布団に入っても足が冷たいと、なかなか寝付きにくいものです。これが原因で寝不足になり、翌日の活動への影響が心配になる方も多いでしょう。
足の冷えを放置すると、より症状が重くなったり、体に不調をきたしたりするケースもあるため注意が必要です。つらい体の冷えを解消させるためにも、日頃の生活習慣から見直しましょう。
この記事では、布団に入っても足が冷たい理由や対策をわかりやすく説明します。おすすめのストレッチ方法や適切な寝具の使い方も紹介するので、足や体の冷えを改善したい方はぜひ試してください。
布団に入っても足が冷たいと感じる理由
布団に入っても足が冷たく、眠れないと感じる場合もあるでしょう。冬の寒い時期では足が冷たいと感じる機会が増えますが、季節を問わず足が冷たいと感じる場合には、以下の原因が隠れている場合があります。
- 冷え性になっている
- 寝具の使い方を誤っている
上記の内容を詳しく解説します。
冷え性になっている
布団に入っても足が冷たい場合、冷え性の可能性があります。冷え性とは、寒くない環境でも手足などが冷たく、季節を問わずいつも体が冷えた感じがする症状のことです。血流が悪くなることで温かい血液を毛細血管へ流れず、血管が収縮して起こります。
筋肉には熱を作って体温を上昇させる役割があるため、男性より女性のほうが筋肉量が少ない関係から、女性のほうが冷え性の方が多くなるといわれています。
また、女性は素足や薄手のワンピースなど冷えやすい服装が多いうえに、過度なダイエットで栄養バランスが偏りやすいことも理由だと考えられています。
寝具の使い方を誤っている
布団やマットレスを床に直に置いて寝ていたり、通気性の高過ぎるベッドフレームやマットレスを使っていたりすると、足が冷えることがあります。
また、冬に夏用の寝具を使うなど、季節に合わない寝具を使うことで寒さに対処できず、体が冷えてしまうこともあるでしょう。
このほか、寝具と体の間にある隙間も足が冷える原因の一つです。布団の中に入った時に寝具と体の間に大きな隙間があると、その隙間から冷たい空気が入り込んで体が冷えてしまう可能性があります。
寝具の使い方に問題がないにもかかわらず足が冷えてしまう場合は、寝具の素材に原因があるかもしれません。特に熱伝導率が高い素材を使った寝具は、足の冷えに繋がりやすいので注意が必要です。
熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを示す割合のことです。熱は温度が高い場所から低い場所へと移動する性質を持っており、熱伝導率が高ければ高いほど早く移動します。そのため、熱伝導率が高い素材を使った寝具は熱がすぐに冷たい空気のほうへ移動してしまい、なかなか布団が温まりません。
熱伝導率が比較的高い素材の例としては、麻が挙げられます。就寝中の寒さが気になるなら、羽毛や綿など熱伝導率の低い素材を使った寝具を使いましょう。
床に布団を敷いて寝ている
ベッドではなく、床に布団を敷いて寝ている場合も足の冷えに注意が必要です。
温かい空気に比べて冷たい空気は重く、下側に溜まりやすい性質があります。そのため、床に布団を敷いて寝る場合は寝具が冷たい空気層に囲まれる形になり、寒さを感じる原因となります。
また、古い物件で床下に換気口がある場合は、床がさらに冷たくなってしまいます。布団の厚みによっては、床の冷たさが体にまで伝わってしまうかもしれません。
このように、敷布団を使っていて足の寒さを感じる方は、この機会にベッドへの買い替えを検討しましょう。どうしても敷布団を使いたい場合は、床暖房を取り入れる、床の断熱性を高めるなどの方法で冷え対策を行ってください。
冷え性を放置すると体の不調に繋がる可能性がある
冷え性を放置すると、体の不調に繋がる可能性があるため注意が必要です。
冷え性は血行不良から引き起こされる症状ですが、血流の悪さは内臓の働きに影響を与えます。さらに、新陳代謝が低下するため、脂肪が燃焼されにくくなる、免疫機能が低下するなどの影響があらわれることもあるようです。
冷え性が招く症状としては、具体的に以下のようなものが挙げられます。
- 頭痛
- 腹痛
- 肩こり
- むくみ
- 便秘
- 下痢
- 関節痛
- 不眠
布団に入っても足が冷えて眠れない状況を解消するには、血行を良くして体を温めることが大切です。
寒い冬場だけでなく、夏場でも冷房によって体が冷えるため、膝掛けやタオルケットを用意するなど、寒さ対策を行いましょう。
