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2023.06.09 更新

【医師監修】夜になると不安で眠れなくなるのはなぜ?治療法や対処法も解説

【医師監修】夜になると不安で眠れなくなるのはなぜ?治療法や対処法も解説

質の高い睡眠をとるためには、就寝前にリラックスして過ごすことが大切です。心身がリラックスすると眠るための準備が整い、より寝つきやすくなります。

しかし、中には夜になると不安を感じてしまい、リラックスできずに眠れていない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、夜に不安で眠れなくなる理由や、夜に不安で眠れない場合の対処法を解説します。不安による寝不足に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 夜、不安になると眠れなくなる理由
  2. 脳の興奮
  3. 自律神経の乱れ
  4. 夜に不安で眠れない場合の対処法
  5. 就寝前に軽くストレッチをする
  6. 温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
  7. 夕食は就寝3時間前までに済ませる
  8. 就寝前はリラックスして過ごす
  9. 夜に不安な状態が長期間続いている場合は全般性不安障害の可能性がある
  10. 全般性不安障害の症状
  11. 身体的な症状
  12. 精神的な症状
  13. 全般性不安障害の治療法
  14. 薬物療法
  15. 認知行動療法
  16. 全般性不安障害以外の不安障害の種類
  17. パニック障害
  18. 強迫性障害
  19. 物質誘発性不安障害
  20. 社会不安障害
  21. 限局性恐怖症
  22. まとめ

夜、不安になると眠れなくなる理由

夜になると不安で眠れなくなる理由として、以下の2点が考えられます。

  • 脳の興奮
  • 自律神経の乱れ

それぞれを以下で解説します。

脳の興奮

心配なことなどに対して考え過ぎると、喜怒哀楽などの情動をつかさどる大脳辺縁系が活性化することがわかっています。

不安や心配で眠れない状態が続いた場合、就寝する際に「また眠れないのではないか」などと考えることで、大脳辺縁系の活動が活発になるため、目が冴えて余計に眠れなくなってしまいます。

自律神経の乱れ

自律神経には、昼間に活発になる「交感神経」と夜間に活発になる「副交感神経」の2種類があります。交感神経は心身を活動状態に、副交感神経は心身をリラックスした状態に導く役割を持っており、それぞれ適切なタイミングで切り替わることで覚醒と休息のバランスは保たれています。

しかし、不安によって多くのストレスを抱えていると自律神経のバランスが乱れてしまい、夜の時間帯になっても交感神経が優位のままで副交感神経へ切り替わらないことがあります。就寝のタイミングで交感神経が優位だと心身がリラックスできず、なかなか寝つくことができません。

夜に不安で眠れない場合の対処法

ここでは、夜に不安で眠れない場合の対処法を紹介します。深い眠りにつくためには、睡眠の質を高めることが重要なため、ご自身でできるものから実践してください。

夜に不安で眠れない場合の対処法は、以下のとおりです。

  • 就寝前に軽くストレッチする
  • 温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
  • 夕食は就寝3時間前までに済ませる
  • 就寝前はリラックスして過ごす

以下で、それぞれについて順番に紹介します。

就寝前に軽くストレッチをする

夜に不安で眠れない場合は、就寝前のストレッチが効果的です。凝り固まった体をほぐすことで、寝つきが良くなる効果が期待できます。

また、暗い部屋でストレッチを行うとリラックス効果も得ることができ、より眠りやすくなります。ただし、あまり激しく体を動かすと逆効果になるので、ストレッチはゆったりとした負担の少ないものを行いましょう。

温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる

人間の体は深部体温が低くなることで休息状態となり、自然な眠気が訪れる仕組みになっています。

深部体温は夜になると下がっていきますが、夜に不安で眠れない場合や、より効率的に下げたい場合は就寝前に温かい飲み物を飲むと良いでしょう。温かい飲み物によって体温が上昇した後、体温が下がっていく過程で眠気が訪れます。

