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2022.12.13 更新

【医師監修】ロングスリーパーは病気?特徴や原因、改善方法をわかりやすく解説

【医師監修】ロングスリーパーは病気?特徴や原因、改善方法をわかりやすく解説

自分にとって必要な睡眠時間が長すぎることで「何かの病気かも…」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

毎朝なかなか起きられず、長く眠ってしまう方は「ロングスリーパー」である可能性があります。

この記事では、ロングスリーパーの特徴と原因、改善方法についてわかりやすく解説します。

ロングスリーパーと間違われやすい「過眠症」との違いも詳しく説明するため、長時間睡眠で悩んでいる方や不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

  1. ロングスリーパーの特徴を解説
  2. ロングスリーパーに該当する睡眠時間
  3. ロングスリーパーは何かの病気?
  4. ロングスリーパーと過眠症の違い
  5. ロングスリーパーになる2つの原因
  6. ストレスや過度な疲労
  7. 親からの遺伝や影響
  8. ロングスリーパーの問題点
  9. ロングスリーパーを改善する方法
  10. まとめ

ロングスリーパーの特徴を解説

一般的な平均睡眠時間より長く眠ることだけがロングスリーパーの特徴ではありません。

ロングスリーパーについての理解を深めるために、まずは下記の3つを紹介します。

  • ロングスリーパーに該当する睡眠時間
  • ロングスリーパーは何かの病気?
  • ロングスリーパーと過眠症の違い

それぞれについて、以下で詳しく解説します。

ロングスリーパーに該当する睡眠時間

ロングスリーパーを定義するための明確な睡眠時間はありませんが、10時間以上寝る人のことを「ロングスリーパー」とするケースが一般的です。

睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では、成人は10時間以上、子どもは年齢に適した睡眠時間より2時間以上多い場合にロングスリーパーとされます。

1日に9時間以上眠る方は人口の5~10%いるといわれているため、ロングスリーパー自体はそれほど珍しいことではありません。

また、1日の平均睡眠時間が6時間未満で平気な人のことを「ショートスリーパー」と呼び、ロングスリーパーと同じく、人口の5~10%いるといわれています。

なお、それ以外の80%〜90%の人は、最適な睡眠時間が約6〜9時間である「バリュアブルスリーパー」と呼ばれています。

ロングスリーパーは何かの病気?

ロングスリーパーは前述のとおり「睡眠障害国際分類」に記載されていますが、とくに治療が必要とされているものではありません。

体質などにより「正常な状態でも睡眠時間が長すぎる人」であるケースがほとんどであるため、睡眠障害とは違うことを理解しておきましょう。

ロングスリーパーと過眠症の違い

ロングスリーパーはよく「過眠症」と同じものだと間違われますが、実際にはロングスリーパーと過眠症は、意味合いが異なります。

前述のとおり、ロングスリーパーは睡眠障害ではありませんが、過眠症は睡眠障害に含まれる疾患の一つです。

ロングスリーパーは、十分な睡眠がとれれば日中は正常な状態で活動できますが、過眠症の場合、「十分な睡眠時間をとったのに、昼間に強い眠気がある」などの症状があります。

しかし、現代社会においては、夜遅くまで仕事や勉強などをする方が増えた影響で、10時間以上の睡眠時間を確保することが難しい場合も考えられます。

そのため、ロングスリーパーの方でも、平均的な睡眠時間(6時間〜8時間など)をとっても睡眠時間が足りず、寝不足のような状態になっているというケースがあります。

この場合、ロングスリーパーか過眠症どちらであるか区別することが難しく、検査結果によってはロングスリーパーが過眠症であると判定されることもあります。

竹村俊輔

竹村俊輔

日暮里内科・糖尿病内科クリニック 院長 医学博士 

過眠症とロングスリーパーの違いは、睡眠時の不調(症状)の有無です。

過眠症の場合は、「十分な睡眠時間をとったにも関わらず、昼間に強い眠気がある」「日中に、急に強い眠気に襲われる」などの症状があります。反対に症状がない場合は、ロングスリーパーの可能性があります。

