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2024.03.11 更新

【医師監修】電車で寝る原因は?仮眠する時のポイントや睡眠の質を高める方法も解説

【医師監修】電車で寝る原因は?仮眠する時のポイントや睡眠の質を高める方法も解説

通勤・通学時や帰宅中の電車内で「寝る気はないのに、なぜか寝てしまう」という方は多いのではないでしょうか。

電車内で寝るのは心地が良いですが、「首が痛くなる」「降りる駅を過ぎてしまう」などの問題が生じることがあり、さらに夜の睡眠に影響を与える可能性もあるため、注意が必要です。

また、寝るつもりはないのに電車内で寝てしまう場合、夜の睡眠に問題があるのかもしれません。普段からしっかりと熟睡できる環境を整えて、睡眠の質を高めましょう。

この記事では、電車で寝る主な原因や仮眠時のポイント、普段の睡眠の質を高める方法を解説します。 電車で寝るのを防ぐための対策も具体的に紹介するので、電車内で寝てしまうことに悩みや疑問を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 電車で寝るのはなぜ?考えられる2つの原因
  2. そもそもの睡眠時間が足りない
  3. 睡眠の質が低下しており熟睡できていない
  4. 電車で寝るのは病気が原因の可能性も
  5. 仮眠する時のポイント
  6. 仮眠する時間は15~20分程度
  7. 仮眠は昼食後15時までに済ませることが理想
  8. 仮眠時は環境や姿勢も大事
  9. 電車で寝るのを防ぐための対処法
  10. 睡眠の質を向上させる方法
  11. 規則正しい生活で体内時計を整える
  12. 日中に適度な運動を行う
  13. 就寝前にリラックスできる行動を取り入れる
  14. 寝る前のスマホやパソコン操作をやめる
  15. 寝具の質にもこだわる
  16. まとめ

電車で寝るのはなぜ?考えられる2つの原因

電車に乗ると眠気が生じるのは、一定のリズムの振動によるものや安心感などの影響も考えられますが、基本的な原因として睡眠不足である可能性が考えられます。

睡眠不足になる主な原因として挙げられるのは、以下の2点です。

  • そもそもの睡眠時間が足りない
  • 睡眠の質が低下しており熟睡できていない

それぞれ解説します。

そもそもの睡眠時間が足りない

睡眠時は浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠が交互に繰り返されますが、睡眠時間が短いとノンレム睡眠の時間も短くなり、睡眠不足に繋がるとされています。

電車内で寝る方はそもそもの睡眠時間が足りていない可能性があるため、自分の睡眠時間を見直しましょう。一般的に日本人の成人の平均睡眠時間は6時間~8時間といわれているので、一つの目安にしてください。

ただし、必要な睡眠時間は年齢や季節などによって異なり、ゆっくり眠れたと感じる時間には個人差もあるため、自分にとっての「日中に眠気を感じない適度な睡眠時間」を把握することが重要です。

睡眠の質が低下しており熟睡できていない

睡眠時間が足りているにもかかわらず電車で強い眠気が襲ってくる場合は、睡眠の質が低下して熟睡できていない可能性が考えられます。

十分な睡眠をとるためには、睡眠時間だけでなく「睡眠の質の高さ」も重要となる要素です

質の高い睡眠の定義は人それぞれですが、一般的には「途中で覚醒せずに安定した睡眠が得られる」「朝にスッキリと目が覚める」「スムーズに入眠できる」などの要素を満たす睡眠は質が高いといわれています。

これらの要素を満たしておらず、熟睡した感覚を得られていない方は、普段の環境や行動が原因で睡眠の質が低下している可能性があります。睡眠の質が低下する原因はさまざま考えられますが、主に以下のことが挙げられます。

  • ストレス
  • 生活リズムの乱れ
  • 就寝環境
  • 寝る前の行動

仕事や人間関係など、日々の生活では何かしらのストレスを感じることも多く、日常生活で精神的な疲労が溜まると睡眠の質が低下しやすくなります。

また、生活リズムの乱れは体内時計の乱れにも繋がり、熟睡できない原因になり得ます。特に、夜更かしが多い方や夜間の仕事をしている方は、生活リズムが不規則になる傾向があるため注意が必要です。

加えて、睡眠の質には寝室の温度・湿度や照明の明るさ、寝具などの就寝環境も影響を与えるほか、就寝前のカフェイン摂取やスマホ操作は、寝付きを悪くする原因になります。

なお、夜に寝酒をする方もいると思いますが、就寝前の飲酒は一時的に寝付きが良くなるものの、睡眠自体は浅くなり睡眠の質の低下に繋がります。寝酒が習慣になるとアルコール依存症のリスクもあるため、就寝前の過度な寝酒は控えましょう。

山口祐司

山口祐司

福岡浦添クリニック院長

睡眠の質が低下しているかどうかの徴候について、「夜間睡眠中に覚醒する」「昼間の眠気および倦怠感を自覚する」「起床時にリフレッシュ感がない」などの症状があれば、睡眠が十分にとれていないと考えられます。

