目覚ましをかけて寝ているのに、毎朝目覚ましで起きられずに困っている方の中には、「目覚ましのアラームがなぜ聞こえないのか」「もしかしたら何らかの病気なのではないか」と不安に思う方もいるかもしれません。
また、朝しっかり起きるために、目覚ましの音が聞こえない場合の原因や対策を知りたいと思っている方もいるでしょう。
この記事では、目覚ましのアラームが聞こえない理由や聞こえない場合の対策、目覚ましで起きられない場合に考えられる病気などを紹介します。
朝目覚ましが聞こえない・起きられない理由
朝目覚ましが鳴っているのに聞こえない、起きられない理由として、主に以下のようなものが挙げられます。
- 睡眠不足
- 低血圧
- ストレス
- 目覚まし時計の使い方の問題
それぞれについて詳しく解説します。
睡眠不足
目覚ましをかけているのに、アラームが聞こえずに起きられない理由として考えられるのは、睡眠不足です。自分では十分に眠っているつもりでも、肉体的には不十分というケースはよくあります。
どうしても寝坊してしまう方は、まず自分に適切な睡眠時間を把握することから始めると良いでしょう。社会人の理想的な睡眠時間は6~8時間程度といわれていますが、人によって最低減必要な睡眠時間は異なります。
そのため、「自分に必要な分の睡眠時間を確保できているか」が重要です。
低血圧
低血圧とは、最高血圧が100mmHg以下、最低血圧が60mmHg以下である場合を指します。低血圧の症状として、倦怠感や貧血、食欲不振だけでなく「朝起きにくい」「起きられない」などのケースも挙げられます。
そのため、睡眠不足でなくても「朝目覚ましが聞こえにくい」「聞こえていてもなかなか起きられない」などの状態になる可能性があります。
なお、低血圧と眠気の関係について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ストレス
ストレスが溜まっていると、夜寝る前まで緊張が続くため、寝付きにくくなったり眠りが浅くなったりします。そのため、睡眠の質が低下しやすくなり、目覚めの悪さに繋がります。
ストレスによって目覚めにくい状況が続くことで、目覚ましのアラームが聞こえにくくなったり、朝すっきりと起きにくくなったりするなど、寝起きに影響を及ぼします。
目覚まし時計の使い方の問題
そもそも目覚まし時計の使い方が誤っている可能性もあります。目覚まし時計の設定をオンにし忘れている、目覚まし時計の音量が小さいなど、目覚まし時計の設定に問題があると目覚ましとして機能しません。
また、目覚まし時計を置く場所が遠すぎたり、目覚まし時計が枕・布団に挟まっていたりすると、聞こえる音が小さくなるため、目覚ましが鳴っていることに気づけないかもしれません。布団を頭からかぶって寝ている場合も同様で、目覚まし時計の音が聞こえにくくなります。
目覚ましが聞こえないなら病気の可能性も疑われる
大音量で目覚ましの音が鳴っているのに起きられない場合は、何らかの病気である可能性も考慮しなければなりません。考えられる病気としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 睡眠相後退症候群
- 起立性調節障害
- 概日リズム睡眠障害
- 睡眠時無呼吸症候群
- むずむず脚症候群
上記の病気について、詳しく説明します。なお、自分の症状が何らかの病気に当てはまっているのではないかと不安な方は、早めに医療機関の受診を検討してください。
睡眠相後退症候群
睡眠相後退症候群は、体内時計が普通の方よりも遅れているために、夜眠くならず朝起きられない症状が見られる病気です。なかなか寝付けず、起きるべき時間に起きられない状態が慢性的に持続します。この症状は、睡眠リズムが後退していることが原因で引き起こされます。
起立性調節障害
起立性調節障害は、立ち上がる際に何らかの原因で自律神経が上手く働かずに、立ちくらみや頭痛などの身体症状が起こる病気です。思春期に好発する自律神経機能不全の一つで、昼夜逆転生活になり起床時間が遅くなる場合もあります。
