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2022.12.20

【医師監修】寝る前にビタミンCを摂取すると良い?睡眠との関係や1日の推奨摂取量を紹介

【医師監修】寝る前にビタミンCを摂取すると良い?睡眠との関係や1日の推奨摂取量を紹介

ビタミンCの摂取と睡眠にどのような関係があるのか、気になっている方がいるかもしれません。

この記事では、ビタミンCの摂取と睡眠の関係について徹底解説します。そのうえで、ビタミンCの摂取に適したタイミングや、1日の摂取量の目安、各食品におけるビタミンCの含有量の目安も紹介します。

  1. ビタミンCと睡眠の関係
  2. ビタミンCの摂取に適したタイミング
  3. ビタミンCの摂取量の目安
  4. ビタミンCが多く含まれる食べ物
  5. まとめ

ビタミンCと睡眠の関係

ビタミンCと睡眠には、主に以下に示すような関係があります。

  • ビタミンCを摂取するとストレスが軽減され、眠りやすくなる
  • 睡眠リズムを司るセロトニンの合成にはビタミンCが必要

それぞれについて詳しく説明します。

ビタミンCを摂取するとストレスが軽減され、眠りやすくなる

ビタミンCは、「抗ストレスホルモン」とも呼ばれる「アドレナリン」の合成に必要な栄養素です。そのため、ビタミンCが不足すると、アドレナリンの合成量が減ってしまい、ストレスを感じやすくなる可能性があります。

また、通常人体には約1,500mgのビタミンCが蓄えられていますが、ストレスが多いと大量に消費されます。

ストレスは不眠の原因になる場合があります。ビタミンCを摂取してストレスを軽減すれば、眠りやすくなるといえるでしょう。

睡眠リズムを司るセロトニンの合成にはビタミンCが必要

ビタミンCは、睡眠リズムを司る「セロトニン」の合成に関わっています。ビタミンCが不足すると、セロトニンが生合成されにくくなり、睡眠リズム障害やうつ病などに陥る場合があります。

また、睡眠を誘発する作用があり、睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」は、セロトニンなどを原料として生合成されます。そのため、ビタミンCが不足すると結果的にメラトニン合成量が減少し、眠りにくくなる可能性があります。

ビタミンCの摂取に適したタイミング

ビタミンCの摂取に適したタイミング

ビタミンCの摂取に適したタイミングは、以下の2つです。

  • 満腹時に摂取する
  • 寝る前に摂取する

それぞれについて詳しく説明します。

満腹時に摂取する

空腹時は、食品に含まれる成分の吸収速度がはやくなり、過剰な分がすぐに排出されてしまいます。反対に満腹時には、時間をかけて吸収されます。

ゆっくりと吸収されている間にもビタミンCが消費され、消費分を補うために、さらにビタミンCが吸収されることから、結果的にトータルでの吸収量が多くなるとを理解しておきましょう。

満腹時には空腹時の約1.6倍の量が吸収されるといわれており、朝昼晩の食事が済んで満腹になった状態で、デザート(キウイやオレンジ、イチゴなど)から摂取することをおすすめします。

寝る前に摂取する

吸収されなかったビタミンCが体外に排出されるまでの時間は、2~3時間程度です。ビタミンCは水溶性なので、朝に補給しても夕方までには尿と一緒に体外へ排出されてしまいます。

一方で、ビタミンCを寝る前に摂取して体外に排出されにくくすることで、無駄なく吸収させることができるでしょう。ただし、就寝直前の食事は、「寝つきが悪くなる」「睡眠の質が低下する」「胃もたれの原因になる」といったリスクがあるので推奨できません。

