毎日使用する寝具はできるだけ清潔に保ちたいところですが、どうしても汚れてしまいます。そのなかでも特に気になりやすい汚れが、枕カバーの黄ばみです。枕は顔が触れる部分なので、少しの汚れでも不快感に繋がります。
この記事では、枕カバーが黄ばむ原因や落とす方法、予防するポイントなどを詳しく解説します。枕カバーの黄ばみが取れずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
枕カバーの黄ばみの原因
枕カバーが黄ばむ原因としては、主に下記の6つが挙げられます。
- 皮脂
- 寝汗
- よだれ
- 濡れた髪の毛
- 日焼け
- 落とし切れなかった洗剤
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
皮脂
枕カバーが黄ばむ原因の一つが皮脂です。枕は頭部を支える寝具のため、頭皮からの皮脂汚れが付着しやすいです。この付着した皮脂は酸化すると変色し、枕カバーの黄ばみの原因となります。
寝汗
枕カバーが吸った寝汗も黄ばみの原因となります。人は寝ている間にコップ1杯ほどの寝汗をかくといわれており、睡眠中にかいた汗は枕カバーなどの寝具が吸収します。
この時に吸収された寝汗はある程度の時間が経過すると変色してしまい、枕カバーの黄ばみとなる場合があります。
よだれ
寝ている間によだれが垂れている場合は、それが黄ばみの原因となっている可能性もあります。とくに口呼吸で寝ている方は、よだれが垂れやすいので注意してください。
濡れた髪の毛
お風呂に入った後、「髪の毛を乾かす手間が面倒でそのままベッドに入った」という経験がある方もいるでしょう。しかし、髪の毛が濡れたままベッドに横になると、それが原因で枕カバーが黄ばむ可能性があるので気をつけてください。
髪の毛が濡れていると雑菌が繁殖しやすくなるほか、枕にも湿気が溜まってしまうため、カバーの汚れに繋がる場合があります。
日焼け
枕カバーは、日光による日焼けにより黄ばんでしまう可能性があります。枕カバーを洗濯して外干しをする際、直射日光に当てすぎないよう注意しましょう。
また、「風通しの良い場所に干す」「表裏をひっくり返しながら干す」なども、日焼け対策に効果的です。
吉岡容子
高梨医院院長
皮脂が過剰で髪がべたついたり、フケやにおいが気になったりする場合は皮膚科に相談しましょう。皮脂が過剰になるのは、食事内容や肥満が原因のことがあります。寝汗が多い場合は、甲状腺疾患・更年期障害・自律神経失調・多汗症・悪性リンパ腫など、内科的な疾患が隠れている可能性もあります。
また、よだれが出る時には口を開けて寝ている場合が多く、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があるため、内科に相談しましょう。
落とし切れなかった洗剤
洗剤は汚れを落としたい時に役立ちますが、量が多すぎると汚れの原因となることがあるため注意しましょう。洗剤の量が多すぎると枕カバーにシミになる可能性があります。
また、黄ばみの原因である洗剤残りや皮脂汚れなどはダニのエサになるため、そのまま放置するとダニの繁殖に繋がる場合もあります。嫌な臭いが出ることもあるので、枕カバーの汚れは早めに落とすことをおすすめします。
なお、以下の記事では枕が臭くなる原因や洗い方、予防法について詳しく紹介しています。ぜひこちらもご一読ください。
枕カバーの黄ばみを落とす方法
枕カバーの黄ばみは、粉末タイプの酸素系漂白剤と衣類用の洗濯洗剤で洗うと落とすことができます。枕カバーを洗う手順は下記のとおりです。
- たらいや洗面器に枕カバーを入れる
- 黄ばんでいる箇所に5gの酸素系漂白剤を直接ふりかける
- 枕カバーが浸かるように約50℃のぬるま湯を注ぐ
- 30分~2時間ほどつける
- 衣類用の洗濯洗剤を入れて洗濯機で枕カバーを洗う
- 天日干しなどで乾かす
なお、酸素系漂白剤には液体タイプの製品もありますが、枕カバーの黄ばみを落とす場合は粉末タイプのほうが効果的です。手元に粉末タイプの酸素系漂白剤がない方は、ドラッグストアなどで探してみてください。
吉岡容子
高梨医院院長
酸素系漂白剤と洗濯洗剤を選ぶ際、以下の成分には注意が必要です。
・ラウリル硫酸ナトリウム
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル
・α-スルホ脂肪酸エステルナトリウム
・アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
肌が弱い方は、すすぎは1回ではなく何度か行い、皮膚や体調に異変があった場合は洗剤を変更してみるなどの対処が望ましいです。また、合成洗剤ではなく石鹸成分の洗濯洗剤を選んだり、成分にこだわった洗剤を選んだりすると良いでしょう。
枕カバーの黄ばみを予防するポイント
枕カバーの黄ばみを落とした後は、また汚れないように予防をしましょう。
枕カバーの黄ばみ予防として、以下のような作業を取り入れることをおすすめします。
- 定期的に液体の酸素系漂白剤を使用して洗う
- すすぎを念入りに行う
- 枕カバーの上にタオルを巻く
それぞれ詳しく解説します。
定期的に液体の酸素系漂白剤を使用して洗う
黄ばみ防止のためには、定期的に液体の酸素系漂白剤を洗剤と一緒に入れて洗うことが大切です。
頻度の目安は週に1回〜2回。先ほど紹介した方法を参考に洗い、清潔な状態を保ちましょう。
すすぎを念入りに行う
枕カバーを洗ううえで気をつけたいことが、すすぎの回数です。
すすぎの工程にかける時間が少ないと、カバーに残った洗剤が原因で黄ばんでしまう可能性があります。
黄ばみを予防するためにも、1回ではなく2回〜3回はすすぐと良いでしょう。日々洗う際の積み重ねで、枕カバーの黄ばみを予防できます。
枕カバーの上にタオルを巻く
枕カバーの上からタオルで巻くと、頭皮が枕カバーと直接接することがなくなり、黄ばみ防止に効果が期待できます。
なお、使用したタオルは定期的に洗濯しましょう。こまめに巻いているタオルを交換することで、枕を衛生的な状態に保つことが可能です。
吉岡容子
高梨医院院長
汚れを放置した枕カバーや寝具には、雑菌やカビが繁殖します。すると、皮膚炎・ニキビ・シラミ・真菌症が生じて、湿疹やアトピー性皮膚炎など、さまざまな皮膚病が発生し、全身に及ぶ可能性があります。
枕本体の黄ばみはどう落とす?