概日リズム睡眠障害
概日リズム睡眠障害は、体内時計の周期を、24時間周期に適切に同調させることができないために生じる睡眠障害です。人間の体内時計の周期は約25時間といわれており、1日の周期である24時間より1時間ほど長くなっています。
通常であれば日常生活でさまざまな刺激を受けることにより、体内時計が24時間周期に同調して、約1時間のずれが修正されます。
しかし、概日リズム睡眠障害では、体内時計のずれが修正されないため、望ましい時刻での入眠・覚醒ができなくなってしまいます。結果として、生活周期が整わず、朝スッキリと起きられない要因になります。
睡眠時無呼吸症候群
目覚ましが鳴っても起きられない原因として、睡眠時無呼吸症候群の可能性も挙げられます。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている時に一時的に無呼吸状態になる病気です。英語名の「Sleep Apnea Syndrome」の頭文字をとって、SASとも呼ばれます。
睡眠時無呼吸症候群で呼吸が止まった状態が繰り返されると熟睡感を得にくく、朝の目覚めの悪さに繋がります。放っておくと高血圧や脳卒中、糖尿病などを引き起こすリスクがあるため、睡眠時無呼吸症候群を疑う場合には、速やかに医師に相談しましょう。
なお、睡眠時無呼吸症候群について、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひこちらもご一読ください。
むずむず脚症候群
むずむず脚症候群は、レストレスレッグス症候群とも呼ばれ、座ったり横になったりすると足に違和感を覚える病気です。違和感の出方は、「むずむずする」「かゆい」「針で刺されているような感じがする」「虫が這っているような感じがする」など、人によってさまざまです。
脳内の神経系の異常や貧血などから発症すると考えられています。横になると症状が出ることから上手く寝られずに、結果として眠りが浅くなり、朝なかなか起きられなくなってしまいます。
朝目覚ましのアラームが聞こえない場合の対処法
目覚ましのアラームが聞こえずに起きられない場合の対処法は、主に以下のような方法が考えられます。
- 朝に日差しが入る睡眠環境で寝る
- 光目覚まし時計を使う
- 誰かに起こしてもらう
- 目覚まし時計を複数使う
- 目覚まし時計のスヌーズ機能を使う
目覚ましのアラームが聞こえない場合の対処法を詳しく説明します。
朝に日差しが入る睡眠環境で寝る
朝になって自然と日差しが入る環境で寝れば、目も覚めやすくなります。また、太陽光を浴びることは体内時計をリセットする効果もあるので、良い睡眠リズムを作る観点でも効果的です。
ただし、日差しが入るようにカーテンを開けっ放しにしたまま寝る場合は、防犯面に十分注意しましょう。
光目覚まし時計を使う
目覚ましのアラームが聞こえなくて起きにくいなら、光で起こしてくれる「光目覚まし時計」の使用を検討しましょう。
光目覚まし時計とは、音ではなく明るい光で起こしてくれる時計のことです。人によりますが、音よりも無理なく起きられる場合があります。
また、朝日が入りにくい部屋でも、光目覚まし時計を使用すれば、太陽光で目覚めるように快適に起床できるでしょう。
誰かに起こしてもらう
自力で起きられないのであれば、誰かに起こしてもらうことも手段の一つとして考えられます。目覚ましの音が聞こえなくても、同居している方に直接起こしてもらえれば、いやでも目覚めるはずです。
一人暮らしの場合は、友人や家族などにモーニングコールをお願いしてみるのも良いでしょう。
目覚まし時計を複数使う
目覚まし時計を一つしか使っていない場合、鳴っている音が聞こえなければ目を覚ますのは難しいです。同じものをずっと使っていると耳が慣れてしまって、音が鳴っても気が付きにくくなる可能性もあります。
目覚まし時計が複数あれば、それぞれ別に音が鳴るので、どれかの音が耳に入って起きられる確率が上がります。
