20代の女性のなかには、日中にしばしば「体がだるい」「眠い」と感じる方がいるかもしれません。それらの原因には20代女性ならではの理由が考えられるので、正しい情報を把握したうえで、適切な対処をしましょう。
この記事では、20代の女性が「体がだるい」「眠い」と感じる原因について詳しく解説します。対処法も紹介するので、「なぜ、このような状態になるのか」「どうすれば良いのか」といった疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
20代女性に見られる体のだるさや眠気の原因
20代女性に見られる体のだるさや眠気の原因は、主に以下の5つです。
- 月経による症状
- 妊娠
- 女性ホルモンの分泌量の変化
- 自律神経の乱れ
- 睡眠障害
それぞれについて詳しく説明します。
月経による症状
月経前には体温リズムのメリハリがなくなるため、睡眠が浅くなったり、日中の眠気が強くなったりするなど、睡眠に影響を及ぼします。
また、「月経前過眠症」により、月経前に眠気が生じるケースもあります。月経前過眠症とは、「月経前症候群(PMS)」の一種です。個人差はあるものの、多くの女性が経験するものであり、月経の2週間前くらいから体や心にさまざまな症状(眠気やだるさなど)が生じる場合があります。
大西良佳
合同会社ウェルビーイング経営 代表
PMSに対して低用量ピルが処方される場合がありますが、低用量ピルは微量のホルモン剤を内服し、脳に“卵巣から十分なホルモンが分泌されている”と錯覚を起こさせ、排卵を抑制します。そしてPMSや眠気の原因となるプロゲステロン分泌を抑制することで、月経前過眠症が改善されます。
妊娠
妊娠すると、強い眠気を感じやすくなります。これは、胎児を育てるために体のエネルギーを使うため、眠って体力を回復させようとすることが原因です。
妊娠中の全期間を通して眠気を感じやすく、「これまでに感じたことのない強い眠気」に襲われる方もいます。
なお、妊娠後期は、「子宮の増大・収縮」「胎動」「頻尿」「腰痛」などの影響で睡眠途中に覚醒が多くなります。その結果、日中に眠気が生じる場合があることに注意が必要です。
女性ホルモンの分泌量の変化
上述した「月経による症状」や「妊娠」といった原因にも関連している要素ですが、眠気の発生には、「女性ホルモンの分泌量の変化」が大きな影響を及ぼす場合があります。
月経前の高温期や妊娠中には、催眠効果がある「プロゲステロン」(女性ホルモンの一種)の血中濃度が高くなるために、だるさや眠気が発生しやすくなります。
具体的には、プロゲステロンが分解して生成される物質「アロプレグナノロン」が、「ガンマアミノ酪酸(GABA)」という神経伝達物質を活性化し、眠気をもたらします。
自律神経の乱れ
自律神経は、交感神経と副交感神経からなっています。交感神経とは「体を活発に動かす時に働く神経」であり、副交感神経とは「体を休める時に働く神経」です。
不規則な生活やストレスなどによって自律神経のバランスが崩れると、睡眠障害が起こり日中に眠気を感じたり、だるさが生じたりする場合があります。
睡眠障害
睡眠障害の一種である「過眠症」になっている可能性もあります。過眠症とは、睡眠を妨げる病気や極度の睡眠不足ではないにもかかわらず、日中に過剰な眠気が生じる睡眠障害です。
以下に示すように、いくつかの種類があります。
- ナルコレプシー:「耐え難い睡眠欲求」が出現し、状況を問わず突然「居眠り」を起こすため、日常生活を送ることが困難になる(主な発症年齢は10代)
- 特発性過眠症:ナルコレプシーよりも眠気の強さが軽く、10代~20代で発症するケースが多い
- 反復性過眠症:過剰な眠気と睡眠時間の延長が繰り返し出現(数日から数週間続く過眠症状が、年に数回から10回以上発生し、過眠期に入ると通常の日常生活が送れなくなる)
大西良佳
合同会社ウェルビーイング経営 代表
