二度寝をしてしまい、遅刻しそうになったり日中にぼーっとしてしまったりして、後悔した経験がある方は多いのではないでしょうか。
暖かい布団での二度寝はとても気持ち良いものなので、ついつい二度寝が習慣になっている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、二度寝をすることによって、生活リズムが乱れるなどのデメリットがあるため、基本的には二度寝をすることはおすすめできません。
二度寝をして睡眠時間を確保しようとするのではなく、睡眠の質を高めてすっきり起きられるよう努めることが大事です。
この記事では、そもそも二度寝をする原因は何なのか、二度寝をするデメリットなどについて解説します。
二度寝をやめたい方に試して欲しい対策も紹介するので、「気を付けていても、つい二度寝をしてしまう」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
二度寝をしてしまう3つの原因
二度寝をしてしまう理由としてさまざまな要素が考えられますが、そのほとんどが睡眠の質に関連することです。
二度寝をする主な理由として、以下の3点が挙げられます。
- 睡眠時間が足りていない
- 心身にストレスを受けている
- 就寝環境が整っていない
それぞれの原因について、詳しく解説します。
睡眠時間が足りていない
二度寝をする理由としてまず考えられるのが、睡眠不足になっているということです。
必要な睡眠時間は一人ひとり異なりますが、成人の睡眠時間は6~8時間の方が約6割を占めるため、これが一般的に必要な睡眠時間であるといえるでしょう。
しかし、十分に睡眠時間を取れていないと、足りない睡眠時間がどんどん重なって「睡眠負債」が溜まっていってしまいます。睡眠不足になると、この睡眠負債を解消しようとして二度寝をしたくなるというメカニズムです。
また、睡眠時間は十分に確保できているのにも関わらず二度寝をしてしまう場合は、睡眠の質が低下している可能性があります。
睡眠の質が低下していると、十分な睡眠時間を確保していても熟睡感が得られません。熟睡できていない自覚があるのであれば、日々の生活習慣を見直して睡眠の質を高めることが大切です。
心身にストレスを受けている
心身に受けるストレスが影響して、二度寝をしてしまう場合があります。
ストレスと聞くと精神的に受ける負荷のことを指すと考えやすいですが、肉体的に受ける負荷も同様にストレスといえるものです。
- 肉体面:病気・けが・過度に負担がかかる運動など
- 精神面:心配事・悩み・不安など
肉体面にストレスを受けた場合、寝ても前日の疲れがとれづらくなり「疲れて起きられない」という状態に繋がる可能性があります。
精神面にストレスを受けると、不安な感情を抱きやすくなるため、例えば「仕事が嫌で起きたくない」という状況に陥ることが懸念されます。
二度寝をせずにすっきり目覚めるためには、日々受けるストレスを溜めないよう意識してストレス解消させることが重要です。
就寝環境が整っていない
就寝環境とは、室温・湿度・明るさ・音など寝る部屋の環境のことです。これらの就寝環境が整っていないと、なかなか入眠できなかったり熟睡できなかったりして、二度寝に繋がる可能性があります。
二度寝を避けるためには睡眠の質を高めることが大切なので、就寝環境が快適でなく眠れないのであれば見直すようにしましょう。
室温・湿度の理想は、夏が約25~26℃、冬が約22℃〜23℃、湿度は約50〜60%です。
室温の感じ方は筋肉量や着用している衣類などによって異なるため、この数値を目安にしつつ自分にとっての適温を探しましょう。
明るい照明をつけていると目が覚めて寝つきづらくなるため、部屋の明るさを調節することをおすすめします。10m先の人の顔が識別できる「50ルクス」ほどの明るさになると、睡眠の質が低下するとされているので、理想的なのは月明かりほどの「0.3ルクス」の明るさです。