ロングスリーパーになる2つの原因

ロングスリーパーになる原因としては、主に下記の2つが考えられています。

  • ストレスや過度な疲労
  • 親からの遺伝や影響

それぞれの原因について、以下で詳しく解説します。

ストレスや過度な疲労

仕事や運動などによって体や精神に疲労が溜まると、心身のバランスをとるために長時間睡眠が必要になり、平均的な睡眠時間より長く寝ることが多くなります。

とくにストレスは、活動的な神経である「交感神経」が優位な状態となり、睡眠の質を低下させる原因になります。

睡眠の質が低下すると、精神を安定させるために長時間の睡眠時間が必要になり、結果的にロングスリーパーになるケースがあります。

親からの遺伝や影響

まだ明確に判明していませんが、体質的な遺伝のほか、日常生活における親からの影響によって、ロングスリーパーになるケースも考えられています。

例えば、親が長く寝る家庭の場合、子どもも長時間睡眠をとることが、生活習慣として定着しやすくなるでしょう。

その結果、将来的に「ロングスリーパー」になる可能性が高くなるのです。

ロングスリーパーの問題点

ロングスリーパーの問題点

先述のとおり、ロングスリーパーは、十分な睡眠時間が確保できれば日中の眠気もないため、治療が必要な「睡眠障害」とは捉えられていません。

しかし、病気ではないものの「1日のうち、多くの時間が睡眠時間にとられてしまう」という問題を抱えている方もいるでしょう。

例えば「仕事が忙しい」「趣味にも時間を使いたい」といった関係で、10時間以上の睡眠が難しい方もいます。

その結果、一般的な睡眠時間をとれたとしても日中に眠気や疲労を感じるでしょう。

ロングスリーパーは病気ではないため、治療(投薬)をしてもらえないケースも多くあり、治療ができず、日常生活や仕事に支障が出るなどの問題が生じる可能性があります。

また、現在ロングスリーパーに対する特効薬はまだ開発されていないため、社会に適応できないことに悩んでいるロングスリーパーの方に向けて、治療的なアプローチが必要ではないかとも検討されています。

ロングスリーパーを改善する方法

ロングスリーパーは、病気としての治療を行えないため、一般的な睡眠時間まで短縮させるようなことは難しいでしょう。

そこで、改善のための現実的な方法として、快適な1日を過ごすために「睡眠の質を高めること」が考えられます。

睡眠の質が向上すると、睡眠時間がいつもより短くなる可能性があります。以下、睡眠の質を高めるための具体的な方法として挙げられることです。

  • 朝起きて太陽光を浴びる
  • 起床時間や就寝時間を一定にする
  • 健康的な食生活を心がける
  • 就寝直前に食事をとらない
  • 就寝前にぬるめのお湯に浸かってリラックスする
  • 就寝前に覚醒作用のあるもの(アルコールやカフェイン)をとらない
  • 就寝前にスマホやパソコンの画面をみない

上記のような方法を取り入れるなかで、睡眠時間を短くする場合は、一気に減らさずに15〜30分など、少しずつ減らしてみると良いでしょう。

また、どうしてもこれ以上睡眠時間を減らすことが難しい場合は、睡眠時間を増やす方法も検討しましょう。

睡眠時間を増やすためには、「十分な睡眠がとれる仕事を選ぶ」「職場の近くに引っ越して通勤時間を減らす」などの対策があります。

いずれにしても、無理に一般的なライフスタイルに合わせると生活に支障が出てしまうため、「ロングスリーパーの体質に合わせて、ライフスタイルを変える」ことを意識して、より快適な生活を目指してください。

まとめ

ロングスリーパーについての明確な定義はありませんが、一般的には1日10時間以上の睡眠を必要とする方のことを指します。

ストレスや過度な疲労のほか、体質や遺伝、親からの影響などが関係している可能性があるといわれています。

「過眠症」などの睡眠障害とは異なり、十分な睡眠を確保できれば快適な日常生活を過ごせますが、日常的な睡眠の質が低い場合は、より多くの睡眠時間が必要になる場合もあります。

生活習慣を改善し、睡眠の質を高めることで睡眠時間を短縮できる可能性があるため、快適な睡眠をとるための行動や、環境作りを心がけましょう。

この記事の監修者
竹村俊輔
竹村俊輔日暮里内科・糖尿病内科クリニック 院長 医学博士 
日暮里内科・糖尿病内科クリニック 院長 医学博士。東海大学医学部卒業、済生会川口総合病院初期研修医修了、東京女子医科大学糖尿病・代謝内科入局、東京女子医科大学大学院内科学(第三)卒業、東京女子医科大学糖尿病・代謝内科助教、日暮里内科・糖尿病内科クリニック院長 就任。
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