日々、何気なく生活していると、毎日のルーティンとして「睡眠をとることは当たり前」と考えるかもしれません。
しかし、毎日行う習慣であるにもかかわらず、睡眠の具体的な効果や重要性を知らない方もいるのではないでしょうか。
睡眠には疲労を回復させる効果やストレスを解消させる効果があり、しっかりと睡眠をとれていないと心身に悪影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、睡眠の重要性や具体的な効果、睡眠の効果を高めるためのポイントについてわかりやすく紹介します。
睡眠の重要性について理解し、健康的な毎日を過ごしたい方は参考にしてください。
睡眠の重要性について
睡眠は、多くの方がほとんど毎日行う行動で、心身の疲労を回復するために欠かせないものです。
睡眠不足になり睡眠の質が低下してしまうと、健康上の問題や生活習慣病に繋がるほか、うつ病といった心の病に繋がるリスクもあります。
自分にとって必要なだけの睡眠が確保できていないと、心身の不調からくる仕事のミスや事故なども起こりやすい傾向があるといわれています。
つまり、睡眠は直接的な心身の健康に関わるとともに、間接的には日常生活を快適、安全に過ごすためにも重要な役割を果たしているといえるでしょう。
睡眠によって得られる5つの効果を紹介
睡眠によって得られる具体的な効果として、以下のものが挙げられます。
- 心身の疲労回復効果が期待できる
- 情報の整理や記憶力定着の効果が期待できる
- ストレス解消の効果が期待できる
- 老化防止や美容効果が期待できる
- 午後の短い昼寝は作業効率改善に効果的
それぞれの効果について、詳しく紹介します。
心身の疲労回復の効果が期待できる
睡眠の代表的な効果は心身の疲労回復効果です。
睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は、筋肉、骨、内臓、皮膚などのダメージを修復し、疲労を回復する役割があります。
成長ホルモンが分泌されるタイミングは、睡眠中に約70%、空腹時・運動中に約30%です。
睡眠不足になると成長ホルモンの分泌量が減り、疲れやすさやストレス、免疫力の低下といった悪影響を及ぼします。
睡眠には毎日の心身の疲れを癒す重要な役割があることを覚えておきましょう。
情報の整理や記憶力定着の効果が期待できる
寝ている間にも人間の脳は活動しているため、睡眠は単なる「心身の休息時間」ではありません。
人は睡眠中に脳の情報整理を行っており、活動中に得た重要な情報を選択して記憶として保存し、不要な情報や嫌な情報を消去しています。
つまり日中に体験した行動の記憶を定着させるためには、きちんと睡眠をとって脳内の情報整理を行うことが大切です。
睡眠不足になってしまうと、感情調整力や建設的思考力など、心の健康を保つために重要な認知機能の減衰に繋がり、被害妄想や不安、抑うつなどの症状もあらわれるとされているため、睡眠はしっかりとりましょう。
ストレス解消の効果が期待できる
睡眠中に脳の情報整理を行う過程で、ストレスの原因となる嫌な情報や記憶は消去されます。
しかし、十分な睡眠がとれていなければこの作業が上手くいかず、嫌なことが頭に残ってしまい、ストレスが上手く解消されません。
また、睡眠不足によって心身にストレスがかかると、自律神経のバランス崩れる可能性があり、日常生活にさまざまな支障をきたすリスクがあるため注意が必要です。
自律神経には、活動的な「交感神経」とリラックスモードの「副交感神経」があり、自分の意志とは関係なく自動的に体の環境を調整しています。
この調整が上手くできないことで、頭痛、だるさ、動悸など、身体的な不調が引き起こされるため、きちんと睡眠をとることが望ましいです。
老化防止や美容効果が期待できる
睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は、アンチエイジングや肌の健康を保つために欠かせないものと考えられています。