真っ暗だと眠れないという方は、足元に小さな間接照明を置くなど対策を行い、自分がリラックスできる明るさを見つけてください。
また、激しい曲調や歌詞付きの曲をかけたまま寝ようとすると、音の刺激を受けて脳が活性化し、寝つきづらくなってしまいます。
入眠を妨げないためにも、寝る前に聴く曲はスローテンポな曲や歌詞が入っていない曲がおすすめです。ヒーリングミュージック、オルゴール、ピアノ曲などを選ぶと良いでしょう。
二度寝をするのはおすすめできない理由
ついつい二度寝をしてしまう方は多いと思いますが、基本的に二度寝をするのはおすすめできません。
二度寝がおすすめできない理由として、主に以下のことが挙げられます。
- 二度寝では疲れがとれない
- 生活のリズムが狂う
- 肥満のリスクが高まる
それぞれの理由について、詳しい内容を解説します。
二度寝では疲れがとれない
二度寝をして短い睡眠を繰り返しても、疲れはなかなかとれません。
睡眠中は、脳が活発に動いている「レム睡眠」と、体と脳が休んだ「ノンレム睡眠」が約90分周期で繰り返されており、この睡眠サイクルは一晩に約4~5回続きます。
最初の1〜2回が最も深い眠りなので、入眠してから約3時間の間にノンレム睡眠に到達すれば質の良い睡眠に繋がるという仕組みです。
しかし、二度寝をすると眠りが浅くぼんやりしたレム睡眠の状態となります。二度寝をしても深い睡眠であるノンレム睡眠の状態になれないため、疲れがとれず睡眠の質も低下してしまう可能性があるのです。
生活のリズムが狂う
二度寝をすると、仕事や学校に遅刻しそうになるケースもあり、朝からバタバタして気持ちが焦ってしまうことがあるかもしれません。
二度寝をして朝から慌てると、その後の生活リズムや睡眠リズムの乱れに繋がることが懸念されます。二度寝をすることで日中もぼーっとしてしまうと、疲れが一日中持続しやすくなるので日中のパフォーマンスの低下にも繋がるでしょう。
また、二度寝によって「学校に遅刻した」「仕事中に寝てしまった」などの失敗を犯すと、「また二度寝をしたらどうしよう」という不安を抱くようになり、なかなか入眠できなくなるという悪循環に繋がる可能性もあります。
肥満のリスクが高まる
朝目覚める(覚醒する)時には「コルチゾール」というホルモンが分泌されますが、このホルモンには血糖値を上昇させる働きがあるため、分泌中に二度寝すると血糖値が上がったままになります。
上がった血糖値を下げようとして分泌されるのが、血中の糖分を脂肪に変える「インスリン」というホルモンです。インスリンには脂肪を体に溜め込む作用があるため、肥満に繋がりやすくなると考えられます。
肥満になることで、高血圧や睡眠時無呼吸症候群といった病気のリスクが高まるため、二度寝をするのは極力避けましょう。
二度寝をやめるために日常的に取り組める対策
二度寝をやめたいと考えている方は、日常的に取り組める対策から始めてみてはいかがでしょうか。
難しいことではなく、少しの取り組みで二度寝を防ぐことも可能なので、ぜひ気軽にチャレンジしてみましょう。
- 目覚まし時計のセット方法を工夫する
- 朝起きてすぐに水を飲む
- カーテンを少し開けておく
- 一旦起床して昼に仮眠をとる
- 目覚ましアプリを使う
それぞれの対策について、詳しく解説します。
目覚まし時計のセット方法を工夫する
目覚まし時計が枕元に置いてあると、すぐに音を止めて二度寝をしやすくなります。そのため。アラームがなって目が覚めた時、強制的に起き上がらなければいけない状況を作る方法がおすすめです。
目覚まし時計を遠くの棚やテーブルに置いておくと、音を止めるために歩かなければならないため、一度起き上がる必要が出てきて二度寝をしづらくなるでしょう。
朝起きてすぐに水を飲む
朝起きてからすぐに水を飲む方法も、手軽に取り組める対策の一つです。起床後すぐに水を飲むと、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」の働きが切り替わりやすくなります。
