牛乳は豊富な栄養素がバランス良く含まれている健康的に良い飲み物として広く知られています。睡眠の質が高まる効果もあるため、寝る前に飲めばより快眠しやすくなるでしょう。
この記事では、牛乳を飲むことで得られる効果、睡眠の質を高める方法などを紹介します。
寝る前に牛乳を飲むと得られる効果
より健康的な生活を送りたい方や睡眠の質を改善したい方は、寝る前に牛乳を飲むと良いでしょう。
牛乳は健康に良い飲み物として広く知られているように、寝る前に飲むと下記のとおりさまざまな効果を得られます。
- 睡眠の質が高まる
- 疲労回復の効果がある
- 便秘の解消に繋がる
- イライラしにくくなる
睡眠の質が高まる
牛乳にはトリプトファンが多く含まれているため、寝る前に飲むと睡眠の質を高めやすくなります。
トリプトファンはアミノ酸の1つで、脳や体を活動状態に導く「セロトニン」というホルモンを作るために必要な栄養素です。
体内で作られたセロトニンは、夜になると心身を眠りやすい状態に導く「メラトニン」に変化します。メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれており、その働きによってより自然と入眠できます。
寝つきの悪さを感じる方は、寝る前に牛乳を飲んでメラトニンの生成に必要な栄養素を補給すると良いでしょう。
疲労回復の効果がある
牛乳に含まれているビタミンB1やカルシウムには、疲労回復の効果があります。寝る前に飲めば睡眠の疲労回復効果と牛乳の疲労回復効果が重なり、より気持ち良く目覚められるでしょう。
便秘の解消に繋がる
寝る前に牛乳を飲むことで、便秘の改善や解消に効果が期待できます。牛乳に含まれる乳糖には、水分を取り込んで便を柔らかくする働きがあるといわれています。 寝る前に飲むことで、翌朝の快便に繋がる可能性があるでしょう。
また、牛乳には消化吸収の補助に役立つとされる善玉菌を増やす栄養素も含まれているため、より良い腸内環境を保ちやすくなります。寝る前の牛乳摂取は、便秘で悩んでいる方にもおすすめの飲み物です。
イライラしにくくなる
気分を落ち着けてリラックスすることは、睡眠にとっても重要です。イライラしている状態では、快適な睡眠をとることは難しいでしょう。
イライラする原因は人によってさまざまですが、その1つとして挙げられるものがカルシウム不足です。カルシウムには精神を安定させて興奮を鎮める作用があり、足りなくなるとイライラに繋がってしまいます。
しかし、牛乳を飲めばカルシウムを効率良く摂取できるため、精神が安定してイライラしにくくなります。寝る前に牛乳を飲んで、リラックスした状態で眠りにつくようにすると良いでしょう。
なお、イライラが続く場合、睡眠不足が原因の可能性もあります。イライラと睡眠不足の関係は、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。
寝る前に飲むならホットミルクがおすすめ
寝る前に牛乳を飲む際は、自然な入眠を手助けしてくれるホットミルクが良いでしょう。
人の体は、内臓や脳の温度「深部体温」が下がることで眠くなる仕組みになっています。ホットミルクを飲んで体温が上昇すると、その後体温が下がっていく過程で自然と眠気が訪れます。
また、ホットミルクを飲んで心身がリラックスすれば、より眠りやすくなります。ホットミルクは鍋や電子レンジで簡単に作れるため、ぜひ温めて飲みましょう。
なお、寝る前に牛乳を飲むと、人によってはお腹を壊す可能性がある点には注意が必要です。ラクターゼという、牛乳に含まれる乳糖を消化する酵素が少ない場合、乳糖が分解されずに大腸に運ばれてガスが発生します。このガスが原因で、お腹を壊すケースがあります。
牛乳は温めて飲んだほうが乳糖を分解しやすくなり、お腹を壊しにくくなるといわれています。このような点からも、寝る前の牛乳はホットミルクとして飲むことをおすすめします。
また、牛乳をたくさん飲んだからといって、上記で挙げた効果が促進されるわけではありません。寝る前のみならず、牛乳の飲みすぎには注意しましょう。
牛乳を飲むと太るって本当?