飲み物の種類はさまざまですが、ホットミルクやホットココア、ハーブティーなど、リラックス効果のある飲み物は、睡眠の質をより高めてくれるのでおすすめです。
ただし、アルコールやカフェインが含まれている飲み物は、睡眠の妨げとなるので就寝前は飲まないように注意してください。

夕食は就寝3時間前までに済ませる

夕食をとるタイミングは、就寝直前にならないように気をつけましょう。就寝直前に食事を済ませると、睡眠中に行われる消化活動によって、休息をとっている脳が刺激されて、目覚めやすくなる可能性があります。

一般的に、消化活動には2時間〜3時間かかります。夜に不安で眠れない方は、消化活動が終わっている状態で眠るためにも、夕食は就寝3時間前までに済ませることをおすすめします。

就寝前はリラックスして過ごす

先述したとおり、不安を抱えていると、脳の興奮や自律神経の乱れによりなかなか眠ることができません。そのため、就寝前の時間帯はできるだけリラックスして過ごしましょう。

リラックスする方法の例としては、「気持ちが落ち着くアロマを焚く」「聴き心地が良い音楽を流す」「本を読む」などが定番です。

人によってリラックスできる方法が異なるので、夜に不安で眠れない方は自分に合いそうなものを試すと良いでしょう。

夜に不安な状態が長期間続いている場合は全般性不安障害の可能性がある

夜に不安な状態が長期間続いている場合は全般性不安障害の可能性がある

上記でご紹介した方法を試しても、不安を抱えて眠れない期間が長く続いている方は、全般性不安障害を発症している可能性を疑いましょう。

全般性不安障害とは、不安を慢性的に持ち続けてしまう病気のことです。発症すると、不安により心身にさまざまな不調が生じます。

全般性不安障害を患うと、「強い不安がさまざまな症状を引き起こし、その症状が原因でさらに不安が強まる」という悪循環に陥りやすくなります。

また、「眠る時に不安を感じてしまいなかなか寝つけない」「眠りが浅くなる」などの睡眠障害があらわれやすいのも特徴です。

不安障害ではないかと感じたら、専門の医療機関を受診しましょう。

江越正敏

江越正敏

ともしびクリニック 代表医師

全般性不安障害を発症しやすい人の特徴としては、幼少の頃に虐待などを親近者に受けたことがある人や、強いストレスを経験したことがある人です。幼少であればあるほど、ストレスが本人にとって強いほど発症のリスクが高まります。

ほかの発症リスクについては遺伝的なものが挙げられます。両親や親族が全般性不安障害の診断を受けている場合も発症しやすいです。

全般性不安障害の症状

全般性不安障害の症状には、主に身体症状精神症状の2つがあり、それぞれ特有の症状があらわれます。

上記の症状を順番に解説します。

身体的な症状

全般性不安障害の身体的な主な症状は、以下のとおりです。

  • 頭痛
  • めまい
  • 便秘
  • 頻尿
  • 悪寒
  • 手足の冷えや熱感

全般性不安障害を患うと、体の筋肉が緊張した状態が長く続きやすくなるため、頭痛やめまい、体の震えなどが表れる可能性があります。

ただし、上記のような症状はほかの病気でもあらわれるため、全般性不安障害だと気づきにくいケースがあります。

精神的な症状

全般性不安障害の精神的な主な症状は、以下のとおりです。

  • ちょっとしたことで不安になる
  • 注意力や記憶力の低下を感じる
  • イライラしやすくなる
  • 悲観的な考え方になる
  • 人に会うことが億劫になる
  • 些細なことが気になる

精神的な症状も身体的な症状と同様に、ほかの病気で認められる症状が多いです。全般性不安障害かどうか気になる場合は、身体的な症状だけでなく、精神的な症状も合わせて確認しましょう。

