就寝時の格好は人によって異なり、パジャマを窮屈に感じて、下着や裸で寝ることを好む方もいます。しかし、下着や裸で寝ることにはメリットもありますが、睡眠の質に影響を与える可能性があり、必ずしもおすすめできません。
この記事では、下着や裸で寝ることのメリットやデメリットなどをわかりやすく解説します。下着や裸で寝ている方や寝ようと考えている方は、参考にしてください。
下着や裸で寝ることのメリット
下着や裸で寝ることにはメリットもデメリットもあるため、双方を理解したうえで、検討することが大切です。
まずは下着や裸で寝ることのメリットから確認しましょう。
- 寝返りが打ちやすくなり、血行が促進される
- 睡眠時に解放感がある
以下でそれぞれ解説します。
寝返りが打ちやすくなり、血行が促進される
下着や裸で寝ることで締め付けが少なくなると、寝返りが打ちやすくなるメリットがあります。
寝返りを打つことで、睡眠中に体の同じ部位が圧迫されることを防ぎ、血液の循環が良くなる可能性があります。血液の循環が悪くなり血行不良が起きると、不眠や肩こり、冷えなどに繋がるため、寝返りをスムーズに打てることは大切です。
横山歩依里
エルムクリニック麻布院 院長
寝返りには血行促進以外にも、体温を調節する・寝床内の温度を保つ・熱や水分の発散を調節するといった働きがあります。
睡眠時に解放感がある
パジャマや下着を着けずに寝ると、睡眠時の締め付けのストレスから解放されます。人によってはズボンの紐や下着のゴムなどが不快に感じる場合があるため、睡眠時に解放感があることは大きなメリットです。
また、素肌がシーツや毛布などにダイレクトに触れるため、素材によっては気持ち良く感じる場合もあります。
下着や裸で寝ることのデメリット
下着や裸で寝ることにはメリットがある一方、デメリットも存在します。下着や裸で寝た場合に考えられるデメリットは、以下のとおりです。
- 体調を崩す原因になる
- 睡眠の質に影響を与える可能性がある
- シーツやタオルケットなどが汚れやすい
- 緊急時にすぐに対応できない可能性がある
下着や裸で寝ることのデメリットを順番に解説します。
体調を崩す原因になる
下着や裸で寝る場合は、体調を崩す可能性があるため注意しましょう。
人間は寝る際に皮膚表面から熱を逃がしていき、深部体温が下がることで脳と体をしっかりと休息させて、朝方にかけて上昇していく傾向があります。また、室温は、室内の状況や季節にもよりますが、日射量が少なくなるほど下がっていきます。
このように、寝ている最中に体温や室温は変化します。下着や裸で寝ていると、これらの変化に対応できず、寝冷えや風邪などを招くリスクが高まります。
下着や裸で寝る場合は、タオルケットや毛布、羽毛布団などの季節に合った寝具を用意しましょう。
睡眠の質に影響を与える可能性がある
下着や裸で寝ると、睡眠の質が低下する恐れがあるのもデメリットの1つです。就寝中に汗をかいた状態が続くと不快感があり、睡眠が浅くなる可能性があります。
また、就寝時の汗を吸ってくれるパジャマを着ていないと必要以上に体温が下がる場合があるほか、体が冷えることで睡眠の質に影響を与える可能性もあります。
シーツやタオルケットなどが汚れやすい
下着や裸で寝る場合のデメリットとして、シーツやタオルケットなどが汚れやすいことが挙げられます。
シーツやタオルケットなどの寝具に直接素肌が触れるため、寝ている間にかいた汗や皮脂、フケなどが付着しやすいです。
寝具に雑菌やダニが繁殖すると、肌トラブルやアレルギーといった悪影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。また、汚れを放置するとベッドや布団に黄ばみが発生し、劣化の原因にもなります。
下着やパジャマを着用せずに寝る場合は、定期的にシーツやタオルケットなどを洗濯しましょう。
