがおすすめです。就寝2時間前からスマホやパソコンなどのブルーライトや強い光を避けると、メラトニンの分泌を妨げることなくスムーズに眠れます。
過度な飲酒や寝酒はしない
アルコールは睡眠中に目覚める原因となるため、飲酒や寝酒はおすすめできません。また、アルコールはいびきや睡眠時無呼吸症候群を悪化させる原因でもあるため、いびきが気になる方は就寝前の飲酒を避けましょう。
寝具の手入れを定期的に行う
寝具は毎日使用するため、定期的な手入れが大切です。手入れには以下のような方法があります。
- 布団を陰干しする
- シーツや枕カバーをこまめに洗濯する
- マットレスやベッドに掃除機をかける
- 寝室の床を掃除する
定期的な手入れにより、マットレスの劣化を遅らせたり、カビやダニの繁殖を防止できたりします。また、清潔な寝具は快適な睡眠にも繋がります。
対策をしても眠れない場合は睡眠障害の可能性がある
原因別の対策をしても眠りにくさが改善しない場合は、睡眠障害の可能性があります。睡眠障害とは、睡眠に関連した病気の総称です。
眠りにくさに関する病気は不眠症で、症状には入眠障害や中途覚醒、熟眠障害などがあります。「なかなか寝付けない」「睡眠中に何度も目が覚める」といった症状が1ヶ月以上続く場合、眠りにくさとともに日中の倦怠感や意欲低下などが伴う場合は、不眠症の恐れがあるため、注意が必要です。
眠れない状態が続く場合は医療機関へ
ぐっすり眠れない状態が続く場合は、医療機関を受診しましょう。不眠症は日本の国民病ともいわれており、多くの方がかかっている病気です。悩みを1人で抱え込まず、専門家へ相談してください。
まとめ
ぐっすりと眠れない理由には、精神的な原因や身体的な原因、生活環境・習慣の原因などさまざまな原因があります。眠れない原因は1つとは限らないため、自分の状況や体調、普段の生活などの振り返りが大切です。
家庭でできる対処法には、ストレス解消や自分に合った寝具の選択、生活リズムを整えるなどがあります。原因に思い当たる部分があったら、それぞれの対処法を実践してください。
対処法を実践しても効果がない場合は、睡眠障害の恐れがあります。専門の医療機関を受診し、自分の症状を相談しましょう。