全般性不安障害の治療法

全般性不安障害の治療法は、主に薬物療法と認知行動療法の2つが代表的です。以下でそれぞれの治療法の内容を解説します。

薬物療法

薬物療法は薬を用いた治療法です。一般的には、不安症状を抑えるための抗不安薬や抗うつ薬が用いられます。

また、症状によっては漢方薬や睡眠薬が処方されることもあります。

認知行動療法

認知行動療法は、自分の考え方を見直す精神療法です。

全般性不安障害が原因で精神が弱っていると、些細なことでも認知の歪みによって大きな不安に繋がってしまいます。認知行動療法ではこうした自分の認知の歪みや偏りを修正し、物事に対する感情や行動を変化させることで、不安やストレスに上手に対応できるように精神の状態を整えていきます。

全般性不安障害以外の不安障害の種類

不安障害には、全般性不安障害以外にもさまざまな種類があります。代表的な不安障害として挙げられるのは次の5種類です。

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  • パニック障害
  • 強迫性障害
  • 物質誘発性不安障害
  • 社会不安障害
  • 限局性恐怖症

以下で各不安障害の特徴を見ていきましょう。

パニック障害

パニック障害とは、発作的な不安や体の異常な反応を繰り返す病気のことです。発作には動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えなどがあり、「パニック発作」と呼ばれています。

パニック発作は特定の前兆がなく、突然発生するという特徴があります。症状があらわれてからは、数分〜数十分程度の発作が続きます。

江越正敏

江越正敏

ともしびクリニック 代表医師

パニック障害が起きる原因は明らかになっていません。仕事やプライベートのストレスが強い時に生じることが多いです。

ストレスが少ない時でも、普段パニック障害が出るようなきっかけ(電車や人混みが誘発させることが多い)であっても起きることがあります。

強迫性障害

強迫性障害は、度を超している不安やこだわりによって日常生活に支障が出る病気です。

例えば、「細菌汚染の恐怖から何時間も手を洗ってしまう」「外出時にスイッチや戸締まりを何度も確認する」など、強迫観念によって生じた不安を解消するために、何度も同じ行動を繰り返してしまう症状があらわれます。

物質誘発性不安障害

物質誘発性不安障害は、薬物などの物質に対して不安や恐怖を抱き、パニック発作を引き起こしてしまう病気のことです。特定の物質の中毒を起こしている方、睡眠薬や抗不安薬を取らないようにしている方に多い症状だといわれています。

社会不安障害

社会不安障害は、人からどう見られているのかを必要以上に気にしてしまう病気です。周囲の人の目が気になって過度な不安や緊張を感じると、紅潮や発汗、ふるえ、腹痛などの症状があらわれます。

人前で話す時、周囲に多くの人がいる中で電話をかける時など、注目を浴びやすい状況で症状があらわれることが特徴です。

限局性恐怖症

限局性恐怖症とは、特定の環境や状況に対して強い恐怖を感じる病気です。高所恐怖症や先端恐怖症、閉所恐怖症など、一般的に〇〇恐怖症と呼ばれるものが限局性恐怖症に該当します。

江越正敏

江越正敏

ともしびクリニック 代表医師

限局性恐怖症は症状が軽い場合には、暴露療法を徐々に行っていくことが推奨されています。主治医の先生と相談して、少しずつ恐怖対象に心を慣れさせていくことが重要です。

重症な場合は、強迫性障害などの別の疾患が原因であることが多いので、原疾患の治療と並行して治療していく必要があります。

上記のように、不安障害にもさまざまな種類があり、素人判断は禁物です。そのため、気になる方は、必ず専門の医療機関を受診しましょう。

まとめ

過度な不安は、脳を興奮させたり自律神経を乱れさせたりします。脳の興奮や自律神経の乱れは寝不足に繋がるため、しっかりと対処することが重要です。

しっかりと睡眠をとるためにも、夜に不安で眠れない方は、軽いストレッチや、就寝前のリラックスなどを心がけましょう。

また、過度な不安を感じる時期が長く続いている方は、全般性不安障害などの不安障害を発症している可能性も考えられます。思い当たる症状がある場合は、早めに医療機関に相談しましょう。

この記事の監修者
江越正敏
江越正敏ともしびクリニック 代表医師
ファイヤークリニック新宿院 総院長。佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
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