成長ホルモンは、壊れた細胞や古くなった細胞を再生する働きがあるため、睡眠不足になるとこれらの働きが阻害され、肌の代謝が乱れてニキビや吹出物の原因となる可能性があります。
また、個人差はあるものの、健康な肌は28日周期で新しい肌に生まれ変わりますが、睡眠不足になると、この周期が遅れます。古い角質が残ったままだとシワやくすみの原因になるため、肌の健康のためにも質の高い睡眠は大切だといえるでしょう。
成長ホルモンが特に多く分泌されるのは、最も眠りが深くなる入眠から3時間の間といわれています。
規則正しい生活を送ることで深い睡眠に繋がるので、生活習慣が乱れている自覚がある方は、運動習慣や食生活を見直すことをおすすめします。
午後の短い昼寝は作業効率改善に効果的
仕事や家事などで忙しい日常が関係し、必要なだけの睡眠時間が確保できない時には、15~30分ほど仮眠をとることも効果的です。
入眠してから20分ほどで訪れる「ノンレム睡眠」のタイミングで起床することで、脳がすっきりとした状態で目覚められるため、仕事などのパフォーマンス向上やストレスの軽減が期待できます。
ただし、30分以上の仮眠をとると、深い眠りに入って目覚めにくくなるため、長すぎる仮眠は避けるよう注意しましょう。
また、昼間の短時間の仮眠であれば夜の睡眠を阻害する可能性も低いため、仮眠は15時頃を目安にとるようにしてください。
睡眠の効果を高める7つのポイント
睡眠の効果を高めるには、睡眠の質を高めることが大切です。睡眠の質を高めるために日常でできる行動として、以下のものが挙げられます。
- 日光で体内リズムを整える
- ストレッチや軽い運動で筋肉をほぐす
- 入浴は就寝時間の約90〜120分前に済ませる
- 快適な睡眠がとれる自分に合った寝具を使う
- 寝る直前のアルコールやカフェイン摂取を避ける
- 寝る前にリラックスできる行動を取り入れる
- 寝る直前にスマホやパソコンの使用を控える
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
①日光で体内リズムを整える
体内リズムを整えることで快適な睡眠に繋がりますが、そのために有効活用できるのが太陽の光です。
体温やホルモン分泌といった生体リズムは約25時間の周期となっており、地球の周期である24時間とは約1時間のズレがあります。
太陽光には体内時計をリセットする効果があるため、太陽光を浴びることでこのずれを調整することが可能です。
太陽光を浴びない生活をしていると、1日の周期を刻む「体内時計」はどんどん後ろ倒しになっていき、就寝時刻が遅れることで昼夜逆転の生活になりやすいと考えられます。
また、太陽光を浴びると体内時計はリセットされ、それから15~16時間後に自然な眠気が出現するので、スムーズな入眠のためにも朝から太陽光を浴びることを習慣にすると良いでしょう。
②ストレッチや軽い運動で筋肉をほぐす
適度な運動やストレッチには、血行を促進して筋肉のこりを解消させる効果のほか、心身のリラックス効果もあります。
リラックスモードの「副交感神経」が優位な状態で入眠すると、睡眠の質が高くなるため、心身をリラックスさせた状態で眠りにつくことが大切です。
また、体温が上昇して下がり始めるタイミングで眠気が生じることから、一時的に体を温められる運動は、就寝の約3時間前までに済ませると良いでしょう。
日中に運動を行うことで適度に肉体が疲労すると、就寝時刻あたりに眠気が生じて心地良い睡眠に繋がりやすくなります。
しかし、就寝直前に激しい運動を行うと体が興奮して寝つきが悪くなるため、就寝直前の運動は避けたほうが無難です。
③入浴は就寝時間の約90〜120分前に済ませる
体温の上下による自然な入眠を促すためにも、就寝の約90~120分前までに入浴を済ませましょう。
深い睡眠を得るためには、38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度、42℃の熱めのお湯であれば5分程度を入浴時間の目安としてください。
熱すぎるお湯に入浴すると体が興奮し、かえって目が覚める可能性があります。
入浴には軽い運動と同じく血行促進やリラックス効果もあるので、睡眠の効果を高める方法として習慣化することをおすすめします。
