この記事のまとめ
- お風呂で寝てしまう主な原因は睡眠不足による眠気だが、のぼせ・脱水・溺水(最悪の場合は溺死)といった深刻なリスクを伴うため注意が必要
- 入浴中や風呂上がりに眠くなるのは、体の温まりで副交感神経が優位になり、深部体温が下がる過程で眠気が訪れるという自然な仕組みによるもの
- 入浴中に眠くなるのを防ぐには、飲酒後や食後の入浴を避ける、シャワーで済ませる、マッサージやアラームで意識を保つといった対策が有効
- 根本的な解決には睡眠不足の解消と睡眠の質向上が不可欠であり、就寝の90~120分前に38度程度のぬるめのお湯に浸かるなどの工夫をしよう
お風呂に浸かると体の緊張がほぐれ、つい眠くなってしまうことがあります。しかしお風呂で寝てしまうのは、のぼせ・脱水・溺水につながる危険な行為です。とくに睡眠不足が続いていると、湯船の中で強い眠気に襲われやすくなります。
この記事では、入浴中や風呂上がりに眠くなる原因、お風呂で寝落ちしてしまう人の背景や寝てしまうことのリスクと対策、そして根本的な睡眠不足の解消法までをわかりやすく解説します。
お風呂で寝てしまう主な原因
お風呂で体が温まると筋肉の緊張がほぐれ、リラックスして眠気が生じるのは自然なことです。そのうえで、お風呂で寝てしまう最大の原因は睡眠不足にあります。
睡眠不足が続くと肉体的・精神的な疲労が蓄積し、「睡眠負債」がたまった状態になります。この状態では日中から強い眠気が生じやすく、入浴中のリラックス効果と重なって、いつの間にか湯船で眠りに落ちる(寝落ちする)ことがあります。
お風呂で寝てしまうと思わぬ事故に繋がる可能性があるため、眠気を感じたらお風呂から出る習慣をつけましょう。 寝落ちしてしまう原因について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
なお、睡眠を十分にとっているのにお風呂で寝たような状態になる場合は、眠っているのではなく失神や脳の酸欠が起きている可能性も考えられます。とくに高血圧の方は、入浴による血圧の低下で体に負担がかかりやすく、失神につながることがあるため注意が必要です。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関に相談してください。
入浴中・風呂上がりに眠くなるのはなぜ?
「湯船に浸かると眠くなる」「風呂上がりに強い眠気がくる」のには、体温と自律神経の仕組みが関係しています。
- 副交感神経が優位になる:温かいお湯に浸かると心身がリラックスし、休息モードをつかさどる副交感神経が優位になります。これにより眠気を感じやすくなります。
- 深部体温の変化:入浴でいったん上がった体の内部の温度(深部体温)は、風呂上がりに手足から熱を放散して下がっていきます。人はこの深部体温が下がるタイミングで眠気を感じるため、風呂上がりに眠くなるのは自然な反応です。〔要監修確認:深部体温と入眠の関係〕
- 一時的な血圧の低下:入浴中は血管が広がって血圧が下がりやすく、これも気だるさや眠気の一因になります。
風呂上がりの適度な眠気は、就寝前であればスムーズな入眠につながる良い反応です。一方で、湯船の中で眠くなるのは危険なサインになります。入浴中に眠気を感じたら早めに上がるようにしましょう。
お風呂で寝てしまうことのリスク
- のぼせ
- 脱水症状
- 溺水(できすい)
- ヒートショック・失神
お風呂に浸かったまま寝てしまうと、下記のように危険な症状が起こる可能性があります。
入浴中の事故は決して珍しいものではなく、冬場を中心に、入浴中に亡くなる高齢者は年間で相当数にのぼると報告されています。決して他人事と捉えず、対策を知っておくことが大切です。
(※)参考:
消費者庁「コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―」
のぼせ
のぼせとは、体や頭に異常な熱感を覚える状態です。お風呂で寝てしまって入浴時間が延びると血管が拡張し続けます。通常は入浴後に血管が収縮しますが、その働きが弱いと拡張したままとなり、のぼせの症状が出ることがあります。のぼせやすい方は、次の対策を試してみてください。
- 入浴中は頭に濡れタオルを置く
- お湯の温度を下げる
- 入浴時間を短くする
脱水症状
脱水症状とは、体内の水分不足が原因で起こる体の不調を指します。主な症状の例としては「めまい」「ふらつき」「頭痛」「口の渇き」が挙げられますが、重症の場合は意識障害やけいれん、昏睡などの症状に繋がる場合もあるので注意が必要です。