なお、シーツやタオルケットの洗濯に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。寝具の適切な洗濯方法を知りたい方は、ぜひこちらもご一読ください。
緊急時にすぐに対応できない可能性がある
下着や裸で寝ていると、災害などの緊急時にすぐに対応できない可能性があります。例えば、下着や裸で寝ていると、火事が起きても外へすぐに逃げることができません。
どうしても下着や裸で寝たい場合は、万が一の時に使用できるパジャマや普段着などを、枕元に用意すると良いでしょう。
下着や裸で寝るより、パジャマで寝るほうがおすすめ
「体調を崩す原因になる」「シーツやタオルケットなどが汚れやすい」などのデメリットを考えると、下着や裸で寝るよりもパジャマで寝るほうがおすすめです。
医療機関でも、寝冷えによって体調を崩す可能性があるため、適度に保温しながらの入眠を推奨しています。特に、子供の場合は寝返りが多く、脳の「運動野(うんどうや)」の発達が未熟であることから寝相が悪く、寝冷えに繋がりやすいです。
体調を整えるためにも、冷えにくいようにパジャマを着て寝たほうが良いでしょう。
横山歩依里
エルムクリニック麻布院 院長
寝ている時には、皮膚の新陳代謝が活発になるので、汗や皮脂の分泌も増えます。そのため、寝冷えのほかに、汗や皮脂が寝具に付着するのを防ぎ清潔に保つためにも、パジャマは必要です。
パジャマで寝るほうがおすすめの理由
パジャマで寝るほうがおすすめの理由を、より深掘りしてみていきましょう。パジャマで寝ることをおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 睡眠の質の向上が期待できる
- 寝具を汗や皮脂などの汚れから守れる
- 保温性が保たれる
- 気持ちを切り替えるスイッチになる
- リラックスして眠りにつける
それぞれ具体的に解説します。
睡眠の質の向上が期待できる
前述のとおり、下着や裸で寝ると睡眠の質が低下する可能性がありますが、パジャマを着ていれば、寝冷えや不快感を抑えることで睡眠の質の向上が期待できる可能性があります。
パジャマを着て寝る場合、睡眠中に必要以上に体温を下げることを防げます。また、素材によっては吸水性に優れるものもあるため、汗による不快感が軽減されるなどのメリットが得られます。
寝具を汗や皮脂などの汚れから守れる
素材にもよりますが、パジャマを着ていれば寝ている時にかいた汗や皮脂などの汚れが吸収されるため、シーツやタオルケットなどを清潔な状態に保ちやすいです。
汚れにくくなることで、シーツやタオルケットなどを洗う手間や回数が減るメリットもあるため、パジャマを着て寝ることを検討しましょう。
保温性が保たれる
パジャマを着ていると、素肌との間に空気の層が生まれるため、熱が体から逃げにくくなります。
パジャマを着ると保温性が保たれるため、寝返りを打った時にタオルケットや毛布から体がはみ出ても、寝冷えや風邪を招く可能性が低くなります。
暑がりの方や寝汗を多く方は、通気性や吸水性に優れた素材を選ぶことがおすすめです。
気持ちを切り替えるスイッチになる
パジャマに着替えると、気持ちが睡眠モードに切り替わるスイッチが入ります。
気持ちを睡眠モードに切り替える行為や動作のことを「入眠儀式(睡眠儀式)」と呼び、一日の生活リズムに入眠儀式を取り入れると、睡眠の質の向上が期待できます。
入眠儀式にはパジャマを着る以外に次のような方法もあります。
- アロマやヨガ、ストレッチなどを行う
- 歯磨きやトイレに行く
- 就寝の90~120分前に入浴を済ませるなど
睡眠の質を向上させたい方は、「パジャマを着たらベッドに入る」という入眠儀式を習慣化させると良いでしょう。ただし、入眠儀式は個人によって合わない場合があるため、複数の入眠儀式を試して自分に合ったものを見つけましょう。
リラックスして眠りにつける