なかには枕カバーではなく、枕本体の黄ばみに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。枕本体の黄ばみも落とすことは可能ですが、洗えるタイプか洗えないタイプかで落とす方法が異なります。
通常、枕を水洗いできるか、あるいは洗濯機で洗えるかどうかは、枕本体に付いている表示タグで確認が可能です。
出典:消費者庁「新しい洗濯表示」
NGマークが付いていない場合は、基本的に洗濯できます。
なお、使用している枕のタグが確認できない場合には、枕の素材で見極めるのも一つの手です。「ポリエステルわた」「パイプ」などは洗える素材ですが、「そばがら」「低反発ウレタン」「羽毛」などは洗えない素材なので注意しましょう。
ここからは、洗える枕と洗えない枕、それぞれで黄ばみを落とす方法を紹介します。
洗える枕の場合
洗える枕の場合は、洗濯機を使って黄ばみを落としましょう。枕本体の黄ばみは、下記の手順に沿って洗うと落とすことができます。
- 枕本体を洗濯ネットに入れる
- 中性洗剤を入れて洗濯機を回す
- 洗濯が終わったら天日干し、または陰干しをする
- 完全に乾いたことを確認したら枕カバーをつける
なお、上記は一例であり、枕の洗濯表示に従って洗うようにしましょう。
自分が使っている枕の汚れ具合に応じて、洗い方を変えてみてください。
洗えない枕の場合
洗えない枕の場合は洗濯するのではなく、手で拭き取る形で黄ばみを落とします。黄ばみを落とす手順は下記のとおりです。
- 中性洗剤とタオルを用意する
- 中性洗剤にぬるま湯を入れて薄める
- タオルにぬるま湯で薄めた中性洗剤を含ませて絞る
- タオルで黄ばんでいる箇所を拭く
- 黄ばみが取れたら洗剤を拭きとる
- 天日干し、または陰干しをする
- 完全に乾いたことを確認したら枕カバーをつける
黄ばみを手で拭き取る場合は、あまりゴシゴシと拭きすぎないように気をつけましょう。製品にもよりますが、力を入れ過ぎると枕がへたってしまう可能性があるので注意してください。
上記の方法を試してもなお、黄ばみが取れない場合は、クリーニング店に持って行き、プロに依頼することも選択肢の一つです。
料金はおよそ1,000~2,000円程度ですが、クリーニング店によって料金体系は異なるのであらかじめ確認しておくと良いでしょう。
クリーニング店に頼むメリットとして、クリーニングのプロが洗ってくれることで、自宅で洗うよりも仕上がりの肌触りが良くなったり、変形を防げたりする点が挙げられます。
ただし、枕の素材や汚れの状態によってはクリーニングを断られる場合もあるため、注意が必要です。枕に付く汚れは汗やフケなど水溶性のものが多いので、ドライクリーニングではなく、水を使って洗う「水洗い」のプランで頼むようにしましょう。
まとめ
マットレスや掛け布団など寝具には種類がありますが、とくに枕カバーの黄ばみは気になりやすいでしょう。自分がより気持ち良く眠るためにも、汚れを見つけたらすぐに落とし、清潔な状態を保ちましょう。
枕の黄ばみを予防する方法として、「定期的に液体の酸素系漂白剤を使用して洗う」「すすぎを念入りに行う」「枕カバーの上にタオルを巻く」などの対策があります。ぜひこの記事で紹介した予防方法を試してください。
また、枕カバーの黄ばみがどうしても落ちない場合は、「クリーニングに出す」、または「新品に買い替える」という選択肢もあります。自分に合った方法で、枕カバーを清潔に保つよう心がけてください。