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2024.03.11 更新

【医師監修】寝過ぎて腰が痛いと感じる原因は?腰痛への対策や予防方法なども紹介

【医師監修】寝過ぎて腰が痛いと感じる原因は?腰痛への対策や予防方法なども紹介

長い時間寝た時に、腰が痛くなったことがある方は多いでしょう。中には、「きちんと寝たのに何故か体がだるい」という方もいるかもしれません。

日々の疲労を回復させるために睡眠は欠かせないものですが、寝過ぎると腰痛や肩こりなどに繋がるケースがあるため注意が必要です。

特に使っている寝具が体に合っていないと、睡眠時間に関わらず体調不良を引き起こす可能性があるため、「寝起きに腰が痛い」と感じているのであれば、寝具選びのポイントを理解しておきましょう。

この記事では、睡眠が体調不良に繋がるメカニズムを解説しつつ、腰が痛いという症状への対処法も紹介します。寝過ぎて腰に違和感がある方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 寝過ぎて腰が痛いと感じるメカニズムとは
  2. 寝過ぎることで腰痛を引き起こす3つの要因
  3. 上手に寝返りが打てていない
  4. 寝具が自分の体に合っていない
  5. 寝姿勢が体に負担をかけている
  6. 寝過ぎて腰が痛い時の対処法
  7. ストレッチで筋肉の緊張をほぐす
  8. 入浴して体を温める
  9. 運動して筋肉を強化し血行を促進する
  10. 寝過ぎによる腰痛への予防法
  11. 睡眠中に体へかかる負担を軽減させる寝姿勢で寝る
  12. 寝過ぎないようにする
  13. 枕やマットレスを選ぶ際のコツ
  14. 枕の選び方
  15. マットレスの選び方のコツ
  16. まとめ

寝過ぎて腰が痛いと感じるメカニズムとは

人が寝ている時には、体重による圧力(体圧)が常に全身にかかり続けている状態です。

体圧によって体に負担がかかり続けると血行不良を起こす原因となるため、人は無意識のうちに「寝返り」を打ちます。寝返りを打って体圧がかかる部位を分散させることで、体の一部だけが長時間圧迫されるのを防ぐためです。

しかし、自分の体に合わないマットレスや敷布団、枕といった寝具を使っていると、寝返りが打ちづらくなり体圧が一部に集中しやすくなります。

体に負担がかかって血行不良になれば、筋肉が緊張して腰痛や肩こり、首こりなどの体調不良に繋がる可能性があるため、就寝中に上手に寝返りを打つことは重要です。

長時間寝ていると、体の一部に負担がかかり続ける状況が長くなるため、より体の痛みを引き起こしやすくなるといえるでしょう。

寝過ぎて腰が痛いと感じるのであれば、睡眠時の血行不良に注意して、快適に寝返りを打ちやすい寝具を使うことが大切です。

寝過ぎることで腰痛を引き起こす3つの要因

腰痛が起こる場合、日中の姿勢や筋肉の衰えなどが原因になっている可能性があります。中でも「寝過ぎた時に腰が痛い」というケースにおいては、以下3つの原因が考えられるでしょう。

  • 上手に寝返りが打てていない
  • 寝具が自分の体に合っていない
  • 寝姿勢が体に負担をかけている

寝返りや寝具の重要性について、さらに詳細な内容を解説します。

上手に寝返りが打てていない

寝返りとは、睡眠中にかかる体への負担を軽減するために誰もが行う生理現象です。

体の同じ部位が圧迫されることを防ぎ血行を促進するために、人は一晩のうちに20~30回ほど寝返りを打ちます。

しかし、何かしらの要因によって寝返りが打ちづらくなった場合、体にかかる負荷が増加して腰痛を引き起こす可能性があります。

寝返りを打ちづらくなる原因は、以下のような例が挙げられます。

  • 筋肉が衰えている
  • 筋肉が凝り固まっている
  • 重い掛け布団を使っている
  • 体格に対してベッドが狭い
  • 1人用のベッドに2人で寝ている
  • マットレスに適度な反発力がない

人によって就寝環境や寝返りの大きさは異なるため、上記以外のことが理由となっているケースもあるでしょう。

寝具が自分の体に合っていない

使っている寝具が「硬すぎる」「柔らかすぎる」など、体に合っていないことが腰痛の原因の可能性もあります。

特に、マットレスは就寝中の体に常に触れることとなるため、快適な姿勢を保ちやすく寝返りを打ちやすいマットレスを選ぶことは重要です。

もしマットレスが硬すぎる場合、血液の流れが滞りやすくなって腰に痛みを感じる可能性があります。一方、マットレスが柔らかすぎると、体の出っ張った部分が沈み込みすぎてしまい「くの字」の姿勢になる恐れがあります。

