ストレスや体の不調によってなかなか寝付けない夜には、ツボ押しを試してみましょう。ツボ押しは、道具が必要ないうえに布団の中でも取り組めて、手軽に不眠対策ができる方法です。
この記事では、眠れない時にツボ押しを試したい方に向けて、おすすめのツボと期待できる効果をわかりやすく解説します。
さらに、初心者の方に知っておいてほしいツボの効果的な押し方も紹介するので、具体的なツボの場所や押し方を把握して、眠れない時にぜひ試してみてください。
眠れない時にツボ押しがおすすめの理由は?
そもそも、眠れない時になぜツボ押しがおすすめだといわれるのでしょうか。
主に中国を中心とする東アジア地域で発展した「東洋医学」では、人間の体を流れる「気・血・水」のバランスを整えると良いと考えられており、自然治癒力を大切にしています。
「経穴(けいけつ)」と呼ばれることもあるツボは、東洋医学に基づく考え方から生まれたものです。心身のバランスが乱れている時は、ツボを押して刺激するとバランスが整うと考えられています。
なお、ツボの効果はWHO(世界保健機関)に認識されており、ツボの数は361個と定義されています。世界的に認められているツボのうち、睡眠に効果が期待できるツボを押すと、心身の不調を緩和できて入眠に繋がりやすくなるでしょう。
來村昌紀
らいむらクリニック院長
ツボを押すことにより、交感神経と副交感神経のバランスが整い脳がリラックスして眠りやすくなります。また血流が良くなるため、少し体温が高くなり、その体温が少し下がってくる時に眠気を催す作用もあります。
効果的にツボを押す方法と注意点
ツボを押す時は部屋を暗くして、リラックスできる環境で行いましょう。ツボ押しに取り組むのは寝る直前ではなく、就寝時刻の1時間前くらいのタイミングがおすすめです。
なお、ツボの位置は人によって少しずつ異なりますが、少しへこんでいて押すと気持ちいい場所を押しましょう。徐々に力を入れて、1回につき6秒程度、1つのツボにつき5回程度繰り返して押します。
また、ツボを押す時は息を吐き、指を離す時に息を吸うようにして、ゆっくり行いましょう。
ただし、強い痛みや腫れがある時、また食後や飲酒後はツボを刺激しないようにしてください。妊娠中の方のツボ押しは体に悪影響を与える可能性があるため、睡眠の悩みがあればまず医師に相談しましょう。
來村昌紀
らいむらクリニック院長
ツボを押す時は、強く押し過ぎず、優しく深呼吸をしながら正確なツボの位置などをあまり気にせずに押しましょう。緩やかな気持ちで、気持ちの良い場所を気持ちの良い強さでゆっくり押すのがポイントです。
睡眠の悩みにおすすめのツボ
さまざまなツボがあるなかから厳選して、睡眠への効果が期待できるツボを以下の6種類紹介します。押し方がわからない場合や不安がある場合は、必要に応じて専門家に相談しながらツボ押しを行いましょう。
- 失眠(しつみん)
- 内関(ないかん)
- 労宮(ろうきゅう)
- 百会(ひゃくえ)
- 迎香(げいこう)
- 三陰交(さんいんこう)
それぞれツボの位置と期待できる効果を紹介するので、自分に当てはまるツボを押してみてください。
失眠(しつみん)
失眠のツボは足の裏側のかかと中央にあり、押すと少しへこむ部分です。
神経を落ち着かせる、リラックスする効果が期待できるので、気持ちが高ぶって眠れない時に押しましょう。下半身の冷えやむくみにも効果的なので、冷え性で眠れない方にもおすすめです。
内関(ないかん)
内関は、手首内側のしわの真ん中から、ひじ側に指3本分測った部分にあるツボです。精神を安定させる、胃の痛みを抑える効果が期待できます。ストレスでイライラして眠れない時、胃に不快感がある時に試してみてください。
労宮(ろうきゅう)
労宮は手のひらの中央にあるツボで、手を握った時に薬指がくる部分にあります。
労宮のツボは心と繋がっていると考えられており、自律神経を整える働きが期待できます。ストレスで感情が高ぶって眠れない時、イライラして眠れない時など、心が疲れている時に押すと良いでしょう。
百会(ひゃくえ)
百会は頭頂部にあるツボです。両耳を頭頂部を通るように繋いだ線と体の中央線が交わったところにあり、少しへこんでいます。
百会は多くのツボに繋がっているため、さまざまな症状に対して効果が期待できます。自律神経を整える働きがあるとされるので、不眠やストレス、精神が不安定な時に押すと良いでしょう。
迎香(げいこう)
迎香は、小鼻の左右のくぼんでいる部分にあるツボを指します。
鼻水や鼻づまりへの効果が期待でき、鼻通りを良くしたい時におすすめです。花粉症や鼻炎、風邪をひいた時など、鼻に関する症状で眠れない時に押してみてください。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、ふくらはぎの内側、くるぶしから指4本分上にあります。
女性ホルモンのバランスを整えるツボであり、生理痛・貧血・冷え性・更年期障害に役立つといわれているため、体が冷えて眠れない時や生理痛の時におすすめです。
胃腸を調整する働きもあるので、消化器官の不具合を感じる時にも押すと良いでしょう。
眠れない時は生活習慣や就寝環境を整えることも大事
日ごろから眠れないことが多い方は、ツボ押しだけに頼るのではなく、生活習慣や就寝環境を見直すことも大事です。
生活習慣は、まず入浴・運動・食事、それぞれの方法を見直すことをおすすめします。自然な眠気を促すために、入浴は就寝の約90~120分前までに済ませましょう。加えて、普段から適度な運動を習慣にすると、体が疲れて寝付きやすくなります。
また、寝る直前に食事をすると、消化活動によって睡眠が妨げられることがあるため、食事は就寝3時間前までに食べましょう。就寝前に温かい飲み物を飲む、アロマを焚くなど、リラックスできる行動を取り入れるとスムーズな入眠に繋がりやすくなります。
さらに、就寝する環境を快適に整えると、リラックスできて質の高い睡眠に繋がります。適切な姿勢で眠れるよう、マットレスや枕といった寝具は自分の体に合うものを使いましょう。
なお、就寝前のスマホやパソコンの使用、アルコール・カフェイン摂取や喫煙は、脳が覚醒して睡眠の質の低下に繋がるため、控えるよう心がけてください。
來村昌紀
らいむらクリニック院長
朝は太陽の光を浴びて、朝食をとりましょう。昼寝は30分以内で、休日も平日も夜更かしをせず起床時刻を一定にすることが大切です。
まとめ
ストレスを受けたり気持ちが高ぶったりして眠れない時は、ツボを押すと睡眠への効果が期待できます。
ツボを押す時は、適当に押すのではなく押し方のポイントを把握することが重要です。リラックスした状態で、気持ちいいと感じる程度の力で押しましょう。
ただし、痛みや腫れがある時、または飲酒後や妊娠中の方のツボ押しは控えてください。また、眠れない症状がつらい時や長く続く場合は、ツボ押しだけに取り組むのではなく医療機関を受診して医師の診察を受けましょう。
もし普段から頻繁に眠れなくて困ることがある場合、生活習慣や就寝環境を整えることも大事です。食生活や入浴方法など、日ごろの生活で取り組みやすいものから改善しましょう。快適な空間で眠れるように、マットレスや枕などの寝具も見直してみてください。