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2023.04.21 更新

【医師監修】いびきがうるさい原因や対処法は?注意するべき疾患についても解説

【医師監修】いびきがうるさい原因や対処法は?注意するべき疾患についても解説

いびきは原因によって対処法が異なるため、まずは原因を特定することが大切です。

いびきは適切に対処すれば改善されることも多い反面、放っておくとさまざまな疾患に繋がるリスクがあるうえ、周囲の人の睡眠の質も低くしてしまうため注意が必要です。

この記事では、いびきの原因や対処法についてわかりやすく紹介します。

いびきで悩んでいる方は原因を突き止め、適切な対処をすることで快適な睡眠を目指してください。

  1. いびきのメカニズムと種類
  2. いびきの主な原因
  3. 体質や骨格
  4. 風邪や鼻炎による鼻づまり
  5. 飲酒や肥満などの生活習慣
  6. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  7. いびきがうるさい時の対処法
  8. 寝姿勢を横向きにする
  9. 適正体重を保つ
  10. 部屋の湿度に気を配る
  11. 鼻水や鼻づまりの原因となる疾患を治療する
  12. 就寝前の飲酒を控える
  13. いびきがうるさい症状を放置するとどうなる?
  14. まとめ

いびきのメカニズムと種類

いびきは、空気の通り道である気道に空気がぶつかり、喉が振動する時に起こる異常音のため、特に何かしらの理由で気道が狭くなった時に起こりやすいとされています。

いびきは、風邪や鼻炎などによって起こる「単純性いびき」と、肥満や舌の落ち込みなどで起こる「睡眠時無呼吸症候群を伴ういびき」の2種類にわけられます。

いびき自体は疾患ではありませんが、いびきは自分や周囲で寝ている人の睡眠不足を招いたり、睡眠の質を低下させたりする原因となる可能性があります。

いびきで悩んでいるのであれば、後述する対処法を実践してみてください。

なお、睡眠時無呼吸症候群は病気であり、病気が原因でいびきが起こっている場合には、いびきの元となる病気の治療を行うことで解消する場合があります。

いびきの主な原因

いびきの主な原因には下記のようなものが挙げられます。

  • 体質や骨格
  • 風邪や鼻炎による鼻づまり
  • 飲酒や肥満などの生活習慣
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

それぞれについて、下記で詳しく紹介します。

体質や骨格

人それぞれ体質や骨格は異なりますが、このような違いもいびきの原因に繋がる場合があります。

いびきに繋がるものの一例としては下記のようなものが挙げられます。

  • 口蓋垂(こうがいすい)が長い・太い・大きい
  • あごが小さく、舌が口に収まりにくく喉に落ちる
  • 肥満によって 顎や喉の脂肪蓄積している

上記のように、体質や骨格が何かしらの理由でいびきをかきやすい状態に繋がっている場合があります。

山下あきこ

山下あきこ

株式会社マインドフルヘルス 代表取締役

いびきの原因が肥満による顎や喉の脂肪の蓄積である場合、減量によっていびきは大きく改善すると考えられます。

風邪や鼻炎による鼻づまり

風邪や鼻炎は鼻づまりの原因となり、その結果としていびきに繋がることがあります。

鼻づまりの主な原因には、下記のようなものが挙げられます。

  • 風邪
  • アレルギー性鼻炎
  • 鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)
  • 慢性的な扁桃炎
  • アデノイド肥大
  • 鼻ポリープ

上記のような症状があると、炎症などで鼻腔が狭くなるためいびきをかきやすくなるとされています。

飲酒や肥満などの生活習慣

「アルコールを摂取すると鼻づまりになる」という方もいるのではないでしょうか。

アルコールは鼻の粘膜がむくむ原因になるほか、睡眠中に筋肉がゆるみやすくなり、いびきの原因となる場合があります。

また、アルコール摂取の習慣化によって肥満になり、首周りや喉に脂肪が多くついていると、気道が狭められいびきの原因となるため注意しましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に何度も呼吸が止まる状態が繰り返される病気のことを指します。

