雨の日や曇りの日など、天気の悪い低気圧の日に眠気や体のだるさに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
「気のせいだ」の一言で片付けてしまう方もいらっしゃいますが、低気圧の日に体の不調が起きるのには原因があります。
この記事では、低気圧の日に眠くなる理由や眠気以外に起きる症状、低気圧によって体の不調が出た時の対処法などを紹介します。
低気圧の日に「眠い」と感じる主な理由
低気圧の日に眠くなる主な原因は、自律神経の乱れによるものです。自律神経は自分の体の働きをコントロールする役割を担っていて、「副交感神経」と「交感神経」の2種類があります。
副交感神経は、体や精神をリラックスさせることが主な役割、交感神経は心身が活動しやすい状態に導くことが主な役割です。
日中は「交感神経」、夜は「副交感神経」が優位となることで睡眠と覚醒のバランスを保っています。
しかし、低気圧の日は自律神経が「活動に適さない状況だ」と判断し、日中でも副交感神経を優位に働かせてしまいます。
副交感神経が優位になると体がリラックスした状態になってしまい、普段活動している時間帯でも眠気を感じる場合があります。
なお、低気圧以外の気象状況と眠気の関係を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
眠気以外に低気圧が原因で起きる症状
低気圧がもたらす体への影響は、眠気だけではありません。人によっては、下記のような症状が発生する可能性もあります。
- 頭痛
- 倦怠感
- めまい
- 耳鳴り など
ちなみに、低気圧によって起こる体の不調は「気象病」とも呼ばれており、睡眠不足の方やストレスを感じやすい方、内耳が敏感な方などがかかりやすいといわれています。
特に、梅雨の時期や台風の発生時は、気圧が低くなりやすいので注意が必要です。
低気圧が原因で眠い時や体が不調な時の対処法
低気圧が原因で眠気や体の不調があると、日中に集中できず困ることもあるでしょう。低気圧でお困りの方は、下記の対処法を試してください。
- 深呼吸をする
- 適度な運動やストレッチを行う
- 生活習慣や食生活を見直す
- 仮眠をとる
- 耳をマッサージする
- 症状がひどい場合は医療機関に相談する
以下では、対処法の詳しい内容を紹介します。
深呼吸をする
低気圧の時は空気中の酸素が薄いため、体が酸素不足にならないように深呼吸をすることが大切です。
深呼吸を繰り返して体に酸素を取り込むと、リラックス効果や集中力アップにも繋がります。なお、深呼吸をしていて具合が悪いと思ったら、すぐに深呼吸を止めましょう。
適度な運動やストレッチを行う
低気圧で眠気や不調がある際は適度な運動やストレッチもおすすめです。
適度な運動は自律神経の働きを整えるほか、心地良い疲労感によってスムーズに寝られるようになり、睡眠の質の向上も期待できます。
なお、激しい運動や負荷の大きな運動は長続きしないため、軽めの有酸素運動がおすすめです。低気圧で天気が悪い場合は、踏み台昇降やもも上げ運動、ハーフスクワットなどの室内で行える運動やストレッチを行いましょう。
また、運動やストレッチはストレス解消にも効果があるため、低気圧の時だけでなく、日頃から実践して、ストレスを溜めすぎないように心がけることをおすすめします。
生活習慣や食生活を見直す
生活習慣や食生活を意識的に見直すことで自律神経が整い、低気圧による不調を改善できる場合があります。
例えば、毎朝同じ時間に起きるようにすれば、自然と入眠のリズムを整えることができるため、規則正しい生活を送ることを心がけると良いです。
ほかにも、低気圧による食欲不振で偏った食事を続けていると栄養不足となり、結果としてさらに体調の悪化に繋がる可能性があります。そのため、意識的に朝食をしっかりと食べて、バランスの良い食事を摂取しましょう。
なお、気象病の対策にはビタミンB1やビタミンB群を含めたバランスの良い食事が有効とされています。特に、ビタミンB1は豚肉、うなぎ、玄米などの肉類や豆類、穀類などに多く含まれているので、食事の際に意識的に取り入れてみると良いでしょう。
気象病の対策にビタミンB1が有効とされている理由は、ビタミンB1がすべての細胞の活動上で大事な働きをする補酵素の材料となり、気象病で乱れた自律神経を回復させるのに有効であるからです。
仮眠をとる
日中の眠気があまりにもひどい場合は、15分~30分程度、仮眠をとることをおすすめします。
短時間でも仮眠をとればリフレッシュできるうえ、眠気による集中力の低下を和らげる効果が期待できます。
ただし、仮眠の際に深い眠りに入ってしまうと、起きるのに時間がかかり集中力の低下に繋がるので注意してください。うっかり寝過ぎてしまわないよう、事前にアラームをセットするなどして工夫しましょう。
また、仮眠時にスッキリと起きられない場合は、カフェインを摂ってから眠ることをおすすめします。仮眠の前にカフェインを摂ると、20分程でカフェインの覚醒作用が効いてきて目が覚めやすくなります。
梅舟仰胤
ファミリークリニックひきふね 院長
仮眠時に深い眠りに入らないためには、完全に横にならないようにしましょう。完全に横になると、深い眠りに入ってしまう可能性が高いです。
耳をマッサージする
低気圧による体の不調は、耳の「内耳」が関係しています。内耳は耳の奥のほうにある部分で、気圧の変化を感じとるセンサーが備わっています。
このセンサーを通じて自律神経のバランスが崩れると、頭痛やめまいなど気象病の症状が起こります。
気象病の症状は、内耳の血流を促すようにマッサージすると楽になる場合があります。低気圧が原因で体の不調を起こした時は、耳を揉んだり引っ張ったりしてマッサージしましょう。
症状がひどい場合は医療機関に相談する
眠気だけでなく、めまいや頭痛などの症状がひどくてつらい方は、内科などの医療機関に相談しましょう。めまいや頭痛の薬、漢方薬などを処方してもらうことで症状が軽減する場合があります。
体の状態によって適切な処方は変わるため、医師の説明をよく聞き、判断に従うようにしましょう。
梅舟仰胤
ファミリークリニックひきふね 院長
症状が2週間以上続く場合には、何かほかの疾患が隠れている可能性がありますので、必ず医療機関を受診しましょう。
まとめ
気圧は自分の力でコントロールできないため、低気圧による眠気を根本的に対策するのは難しいことです。
しかし、深呼吸や適度な運動・ストレッチを行う、生活習慣や食生活を見直す、仮眠をとるなど、自分で試せる対処法はいくつかあります。特に、仮眠はリフレッシュ効果が高いので、眠たい時はぜひ試してください。
ただし、頭痛や耳鳴り、体のだるさなど気象病の症状がひどい時は、無理に自力で何とかしようとせず、医療機関への相談をおすすめします。