電車で寝るのは病気が原因の可能性も

「電車でどうしても寝てしまう」「急に眠りに落ちる」といった場合は、病気が隠れている可能性も考えられます。特に、しっかりと睡眠をとっているはずなのに眠気を感じる方は、過眠症の可能性があるため注意しなくてはなりません。

過眠症とは、十分な睡眠を取っているにもかかわらず日中に眠くなり、起きていることが困難な状態になる睡眠障害の一つです。過眠症には主に以下のタイプがあります。

過眠症症状
ナルコレプシー日中の耐え難い眠気と居眠りが繰り返し生じ、居眠り後はスッキリと目覚める
特発性過眠症日中の眠気と居眠りが主な症状で、1時間以上の居眠りをしてもスッキリとせずに眠気が持続する傾向がある
反復性過眠症過度な眠気を生じ、1日中寝て過ごすことが数日~数週間持続して、その状態が不定期に反復する

過眠症による眠気を我慢すると、集中力や持久力が損なわれるため、日常生活に支障が出ることがあります。

もしも気になることがあるなら、医療機関の受診を検討しましょう。

山口祐司

山口祐司

福岡浦添クリニック院長

電車内で寝てしまう場合は、上記の病態のほかに「睡眠不足症候群」が考えられます。これは、睡眠時間が短いため昼間の眠気を来たす病態で、過眠症の中で最も多くなっています。

また、睡眠中に下肢がピクピク動くため睡眠が分断される「周期性四肢運動異常症」や、入眠時、主に下肢のむずむず感が出現し下肢を動かすため入眠できない「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」もあります。

仮眠する時のポイント

電車内で少しだけ仮眠をとっている方もいると思いますが、仮眠をする時は以下のように気を付けたいポイントがあります。

  • 仮眠する時間は15~20分程度
  • 仮眠は昼食後15時までに済ませることが理想
  • 仮眠時は環境や姿勢も大事

ここでは仮眠をする時のポイントを解説します。

仮眠する時間は15~20分程度

長時間の仮眠は目覚めが悪くなり、夜の睡眠にも影響する可能性があります。そのため、仮眠をするなら15~20分程度に留めることをおすすめします。

仮眠は昼食後15時までに済ませることが理想

仮眠をする時間帯は、昼食後の15時までが理想とされています。15時以降の仮眠は、体内時計のリズムが乱れる原因になる可能性があるため、注意が必要です。

なお、仮眠の理想的な時間帯を考えると、通勤や通学、帰宅時の電車での仮眠は基本的におすすめできません。例えば、9~18時の勤務の方であれば電車に乗る時間は18時過ぎになるため、帰宅時の電車内で仮眠をとると15時を超えてしまうことになります。

とはいえ、眠気を我慢しすぎるのも判断力や集中力の欠如に繋がるため、どうしても眠い場合は15~20分程度の基準を守りながら仮眠するように心がけましょう。

山口祐司

山口祐司

福岡浦添クリニック院長

日中で眠気が生じやすい時間帯は、昼の12時~15時頃です。これには体の概日リズムが影響しています。

覚醒度は朝7時頃に高くなり、その後、昼にかけて低下して12時~15時頃に最低になります。その後21時頃まで覚醒度が上昇し、その後低下して睡眠に入るようになります。

眠気を自覚する方は、昼の12時~15時の間に15~20分程度の昼寝が効果的です。

仮眠時は環境や姿勢も大事

仮眠時は周辺環境や姿勢も大事です。仮眠をする場合は、暗く静かな環境でリラックスした状態が理想とされているので、ネクタイやベルトをはずしてリラックスできる状態を作りましょう。

また、仮眠時は横にならず、ゆったりと座った姿勢が適するとされています。横になると熟睡する可能性が高くなるため、椅子の背もたれや机、クッションなどを使用して仮眠すると良いでしょう。

電車で寝るのを防ぐための対処法

先述したように、15時以降に仮眠をとると、体内時計のリズムが乱れる原因になる可能性があります。

しかし、眠気があまりにも強い場合は、帰りの電車の中でつい眠ってしまうこともあるでしょう。このような時には、以下の方法で眠気対策に取り組みましょう。

  • ガムを噛む
  • 席に座っている場合は立つ
  • きちんとした姿勢を意識する

ガムを噛むと顎を動かす動作によって脳が刺激され、眠気が覚めやすくなります。また、席に座っている場合は立ち上がり、眠れない状況を作ることで思わぬ居眠りを避けることが可能です。

このほか、姿勢を正すのも眠気には効果的です。姿勢が悪いことで呼吸が浅くなると、酸素が体内に取り入れられず眠気に繋がってしまいます。

なお、詳しい眠気対策の方法については、以下の記事でも説明しています。電車での眠気対策だけでなく、仕事・勉強中にも活用できる方法を紹介しているので、ぜひこちらもご一読ください。

