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2023.02.03 更新

【医師監修】昼寝に最適な時間の長さはどれくらい?効果的な時間帯や方法など紹介

【医師監修】昼寝に最適な時間の長さはどれくらい?効果的な時間帯や方法など紹介

昼食後や午後の早い時間にくる眠気で困っている人も多いのではないでしょうか。

短時間の昼寝は、作業効率の向上などのさまざまなメリットがあるため、「寝るのは怠け」などと思わず、眠気がある場合は昼寝をとることをおすすめします。

しかし、昼寝の長さや時間帯によっては逆効果になることもあるので、昼寝の効果的な取り方については理解しておきましょう。

この記事では効果的な昼寝の長さや時間帯の目安や、昼寝をする際の注意点を紹介します。

短時間でもスムーズに入眠する方法や、より効果的に昼寝を取る方法もわかりやすく紹介するので「日中の眠気に困っている」という方は参考にしてください。

  1. 昼寝に最適な時間の長さは15~30分
  2. 昼寝は正午から午後3時の時間帯がおすすめ
  3. 昼寝がもたらす効果やメリット
  4. 疲労が軽減しスッキリする
  5. 集中力・注意力・記憶力が上がり作業効率が向上する
  6. ストレスを低減できる
  7. 昼寝をする際の注意点
  8. 30分を超える昼寝はNG
  9. 90分を超える昼寝は要注意
  10. より効果的に昼寝をとるための方法
  11. 昼寝前にカフェインを摂取しておく
  12. 椅子や机で睡眠をとる
  13. アイマスクなどで光を遮断する
  14. 睡眠に入りやすい音環境を意識する
  15. 自分が心地良く感じるアロマを使う
  16. まとめ

昼寝に最適な時間の長さは15~30分

昼寝の最適な時間は、およそ15〜30分ほどに留めておくのが良いとされているので、目安として参考にすると良いでしょう。

日中にとる15〜30分程度の短時間睡眠は「パワーナップ」と呼ばれ、その後の作業効率を向上させるとして厚生労働省でも紹介しています。

パワーナップに期待できる効果としては下記のようなものが挙げられます。

  • 眠気の解消
  • 集中力の向上
  • 記憶力の向上
  • ストレス低減効果
  • 認知症の予防効果

ただし、睡眠時間が30分を超えると深い眠りに入ってしまい、目覚めにくくなったり、起きた時にぼんやりとしたりするなど、脳が元の状態に戻るまで時間がかかってしまう可能性があるため注意しましょう。

昼寝をする際には30分を超えてしまわないように、あらかじめ目覚ましをセットし、アラームをかけておくことをおすすめします。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

起きている最中は、交感神経が活発に働いています。交感神経には、血圧をあげたり血管を収縮させたりする働きがあるため、活発な状態が長時間続くと脳へ流れる血液量が減り、脳が活発に働くことができない状態となります。

そこで昼寝をすると、交感神経の働きが弱まって脳への血液量が増えるため、脳は再び活発に働けるようになります。

また、短時間の昼寝は半覚醒状態(ウトウトした状態)を作り出し、ストレス軽減や記憶力向上などに関与する「セロトニン」という脳内物質がたくさん分泌されます。短時間の昼寝はこうした脳内の変化を引き起こすため、集中力や記憶力の向上、ストレス解消など、さまざまな効果が期待できるのです。

昼寝は正午から午後3時の時間帯がおすすめ

人によって異なる場合もありますが、通常の体内リズムでは、午後2時ほどに眠気が現れるとされています。

「昼食をとったあとは眠気が襲ってきて午後の作業に集中できない」という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

午後の早い時間に眠気が襲ってきたのであれば、無理に作業をせず昼寝をとることで前述のような作業効率の向上が期待できます。

ただし、概ね午後3時以降に睡眠をとると夜の睡眠に「昼寝をしたから眠れない」といった悪影響を与えるなど、体内リズムを乱す原因となる可能性があるため注意しましょう。

このような体内リズムや睡眠リズムを考慮すると、昼寝は正午から午後3時までの間にとることが良いといえます。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

午前中や夕方におこる眠気は、睡眠不足が原因です。ですが、この時間帯に眠ってしまうと体内リズムが乱れ、余計に睡眠不足になる可能性が高いため、ストレッチなど体を軽く動かすことで眠気を解消させましょう。