自分に合ったパジャマを着用すれば、よりリラックスして過ごせます。自分に適したパジャマの例は、以下のとおりです。
- 寝返りしやすいちょうど良いサイズ
- 肌触りが良いと感じる
- 締め付けが少ない
また、パジャマには寝汗を吸収する役割もあるため、着用するとベタつかずにスムーズに眠りやすくなる可能性があります。
リラックス効果を重視する場合、締め付けが少なく、伸縮性があり寝返りを打ちやすいパジャマを選びましょう。
快適に寝るためのパジャマ選びのポイント
快適に寝るためにはパジャマ選びが重要です。続いて、パジャマを選ぶ時に注目したいポイントを解説します。
- 素材
- 機能性
- サイズ・デザイン
- 耐久性
ポイントを押さえて、自分にぴったりのパジャマを選びましょう。
素材
パジャマは素材によって肌触りや機能性が異なります。次の表は、パジャマの代表的な素材の特徴をまとめました。
| 素材 | 特徴 | 
|---|---|
| 綿 | ・吸湿・吸水性が高く、睡眠中にかいた汗や湿気などを吸収する ・蒸れを感じにくく、心地良さが長持ちする ・ふんわりと柔らかい肌触り ・吸水性が高いため縮みやすく、シワになりやすい傾向がある | 
| 麻 | ・天然繊維の中で耐久性に優れている ・吸湿・吸水・速乾性に優れており、汚れが落ちやすい ・シワになりやすく、使用していると表面に綿のようなものができやすい | 
| シルク | ・吸湿・吸水性に優れる ・光沢があり、滑らかな肌触り ・値段が高い傾向がある | 
例えば、綿を使用しているパジャマなら、肌触りが良いため、リラックスして入眠できる可能性があります。自分の好みに合った素材のパジャマを選びましょう。
機能性
パジャマを選ぶ時は、機能性も確認しましょう。
人間は寝ている間にコップ一杯分の汗をかくとされているため、吸汗性や吸湿・放湿性などの機能性を有しているパジャマを選ぶと不快感を覚えずに寝られます。
また、季節によっては「保温性があるパジャマ」に変えることで、風邪を引くリスクを抑えることが可能です。
商品によって機能性は異なるため、自分の体質や季節に合ったパジャマを探しましょう。
サイズ・デザイン
人間は寝ている間に1日20~30回ほど寝返りを打ちます。スムーズに寝返りを打てないと睡眠の質が下がる可能性があるため、寝返りを妨がないようなサイズのパジャマを選ぶと良いです。
また、パジャマのデザイン(型)によっては、寝返りの際に引っかかりやすい場合があります。そのため、寝返りを妨がないデザインのものを選びましょう。
なお、寝返りの重要性は、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。
耐久性
季節や汗の量によっては、パジャマを毎日洗う場合もあるでしょう。しかし、洗濯を繰り返すとパジャマが劣化して、型崩れすることがあります。
型崩れによって寝返りしにくくなることも考えられるため、パジャマを長持ちさせたい方は、洗濯を繰り返しても型崩れしにくいものや、お手入れしやすいものを選びましょう。
まとめ
下着や裸で寝るメリット、デメリットは以下のとおりです。
| メリット | ・寝返りが打ちやすくなり、血行が促進される ・睡眠時に解放感がある | 
|---|---|
| デメリット | ・体調を崩す原因になる ・シーツやタオルケットなどが汚れやすい ・緊急時にすぐに対応できない可能性がある | 
「体調を崩す原因になる」「シーツやタオルケットなどが汚れやすい」などのデメリットを考えると、下着や裸で寝るよりも、パジャマを使用して寝るほうがおすすめです。
また、パジャマは睡眠の質に影響を及ぼす可能性があるため、選ぶ際は素材や機能性などのポイントを知っておくことが重要です。自分に合った素材や機能性のパジャマを選び、睡眠に役立ててください。
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