交感神経は体を活動的にし、副交感神経はリラックスさせる働きを持っているため、就寝時には副交感神経が優位に働いているのが一般的です。水を飲むことで活動モードの交感神経へと自然に切り替わってくれるため、朝から意欲的に活動を始めやすくなると考えられます。
また、就寝中にはコップ約1杯分の寝汗をかいているので、水を飲むことで睡眠中の水分不足が解消される効果も期待できるでしょう。
カーテンを少し開けておく
朝から太陽光を室内に取り込むためにも、寝る前にカーテンを少し開けておく方法もおすすめです。朝に太陽が昇ったタイミングで部屋に太陽光が差し込むと、光が目に入って目覚めやすくなるでしょう。
また、太陽光を浴びると、睡眠を促すために重要な役割を果たす「メラトニン」の原料となる「セロトニン」が分泌されます。セロトニンは時間が経つとメラトニンに変化するため、夜に向けて日中に多くのセロトニンを分泌させておくことは重要です。
指定した時間に合わせて徐々に明るくなる照明も販売されているので、気になる方は活用しても良いでしょう。このようなアイテムは、天気が悪い日が続くなどして太陽光を浴びるのが難しい場合にも役立ちます。
一旦起床して昼に仮眠をとる
朝起きてすぐ二度寝をしたくなる気持ちを我慢して、頑張って起きて活動を始めてみましょう。二度寝をやめたことで日中に眠気が出たら、軽めの仮眠をとると良いです。
長時間の仮眠をとると体内時計が狂ってしまうため、仮眠の時間は15~30分ほどをおすすめします。夕方や夜に仮眠をとると、就寝時刻になっても眠れなくなるかもしれないので、仮眠をとるのは午前中にしましょう。
このような仮眠のとり方であれば、夜の睡眠に対する影響も少なく済み、二度寝をしたくなる気持ちも抑えられる可能性があります。
日中の早い時間に適度な仮眠をとることで頭がリフレッシュすると、その後すっきり行動しやすくなるかもしれません。
目覚ましアプリを使う
二度寝を防ぐ対策として、高機能な目覚ましアプリを使うのも一つの方法です。
現在は、スマホやタブレットで使えるさまざまな目覚ましアプリが提供されています。例えば、計算を解かないと目覚まし音が止まらないものや、写真を撮影しないとアラームが止まらないものなどが代表例です。
これらの機能がついたアプリを使えば、頭を働かせて考え事をする必要があるため、脳が目覚めて二度寝をしづらくなるでしょう。
また、なかには睡眠解析をしてくれるアプリや、設定時間の前後で目覚めやすいタイミングにアラームを鳴らせるような、優れたアプリもあります。
無料で使えるアプリも数多くあるため、いろいろと試して、自分に合うものを探してみてください。
藤堂紗織
Alohaさおり自由が丘クリニック 院長
寝る前にスマホ操作やテレビ視聴をして「脳が休まらない」という状態を減らすことが大事です。少なくとも寝る前1時間は、こうした行動は避けましょう。
お風呂に浸かって体を適度に温めてから寝るようにするのも有効です。飲酒での睡眠は脳が休まらないためなるべく控えて、寝る前には飲水をしすぎないようにしましょう。
まとめ
二度寝をしてしまうのは、睡眠時間が足りておらず睡眠負債が溜まっていることや、心身にストレスを受けていることが原因となっている可能性があります。
二度寝は習慣化しやすいうえに、「疲労がなかなかとれない」「肥満のリスクが高まる」などのデメリットがあるため、注意しなくてはなりません。
朝から二度寝をしてしまう理由が判明しているのであれば、日中の活動を見直して原因となる要素を解消させることが大切です。
手軽に取り組める対策として、「目覚まし時計を置く位置を変える」「カーテンを開けておく」などの対策が挙げられます。
まずは自分の就寝環境を改めてチェックしてみて、どの部分を改善させるべきか検討したうえで対策に取り組みましょう。