昼寝がもたらす効果やメリット

昼寝の効果については少し触れましたが、下記のような主なメリットについてもう少し詳しく紹介します。

  • 疲労が軽減しスッキリする
  • 集中力・注意力・記憶力が上がり作業効率が向上する
  • ストレスを低減できる

日中の眠気で困っている人や、いつも眠気を我慢している方は昼寝の効果を理解するためにも参考にしてください。

疲労が軽減しスッキリする

睡眠時の状態には大きく分けて浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、一定の感覚で交互に訪れるとされています。

入眠後すぐでは深いノンレム睡眠に入り、15~30分の短時間睡眠ではノンレム睡眠のステージ2ほどで目覚めることになります。

パソコン作業や大量の情報を処理する仕事で脳が疲労している場合などに 昼寝取り入れると、脳の疲労を回復した状態で取り組めることが期待できるため、「午後は眠気で頭が回らない」と悩んでいる方におすすめです。

集中力・注意力・記憶力が上がり作業効率が向上する

15〜30分ほどの短時間睡眠では前述したように脳の疲れを取る効果があるため起床後の集中力、起床後の集中力や注意力、記憶力の向上にも効果があることがわかっています。

ここで大切なのは、短すぎず長すぎない昼寝の時間確保することです。

昼寝の時間短すぎる場合、ウトウトとするだけで眠りの状態には入れないため、休息感がありません。一方、深い睡眠に入った場合には、起きた時にぼんやりとした状態になってしまいます。

昼食後の眠気により作業効率が落ちるような場合でも、適度な時間の睡眠を取り入れることにより仕事のミスを減らすことが期待できるほか、作業効率の向上も期待できるでしょう。

ストレスを低減できる

帝京平成大学 健康メディカル学部で行われた研究によると、短時間の睡眠により眠気を解消することは、ストレスの低減効果が期待できる可能性があるといわれています。

例えば、昼食後などに眠気がある状態で無理に仕事を続けると思うように仕事が捗らずストレスを感じることもあるかもしれません。

集中力や注意力が低下し、ミスが起こると精神的なストレスを感じることもあるでしょう。

短時間仮眠をとることによって疲労軽減効果や作業効率向上効果を得られ、結果的にストレスを低減できることも期待できるため、眠気がある時は無理に仕事を続けず15〜30分ほどで良いので仮眠をとることをおすすめします。

昼寝をする際の注意点

ここまで紹介してきたとおり、短時間睡眠による昼寝にはさまざまなメリットがありますが、昼寝の時間やタイミングを間違えると逆効果になることがあるため注意しましょう。

昼寝をする際に注意するポイントとしては下記のとおりです。

  • 30分を超える昼寝はNG
  • 90分を超える昼寝は要注意

それぞれについて、以下で詳しく紹介します。

30分を超える昼寝はNG

ここまでも何度か紹介しましたが、昼寝は15〜30分ほどに留めておくことが重要なポイントの一つです。

30分を超える睡眠では脳が深い睡眠に入ってしまい、睡眠慣性によって目覚めにくくなります。

また、目覚めても気だるさや眠気により、昼寝の良い効果が得られず、期待する効果とは反対に作業効率が落ちる可能性もあるため注意しましょう。

昼寝の良い効果を得るのであれば、15〜20分ほどで目覚めることを目指し、どうしても時間内に目覚める自信がないのであればアラームをかけておくことをおすすめします。

90分を超える昼寝は要注意

昼寝の時間は30分を超えると目覚めにくいと紹介しましたが、アメリカの神経学会の発表によると90分を超える昼寝をする人は30分以内の昼寝をする人に比べて脳卒中のリスクが高いことがわかっています。

前述したとおり、昼寝の時間が30分以上になると睡眠慣性により目覚めづらくなり90分を超える可能性があるため注意が必要です。

基本的にはアラームをかけておくなど工夫することが大切ですが、すでに慢性的に90分以上の昼寝をしている人も30分以内に抑えることを意識しましょう。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

夜の睡眠とは別に、90分以上の仮眠が必要な状態は、夜の睡眠の質が低いことが要因といわれています。夜の睡眠の質が低いと、睡眠中も交感神経の働きが弱くならず、血圧が高い状態が持続します。

加えて、血糖値を下げるインスリンの作用が弱まり、血糖コントロールが上手くできなくなります。

つまり、90分以上の仮眠を必要とする人は、夜の睡眠の質が低下している状態であり、結果、高血圧や糖尿病になりやすいため、脳卒中を発症するリスクも高まるといえます。

より効果的に昼寝をとるための方法

より効果的に昼寝をとるための方法

昼寝の良い効果を得るためにできる工夫としては下記のようなものがあります。

  • 昼寝前にカフェインを摂取しておく
  • 椅子や机で睡眠をとる
  • アイマスクなどで光を遮断する
  • 睡眠に入りやすい音環境を意識する
  • 自分が心地良く感じるアロマを使う