なかには、「牛乳を飲むと太る?」と不安な方もいるのではないでしょうか。結論、適量であれば牛乳を飲んでも太る心配はないとされています。
牛乳には脂質が含まれていますが、乳脂肪に含まれる「短鎖・中鎖脂肪酸」と言う脂肪酸は、代謝が早くすぐにエネルギー消費される特性があります。そのため、消化吸収されやすく、体脂肪として蓄積されにくいです。
摂取カロリーが適切であれば、毎日牛乳を1杯飲んだからといって、太ることはないと考えられるでしょう。ただし、牛乳に砂糖を入れたり、量が多すぎたりすると太る要因になり得るため、適量を意識することが大切です。
梅舟仰胤
ファミリークリニックひきふね 院長
寝る前に牛乳を飲む場合は、通常であれば100cc程度が適量です。ただし、お腹を下しやすい方は避けたほうが良いでしょう。
脂質異常症や糖尿病などをお持ちの方は、牛乳を飲むと疾患の病勢を悪化させる恐れがあります。そのため、牛乳を飲む場合は主治医の先生とご相談ください。
牛乳を飲む以外に睡眠の質を高める方法
睡眠の質を高めるには、牛乳を飲む以外にも下記の方法があります。
- 寝る前に体を軽く動かす
- 就寝時間の90分〜120分前に入浴する
- 就寝前にカフェインやアルコールが含まれている飲み物を飲まない
- 就寝3時間前までに夕食を済ませる
- リラックスする
- 体に合った枕やマットレスを使う
寝る前に牛乳を飲むだけでなく、これらの方法も併せて行うとより快眠しやすくなるでしょう。
寝る前に体を軽く動かす
寝る前にストレッチをして体の緊張をほぐすと、寝つきが良くなります。簡単なストレッチで良いため、寝る前は体を伸ばす習慣をつけましょう。
ただし、体を激しく動かしすぎると眠れなくなる可能性があるため、軽めのストレッチに留めましょう。
なお、ストレッチは暗めの部屋で深呼吸しながら行うと、よりリラックスしやすくなります。
以下で手軽にできるストレッチ方法を体の部位ごとに紹介するため、ぜひ試してみてください。
なお、就寝前のストレッチは、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。
就寝時間の90分〜120分前に入浴する
先述したように、人は深部体温が低くなると眠気が訪れる仕組みになっています。深部体温をコントロールするには「ホットミルクを飲む」方法が有効ですが、就寝時間の90分〜120分前に入浴するのも効果的です。
就寝時間の90分〜120分前に入浴すると入浴中に上昇した体温がお風呂上がりに下がり、丁度良いタイミングで眠気が訪れます。
ただし、お風呂の温度が高すぎる場合や入浴時間が長すぎる場合は、体の温度が下がらず眠りにくくなる可能性があるため注意してください。
入浴は38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度、半身浴なら約40℃のお湯で30分程度、42℃の熱めのお湯であれば5分程度に留めることをおすすめします。
就寝前にカフェインやアルコールが含まれている飲み物を飲まない
就寝前にカフェインやアルコールが含まれている飲み物を飲むと、睡眠の質が低くなるため注意しましょう。カフェインには覚醒作用が含まれているため、眠れなくなる可能性があります。
また、アルコールを摂取して寝ると途中で目が覚めやすくなり、熟睡しにくくなります。カフェインやアルコールは主に下記の飲み物に含まれているため、寝る前は避けましょう。
- お酒全般
- コーヒー
- エナジードリンク
- 紅茶
- 煎茶など
なお、寝る前におすすめの飲み物は、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。
就寝3時間前までに夕食を済ませる
就寝ギリギリの時間帯に夕食を食べると就寝中に消化活動が行われる影響で脳が刺激され、途中で目が覚める可能性があるため注意してください。
消化活動は一般的に2時間〜3時間かかるといわれているため、就寝3時間前までには夕食を済ませることをおすすめします。
リラックスする
心身が緊張状態にあると寝つきにくくなるため、就寝前はできるだけリラックスして過ごしましょう。
リラックスする方法はさまざまありますが、例えば「ホットミルクを飲む」「アロマを焚く」「読書する」「音楽を聴くこと」などが挙げられます。
例えば、寝る前に適したリラックスできる音楽を聴くことで、就寝前に理想的な副交感神経優位な状態を作り出しやすいです。歌詞がない曲やリズムが一定の曲、自然音などを取り入れましょう。
音楽が睡眠にもたらす効果は、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。
体に合った枕やマットレスを使う
睡眠の質を高めたい方は、寝室の温度や寝具などの就寝環境を整えましょう。特に普段使う寝具は睡眠の質に影響しやすいため、こだわって選ぶことをおすすめします。寝具が体に合っていないと、眠りにくくなる可能性があるため注意してください。
マットレスや枕などの寝具は各製品で高さ・硬さなどが異なるため、使う人によって合うかどうかが変わります。寝具が体に合っていないと感じる方は、この機会に自分により合っている寝具を探すと良いでしょう。
なお、寝具選びのポイントは、以下の記事でも詳しく解説しています。寝具選びにお悩みの方は、ぜひこちらもご一読ください。
まとめ
牛乳は睡眠に良い影響を与えてくれるほか、美容や健康の面で嬉しい効果がある飲み物です。牛乳を飲むと太るイメージを持つ方もいるかもしれませんが、摂取カロリーが適切であれば牛乳を飲んだからといって急激に太ることは考えにくいとされています。
ただし、体質によっては牛乳が原因でお腹を壊す可能性もあるため気をつけてください。心配な方は、刺激の少ないホットミルクにしてから飲むと良いでしょう。