昼寝で長く寝すぎてしまい、頭痛に襲われた経験のある方もいるのではないでしょうか。
昼寝のしすぎによって生じる頭痛には「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類があるため、まずはどちらの頭痛かを把握し、それぞれに合った対処法を知ることが大切です。
この記事では、昼寝をした際に頭痛が生じる理由や対処法を解説します。また、根本的な解決策として、昼に寝すぎてしまわないために意識すべきことも紹介するので、昼寝のしすぎによる頭痛に悩まされている方はぜひ参考にしてください。
昼寝をすると頭痛がするのはなぜ?
昼寝をした際に生じる頭痛には、下記のとおり大きく分けて2種類が考えられます。
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
それぞれ詳しく解説します。
昼寝のしすぎにより生じる「片頭痛」
昼寝をした際に生じる頭痛として、まず考えられるのが片頭痛です。片頭痛とは脳の血管が拡張し、周囲に炎症が起きることで発生する頭痛のことを指します。
片頭痛は主に頭のこめかみあたりがズキズキと痛むのが特徴です。昼寝をしすぎると血流が良くなりすぎてしまい、血管が拡張して片頭痛が生じることがあるといわれています。
なお、片頭痛は昼寝のしすぎ以外の原因によっても生じることがあります。例えば、寝不足や疲れ、空腹、光や音の強い刺激、天候の変化、アルコールの摂取、女性ホルモンの変動などによるものがきっかけとなると考えられています。
片頭痛が昼寝のしすぎによるものではない可能性もあると理解しておくと良いでしょう。
伊藤たえ
医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長
昼寝によって頭痛が起きた場合、頭や頚部(けいぶ)を冷やすことがおすすめです。拡張していた血管が収縮することで、頭痛が改善します。
昼寝の姿勢が悪い場合に生じる「緊張型頭痛」
昼寝をした際に生じる頭痛は、片頭痛だけでなく緊張型頭痛の可能性も考えられます。緊張型頭痛とは、筋肉の緊張によって発生するといわれる頭痛です。
片頭痛のズキズキとした痛みとは違い、頭が締め付けられているような痛みが生じることが主な特徴です。
昼寝の際に無理な姿勢で寝ていると筋肉が緊張してしまい、緊張型頭痛に繋がる可能性があります。
昼寝後の緊張型頭痛と思われる頭痛に悩んでいる方は、昼寝の姿勢を見直してみると良いでしょう。
伊藤たえ
医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長
昼寝をする際は、机に突っ伏して寝るなど、無理な姿勢はやめましょう。どうしても横になれない場合は、ネックピローを用いることもおすすめです。
昼寝で生じた頭痛の対処法
昼寝により生じた頭痛の対処法について、片頭痛と緊張型頭痛に分けて解説します。片頭痛と緊張型頭痛では対処法が異なる場合もあるため、それぞれに応じた対処法を参考にしてください。
片頭痛の場合は冷やす
頭のこめかみあたりがズキズキと痛む片頭痛の場合、まずは冷やすことが重要です。
片頭痛は脳の血管が拡張し、周囲に炎症が起きているため、冷やすことで症状が緩和する可能性があります。そのため、こめかみ部分を氷や冷却シートなどで冷やすといいでしょう。
なお、動かすと痛みがひどくなる場合があるので、完全に治まるまでは安静にしておいてください。
緊張型頭痛の場合は温める
頭が締め付けられているような痛みを感じる緊張型頭痛の場合は、温めることで症状が緩和する可能性があります。
緊張型頭痛は頭や首の負荷により筋肉が緊張している状態であるため、特に首や肩を温め、筋肉の緊張をほぐしましょう。
例えば、首周りの軽いストレッチをしたり、蒸しタオルで温めたりすることがおすすめです。
頭のマッサージを取り入れる
緊張型頭痛は頭や首などに負担がかかり、筋肉が緊張している状態です。そのため、ストレッチやマッサージなどをおこなって体をほぐすことで、痛みがやわらぐ可能性が高まります。
先述した筋肉を温める方法と合わせて、ぜひ取り入れてください。
昼寝の時間を短くする
昼に寝すぎていると感じている方は、昼寝の時間を見直してみるのも良いでしょう。
最適な昼寝の時間は個人差があるので一概にはいえませんが、眠気を追い払うことが目的なら15分〜30分程度で十分といわれています。
昼寝の時間が長すぎると片頭痛に繋がる可能性があるほか、スッキリと目覚めることができず集中力が落ちてしまうので留意しましょう。
伊藤たえ
医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長
あまり遅い時間に昼寝をすると、睡眠のサイクルが乱れて夜に眠れなくなります。そのため、午後の遅い時間の昼寝は避けましょう。
効果的な昼寝の長さや時間帯の目安、昼寝をする際の注意点についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
昼寝のしすぎを防ぐなら、普段の睡眠の質を見直そう
昼寝の時間がどうしても長くなってしまう方は、普段の睡眠の質を見直してみましょう。睡眠の質を高めて夜にぐっすり眠れるようになれば、日中の眠気が軽減されて昼寝のしすぎを防ぎやすくなります。
睡眠の質は下記の方法で高められるので、夜に気持ち良く眠れていない方はぜひ実践してください。
- 普段から体を動かす
- 朝食はしっかり食べる
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