また、就寝中に使う枕が自分の体型に合っていることも大切です。枕は、就寝中の頭を支えて首にかかる負担を軽減させる役割を持っているため、枕が合っていなければ首から背骨にかけて負担がかかり、腰痛に繋がる可能性があります。

睡眠は、人生の3分の1を占めるといわれるほど長時間にわたるものです。疲労を回復させるための「休息の時間」である睡眠中に体へ負担をかけないためにも、寝具選びにはこだわることをおすすめします。

スムーズに寝返りを打つために重要な寝具選びのポイントは後述しているので、ぜひそちらも参考にしてください。

寝姿勢が体に負担をかけている

寝姿勢が悪いと腰痛に繋がります。また、理想的な姿勢で寝ていても、体の状態によっては負担をかけてしまうため注意しましょう。

例えば、仰向けの場合は、背骨がなだらかなS字カーブを描いた状態で、立っている時と同じ状態をキープできていることが理想の寝姿勢です。しかし、腰痛持ちの方で腸腰筋(ちょうようきん)という筋肉が縮まっている場合は、腰に負担がかかってしまいます。

横向きの場合は、舌が落ち込むことによる気道の妨げがないため、いびきが気になる人には、横向きで寝ることをおすすめします。しかし、腰に負担が集中して血行不良を起こす可能性があるため、腰痛にお悩みの方は注意が必要です。

どちらの体勢もそれぞれメリット・デメリットはあるものの、同じ姿勢で眠り続けると、マットレスや布団に接している部分に長時間の圧力がかかり、血行不良や腰痛が引き起こされてしまいます。

寝過ぎて腰が痛い時の対処法

すでに寝起きの腰に痛みを感じている場合、筋肉が緊張状態になっている可能性があります。

長期にわたって痛みが続く場合や、激しい痛みを感じる場合には、医療機関を受診して適切な診断・治療を受けましょう。

それと同時に、自分で取り組める対処法もあります。日頃からできる以下の対処法を実践して、腰痛の悩み解消を目指しましょう。

  • ストレッチで筋肉の緊張をほぐす
  • 入浴して体を温める
  • 運動して筋肉を強化し血行を促進する

それぞれの方法について、詳しい内容を説明します。

ストレッチで筋肉の緊張をほぐす

腰痛には、ぎっくり腰のような「急性腰痛」と、普段の姿勢や寝過ぎなどによる血行不良が原因で起こる「慢性腰痛」という2つの種類があります。

筋肉の損傷や関節の炎症によって痛みが生じる急性腰痛の場合は、患部を冷やす対処法が効果的です。一方、血行不良や筋肉の緊張で起こる慢性腰痛の場合は、患部を温めて筋肉をほぐし、血行を促進する方法が有効だとされています。

寝過ぎによって起こるのは慢性腰痛だと考えられるため、血液の循環を促すために、背中や腰に繋がる筋肉の緊張をほぐすという対処法に取り組みましょう。

簡単にできる腰のストレッチを紹介するので、無理のない範囲で行ってみてください。

  1. 仰向けになる
  2. 両膝を抱えて胸に近づける
  3. その状態を30秒前後キープする

特にけがをした場合など原因が明らかな時には、自己流で無理に取り組むと痛みが悪化する可能性もあるため、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら試すと良いでしょう。

ただし、ストレッチを行って逆に症状が悪化してしまうなど、身体に違和感を感じた場合はすぐに中止し、整形外科などを受診してください。

入浴して体を温める

筋肉の緊張をほぐして血行を促すためにも、入浴はシャワーで済ませず、湯船にもきちんと浸かって体を温めましょう。

熱すぎるお湯で入浴すると、体が興奮して夜の睡眠に悪影響を及ぼす可能性があるため、お湯の温度はぬるめの38℃に調整すると良いです。25~30分ほどゆっくり湯船に浸かって、体を温めてください。

お風呂の広さに余裕がある場合には、体をひねるなどして無理なくストレッチするのもおすすめです。

運動して筋肉を強化し血行を促進する

筋肉が衰えると、腰の骨や背骨を支える力が弱くなり、腰痛に繋がる可能性があります。加齢やデスクワークの増加に伴う運動量の減少などによって筋肉の衰えを感じている方は、普段から適度な運動に取り組んで筋力強化を目指しましょう。

