眠気と頭痛、どちらも襲ってくると厄介なものですが、これらが同時に襲ってくるという症状にお悩みの方もいらっしゃると思います。
日中にそういった症状があらわれてしまうと、仕事や家事に支障も出てしまうため、原因を把握して対処したいところです。
眠気が襲ってくる原因の一つには睡眠不足が考えられ、その場合は睡眠の質を高めることが有効な対策になることもあります。
この記事では、眠気と頭痛が同時に襲ってくる場合に考えられる原因や、睡眠不足と頭痛の関係、睡眠の質を高める方法などを説明します。
眠気と頭痛が同時に起こる場合の原因
眠気と頭痛が同時に起こる場合に考えられる原因としては、以下のようなことが挙げられます。
- 風邪やインフルエンザ
- ストレス
- 月経前症候群(PMS)
- 脳の疾患
- 更年期障害
- 目の疲れや肩、首のこり
- 気象病
- 呼吸力や肺活量の低下
それぞれの原因について、詳しく説明します。
風邪やインフルエンザ
頭痛は、風邪やインフルエンザの際にあらわれることの多い症状の一つです。
また、風邪やインフルエンザの際には、体力が落ちやすく倦怠感を感じやすいという傾向もあります。
その結果、普段よりも眠気を感じやすくなるケースがあります。
ストレス
ストレスはさまざまな体の不調をもたらしますが、そのような諸症状の一つとして、頭痛が挙げられます。
また、ストレスを感じていると睡眠抑制作用のあるホルモンが分泌されて、睡眠障害の原因になります。その結果、日中の眠気に繋がりやすくなります。
月経前症候群(PMS)
頭痛と眠気は、どちらも月経前症候群(PMS)の症状としてあらわれやすいものです。
そのため、頭痛と眠気が同時に襲ってくるという状態が周期的に続く場合は、月経前症候群(PMS)が原因の可能性が高いと言えるでしょう。
月経前症候群(PMS)の症状にはほかにもいろいろなものがあるので、それらも判断材料になります。
脳の疾患
脳梗塞になると、その後遺症として、眠気を感じやすくなるという症状が見られることがあります。
また、脳出血や脳腫瘍によって頭痛が引き起こされるケースもあります。脳腫瘍による頭痛の場合は明け方に頭痛が強くなりやすいので、頭痛の時間帯が一つの判断材料になります。
疾患の兆候がある場合は、医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。
豊田早苗
とよだクリニック院長
頭痛に加えて、今までなかった身体症状が突然出る場合は、脳の疾患が原因である可能性があります。
例えば、突然の激しい頭痛以外に加え吐き気や嘔吐がある場合は、くも膜下出血が疑われます。頭痛が徐々に強くなり、片方の手足の痺れや動きにくさ、めまいや言葉の出にくさ等がある場合は、脳梗塞や脳出血が疑われます。
更年期障害
更年期障害であらわれる症状の一つに不眠があり、睡眠の質が低下した結果、日中に眠気を催すことがあります。
また、頭痛も更年期障害でよく見られる症状の一つで、代表的な頭痛のパターンとしては偏頭痛や緊張型頭痛が挙げられます。
頭痛の種類がこれらに当てはまる場合は、更年期障害が眠気や頭痛の原因になっている可能性があります。
目の疲れや肩、首のこり
パソコンやスマホの画面を見すぎると、眼精疲労に陥ってしまうことがありますが、眼精疲労が悪化した時に出る症状の一つに頭痛があります。
また、肩や首のこりも眼精疲労の時によく見られる症状の一つですが、首や肩のこりは不眠に繋がることもあります。不眠の症状が悪化して睡眠の質が下がってしまうと、日中眠気を感じやすくなることも考えられます。
気象病
気象病とは、気候や天気の変化が原因で起こる体の不調の総称です。低気圧が近づくと調子が悪くなるという方も多いと思いますが、それも気象病の一種といえます。
気候や天気の変化に対して自律神経が過敏に反応し、自律神経失調の状態になってしまうことで起こると考えられています。自律神経のバランスが乱れるため、頭痛や眠気といった症状を伴うことが多いです。
呼吸力や肺活量の低下
呼吸する力が減ったり肺活量が減ったりすると、呼吸をしていても酸素を上手く体に取り入れられなくなってしまいます。
その結果の症状として、頭痛や眠気などが見られます。多くの患者がいる睡眠時無呼吸症候群も、このケースに当てはまるでしょう。
睡眠不足と頭痛の関係
眠気を感じるのは睡眠不足が原因のこともありますが、睡眠不足は頭痛を引き起こす可能性もある要素です。
頭痛にはさまざまな種類がありますが、睡眠不足によって起こる頭痛は主に緊張型頭痛や偏頭痛です。それぞれの頭痛の特徴について、以下で説明します。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭の周囲が締め付けられるように痛くなるタイプの頭痛です。
頭だけでなく、首筋や背中・肩にまで痛みが及ぶこともあります。何もできなくなって寝込んでしまうほど、痛みが強いわけではないケースが多いです。
ただし、すっきりしない状態が長時間続くため、心身ともに大きな負担がかかります。
偏頭痛
偏頭痛は、ズキンズキンと脈打つように痛くなるタイプの頭痛で、頭の片側のみで起こるケースが多いです。
吐き気やめまいを伴うことも多く、日常的な動作によって悪化する場合もあるので、日常生活に支障をきたすことも考えられます。