- 就寝時間の90分〜120分前に入浴する
- 温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
- マットレスや枕などの寝具は体に合った製品を使う
- リラックスする
それぞれの方法について、以下で詳しい内容を紹介します。
普段から体を軽く動かす
睡眠の質を高めるには、習慣的に体を動かすことが大切です。習慣的に体を動かすと寝つきが良くなり、深い眠りにつきやすくなります。1回だけでは効果が弱いため、習慣的に行うと良いでしょう。
また、体を動かす場合は運動のメニューにも気をつけてください。運動の内容が激しすぎると心身が覚醒してしまい、眠りにくくなる可能性があります。睡眠の質を高めることを目的に体を動かすのであれば、ウォーキングやランニングなど軽めの有酸素運動にしましょう。
なお、夕方から夜にかけて行う運動は、寝つきを良くするには特に効果的だといわれています。時間に余裕が持てる方は意識してください。
朝食はしっかり食べる
人は1日25時間を周期とする「概日リズム」に沿って活動しています。多くの方は「明るい時間に活動をして暗くなると休息をする」という生体リズムを無意識のうちに保てていますが、これは概日リズムが備わっているおかげです。
しかし、概日リズムは1日約25時間を周期としているため、体内時計をリセットして24時間に調整しなければいけません。体内時計は、朝日を浴びるとリセットされます。
そのため、起きた時は日光を浴び、朝食を食べるように心がけてください。毎日体内時計をリセットすれば「朝に起きて夜に眠くなる」というリズムが保たれ、睡眠の質を高めることに繋がります。
夕食は就寝3時間前までに済ませる
睡眠の質を高めたい方は、就寝3時間前までに夕食を済ませるように心がけましょう。就寝直前に食事をすると睡眠中に消化活動が行われることで脳が刺激され、睡眠の質が低下してしまいます。
消化活動にかかる時間は、一般的に2時間〜3時間程度だといわれています。
消化活動による脳への刺激を避けて眠るためにも、就寝直前の食事は控えるようにしてください。どうしても夕食を食べるのが夜遅くなる場合は、消化の良いヘルシーなメニューにするなど工夫をしましょう。
就寝時間の90分〜120分前に入浴する
寝つきを良くするには、お風呂に入る時間帯を工夫するのも効果的です。就寝90分〜120分前に入浴して深部体温を高めておくと、お風呂上がりに体温が下がっていく過程で眠気を誘発できます。
ただし、温度が高すぎたり入浴時間が長すぎたりすると、眠りにくくなる可能性があるので注意してください。入浴は38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度、42℃の熱めのお湯であれば5分程度、半身浴なら約40℃のお湯で30分程度に留めることをおすすめします。
温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
深部体温をコントロールして眠りの質を高めたい方は、白湯やホットミルクなどの温かい飲み物を就寝前に飲むと良いでしょう。温かい飲み物を飲んで体温が上昇すると、下がっていくタイミングで眠気が誘発されてより眠りやすくなります。
ただし、アルコールやカフェインが入った飲み物は逆効果なので注意してください。アルコールやカフェインは主に下記の飲み物に含まれているので、就寝前は避けましょう。
- お酒全般
- コーヒー
- エナジードリンク
- 紅茶
- 烏龍茶
- 煎茶など
マットレスや枕などの寝具は体に合った製品を使う
眠る時に使うマットレスや枕などの寝具は、自分の体に合った製品を使いましょう。寝具の寝心地や柔らかさなどの特徴は各製品で違うため、自分に合うかどうかも使用者ごとに変わります。
寝具は睡眠の質に影響する要素が大きいため、できるだけこだわりたいところです。マットレスや枕が体に合っていないと感じる場合は、この機会に買い替えを検討することをおすすめします。
質の高い睡眠を求める方には、適度な硬さと反発力があって寝返りを打ちやすく、体圧をバランス良く分散できるマットレスが最適です。
以下の記事では、低反発・高反発マットレスについて詳しく解説しています。興味がある方はぜひチェックしてください。
リラックスする
就寝前はより眠りやすい状態に体を導くためにも、心身をリラックスさせることが大切です。不安やストレスなどで体が緊張状態にあると、なかなか寝つけずに睡眠不足になってしまう可能性もあります。
リラックスする方法は「アロマオイルを焚く」「心地良い音楽を聴く」「軽くストレッチする」などさまざまあるので、自分に合った方法を就寝前に試してみましょう。
まとめ
片頭痛や緊張型頭痛は、さまざまな要因がきっかけで生じます。そのため、まずは原因を把握し、ライフスタイルを見直しましょう。
昼寝のしすぎが原因だと感じる場合は、頭痛の種類によって冷やす、温めるなどの対処法をぜひ試してください。
また、根本的な解決策として、昼寝のしすぎを防ぐために普段の睡眠の質に目を向けることも大切です。積極的に体を動かして食事のリズムを整えるなど、夜に質の良い睡眠がとれるように意識しましょう。睡眠環境を整えるには、自分に合ったマットレスや枕選びも重要です。
なお、頭痛が生じた場合、医療関係に詳しい専門家でない限り自分だけで対処するのには限界があることも理解しておきましょう。「あまりにも痛みがひどい」「症状が改善しない」という場合は、自力でどうにかしようとせず、医療機関に相談することをおすすめします。