早朝から仕事や学業、家事などに取り組んでいると、夕方の時間帯に急な眠気が襲ってくることがあります。夕方に襲ってくる眠気のせいで、「まだやるべきことがあるのに眠くて集中できない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、夕方に眠くなる原因や眠気を解消する方法、睡眠の質を高める方法などを解説します。
夕方になると眠くなるのはなぜ?
通勤中や仕事中、授業中など、眠気はさまざまなタイミングで生じるものです。なかでも「夕方」に眠くなる場合、その理由は主に以下の3つが考えられます。
- 体内時計の働きによるもの
- 血糖値の変動によるもの
- ストレスによるもの
人の体は体内時計の働きにより、起床時から8時間程度経つと眠気が生じる仕組みになっています。そのため、起床の8時間後にあたる午後〜夕方の時間帯は眠くなりやすいです。
また、糖質を多く含んだ昼食を食べると、昼食後の夕方の時間帯に、血糖値スパイクによる眠気が生じる可能性もあります。血糖値スパイクとは糖質の過剰摂取によって血糖値が急上昇・急下降する現象で、眠気の原因にもなります。
このほか、ストレスも夕方の眠気の原因の一つです。午前中から昼過ぎ頃の時間帯に受けたストレスによって脳に疲れが溜まると、夕方頃に眠気を感じる場合があります。
夕方に眠くなるのは病気の可能性もある
夕方に強い眠気が襲ってくる場合は、睡眠相前進症候群(すいみんそうぜんしんしょうこうぐん)の可能性も考えましょう。睡眠相前進症候群とは、睡眠の時間帯が前にずれる睡眠障害です。
睡眠の時間帯は人それぞれですが、多くの場合は夜に就寝して朝に起床することが一般的です。しかし、睡眠相前進症候群によって睡眠の時間帯が前にずれると、夕方の時間帯から眠くなり、極端に早い時間帯に目が覚めるようになります。
症状が気になる場合は医療機関を受診し、睡眠の状況を医師に相談することをおすすめします。
夕方に眠くなるのはほかの原因も考えられる
夕方に襲ってくる眠気は、前述した理由のほかに根本的な睡眠習慣や生活に原因がある可能性も考えられます。以下では、考えられる原因をいくつか紹介します。
睡眠の質が低い
夕方の眠気には、そもそもの睡眠の質の低さが関係している可能性があります。 ぐっすりと眠って心身の疲れを癒すためには、質の高い睡眠が必要です。しかし、睡眠の質が低いと心身の疲労を十分に回復することができません。
睡眠の質が低く、心身に疲労が蓄積したまま過ごしていることで、夕方に眠気が襲ってくる場合があります。
睡眠時間が不足している
夕方に眠くなる場合は、睡眠時間が不足している可能性も考えられます。睡眠時間が足りず、睡眠不足の日々が続いていると、日中に強い眠気があらわれます。集中力の低下に繋がる場合もあるため、毎日の睡眠時間はしっかり確保しましょう。
なお、1日に必要な睡眠時間は人それぞれですが、厚生労働省が公表している「健康づくりのための睡眠指針 2014(※)」によると、「必要な睡眠時間は6時間以上8時間未満のあたりにあると考えるのが妥当」とされています。
(※)厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014」
体内時計が乱れている
人の体には、生体リズムを整える体内時計が備わっています。体内時計は1日周期で生体リズムを刻んでおり、日中は心身を活動状態に、夜になると休息状態に切り替えています。
しかし、体内時計が乱れると眠りたい時間に入眠できず、満足な睡眠をとることができません。その結果、夕方やお昼などの時間帯に眠気が生じることがあります。
薬の副作用が生じている
服用している薬の種類によっては、副作用として眠気が生じる場合があります。
例えば、花粉症の薬を飲んだ際、服用後に眠気が生じた経験のある方は多いでしょう。多くの場合、その原因はアレルギーの薬である抗ヒスタミン薬を服用していることにあります。
抗ヒスタミン薬には、アレルギー反応を引き起こす原因であるヒスタミン受容体の働きを抑える効果があります。しかし、抗ヒスタミン薬を服用すると、ヒスタミン受容体が持つ脳の活動を活性化させる作用も抑えられます。
その結果として脳の働きが低下し、夕方の眠気に繋がる場合があります。
夕方の眠気を解消するための対策
夕方の眠気に悩んでいる方は、この機会に眠気対策を行うと良いでしょう。ここでは、手軽に実践できる夕方の眠気対策方法をいくつか紹介します。
カフェインを摂取する
眠気を解消したい場合は、覚醒作用のあるカフェインが含まれている飲み物を飲む方法が効果的です。カフェインの覚醒作用は摂取後から15分〜30分後に効果があらわれ、平均4時間ほど効果が持続するといわれています。
カフェインを含む飲み物の代表例は、コーヒーやエナジードリンク、緑茶、紅茶などです。カカオ豆を原料としたチョコレートやココアにもカフェインが含まれています。
ただし、カフェインを過剰摂取すると、心身の不調を引き起こす可能性があるためご注意ください。また、薬のなかにはカフェインを含むものがあるため、薬の服用中にカフェインを摂取したい場合は、問題ないか医師に確認しましょう。
カフェインを摂取する際の注意点や適切な摂取量は、以下の記事で詳しく解説しています。
ストレッチをする