④快適な睡眠がとれる自分に合った寝具を使う
食生活や入浴方法といった日常生活に問題がなくても、寝具が体に合っていなければ、睡眠の質が低下してしまう可能性があります。
例えば、自分にとって硬すぎるマットレスを使用すると、体が沈み込まず一部だけで体重を支えることとなり、血行不良による肩こりや腰痛が引き起こされるかもしれません。
一方、柔らかすぎるマットレスを使用すると、寝姿勢が「くの字」となって腰に負担が集中するため、寝返りが打ちづらくなると考えられます。
マットレスを選ぶ際には、睡眠中に体にかかる負担を分散できる「体圧分散性の高さ」と、快適な寝返りをサポートしてくれる「適度な反発力」に注目して選びましょう。
また、人それぞれの体重や体型によって、寝具の硬さや反発力の感じ方は異なるため、「自分にとって快適か」という点を意識することをおすすめします。
⑤寝る直前のアルコールやカフェイン摂取を避ける
カフェインがもつ覚醒作用によって睡眠が妨げられる可能性があるため、就寝前にカフェインが入った飲み物を摂取することは控えましょう。
カフェインを含む代表的な飲み物として、以下のものが挙げられます。
- コーヒー
- ココア
- 緑茶
- 紅茶
- 栄養ドリンク
- エナジードリンク
カフェインが分解されるまでの時間には個人差がありますが、一般的には就寝3~4時間前の摂取は控えたほうが良いとされています。
また、アルコールを「寝酒」として取り入れることもおすすめできません。
アルコールを飲むと一時的に眠気が促されますが、時間が経つと覚醒作用が働きます。アルコールには利尿作用もあるため、睡眠中にトイレに行きたくなり目が覚めてしまうことも懸念点として考えられるでしょう。
依存すると少量のアルコールでは足りなくなり、摂取量が増えることによって生活習慣病に繋がるリスクもあるため、過度なアルコール摂取はおすすめしません。
⑥寝る前にリラックスできる行動を取り入れる
就寝時には、リラックスモードの副交感神経が優位の状態を保っていることが重要です。この状態を妨げないためにも、就寝前にリラックスできる行動を取り入れましょう。
リラックス効果があるものの一例として、以下のものが挙げられます。
- 読書
- ヒーリングミュージック
- アロマ・お香
- ストレッチ・マッサージ
- 入浴
「激しい音楽を聴く」「まぶしい光を浴びる」など、覚醒状態に繋がる行動は避け、心身がリラックスできる行動を心がけてください。
⑦寝る直前にスマホやパソコンの使用を控える
スマホやパソコンなど電子機器の画面からは、ブルーライトという強い光が放出されています。
就寝直前にスマホやパソコンの光を浴びると、脳が「今は昼だ」と錯覚して寝つきが悪くなる可能性があるため、就寝直前の電子機器の使用は控えることが望ましいです。
光を浴びることで、眠気を促す「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌が抑制されることも、寝つきの悪さに関係しているといわれます。
ゲームやメールがやめられないと、夜更かしが増えて睡眠のリズムが狂ってしまい、夜型の生活になってしまうリスクも考えられるため、就寝直前の操作は可能な限り控えましょう。
まとめ
人間にとって睡眠はとても大事な行動で、ほとんどのケースにおいて毎日行われています。
十分な睡眠をとることによるメリットは多く、睡眠の効果として挙げられるのは以下のとおりです。
- 心身の疲労回復効果
- 情報整理と記憶力定着
- ストレス解消
- 老化防止や美容効果
- 作業効率の改善
睡眠不足になってしまうと、心身の健康に影響を及ぼす可能性があるため、自分にとって必要な睡眠時間をきちんと確保することが大切です。
睡眠の質が低いことで体に不調をきたしているのであれば、今回紹介した生活習慣の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
日中に眠気で困らない程度の睡眠を目標として、日常生活で取り組めるところから改善させましょう。