日頃から取り組める4つの冷え対策
布団に入ってからも足が冷たい状態を解消させるには、日頃から冷え対策に取り組むことが大切です。
続いて、日常生活で取り組みやすい足の冷え対策を4つ紹介します。
- 寒くなりにくい恰好をする
- 湯船に浸かって足先の芯まで温める
- 適度な運動を習慣化させて血行を良くする
- 冷え改善が期待できる食べ物を摂取する
冷え対策には、体を温めることはもちろん、食事面でも大切なポイントがあります。それぞれの内容を詳しく解説します。
寒くなりにくい恰好をする
足をはじめとした体の冷えを抑えたい場合は、寒くなりにくい恰好で就寝することを心がけましょう。
例えば、綿を素材にしたパジャマは熱伝導率が低いうえに保温性に優れているため、就寝時に体が冷えにくいです。
寒くなりにくい格好をしても足の冷えを感じる場合は、足元に湯たんぽを置いて眠るのも良いでしょう。湯たんぽで足を温めると血流が良くなり、体内から熱が放出されてより快適に眠れるようになります。
ただし、長時間湯たんぽに密着していると、低温火傷を引き起こす可能性があるので注意してください。湯たんぽが45度の低めの温度でも、6〜10時間密着していると低温火傷に繋がる可能性があるといわれています。低温火傷を防ぐためにも、湯たんぽは足に直接触れない位置に置くことをおすすめします。
なお、足の冷えの改善方法として靴下をはいて眠る方もいるかもしれませんが、この方法はできるだけ避けましょう。靴下をはいた状態で眠ると体内の熱が放出されず、深部体温が下がりにくくなってしまいます。
深部体温とは体内部の熱のことで、人の体は就寝時に深部体温を下げて心身を休息させる仕組みになっています。しかし、靴下が原因で深部体温が下がらずにいると、体がしっかりと休息できず、睡眠の質が低下します。
足の冷え対策に靴下を使っていた方は、レッグウォーマーに変えてみるのがおすすめです。レッグウォーマーなら熱の放出を邪魔せずに足首を温められるため、睡眠の質低下を防げるでしょう。
湯船に浸かって足先の芯まで温める
体を温める最も簡単な方法として、入浴が挙げられます。体を芯から温めるためにも、お風呂はシャワーで済ませるのではなく、湯船に浸かりましょう。
理想的な入浴時間は湯温や入浴方法によって異なるため、好みに合わせて以下の入浴時間をチェックしてください。
- 38℃のぬるめのお湯:25分~30分程度
- 42℃の熱めのお湯:5分程度
- 半身浴:40℃程度のお湯で30分程度
お湯が熱すぎると体が興奮して「交感神経」が優位な状態になり、血管が収縮して冷えが悪化する可能性があるため、熱すぎる湯温での入浴は避けましょう。
また、入浴後は湯冷めしないよう、靴下を履いてしっかりと保温します。ただし、前述のとおり靴下は足の放熱を妨げることがあるため、就寝時には足先が出るようなレッグウォーマーにはきかえると良いでしょう。
適度な運動を習慣化させて血行を良くする
日中に適度な運動行うことで、筋力がアップして基礎代謝が上がり、血行が良くなる効果が期待できます。
取り組む運動はハードでなくても、軽いウォーキング程度で問題ありません。電車の駅一駅分を歩く、仕事の合間に簡単なストレッチをするなど、簡単なことから習慣化させてください。
また、適度な運動をすると体温が一旦上昇し、その後下降するタイミングで眠気が促されます。そのため、就寝時刻の3時間ほど前に運動を行えば、スムーズな入眠に繋がりやすいメリットもあります。
冷え改善が期待できる食べ物を摂取する
東洋医学では、食べ物を「陽性」「陰性」「中性」と3種類に分類しており、それぞれ以下の特徴があります。
- 陽性:体を温める食べ物
- 陰性:体を冷やす食べ物
- 中性:どちらでもない食べ物
冷えが気になる方は、陽性の食べ物を意識して取り入れましょう。陽性の食べ物には、寒い場所で採れる、冬に旬を迎える、水分が少ないなどの特徴があります。
食べ物の陽性・陰性の分類には諸説ありますが、陽性の食べ物の例は以下のとおりです。
- 生姜
- ニンニク
- にんじん
- ネギ
- ごぼう
- 胡麻
- さくらんぼ
- ぶどう
- 肉類
インターネット上には、陽性の食べ物を使ったレシピが数多く公開されているため、参考にしながら食事に取り入れると良いでしょう。
もちろん、陽性の食べ物ばかりを食べるのではなく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。栄養バランスが偏らないよう、さまざまな食材を使って日々の食事を楽しんでください。