すぐに実践できることなので、昼寝を取り入れることを検討している方は参考にしてください。

昼寝前にカフェインを摂取しておく

カフェインは「アデノシン」と呼ばれる眠気を促す物質の働きを抑制する働きがあります。

コーヒーなどカフェインを含む飲み物が眠気覚ましに効果があると聞いたことがある方も多いと思いますが、このカフェインの覚醒作用は摂取してからおよそ15分程度で現れるとされています。

昼寝前にカフェインを摂取しておくと目覚める頃に覚醒作用が現れるため、頭がスッキリした状態で目覚めることが期待できるでしょう。

カフェインを含む飲み物は下記のものがあります。

  • コーヒー
  • 緑茶
  • 煎茶
  • エナジードリンク
  • 栄養ドリンク

飲料のほかにもチョコレートなどにも含まれていますが、糖分を多く含むと血糖値上昇に伴うインスリン分泌の過程で眠気を促す物質の分泌量が多くなる場合があるため、飲むならブラックコーヒーなどがおすすめです。

また、あくまでも昼寝のような短時間睡眠において効果的であり、夜遅い時間にカフェインを摂取すると睡眠の質を下げる可能性があることは覚えておきましょう。

椅子や机で睡眠をとる

繰り返しになりますが、昼寝は15〜30分以内に収めることが大切です。

30分を超えると目覚めづらくなり、眠気が強くなるなど逆効果になるので昼寝においては深く長い眠りに入らないための工夫をしてみましょう。

その一つとして、昼寝をとる際の姿勢があります。

ソファーに横になるなどすると心地良く深い睡眠に入ってしまう可能性があるので、昼寝をとる際には椅子の背もたれにもたれかかって寝たり、机に突っ伏して寝たりする姿勢がおすすめです。

アイマスクなどで光を遮断する

15〜30分という短時間のうちに睡眠に入るためには、入眠しやすいように工夫することが大切です。

基本的に部屋の電気を消したり、ブラインドやカーテンを閉めたりすることで光を遮断することが有効ですが、仕事場によっては「ほかの人は作業をしているので電気を消すことができない」など、光を遮断できないケースもあります。

そのような環境で睡眠に入りづらい場合には昼寝用にアイマスクを用意しておくと良いでしょう。

睡眠に入りやすい音環境を意識する

スムーズに入眠するためには、光だけではなく周辺の音環境にも配慮しましょう。

眠りに入るためには川のせせらぎ音や風の音などの自然音のほか、クラシックのような歌詞がなく落ち着いた音楽がおすすめです。

眠りの妨げになる雑音は遮断するほうが良いですが、職場などの関係でどうしても雑音が入る場合には意識的に眠りに入りやすい音楽をイヤホンで聴きながら昼寝をすると良いでしょう。

自分が心地良く感じるアロマを使う

光や音のほかに、リラックス効果により入眠を促すアイテムとしてアロマがあります。

アロマにはリラックス効果により、脳波を眠りに入りやすいα波(アルファ波)の状態にする効果があることがわかっています。

短時間で眠れないと感じる方は、自分の好きなアロマを用意して昼寝の際に活用してみましょう。

なお、アロマはカフェインのような覚醒作用の心配はないため、昼寝だけではなく夜スムーズに入眠したい時にも活用できるアイテムとしておすすめです。

まとめ

正午から午後3時までの間にとる15〜30分ほどの昼寝は、眠気をスッキリさせて作業効率アップが期待できるほか、疲労やストレスを低減させるといったメリットがあります。

ただし、長時間の昼寝は健康リスクが高まったり、目覚めてもぼーっとするなど逆効果になったりする可能性があります。

また、午後遅い時間の昼寝は、夜の睡眠に悪影響を及ぼす可能性があるため、昼寝の時間とタイミングには注意が必要です。

注意点に気を付ければ、昼寝によるメリットを得られるので、「日中に眠気で困っている」という方は実践してみてください。

この記事の監修者
豊田早苗
豊田早苗とよだクリニック院長
鳥取大学卒業後、JA厚生連に勤務し、総合診療医として医療機関の少ない過疎地等にくらす住民の健康をサポート。2005年とよだクリニックを開業し院長に。患者さんに寄り添い、じっくりと話を聞きながら、患者さん1人1人に合わせた診療を行っている。
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