筋肉を鍛えることで腰の骨をバランスよく支えやすくなるだけでなく、運動には血行促進や筋肉の緊張をほぐす効果も期待できます。

さらに、日中に運動を行って適度な疲労感を得られていれば、夜に自然な眠気が促されて睡眠の質が向上する可能性があるところもメリットです。

自宅でも取り組める方法として、以下のような腹筋に取り組んでみてはいかがでしょうか。

  1. 仰向けになって膝を立てる
  2. 両膝に手が触れるまでゆっくり起き上がる
  3. 10秒前後キープする
  4. ゆっくり体を戻す

こちらもストレッチ同様、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、無理のない範囲で行ってください。

長田夏哉

長田夏哉

田園調布 長田整形外科 院長

寝過ぎて腰が痛いケースにおいて、下肢のしびれや知覚障害、運動麻痺などほかの症状が出現した場合、腰痛が持続的なものとなった場合、また発熱などを伴う痛みの場合などでは、出来るだけ早急に医療機関を受診する必要があります。

寝過ぎによる腰痛への予防法

腰痛は、寝過ぎが原因で起こることもあります。以下は、寝過ぎによる腰痛の予防法です。

  • 睡眠中に体へかかる負担を軽減させる寝姿勢で寝る
  • 寝過ぎないようにする

以下で、それぞれについて詳しく解説します。

睡眠中に体へかかる負担を軽減させる寝姿勢で寝る

寝過ぎによる腰痛への予防には、理想的な寝姿勢で眠ることが大切です。

理想的な寝姿勢は仰向け寝・横向き寝それぞれ異なるため、普段の寝姿勢に応じて、以下の基準を参考にしてください。

  • 仰向け寝:背骨が緩やかなS字カーブを描く状態
  • 横向き寝:頭から背骨にかけて真っすぐになる状態

寝ている時に寝姿勢を意識することは難しいため、自分の体に合う寝具を使うことにより、これらの寝姿勢を保ちやすくなるでしょう。

ただし、マットレスの沈み込み具合や反発具合は人それぞれの体型・体重によって異なります。そのため、自分の体型を考慮しつつ、自分が「快適に眠れる」と思える寝具を選ぶことが重要です。

寝過ぎないようにする

先述したように、長時間同じ姿勢で寝ることによって体が圧迫され、腰痛が生じます。そのため、まずは普段から長時間寝ないようにすることも大切です。

ただし、体調不良や妊娠中で横になっていることが多い場合など、長い睡眠時間を必要とする状況もあるでしょう。その場合は、体の状態を優先し、寝姿勢や起床後の簡単なストレッチなどで工夫をすることをおすすめします。

枕やマットレスを選ぶ際のコツ

枕やマットレスを選ぶ際のコツ

理想的な寝姿勢をキープして、上手に寝返りを打つためにも、寝具の選び方にはこだわりましょう。

特に、就寝中の寝姿勢に影響を与えるマットレス・枕の選び方のポイントについて、詳細を解説します。

寝具の見直しを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

枕の選び方

枕を見直す際には、高さや素材、サイズを考慮して選ぶことをおすすめします。

枕の高さに関しては、前述した仰向け寝・横向き寝に応じた理想的な寝姿勢を保ちやすい高さのものを選びましょう。枕の高さが合っているか確認する際には、「目線」を基準にすることをおすすめします。

仰向け寝の場合には、目線が真上よりやや前を向いていれば高さが合っていると判断できます。目線が足元を向きすぎている場合は、枕が高すぎるといえるでしょう。横向き寝をした際には、目線が床と平行になる高さが目安となります。

枕のサイズに関しては、さまざまな大きさの商品が販売されているものの、大まかに以下の3種類にわけられます。

  • 小さめ:約50×35cm
  • 標準:約63×43cm
  • 大きめ:約70×50cm

左右に寝返りを打った際、枕から頭が落ちないサイズを選びましょう。具体的には、頭3つ分程度の横幅がある枕がおすすめです。

どのサイズを選べば良いかわからない方は、まず標準サイズのものを試してみて、寝心地に応じてほかのサイズも検討すると良いでしょう。

また、枕の中材として使われている素材は、寝心地や硬さに直結する要素となります。

枕に使われることが多い素材の特徴について、以下一覧表にまとめましたので参考にしてください。

素材特徴
そばがら・安定感がある
・熱の発散に優れている
低反発ウレタン・凹凸に合わせて沈み込む
・頭を包み込むように支える
高反発ウレタン・適度な反発力がある
・フィット感がある
パイプ・通気性に優れている
・水洗いできる
羽毛・包み込むような寝心地
・復元性が高い
羽根・ふんわりした寝心地
・吸湿性と放出性に優れている
ポリエステルわた・弾力性がある
・ふんわりした感触
ファイバー・通気性が高い
・水洗いできる

