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2024.03.25 更新

短時間でも質の高い睡眠はとれる?注意点や方法を紹介

短時間でも質の高い睡眠はとれる?注意点や方法を紹介

睡眠は毎日を健康に過ごしていくうえで欠かせませんが、仕事や家事などで睡眠時間があまり確保できていない方もいるでしょう。

短時間の睡眠が続いている方は、「睡眠時間が短くても大丈夫?」「心身に悪影響はある?」などの不安があるのではないでしょうか。

また睡眠時間を長くとることが難しい場合は、短い睡眠時間の中で質の高い睡眠をとる方法を知りたいところです。

この記事では、睡眠時間が短い場合に起こりうるデメリットや、質の高い睡眠をとる方法などを紹介します。

  1. 日本人の平均睡眠時間はどのくらい?
  2. 必要な睡眠時間は年齢や季節によって変わる
  3. 睡眠の質はレム睡眠とノンレム睡眠で決まる
  4. 睡眠が短時間の場合のデメリット
  5. 認知機能の低下
  6. 精神が不安定になる
  7. 肌の調子が悪くなる
  8. どうしても睡眠が短時間になる方へ!なるべく良質な睡眠をとる7つの方法
  9. ①寝る直前に食べない
  10. ②ストレッチをする
  11. ③寝る直前にスマホやパソコンを見ない
  12. ④眠りに適した温度や湿度にする
  13. ⑤寝室の照明を調整する
  14. ⑥アロマを焚く
  15. ⑦ベッドや寝具で睡眠環境を整える
  16. まとめ

日本人の平均睡眠時間はどのくらい?

そもそも、自分の睡眠時間が人と比べて長いのか、あるいは短いのか確認していきましょう。

総務省統計局が発表した「令和3年社会生活基本調査」によると、日本人の平均睡眠時間は7.54時間で、男女別では男性平均が7.58時間、女性平均が7.49時間でした(※1)

前回(平成28年)の調査では、日本人の平均睡眠時間は7.40時間で、男性平均が7.45時間、女性平均が7.35時間だったため、比較すると若干長くなっています(※2)。

上記を踏まえると、現在8時間以上睡眠がとれている人は平均よりもたくさん寝られている、逆に睡眠時間が7時間前後や下回っている人は、平均よりも睡眠時間が少ないといえるでしょう。

(※1)参考:総務省「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約

(※2)参考:総務省「平成 28 年社会生活基本調査 生活行動に関する結果 要約

必要な睡眠時間は年齢や季節によって変わる

日本人の平均睡眠時間を説明しましたが、睡眠時間が平均よりも長いか短いかは、本質的に重要ではありません。重要なことは「自分にとって必要な睡眠時間」の確保ができているかどうかです。

必要な睡眠時間は加齢とともに徐々に少なくなるといわれており、睡眠時間を調べたさまざまな論文をまとめたデータによると、10歳までの夜間の睡眠時間は、8~9時間程度とされています。15歳になると、約8時間と少し短くなり、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、年齢を重ねるにつれて、少しずつ睡眠時間が短くなっていることがわかります。

一般的な成人の場合、個人差はあるものの6~7時間前後の睡眠時間が一つの目安です。

また、年齢だけではなく、季節によっても睡眠時間は変化します。秋から冬にかけて日が短くなる時に睡眠時間は長くなり、春から夏にかけて日が長くなる時に短くなっていく傾向があります。

睡眠の質はレム睡眠とノンレム睡眠で決まる

睡眠の質はレム睡眠とノンレム睡眠で決まる

人間の睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」に分けることができ、睡眠の質に大きく関わっています。 それぞれの睡眠を一言で表すと以下のとおりです。

レム睡眠ノンレム睡眠
体を休めるための眠り脳を休めるための眠り

レム睡眠は眼球運動を伴う睡眠を指し、寝ながら夢を見るのもレム睡眠の状態にある時です。レム睡眠時の脳波や筋電図の様子から、レム睡眠時には、体の筋肉は緊張感がなくなりグッタリしているものの、大脳は活動していることが判明しています。よって、レム睡眠は「体を休めるための眠り」ができます。

一方、ノンレム睡眠時には眼球運動がなく、大脳も活動を休止していることから、夢を見ることがありません。ノンレム睡眠は「脳を休めるための眠り」ができます。

睡眠の質を高めるために重要なポイントは、「体がレム睡眠を行っている時に起きる」ことです。

ノンレム睡眠を行っている時に起きてしまうと、寝覚めが悪く体の疲労が残ってしまいますが、レム睡眠時に起きるようにすると、寝覚めもスッキリでしっかりと睡眠がとれたと感じることができます。