眠い時
【医師監修】日中に眠い時はどうするべき?眠くなる理由や対処法、効果的なツボの押し方など解説

睡眠の質を向上させる方法

睡眠の質を向上させる方法

睡眠不足を解消するためには、日頃から睡眠の質を向上させることも大事です。睡眠の質は自分の心がけ次第で改善できる可能性があるため、できることから取り組みましょう。

  • 規則正しい生活で体内時計を整える
  • 日中に適度な運動を行う
  • 就寝前にリラックスできる行動を取り入れる
  • 寝る前のスマホやパソコン操作をやめる
  • 寝具の質にもこだわる

それぞれ解説します。

規則正しい生活で体内時計を整える

人には体内時計が備わっており、睡眠のタイミングを決めるだけではなく、前もってホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えています。

そのため、睡眠の質を高めるためには、規則正しい生活を送って体内時計を整えることが大切です。例えば、毎日同じ時間帯に布団に入ることや、1日3食規則正しい食事をするなどが挙げられます。

また、体内時計は強い光を浴びるとリセットされるため、朝起きたらカーテンを開けて日の光を浴びることも心がけましょう。

日中に適度な運動を行う

日中の適度な運動は睡眠の質を高めることがわかっています。ウォーキングや軽めのランニングなど、体の負担になりすぎない程度の有酸素運動を日常生活に取り入れましょう。

運動は夕方から就寝の3時間前くらいの時間帯が理想とされていますが、難しい方はライフスタイルに合わせて無理のない時間帯に行っても問題はありません。

ただし、1回の運動で効果が出るわけではないため、睡眠の質を改善するためには習慣的に続けることが重要です。

就寝前にリラックスできる行動を取り入れる

就寝前はリラックスした状態を作ることで眠気を感じやすくなります。リラックスできるおすすめの行動には以下のことが挙げられるので、寝る前の習慣として取り入れてみてください。

方法ポイント
入浴する25分~30分程度、38℃のぬるめのお湯で入浴する
ストレッチをするゆっくりと呼吸しながら肩や首の筋肉、背中・腰の筋肉を気持ちが良いと感じるところまで伸ばす
温かい飲み物を飲む白湯やハーブティーなどのカフェインレス、無糖の温かい飲み物を飲む
音楽を聴くクラシックや自然音(雨、風、川のせせらぎなど)の音楽を聴く
読書をする過激すぎず、穏やかに読める内容の本を20分程度読む

寝る前のスマホやパソコン操作をやめる

眠気はメラトニンというホルモンが分泌されることで自然と促されますが、メラトニンは光の刺激を受けると分泌が抑制されます。

スマホやパソコンから発せられるブルーライトは、太陽光にも含まれる強い光です。寝る前にスマホやパソコンを操作するとメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下する可能性があります。

寝る前はスマホやパソコンの操作をやめて、前述したリラックスできる行動を取り入れるように心がけましょう。

寝具の質にもこだわる

睡眠の質には寝具も大きく影響するため、寝具選びは大切です。自分の体に合った寝具を選ぶことで、睡眠の質の向上に繋がる可能性があります。

例えば、マットレスは寝返りが打ちやすい適度な反発力と体圧分散性に優れたものがおすすめです。柔らかすぎるマットレスは寝返りが打ちづらく、血行不良を引き起こす可能性があり、硬すぎるマットレスは肩や腰に負担がかかり、体の不調の原因になり得ます。

自分の体に合った寝具を使用することで、睡眠時の体にかかる負担を軽減できるため、快適な睡眠をとりやすくなるでしょう。

まとめ

電車内で寝てしまう場合、基本的に睡眠不足である可能性が考えられます。ただし、日中に過度な眠気を感じるなら病気が隠れているリスクもあるため、気になることがある場合は医療機関での受診をおすすめします。

また、電車内で仮眠をする方もいると思いますが、仮眠は15~20分程度かつ昼食後の15時までが理想とされるので、仮眠をするなら時間を意識しましょう。15時以降に眠たくなった場合は、ガムを噛むなど眠気対策に取り組んでください。

なお、睡眠不足が原因と考えられる方は、日頃から睡眠の質を高める行動をとることが大切です。記事内で紹介した内容を参考に、自分でできることから試してください。

この記事の監修者
山口祐司
山口祐司福岡浦添クリニック院長
1979年自治医科大学卒業後、国家公務員共済組合連合会浜の町病院と九大病院救急部で2年間の臨床研修。浜の町病院勤務の時に、名嘉村博先生(現在、名嘉村クリニック院長)から指導を受け、その20年後に名嘉村先生から現在の睡眠医療への道に導かれることになる。臨床研修後は、福岡県の地域医療(県立病院、町立病院)の仕事を行い、その後、自治医科大学医動物及び血液学、ハーバード大学べス・イスラエル病院感染症部門リサーチフェロー、熊本大学遺伝発生研究施設(分化制御)講師として基礎研究に従事。2000年より、福岡浦添クリニック院長として睡眠医療に従事している。日本睡眠学会専門医、日本内科学会総合内科専門医。アメリカ睡眠学会会員、アメリカ血液学会会員。1990年ベルツ賞(2等賞)、2006年福岡県医師会医学研究賞。
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