いずれの過眠症でも、充分な睡眠時間を確保し、カフェイン、アルコール、ニコチン等の刺激物を控え、ストレスを貯めないようにすることが大切です。そのうえで、ナルコレプシーや特発性過眠症では、薬物療法が行われます。
20代女性に見られる体のだるさや眠気への対処法
20代女性に見られる体のだるさや眠気への主な対処法は、以下の5つです。
- 月経周期を把握する
- 仮眠をとる
- ストレスを溜めない
- 体を温める
- 質の高い睡眠をとる
各対処法について詳しく説明します。
月経周期を把握する
月経周期を正しく把握すれば、体に起こる変化を事前に予測することが可能になり、「正常な月経なのか、異常な月経なのか」を判断することに役立ちます。
体調の変化に合わせて、仕事量などを調整しましょう。仕事量を軽減しても就業が困難な場合は、生理休暇など、休暇の取得を検討してはいかがでしょうか。
仮眠をとる
上述したように、妊娠中などには女性ホルモンの一種であるプロゲステロンの分泌量が増えるため、眠気が生じる場合があります。
自宅にいる場合は、眠気を感じたら我慢せずに眠りましょう。仕事中の場合は、15〜30分程度の仮眠をとることも検討してください。
ストレスを溜めない
ストレスが原因で、自律神経が乱れて、夜に眠れなくなる場合があります。その結果、日中に眠気が生じる可能性があります。
以下に示すような方法で、日々のストレスを軽減することが大切です。
- スポーツや読書などで気分転換を行う
- 信頼できる友人や家族に悩みを打ち明ける
- たくさん笑う
- 趣味に没頭する
- 環境(職場など)を変える
これら以外にもさまざまな方法があるので、自身に適したストレス解消法を探しましょう。
体を温める
女性は男性より筋肉量が少ないため、体のなかで作られる熱の量も少なく、冷えやすい傾向があります。冷えがひどくなると、卵巣の機能が低下して女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経が乱れやすくなります。
その結果、夜に眠れなくなり、日中に眠気が出ることになりかねません。ホルモンバランスを整えるために、体を冷やさないように心がけましょう。
質の高い睡眠をとる
質の高い睡眠をとれば、体のだるさや日中の眠気解消に繋がります。以下は、睡眠の質を高める方法の具体例です。
- 日中に運動を行う
- 朝に太陽の光を浴びる
- 入浴して体を温める
- 就寝時間の2時間前になったら、パソコンやスマホの操作を控える
- 音楽やアロマテラピーでリラックスする
- 寝室の環境を整える
これらを一気に実践することは難しいため、できるものから少しずつ取り組みましょう。
体の不調が続く場合は、医師への相談も検討しよう
20代女性が、体のだるさを感じる原因や眠気を感じる原因は、月経や妊娠、女性ホルモン量の変化などさまざまです。
仮眠をとったり体を温めたりするなどの対処法を試しても不調が続く場合は、医療機関の受診を検討しましょう。だるさや眠さについて医師からアドバイスを受けられたり、処方された薬を服用したりすることで、症状が改善する可能性があります。
大西良佳
合同会社ウェルビーイング経営 代表
睡眠障害や気分障害を伴う場合にはうつ病などのメンタル不調、関節痛などの痛みや発熱を伴う場合には膠原病(こうげんびょう)、立ちくらみや顔色の悪さを伴う場合には貧血などが疑われるため、速やかに医療機関を受診しましょう。
まとめ
世代や性別によって、日中に「体がだるい」「眠い」と感じる原因は異なりますが、20代女性に見られる体のだるさや眠気の原因としては、主に「月経による症状」「妊娠」「女性ホルモンの分泌量の変化」「自律神経の乱れ」「睡眠障害」の5つが挙げられます。
どのような原因で「だるさ」や「眠気」が生じているのかを分析したうえで、「月経周期を把握する」「仮眠をとる」「ストレスを溜めない」「体を温める」「質の高い睡眠をとる」といった対処法を試しましょう。
これらを試しても改善されない場合は、医療機関の受診も検討してください。アドバイスを受けられたり、薬を処方してもらえたりします。