眠りのメカニズム

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「眠りのメカニズム

睡眠時にはノンレム睡眠から始まり、90~120分でレム睡眠に切り替わる周期が交互に繰り返され、時間経過とともに、レム睡眠や浅いノンレム睡眠の割合が多くなります。

ノンレム睡眠とレム睡眠を交互に繰り返す周期の4~5回目が終わったタイミング(約6~10時間の睡眠を経たタイミング)が必要な睡眠時間を満たしており、「体がレム睡眠を行っている時」の中で、起きるのにベストなタイミングです。

ノンレム睡眠とレム睡眠の周期の時間には個人差があるため、自分の睡眠サイクルをつかんでレム睡眠の時に起きられるようにできれば、睡眠時間が短くとも質の良い睡眠をとるための助けとなるでしょう。

なお、レム睡眠とノンレム睡眠の詳しい違いは以下の記事で詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

レム睡眠
【医師監修】レム睡眠が多いのはストレスのせい?夢をよく見ることとの関係や対策法も紹介

睡眠が短時間の場合のデメリット

しっかりとした睡眠時間の確保は、心身ともに健康な状態を保つために重要です。睡眠が短時間の場合、以下のようなデメリットが考えられます。

  • 認知機能の低下
  • 精神が不安定になる
  • 肌の調子が悪くなる

それぞれ、詳しく説明していきます。

認知機能の低下

睡眠時間が短いと脳の疲れが取り切れないため、頭がぼんやりして認知機能が低下します。

認知機能が低下すると、取り組んでいる業務や課題に集中できなくなり、物事を思い出したり新しい情報を覚えたりしづらくなります。

結果的に仕事でミスをしてしまったり、上司から聞いた話を忘れてしまったりするなどの悪影響があるでしょう。

精神が不安定になる

睡眠時間が短いと精神が不安定になり、怒りっぽくなったり、不安を感じて落ち込みやすくなったりします。

普段では特に気にならないことでも、睡眠不足の時だとなぜかやたらと気になってしまうなどの経験を持っている方も多いのではないでしょうか。

そのような精神状態では、人付き合いも上手くいきにくいため、公私ともに好ましくない影響が出やすいです。

必要な時間の睡眠をとることは、気持ちを落ち着かせて周囲の人と上手く協働するために必要不可欠といえるでしょう。

肌の調子が悪くなる

睡眠時間が短いと、肌の皮膚の水分量が減ってしまったり、角質の構造が損なわれてしまったりなど、肌に悪影響が出てしまいます。

肌のバリア機能が低下している状態で、外部刺激に弱くなってしまっているため、肌がカサカサと乾燥し、シミができやすくなるおそれがあります。

丁寧に肌ケアをしていても、睡眠時間が足りないと日々の努力が台無しになる可能性があるため、注意しましょう。

どうしても睡眠が短時間になる方へ!なるべく良質な睡眠をとる7つの方法

睡眠では質も量も大事ですが、仕事や家事の都合などで、どうしても十分な睡眠時間の確保が難しい方も多いでしょう。

なるべく短時間でも質の高い睡眠をとるために、以下7つの方法を試すことをおすすめします。

  1. 寝る直前に食べない
  2. ストレッチをする
  3. 寝る直前にスマホやパソコンを見ない
  4. 眠りに適した温度や湿度にする
  5. 寝室の照明を調整する
  6. アロマを焚く
  7. ベッドや寝具で睡眠環境を整える

それぞれ、以下で詳しく説明します。

①寝る直前に食べない

寝る直前に食べない

寝る直前に食事をすると、食べたものを消化するために、胃腸が活発に動いている状態で眠りにつくことになります。

胃腸が活発に動いている影響で体が熟睡できない状態になり、睡眠の質が悪くなってしまうため、寝る直前には食事をしないほうが良いです。

食べたものを胃腸が分解し終わって胃腸の運動が終わるまでには、約3時間が必要です。例えば24時に寝る場合、21時までには食事を済ませておく必要があります。寝る時間から逆算して晩ご飯を食べる時間を決めることを心がけましょう。

なお、どうしても寝る直前に食事をしたい場合は、次のような消化の良い食べ物を選んでください。

  • おかゆ
  • うどん
  • 豆腐
  • 鳥のささ身
  • 白身魚
  • 半熟卵
  • 牛乳
  • ヨーグルト

②ストレッチをする

寝る前に軽いストレッチを行うと、一日の疲れや緊張を癒す効果を期待できます。

特に、パソコン作業や満員電車などで同じ姿勢をずっと続けていると、一部の筋肉に疲労が蓄積され、血管が圧迫されて体に悪影響を及ぼす可能性が高いです。

ストレッチを行うことで筋肉の疲労や硬直が和らぎ、全身の血の巡りが良くなれば、腰痛の解消や睡眠の質の向上に繋がります。


そのため、寝る前に次のような軽いストレッチを行ってみましょう。

手順
両ひじの開閉運動1.両ひじが水平になるように胴体に対して垂直に持ち上げる
2.肩関節を支点に大きく上げる
3.肩関節を支点に大きく下げる
4.2~3を5回程度、ゆっくり繰り返す
両手のひら返し運動1.両手を組んで裏返しにする
2.前に突き出してキープする
3.裏返しのまま真上に上げる
4.上げた状態で左右に少しだけ揺らす
手のひら一回転運動1.仰向けの状態になる
2.寝たまま地面と垂直に両腕を上げる
3.左右の手のひらを本を開くように横に揃える4.左右の手のひらを内周りに1回転させて手の甲を合わせる