特に入浴中は汗をかきやすく、体の水分が失われやすい状態です。長時間お風呂の中で過ごすとそれだけ水分が失われてしまい、脱水症状を引き起こす可能性があります。
不安な方は入浴前後に水分を摂取したうえで、「お湯の温度を下げる」「入浴時間を短くする」などの対策をしましょう。
溺水(できすい)
溺水とは、浸水によって窒息をきたした状態を指します。通常、入浴中に寝ても、顔が浴槽に沈むと目が覚めて起き上がるでしょう。
しかし、深刻な睡眠不足の場合は強い眠気があるため、浴槽のお湯を吸っても目が覚めない可能性があります。
お湯の中で目が覚めないとそのまま溺水してしまい、最悪の場合は溺死する可能性も考えられます。そのため、眠気がある状態での入浴は控えましょう。
ヒートショック・失神
急激な温度差によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかる現象を「ヒートショック」といいます。寒い脱衣所から熱い湯に入る冬場に起こりやすく、めまいや失神を招き、そのまま浴槽内で意識を失うと重大な事故につながります。
脱衣所や浴室を温めておく、熱すぎるお湯を避けるといった対策が有効です。とくに高齢の方や高血圧・心疾患のある方は注意しましょう。
毎日お風呂で寝てしまう人に多い背景
「たまに」ではなく毎日のようにお風呂で寝てしまう場合、その背景には慢性的な睡眠不足=睡眠負債が隠れていることがほとんどです。
- 睡眠時間が慢性的に足りていない:平日の睡眠不足が積み重なり、リラックスした瞬間に眠気が発生する
- 睡眠の質が低い:十分な睡眠時間は取れていても、途中で目が覚める・眠りが浅いなどで休息が足りていないケース
- 生活リズムの乱れ:就寝・起床時刻がバラバラだと、入浴のタイミングで強い眠気が来やすくなります
毎日湯船で寝落ちしているなら、それは体からの「休息が足りていない」というサインです。事故防止の対策と並行して、後述の睡眠不足の解消に取り組みましょう。あわせて、日中の強い眠気が続く場合は睡眠の問題が隠れていることもあります。
お風呂で寝てしまうのを防ぐための対策
お風呂で寝てしまうことがある方は、安全に入浴するためにも対策を取り入れましょう。お風呂で寝ないための対策としては、主に下記の4つが挙げられます。
- 飲酒後や食後の入浴を控える
- 入浴をシャワーで済ませる
- 入浴中にマッサージを行う
- アラームをかける
各対策方法の詳しい内容を以下で順番に紹介します。
飲酒後や食後の入浴を控える
お酒が体から抜けるまでは、入浴は避けましょう。
前提として、一般的に飲酒すると血管が拡張して血圧が低下します。先述したように、入浴中は体温を維持するために血管が拡張し、お湯に浸かっているだけで血圧が低下する状態です。
そのため、飲酒後に入浴する場合、お酒の効果が加わって二重に血圧が下がります。この時、血圧が大きく下がることで脳に必要な酸素を運べず、酸欠状態になる可能性が高まると考えられます。
また、食後は血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」が起きやすい状態です。血糖値スパイクの状態が長引くと、食後に眠気が起きる場合があるため、食後の入浴には注意が必要です。
飲酒後や食後に限らず、眠くて寝てしまいそうな不安がある時や、体調不良による体力低下時も入浴を避けましょう。
なお、食後の眠気について、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひこちらもご一読ください。
入浴をシャワーで済ませる
お風呂の中で寝てしまわないか心配な方は、浴槽にお湯を張って浸かるのではなく、シャワーで済ませると良いでしょう。
ただし、入浴時はお湯を張った浴槽に浸かるほうが、リラックス効果や疲労回復に期待できるといわれています。
そのため、「普段は浴槽に浸かる」「睡眠不足で眠気が強い場合はシャワーで済ませる」など、体の状態に応じて入浴方法を分けると良いでしょう。
入浴中にマッサージを行う
入浴中にマッサージを行って常に体を動かしていれば、寝落ちを防止できます。マッサージは「疲労回復」や「むくみ解消」にも役立つので、ぜひお試しください。
例えば、むくみを解消したい場合は、ふくらはぎを心臓に向かってなでるようにマッサージしましょう。揉まずになでることで、リンパの流れが良くなります。
ただし、、高血圧がある方や妊婦の方は入浴中のマッサージは避けたほうが良いでしょう。自分の体の状態に合わせて取り入れることが大切です。