そのため、レモンティー(ノンカフェインタイプ)などのように、飲料として摂取することをおすすめします。

ビタミンCの摂取量の目安

上述したように、ビタミンCが不足すると、睡眠に悪影響をおよぼす可能性があります。睡眠への影響を最小限にするために、毎日、充分な量のビタミンCを摂取しましょう。

下表に、1日あたりのビタミンCの摂取量の基準をまとめました。

年齢など推定平均必要量(※)推奨量目安量
生後6ヶ月未満40mg
6ヶ月以上1歳未満40mg
1~2歳35mg40mg
3~5歳40mg50mg
6~7歳50mg60mg
8~9歳60mg70mg
10~11歳70mg85mg
12~14歳85mg100mg
15~17歳85mg100mg
18~29歳85mg100mg
30~49歳85mg100mg
50~64歳85mg100mg
65~74歳85mg100mg
75歳以上85mg100mg
妊婦(付加量)+10mg+10mg
授乳婦(付加量+40mg+45mg

なお、上表の内容は、「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」(2022年10月時点における最新版)p.265に基づきます。

基本的に性別による違いはありませんが、妊娠している女性や、乳児に授乳している女性は、通常よりも摂取すべきビタミンCの量が多くなります。

(※)心臓血管系の疾病予防効果および抗酸化作用の観点から算定した量

簑原沙和

簑原沙和

医学博士、日本形成外科学会専門医

ビタミンCは水溶性で小腸で吸収されます。吸収率は 200 mg/日程度まで約 90%、1 g/日以上になると50%以下となり、吸収されなかった分は尿中に排出されます。

そのため、通常の食品の過剰摂取で健康障害が発生した報告はありません。しかし、1日に数 g といった大量のビタミンCを摂取することで吐き気や下痢、腹痛などの消化器官の異常が報告されています。

ビタミンCが多く含まれる食べ物

人間は体内でビタミンCを合成できないため、食品から摂取する必要があります。なお、ビタミンCは体外に排出されやすく、体内における消費も激しい栄養素なので、前節の表を参考にしてこまめに充分な量を摂取しなければなりません。

以下は、「ビタミンCを多く含む食品の例」および「皮・種子などを除去した生の可食部100gあたりに含まれているビタミンCの含有量の目安」です。

  • 柑橘類:オレンジ(40mg)、グレープフルーツ(36mg)
  • 柑橘類以外の果物:キウイ(71mg)、イチゴ(62mg)、メロン(18mg)
  • 野菜:ブロッコリー(140mg)、ピーマン(76mg)

上記数値は、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(2022年10月時点における最新版)の第2章に掲載されているデータに基づきます。

あくまでも目安であり、品種や個体、部位によってビタミンCの含有量が異なる場合があることにご留意ください。ただし、ビタミンCは加熱調理によって壊れてしまうことも認識しておきましょう。

簑原沙和

簑原沙和

医学博士、日本形成外科学会専門医

アスコルビナーゼは還元型のビタミンCを酸化型に変化させるため、アスコルビナーゼを多く含む、キュウリやカボチャとの食べ合わせは避けるべきともいわれています。

しかしながら、体内で容易に還元型に戻るとされており、そこまで強く意識しなくてもよいと考えられます。

まとめ

ビタミンCは、抗ストレスホルモン「アドレナリン」や、睡眠リズムを司る「セロトニン」、睡眠を誘発する「メラトニン」といった物質の生合成に関わる重要な栄養素です。

ただし、ビタミンCは体内で合成できないため、食事から摂取しなければなりません。オレンジやグレープフルーツ、キウイ、イチゴ、メロン、ピーマン、ブロッコリーなど、ビタミンCが豊富な果物や野菜を摂取することで、眠りの質が改善される可能性があります。
ビタミンCの摂取に適したタイミングは、「満腹時」と「寝る前」の2つです。年齢、妊娠有無、授乳有無などにより推奨される摂取量が異なることに留意しつつ、自身に適した量を摂取しましょう。

この記事の監修者
簑原沙和
簑原沙和医学博士、日本形成外科学会専門医
医学博士、日本形成外科学会専門医。2015年神戸大学医学部卒、2022年昭和大学大学院法医学講座修了。現在は、東京臨海病院形成外科に勤務し、眼形成を中心に一般形成外科の診療を行う。日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、検診マンモグラフィ読影認定医師、乳房増大に関する実施医師でもある。
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