寝る前にストレッチを行う場合は、ゆっくりと行うことを意識しましょう。速くしたり、激しくしたりすると体が覚醒状態となってしまい、睡眠の質を低下させる可能性があります。

③寝る直前にスマホやパソコンを見ない

一般的に人間は、「日光を浴びると覚醒し、夜になると眠くなる」睡眠リズムを持っています。

体温や脈拍数、血圧などを低下させる「メラトニン」と呼ばれるホルモンが関係しており、メラトニンの分泌量が多くなると、自然と眠くなっていく仕組みです。メラトニンは強い光を浴びると分泌量が減り、暗い所にいると分泌量が増えるため、夜になると眠くなるのは自然なことです。

ただし、最近は寝る直前までスマホやパソコン、タブレットを操作している方も多いでしょう。スマホやパソコンなどの画面から発される強い光を脳が認識すると、脳が「昼間だ」と錯覚してしまうと、メラトニンの分泌は抑制されます。分泌が抑制されると、眠りたいのに眠ることができずに、半ば無理矢理眠ろうとして睡眠の質が低くなってしまう可能性が高いです。

特にスマホは、画面を間近で見る分だけメラトニンの分泌が抑制されやすいため、注意してください。

④眠りに適した温度や湿度にする

夏蒸し暑くてなかなか寝付けなかったり、冬に底冷えがして目が覚めてしまったりと、温度や湿度は快適な睡眠をとれるかどうかに大きく関わります。

眠りに適した温度は夏で28℃以下、冬で10℃前後、湿度は1年を通して50%前後といわれています。

夏や冬は快適な状態をキープしづらいため、エアコンを利用して部屋を眠りやすい温度や湿度に保つことが重要です。

一晩中エアコンを付けっぱなしにすると、部屋が冷えすぎたり暖まりすぎたりする場合もあるため、タイマー機能で上手く調整しましょう。

また、夏場は特に湿度が高いことが多いため、通常モードでの利用ではなく除湿(ドライ)機能を利用する方法も効果的です。

⑤寝室の照明を調整する

寝室の照明を調整する

先述のとおり、光はメラトニンの分泌を抑制するため、寝室の照明も睡眠の質を左右する大きな要素になります。

照明の光の色には、寒色系のものもあれば暖色系のものもありますが、暖色系の色のほうが、メラトニンは抑制されづらいです。

また、寝る時に光源が直接目に入るのも好ましくないため、寝室の照明にはなるべく
間接照明の利用をおすすめします。

中には、電気を付けたままでないと寝られない方もいるでしょう。しかし、睡眠の質を確保するためには、照明の明るさを調整して、部屋をなるべく暗い状態に保つことを心がけてください。

⑥アロマを焚く

アロマは、心身をリラックスさせるのに効果があると考えられており、心地良い香りが脳に影響を与えて安眠しやすくなります。

アロマによって期待されている効果はさまざまであるため、中でもリラックスして安眠しやすくなる効果が期待されているものを選びましょう。

なお、効果が優れていても、自分に合わない香りだと結局安眠しづらくなるため、実際に香りを試して自分の好みのものを選ぶことも大切です。

⑦ベッドや寝具で睡眠環境を整える

温度や湿度、光、アロマによる香りなど、睡眠環境を整えることは安眠のために欠かせませんが、ベッドや寝具なども、睡眠の質に大きな影響を与えることがあります。

ベッドや寝具には、素材や硬さなどさまざまな種類があるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。また、眠る時の姿勢が仰向けなのか横向きかうつ伏せかによっても、適したベッドや寝具は異なります。

目的や好みに合わせて、実際に寝心地などを確認してから購入すると良いでしょう。

まとめ

日本人の平均睡眠時間は8時間弱ですが、平均睡眠時間以下の方も多いでしょう。

しかし、本当に重要なことは、長く寝ることではなく、「自分にとって必要な時間の睡眠をとること」と「質の高い睡眠をとること」です。

また、睡眠時間が短いと、さまざまなデメリットを被ってしまう可能性があります。十分な睡眠時間の確保が難しい場合は、寝る直前に食べない、ストレッチをする、寝室の照明を調整する、アロマを焚くなどの対策を行い、睡眠の質を高めましょう。

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