理想的な寝姿勢がキープできることを前提として、サイズや素材など、自分にとって寝心地が良く好みのものを選びましょう。

マットレスの選び方のコツ

マットレスには、内部にコイルが内蔵されたタイプやウレタンを使ったタイプなど、さまざまな種類があります。

主なマットレスの種類と特徴は、以下のとおりです。

マットレスの種類特徴
ポケットコイルマットレス・コイルが独立している
・体を「点」で支える
ボンネルコイルマットレス・コイルが連結している
・体を「面」で支える
ウレタンマットレス・ウレタンを素材として作られている
・質によっては「耐久性」「通気性」が悪い
・「高反発マットレス」と「低反発マットレス」がある
ファイバーマットレス・網目状のポリエチレンで作られている
・水洗いできる
ラテックスマットレス・ゴムの樹液を加工して作られている
・耐久性は高くない

血行不良を防ぐために寝返りの打ちやすいマットレスを選ぶなら、体圧分散性に優れており、適度な反発力があるマットレスがおすすめです。

体圧をバランスよく分散でき、反発力によって体が押されるように寝返りを打ちやすいマットレスであれば、体の一部に負荷が集中することを避けやすくなります。

人それぞれ寝心地に好みはあると思いますが、腰痛のことを考えてマットレスを選ぶのであれば、血流を妨げず寝返りを打ちやすいマットレスであることは前提として検討すると良いでしょう。

なお、以下の記事では、腰痛の方に向けて、腰痛とマットレスの関係や腰痛対策のためのマットレス選びも解説しています。ぜひご覧ください。

腰痛 マットレス
【医師監修】腰痛はマットレスで改善できる?おすすめのマットレスの選び方も紹介
長田夏哉

長田夏哉

田園調布 長田整形外科 院長

寝具についてはさまざまな見解がありますが、最も大切なポイントは「寝返りがスムーズにできること」です。その点から自分に合った寝具をトータルで考えていくのが重要です。

寝方については、それぞれにメリット・デメリットがあります。一般的に考えられている寝方別の工夫を紹介しますが、自分の腰痛との関連性を確かめて選択することが大切です。

仰向け寝の場合、軽く膝を曲げた仰向けになるように両膝下にクッションや丸めた毛布などを入れて、腰の反りを防止しましょう。横向き寝の場合、抱き枕やクッションを使い、体を安定させて筋肉をリラックスさせましょう。うつぶせ寝の場合、腹部にやわらかい枕を入れて腰が反るのを軽減させましょう。基本的には腰への負担が大きいのでおすすめしません。

まとめ

寝過ぎて腰が痛いと感じる場合、就寝中に体にかかっている体圧の影響が原因となっているかもしれません。

使っている寝具が体に合っていなければ、上手に寝返りを打てず体圧が一部に集中しやすくなるため、腰痛に繋がる可能性があります。

もし、腰痛がひどく長期間続いている、または、ぎっくり腰やケガなど心当たりがある場合には、医療機関を受診して専門家による適切な診断を受けましょう。

同時に、日頃から腰に負担をかけすぎない行動を心がけることも大切です。定期的なストレッチや運動を生活に取り入れて、筋肉の緊張をほぐすことを意識してください。

また、就寝中の体圧を上手く分散させるためには、寝具選びにこだわるのもおすすめです。この記事で紹介した内容を参考にして、寝返りを打ちやすく快適に眠れる寝具を選んでみましょう。

この記事の監修者
長田夏哉
長田夏哉田園調布 長田整形外科 院長
田園調布 長田整形外科 院長。日本医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科学教室入局、慶應義塾大学病院、済生会神奈川県病院、大田原赤十字病院(現 那須赤十字病院)、川崎市立井田病院、川崎市立川崎病院 等にて勤務、川崎市立川崎病院 医長、田園調布 長田整形外科開設。
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