また、就寝前に以下のような温かい飲み物を飲むこともおすすめです。
- 生姜湯
- カフェインレスの紅茶
- カフェインレスのほうじ茶
中でも、生姜は陽性の食品なので、体を温める効果が期待できます。生姜の味が苦手な方は、蜂蜜を入れて甘さを足してアレンジしましょう。
なお、コーヒーやエナジードリンクなどカフェインの入った飲み物は、睡眠の質を低下させてしまうため注意が必要です。上記のようなカフェインレスの飲み物を選びましょう。
布団に入っても足が冷たい時のストレッチ方法
足の冷えが気になる時、布団に入る前にストレッチを取り入れると効果的です。簡単にできるストレッチを2つ紹介するので、ぜひ挑戦してください。
一つ目は、つま先立ちで行うストレッチです。以下の手順で行いましょう。
- 壁に手をついて立つ
- かかとをあげてつま先立ちをする
- 数秒キープして、①の姿勢に戻る
- ②③を5回ほど繰り返す
続いて紹介するのは、椅子に座って行う足ストレッチです。寝る前だけでなく、仕事中にも取り入れてください。
- 椅子に座り片足を前へ伸ばす
- かかとを突き出すようにしてふくらはぎを伸ばし、10秒程度キープ
- つま先を伸ばして、同じく10秒程度キープ
- ②③を5回程度繰り返す
どちらも簡単にできるストレッチであるため、ぜひ日常に取り入れて習慣化を目指しましょう。
就寝中に足が冷える方向けの寝具の使い方
生活習慣を整えながらも、寝る時に足の冷たさを感じる場合には、以下のように寝る環境を整えましょう。
- 暖かさを感じる寝具を使用する
- 窓際を避けてベッドや布団を設置する
暖かさを感じる寝具を使用する
一般的に暖かさを感じられる寝具には、以下のものがあります。
- 布団乾燥機
- 電気毛布
- 保温性のある毛布
- 保温性のあるシーツ
布団に入って冷たいと感じる場合には、あらかじめ布団乾燥機や湯たんぽで温めておく方法もあります。また、電気毛布をマットレスや布団の上に置くと、冷たい寝具を温めてくれます。しかし、朝までずっと電気毛布を使っていると暑すぎて汗をかき、体調不良の原因にもなるため、タイマーを設定しておくなどしましょう。
なお、電気を使わずに温めたい場合には、保温性のある毛布やシーツも検討してください。ただし、毛布などの寝具を重ねて使う場合は、重みで寝返りが打ちにくくならないように注意しましょう。
窓際を避けてベッドや布団を設置する
窓際は外からの冷気が伝わりやすく冷えやすい場所です。そのため、窓際にはベッドや布団を置かないようにしたほうが、寒さを感じにくくなります。
家具の配置などで、ベッドや布団の位置がどうしても窓際になってしまう場合は、断熱シートや隙間テープで窓からの冷気を防ぎましょう。
また、ベッドや布団の位置を離しても窓からの冷気が伝わってくるようなら、厚手のカーテンで対策するのがおすすめです。厚手のカーテンをかけておくと断熱効果が高まり、冷気が伝わりにくくなります。
布団に入っても足が冷たい症状がつらいなら病院の受診も検討しよう
冷え性になる原因は人によってさまざまなので、原因に応じた治療や対策を行うことが大切です。上述した対策に取り組むことももちろん大切ですが、症状が気になる場合や長期間続く場合は、医療機関を受診して適切な診察と治療を受けましょう。
病院によっては「冷え性外来」を設けているところもあり、冷え性の診療を専門で行うクリニックもあります。お近くの病院を調べてみてください。
受診する科がわからない場合は、まずはかかりつけ医に相談すると、受診するべき病院や分野のアドバイスをもらえるでしょう。
まとめ
布団に入っても足が冷たい場合、冷え性の可能性があります。冷えの原因はさまざまですが、冷え性を放置すると、頭痛や肩こりをはじめとした体調不良に繋がる可能性があるため注意しましょう。
冷えが気になって眠れず睡眠リズムが乱れると、倦怠感があらわれてさらに眠れなくなるという悪循環に陥るケースもあります。体の冷え解消を目指すには、この記事で紹介したような生活習慣の見直しに取り組み、必要であれば暖かさを感じられる寝具の使用も検討してください。
そして、場合によっては、医療機関を受診して専門家に相談する方法も検討してください。適切な治療や対策を行い、冷えを解消して快眠を目指しましょう。
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