また、入浴中にツボを押すのも良いでしょう。下表に、眠気覚ましに効果があるとされているツボをまとめました。
湯船に浸かりながら、これらのツボを押してはいかがでしょうか。
それぞれのツボの位置や具体的な効果をさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
アラームをかける
入浴の際に、スマホなどのアラームを鳴らすことも一つの方法です。
「アラームを止めてから再度寝てしまう」「1回では起きられない」といったことも考慮して、短い間隔で何度も鳴るように設定しておくことをおすすめします。
なお、お風呂でアラームを使う時は、スマホや目覚ましがお湯で故障しないように、防水ケースや防水タイプの製品を使用しましょう。
お風呂での眠気防止には睡眠不足を解消することが大切
お風呂で寝てしまうことを防ぐには、普段から自分にとって十分な睡眠時間を確保して、質の高い睡眠をとることが大切です。睡眠不足の解消には、以下の3点を意識しましょう。
- 自分に合った睡眠時間を知り、確保する
- 仮眠をとる
- 睡眠の質を高める
日本人の平均的な睡眠時間は6~8時間とされていますが、個人差があるため、自分に合った睡眠時間は人それぞれです。
昼間に眠気を感じたり、集中力が低下したりする場合は、睡眠時間が不足している可能性があるため、これらを目安として考えてください。 昼間に眠気を感じた場合は、我慢せず15分程度の仮眠をとりましょう。その時は、あらかじめアラームをセットし、寝過ぎないように工夫することをおすすめします。
また、短すぎる睡眠時間でも睡眠不足を防ぐためには、睡眠の質を高める必要があります。睡眠の質を高めるには、寝る直前の食事や電子機器の操作を控え、寝室の環境を整えて照明を暗めに調整します。
睡眠の質向上のために知っておきたい入浴方法
睡眠の質向上のためには、入浴するタイミングや温度・入浴時間に気を配ることが大切です。日頃から下記のポイントをを意識して入浴することでも睡眠の質を高めることができます。
睡眠不足の方は、睡眠の質を高めるために就寝時間の90分〜120分前に入浴すると良いでしょう。
人の体は、深部体温が下がることで眠気が訪れるため、就寝時間の90分〜120分前に入浴すると、上昇した深部体温がお風呂上がりに下がり、ちょうど良いタイミングで眠気が訪れます。
寝る直前にお風呂に入りたい方もいるかもしれませんが、お風呂上がりすぐは体が温まっていて寝付きにくい傾向にあります。お風呂上がりにスキンケアなどをしながら、眠気が生じるタイミングを待つことをおすすめします。
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よくある質問(FAQ)
お風呂で寝ると死ぬというのは本当ですか?
強い眠気があると湯を吸い込んでも目覚めず溺水・溺死につながるおそれがあり、のぼせや脱水、ヒートショックによる失神も重大な事故の原因になります。眠気がある状態での入浴は避けてください。
毎日お風呂で寝てしまうのはなぜですか?
慢性的な睡眠不足(睡眠負債)が背景にあることがほとんどです。入浴のリラックス効果で、たまった眠気が一気に表れます。事故防止の対策とあわせて、睡眠時間の確保と質の改善に取り組みましょう。
風呂上がりに眠くなるのは体に悪いのですか?
悪いことではありません。入浴で上がった深部体温が風呂上がりに下がる過程で眠気が訪れる、自然な反応です。就寝前であればスムーズな入眠につながります。ただし湯船の中で眠くなるのは危険なので、その場合は早めに上がりましょう。
飲酒後にお風呂に入ってはいけないのはなぜですか?
飲酒するとお酒の効果で血管が拡張し血圧が低下します。入浴でも同様に血圧が低下するため、飲酒後の入浴では二重に血圧が下がり、脳への酸素供給が不足して酸欠状態になる可能性が高まるためです。
まとめ
お風呂で体が温まるとついウトウトしてしまいますが、そのまま眠ると脱水症状をはじめとした体の不調に繋がる可能性があります。安全に入浴するためにも、入浴中は寝ないように気をつけてください。
なお、睡眠不足の状態で入浴すると、お風呂の中で寝る可能性が高くなるため注意しましょう。お風呂の中で寝てしまわないか不安な場合は、「お湯の温度をぬるめに設定し、入浴時間を短くする」「シャワーで済ませる」「入浴中にマッサージやツボ押しをする」「飲酒後や食後の入浴を控える」「アラームをかける」といった対策を行いましょう。
また、日頃から睡眠不足を感じている場合には、自分に合った睡眠時間を知り、昼間に適度な仮眠をとるなど、紹介した睡眠の質を高める方法を取り入れてください。