医学上では10秒以上の呼吸停止状態を「無呼吸」、1時間あたり5回以上、または一晩(7時間の睡眠中)に30回以上無呼吸の状態があると「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。

睡眠中に起こるので自覚していない人が多いといわれており、日本でも潜在的には300〜400万人の患者がいるとされています。

もし、下記のような症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため注意しましょう。

  • いびき
  • 中途覚醒
  • 起床時の頭痛やだるさ
  • 日中の眠気

睡眠時無呼吸症候群は上記のような症状以外にも、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが増加し、糖尿病、高脂血症などの合併を引き起こすこともあり、継続的な治療が必要とされています。

前述の鼻炎や飲酒など、いびきの原因に心当たりがない方は睡眠時無呼吸症候群を疑いましょう。

単純性いびきとは違い、病気の一つであり治療法も確立されているので、心当たりがある方は近くの医療機関で受診することをおすすめします。

山下あきこ

山下あきこ

株式会社マインドフルヘルス 代表取締役

睡眠時無呼吸症候群の治療で最も一般的なのはCPAP(持続陽圧呼吸療法)です。小さな掃除機のような機械からホースを出し、その先端についているマスクを口に固定した状態で眠ります。

呼吸に合わせて空気が送られてくるので、息を吸うタイミングで空気の圧が喉を開いてくれます。

肥満が原因の場合、上記の治療は肥満が改善するまで続ける必要があります。

いびきがうるさい時の対処法

いびきがうるさく、睡眠の質が低下している場合の対処法としては下記のようなものがあります。

  • 寝姿勢を横向きにする
  • 適正体重を保つ
  • 部屋の湿度に気を配る
  • 鼻水や鼻づまりの原因となる疾患を治療する
  • 就寝前の飲酒を控える

それぞれの対処法について、以下で詳しく紹介します。

寝姿勢を横向きにする

寝姿勢において「仰向け寝」は、舌が喉のほうへ落ち込み気道を塞ぐことがあるため、いびきの原因になるケースがあります。

もし仰向け寝でいびきをかいているのであれば、横向き寝になることで舌の落ち込みを防ぎ、いびきを軽減できるかもしれません。

横向き寝の際には肩が下側に来るため、枕が低いと首が不自然な形で曲がってしまい、肩こりや首の痛みの原因になることがあります。そのため、横向き寝で眠る場合には、仰向け寝の時よりも高めの枕を使いましょう。

また、抱き枕を抱いて寝ると睡眠中の体にかかる体圧(体重による圧力)も分散でき、質の高い睡眠が期待できるためおすすめです。

適正体重を保つ

脂肪が喉や首周りにつくといびきの原因となるため、体重を適正に保つように心がけましょう。現代では肉体労働よりも知能労働のほうが多いとされているため、デスクワークによる運動不足、消費カロリーの低下などで肥満になる方が多いといわれています。

肥満は単純性いびきだけではなく、睡眠時無呼吸症候群の原因となるため注意が必要です。

軽度のいびきであれば適正体重に戻すことで改善されることもあります。

部屋の湿度に気を配る

いびきは口呼吸になっている時に起こりやすいとされていますが、口呼吸時にほこりなどを吸引すると喉が炎症を起こして腫れ、いびきが悪化することがあります。

また、喉の乾燥もいびきや風邪に繋がる可能性があるため、乾燥する季節などは特に部屋の湿度に注意しましょう。

鼻水や鼻づまりの原因となる疾患を治療する

鼻水や鼻づまりが原因であれば、その原因の元となる疾患を治療することでいびきの改善が期待できます。

鼻水や鼻づまりの原因となる主な疾患としては下記のようなものが挙げられます。

  • アレルギー性鼻炎(花粉症、ハウスダストなど)
  • 慢性副鼻腔炎(まんせいふくびこうえん)
  • 鼻中隔彎曲症(びちゅうかくきょくわんしょう)
  • 慢性的な扁桃炎
  • アデノイド肥大
  • 心不全
山下あきこ