眠気が襲ってきた際に体を動かせる状況にいるのなら、ストレッチをすることもおすすめです。
適度に体を動かすと心身を活動状態へと導く交感神経が刺激され、眠気を解消しやすくなります。「背伸びをする」など簡単なストレッチで良いので、こまめに体を動かしましょう。
ちなみに、立った状態で行うストレッチは眠気対策により効果的だといわれています。
眠気覚ましのツボを刺激する
眠気覚ましのツボを刺激するのも効果的な眠気対策方法の一つです。人の体には、頭や顔、手、足などさまざまな場所に眠気覚ましに効果的なツボがあります。
身動きがしにくい状況下では、「合谷(ごうこく)」「中衝(ちゅうしょう)」のツボを刺激する方法がおすすめです。合谷と中衝はそれぞれ手に位置するツボで、仕事中や授業中でも目立つことなく手軽に刺激できます。
- ツボを押す際には強く押しすぎず、「やや痛い」と感じる程度の力で押しましょう。
なお、以下の記事では眠気覚ましに効くツボを部位別に解説しています。ツボを刺激した眠気対策に興味がある方はぜひご覧ください
ガムを噛む
眠気対策にはガムを噛むのもおすすめです。ガムを噛む時の顎を何度も動かす運動が脳に適度な刺激を与え、眠気を覚ましてくれます。ガムにはさまざまな種類がありますが、よりスッキリしたい場合は清涼感のあるガムを噛むと良いでしょう。
なお、眠気を覚ます具体的な方法は以下の記事でも解説しています。
夕方の眠気を防ぐために毎日の睡眠の質を高めよう
夕方の眠気を防ぐためには、毎日の睡眠の質を高めることが大切です。睡眠の質を高める方法には次のようなものがあります。
- 起床後に日光を浴びて体内時計をリセットする
- 寝る3時間前までに食事を済ませる
- 就寝前にスマホやパソコンを操作しない
- 適度な運動習慣を身につける
以下で睡眠の質を高める方法をそれぞれ見ていきましょう。
起床後に日光を浴びて体内時計をリセットする
人の体に備わっている体内時計は25時間周期で動いています。1日の時間である24時間に体内時計のリズムを合わせるには、起床時に日光を浴びて体内時計をリセットしなければいけません。
体内時計をリセットして24時間周期のリズムに合わせることで、起床と就寝のリズムも整い、「朝に起きて夜に眠る」という規則正しい生活を送れるようになります。起床時はすぐにカーテンを開けて日光を浴び、体内時計をリセットしましょう。
寝る3時間前までに食事を済ませる
寝る前すぐのタイミングで食べ物を口にすると、睡眠中に体が消化活動を始めてしまい、眠りが浅くなるため気をつけてください。
食事をしたあとの消化活動には3時間程度かかります。消化活動にかかる時間を考えると、日々の夕食は就寝の3時間前までに済ませたほうが良いでしょう。
夕食のほかには、就寝前にお酒を飲む「寝酒」にも注意が必要です。お酒を飲んでから寝ると、睡眠中にアルコールが抜けていく反動で眠りが浅くなります。睡眠の質を高めたいのなら、就寝前の過度な飲酒は控えましょう。
就寝前にスマホやパソコンを操作しない
就寝前のリラックスタイムにスマホやパソコンで動画を見たり、SNSをチェックしたり、ゲームをしたりして過ごす方は多いでしょう。しかし、睡眠の質を高めたいのなら、就寝前のスマホやパソコンの操作は避けることをおすすめします。
スマホやパソコンの画面からは、「ブルーライト」と呼ばれる強い光が発せられています。ブルーライトの強い光を浴びると脳が「今は昼間である」と勘違いし、覚醒して眠れなくなります。そのため、就寝の2時間前にはスマホやパソコンの操作をやめるよう心がけましょう。
就寝前のスマホやパソコンの操作が癖になっている方は、「スマホは寝室以外の場所に置く」「夜間の通知はオフにする」など、触らないための工夫を取り入れてみてください。
適度な運動習慣を身につける
睡眠の質を高めたい方は、普段から体を動かす習慣を取り入れると良いでしょう。適度な運動は「寝つきが良くなる」「深い眠りにつける」など、睡眠に良い影響を与えられるといわれています。
睡眠の質を高めるための運動は、就寝の3時間前に行うことが理想です。また、1回きりの運動ではなく、長期的に続けることでより高い効果に期待できます。
ただし、激しい運動は睡眠の妨げとなる可能性があるため注意してください。睡眠の質を高めるために行うのなら、ウォーキングなど軽めの有酸素運動がおすすめです。
夜更かしせずに十分な睡眠時間を確保するのも大切!
夕方の眠気を防ぐには睡眠の質を高めるだけでなく、睡眠時間を確保することも重要です。
いくら睡眠の質が高くても、睡眠時間が足りていないと日中の眠気を防ぐことはできません。睡眠不足に陥らないよう、仕事や学業が忙しい時期も毎日の睡眠時間はしっかり確保しましょう。
また、休日はつい夜更かしすることもありますが、平日と休日の就寝・起床時間は同程度にしたほうが良いです。平日と休日の就寝・起床時間に差があり過ぎると、体内時計が乱れて睡眠の質に影響が出る可能性があるためご注意ください。
まとめ
体内時計の働きによるものや血糖値の影響など、夕方に眠くなる原因はさまざま考えられます。また、そもそも睡眠の質が低下していたり、睡眠時間が不足していたりするのかもしれません。
夕方の眠気に悩んでいる方はこの記事で紹介した眠気対策方法を実践しつつ、普段の睡眠の質や睡眠時間を見直しましょう。