それぞれ異なる音の鳴る目覚まし時計を使うことで、耳が音に反応する可能性を多少なりとも上げられるでしょう。同じ場所にまとめて置くのではなく、できればそれぞれ少しずつ離して置くようにしましょう。
目覚まし時計のスヌーズ機能を使う
目覚まし時計のスヌーズ機能を使えば、目覚ましを止めた後に眠ってしまっても、再度音が鳴るので起きやすくなります。
1度では目が覚めない方でも、スヌーズ機能によって間隔を空けながら目覚ましの音を聞くことで、徐々に目が覚めていくでしょう。スヌーズの間隔は自由に選べることが多いですが、間隔が長すぎると効果が薄れるため、5分程度に設定しておくことがおすすめです。
朝すっきり起きるためには睡眠の質から見直そう
朝すっきりと起きるためには、睡眠の質から見直すことが大切です。睡眠の質を見直すポイントは、以下の2つです。
- 睡眠環境を整える
- 睡眠習慣を整える
それぞれについて詳しく解説します。
睡眠環境を整える
睡眠不足を解消するためには、睡眠環境を整えることが重要です。
睡眠環境とは睡眠をとる時の部屋の環境のことで、室温や照明、寝具などを指します。
「部屋が寒かったり暑かったりして眠れない」「マットレスや枕が合わない」などの理由で睡眠環境が乱れていると、心身にストレスがかかって睡眠の質が低下し、目覚ましを使っても起きられなくなる可能性が高くなります。
そこで、寝室の温度や湿度を適温に調整したり、寝心地の良いマットレスや枕などに買い替えたりすると、睡眠の質が高まって睡眠不足が解消され、目覚ましのアラームでも起きられるようになります。
睡眠環境を整える時のポイントは以下のとおりです。
- 寝室の温度と湿度を整える
- 寝具を自分に合ったものに変える
- 照明を暗くする
- 音環境を良くする
- 空気環境を整える
- リラックスできる服装で寝る など
睡眠不足を解消するためにも、まずは睡眠環境を整えることから始めてみましょう。
なお、睡眠環境について、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひこちらもご一読ください。
睡眠習慣を整える
睡眠環境を整えると同時に、睡眠習慣を整えることも重要です。睡眠習慣とは、睡眠の質を高めるために日々行っておきたい生活習慣のことを指します。
例えば、入浴は就寝の約90~120分前までに済ませておくと、体温が下がるタイミングで眠気を誘発でき、スムーズに寝られるようになるためおすすめです。
また、入浴の際は38℃のぬるめのお湯で25~30分程度、半身浴なら約40℃のお湯で30分程度を目安に入ると、体がリラックスして副交感神経が優位になり、睡眠の質の向上を期待できます。
ほかには、日常的に運動を行うことも大切です。適度な運動を習慣的に続けられれば、寝つきが良くなって睡眠の質が高まります。
おすすめの運動メニューは、ランニングや早足での散歩など、軽めの有酸素運動です。軽めの有酸素運動は負担が少ないため、運動に慣れていない方でも長続きします。
なお、就寝前に激しい運動を行うと交感神経が優位になってしまうためおすすめできません。軽めの有酸素運動は夕方から夜にかけて行うと良いでしょう。
まとめ
目覚ましのアラームが聞こえずに起きられない場合に考えられる原因は、睡眠不足や低血圧、ストレスなどです。「自分に必要な睡眠時間」を確保できていなければ、目覚ましのアラームが大音量で鳴っていても、朝なかなか起きられない状態は変わらないでしょう。
朝に目覚めやすくするためには、日差しが入る環境で寝る、目覚まし時計を複数使う、音ではなく光で起床できる「光目覚まし時計」を使うなどの対処法が考えられます。
ほかにも、寝室の室温や湿度を調整し、寝具を自分に合ったものに買い替えて睡眠環境を整え、入浴する時間や湯温、日常的な運動などの生活習慣を身に着けることで、睡眠の質を高めてみましょう。
上記の対処法や対策を実践しているのに、目覚ましが鳴ってもなかなか起きられない場合は、睡眠相後退症候群や概日リズム睡眠障害などの病気が原因の可能性も考えられます。病気が原因だと思われる場合には、なるべく早く医療機関を受診することをおすすめします。