山下あきこ

株式会社マインドフルヘルス 代表取締役

鼻水や鼻づまりが原因の疾患で、特に注意すべきなのが心不全です。心不全を発症すると、血液の循環が遅くなり、動脈血中の二酸化炭素(PaCO2)の変動を中枢に伝えるのが遅れるため、睡眠中の中枢性無呼吸の発生を助長します。

市販薬が販売されている場合もありますが、適切なアドバイスや治療を求めるのであれば医療機関での受診がおすすめです。

就寝前の飲酒を控える

就寝前のアルコールはリラックス効果により入眠しやすくなるため「寝酒」として知られています。

しかし、寝る前にアルコールを飲むと睡眠後半の覚醒度が高くなり睡眠の質が低下するほか、利尿作用によって中途覚醒の原因となるほか、いびきの原因にもなります。

アルコールがいびきに繋がる主な原因は、鼻の粘膜のむくみや、筋肉のゆるみによるものです。

このような直接的な原因とは別に、アルコール摂取の習慣による肥満もいびきに繋がる可能性があるほか、さまざまな生活習慣病のリスクを高めるため注意しましょう。

睡眠前にアルコール摂取が癖になっている方は、アルコールなしでも寝られるように睡眠リズムや生活習慣を整えることが大切です。

いびきがうるさい症状を放置するとどうなる?

風邪などで一時的にいびきをかく場合は症状が改善することでいびきも改善するため、ほとんど心配は必要ないとされています。

一方で、病気などによるいびきは放置していると睡眠の質を低下させ、睡眠不足に繋がるほか、徐々に悪化することがあるので注意が必要です。

いびきが悪化すると睡眠時無呼吸症候群に繋がるケースがあり、睡眠時無呼吸症候群は高血圧、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症など生命に関わる疾患や合併症のリスクが高まるため注意しましょう。

慢性的な睡眠不足になると、日中の仕事のミスにも繋がります。

いびきがひどい場合や家族に指摘された場合などには、医療機関で受診し、適切なアドバイスや治療を受けることをおすすめします。

まとめ

いびきは病気とはされていませんが、なかには病気が原因でいびきをかいている場合もあります。

特に慢性的ないびきは睡眠の質を低下させ、睡眠不足に繋がることにより日中の活動へも影響する可能性があるため注意しましょう。

基本的に横向き寝はいびきをかきづらい寝姿勢とされていますが、いびきの原因によっては横向き寝になるだけでは改善できないケースもあります。

まずは自分がいびきをかいている原因を突き止め、原因に合った対処法を取り入れることが大切です。

今回紹介した原因や対処法を参考にして、いびきの改善を目指しましょう。

この記事の監修者
山下あきこ
山下あきこ株式会社マインドフルヘルス 代表取締役
医学博士、内科医、神経内科専門医、抗加齢医学専門医。 1974年佐賀県生まれ。1999年川崎医科大学卒業、2001年~福岡大学病院脳神経内科勤務、2005年~フロリダ州メイヨークリニックジャクソンビル神経内科留学、2007年~佐賀県如水会今村病院神経内科医長などを経て、病気を治すより、人々が健康づくりを楽しむ社会を目指し、2016年に株式会社マインドフルヘルスを設立。アンチエイジング医学、脳科学、マインドフルネス、コーチングを取り入れたセミナー、企業研修、個人健康コンサルティング等を行っている。自分自身の習慣作りと人に伝える活動ができるマインドフル・ライフコーチの講座が好評。「ZIP!」「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)など、メディア出演も多い。著書:「やせる呼吸」(二見書房 (2018/6/26))、「こうすれば、夜中に目覚めずぐっすり眠れる:医師が教える、薬に頼らない3つの方法」(共栄書房 (2022/7/11))、「賢い食べ方」(あさ出版(2022/10/14))
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