一過性の頭痛ですが、視覚や感覚に前兆があらわれることもあります。頭痛の症状が続いてつらい場合は、医療機関を受診することが賢明です(緊張型頭痛の場合も同様です)。
豊田早苗
とよだクリニック院長
睡眠不足による緊張型頭痛や偏頭痛かもと思っても自己判断は禁物です。
早急に治療が必要な頭痛を見逃さないためにも、CTやMRIなどの検査を受けることができる、神経内科や頭痛外来のある内科を受診しましょう。
睡眠不足を解消するために睡眠の質を高めよう
頭痛や眠気の原因になりうる睡眠不足を解消するためには、睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質を高めることが重要です。
睡眠の質を高めるための方法としては、以下のようなことが挙げられます。
- ストレッチなどをして軽く体を動かす
- 規則正しい食生活を意識する
- 就寝時間の約90~120分前に入浴する
- 体に合った寝具を使う
- 温かい飲み物で体温を上昇させる
- 就寝前のアルコールやカフェインの摂取を控える
- アロマを焚いたり心地良い音楽を聴いたりしてリラックスする
それぞれの方法について、詳しく説明します。
ストレッチなどをして軽く体を動かす
人の体は、深部温度を下げることで眠たくなります。手足などの末端部分から熱が放出されることで体温は低下しますが、血行が悪いと上手く熱が放出されないため、不眠に繋がる可能性があります。
足裏や手先といった末端部分のストレッチを行って血行を良くすることで、熱を上手く放出できるようになるため、ぐっすり眠りやすくなるでしょう。
規則正しい食生活を意識する
規則正しい食生活は、睡眠の質向上に大きく寄与します。いつ食事をするかも重要で、寝る直前に食事をすると、胃腸が活発に動いている状態で眠りにつくことになります。
胃腸が活発に動いている分、肉体が熟睡できない状態になっているので、睡眠の質が悪くなりやすいです。食べたものを胃腸が分解し終わるには、約3時間が必要です。寝る時間から逆算して、晩ご飯を食べる時間を決めると良いでしょう。
就寝時間の約90~120分前に入浴する
寝る直前の入浴は、睡眠の質を高めるうえでは避けたほうが良く、就寝時間の約90~120分前に行うことがおすすめです。温度に関しては、38℃程度のぬるま湯に25分~30分程度ゆっくり浸かることが理想的です。そうすることで副交感神経が優位になり、睡眠の質が高められます。
お風呂の温度は熱いほうが好きという方もいらっしゃるかもしれません。ただ、熱いお風呂に入ると交感神経が優位になって興奮状態になるので、逆に眠りにくくなってしまう可能性が高いです。
お湯の温度を熱めの42℃程度にしたければ、入浴時間は5分ほどにしましょう。また、半身浴を行う場合は、約40℃のお湯に30分程度浸かることがおすすめです。
体に合った寝具を使う
睡眠環境を見直して体に合った寝具を使うことも、眠りの質を高めるためには重要なポイントです。
今使っている寝具よりも自分に合ったものを利用することで、熟睡できるようになるかもしれません。寝具の硬さや体圧分散性などは睡眠の質に大きく影響するので、特にこだわるべき要素といえます。
温かい飲み物で体温を上昇させる
温かい飲み物は、体の内側から体温の上昇を促してくれます。
上述したように、人の体は体温が下がる時に自然と眠気が生じるようになっているので、温かい飲み物を飲むことは睡眠のリズムを作るという点において効果的な習慣です。
ただし、白湯やカモミールティーのようなノンカフェインの飲み物にしなければ、カフェインの覚醒作用で逆に目が覚めてしまう可能性があるので注意しましょう。
就寝前のアルコールやカフェインの摂取を控える
アルコールは神経に作用したり代謝によって尿意をもたらしたりする可能性があるので、睡眠前に飲むのは控えるべきです。
また、カフェインにも覚醒作用があるため、コーヒー・緑茶・チョコレートといったカフェインを含むものの摂取は、就寝の3~4時間前からは避けるようにしましょう。
アロマを焚いたり心地良い音楽を聴いたりしてリラックスする
心身共にリラックスすることで副交感神経が優位になるため、良い状態で眠りにつきやすくなります。
ぬるめのお風呂にゆっくりと浸かるのも良いですし、アロマを焚いたり好きな音楽を聴いたりするのもおすすめです。
ただし、ゲームなどは画面からの強い光によって眠りにくくなることが考えられるので、ほかの方法でリラックスするようにしましょう。
豊田早苗
とよだクリニック院長
睡眠不足によって起こりやすい頭痛は、緊張型頭痛と偏頭痛です。それぞれ、頭痛が発生している場合に避けたほうが良い方法があります。
緊張型頭痛は、首や肩の筋肉の凝りが原因で脳への血流が低下して頭痛が発生しているため、入浴や温かい飲み物を飲んだりして、体を温めることは効果的ですが、偏頭痛の場合は、血管が拡張していることが原因で頭痛が発生しているため逆効果です。
まとめ
眠気と頭痛が同時に起こる原因としては、風邪やインフルエンザ、ストレス、更年期障害などが考えられます。
眠気を生じる原因は当然睡眠不足も考えられますが、睡眠不足も頭痛を引き起こす要素の一つなので、睡眠の質を高めて睡眠不足を解消することも、眠気や頭痛を抑えるためには有効な場合があります。
ストレッチをして体を軽く動かしたり、アロマや音楽などでリラックスしたりすることで、睡眠の質を高めましょう。