時には「仕事が終わらない」「テスト前で勉強しなければいけない」などの理由から、徹夜をする日もあるでしょう。しかし、徹夜はデメリットが多いため、できるだけ避けることをおすすめします。
この記事では、徹夜をするデメリットや徹夜をしなければいけない時の対策方法を紹介します。日本の成人の目安となる睡眠時間にも触れるので、ぜひ最後までご一読ください。
徹夜をするデメリット
睡眠は、1日の活動で疲れた体や脳を回復させるための重要な行為です。そのため、可能な限り徹夜は避け、毎日しっかりと眠るようにしましょう。
徹夜をして睡眠時間が不足すると、心身が回復できず、下記のようなデメリットに繋がります。
- 集中力や記憶力が低下する
- 心身の不調に繋がる可能性がある
- 太りやすくなる
集中力や記憶力が低下する
睡眠不足だと脳の前頭葉がダメージを受けてしまい、集中力や判断力が低下してしまうといわれています。特に職場では、集中力が求められる場面や、重要な判断を下す場面でのパフォーマンスに直接影響を及ぼすため、徹夜は極力避けましょう。
また、睡眠には脳を回復して記憶を整理する役割もありますが、徹夜をしている際の記憶は脳に刻まれにくく、早ければ翌日には忘れてしまうと考えられています。そのため、学生や社会人の方で試験や資格の勉強など、記憶力が重要となる作業に徹夜で取り組むことはおすすめできません。
心身の不調に繋がる可能性がある
徹夜をして睡眠が不足すると、心身の不調に繋がる可能性があるので注意してください。
例えば、糖尿病や高血圧をはじめとした生活習慣病、認知症や感染症など、睡眠不足はさまざまな病気のリスクを増加させる原因となるといわれています。
また、「不機嫌になる」「イライラする」など精神面にも影響し、ひどい場合はうつ病に繋がる可能性もあると考えられています。ほかにも、肌の新陳代謝が衰えることで肌荒れを起こすなど、美容面に悪い影響が出る場合もあります。
太りやすくなる
人の食欲は、主に食欲を抑えるホルモン「レプチン」と食欲を高めるホルモン「グレリン」によってコントロールされます。それぞれ適したタイミングで必要なホルモンが分泌されることで、食欲のバランスは保たれています。
しかし、睡眠時間が足りていないとレプチンが減少し、グレリンが増加するといわれています。食欲を高めるホルモンが増加すると食事の量が増え、太ってしまう可能性があります。
どうしても徹夜をしなければいけない時の対策方法
先述したとおり徹夜はおすすめできませんが、状況によっては徹夜を余儀なくされる場合もあるでしょう。どうしても徹夜をしなければいけない時は、眠気対策として下記の3つを実践してください。
- 15分〜30分程度の仮眠をとる
- カフェインを含んだ飲み物を飲む
- ストレッチをする
上記のポイントを押さえておけば、徹夜での作業中に襲ってくる眠気を飛ばし、集中力を維持しやすくなります。以下でそれぞれの方法を見ていきましょう。
15分〜30分程度の仮眠をとる
徹夜の作業中に眠気が襲ってきた時は、15分〜30分ほど仮眠をとると良いでしょう。少しの時間でも睡眠をとれば心身がリフレッシュし、集中力を持続させやすくなります。
また、徹夜中の仮眠は普段の就寝時間と同じ時間帯に眠ることになるため、深い睡眠に入りやすいです。短時間でもぐっすりと眠れる分、効率的に疲労回復ができるといわれています。
なお、仮眠する際はアイマスクや耳栓の使用がおすすめです。アイマスクや耳栓は仮眠中の光や音などを遮断できるため、睡眠の質の向上が期待できます。
職場に専用の仮眠室や仮眠用の空間などがあれば理想的ですが、アイマスクと耳栓があれば自分のデスクや車内でも、心身がリフレッシュする仮眠をとることが可能です。
ただし、仮眠の時間が長すぎると深く眠りすぎてしまい、スッキリと目が覚めずに集中力が低下する可能性があるので注意してください。仮眠の時間は15分〜30分程度に留め、寝すぎないか不安な場合はアラームをセットするなどして対策しましょう。
カフェインを含んだ飲み物を飲む
徹夜をする際は、カフェインを含んだ飲み物を飲みながら作業する方法がおすすめです。カフェインには覚醒作用があるため眠気を飛ばしやすくなるうえ、集中力を高める効果もあるので作業がより捗ります。
カフェインを含んだ飲み物の例としては、エナジードリンクやコーヒー、紅茶、煎茶などが挙げられます。コンビニやスーパーで購入できる飲み物なので、徹夜前に用意しておくと良いでしょう。
ただし、カフェインを摂取しすぎると、不眠や吐き気など体の不調に繋がる可能性があるので注意してください。
カフェインの摂取許容量は人によって変わるので一概にいえませんが、一般的に健康な成人は1日最大400mgまでに留めたほうが良いといわれています。
ストレッチをする
デスクワークや勉強などで長時間同じ姿勢で作業をする際は、こまめにストレッチすると良いでしょう。適度に体を動かすことで眠気を飛ばしやすくなるといわれています。
腕を伸ばす、背伸びするなど簡単なストレッチなら椅子に座りながらでもできるので、疲れや眠気を感じた時はぜひ実践しましょう。
徹夜をする機会がある方は普段の睡眠の質を高めよう
徹夜で疲れた体を癒すには、普段から質の高い睡眠をとることが重要です。
質の高い睡眠とは、寝つきや寝起きが良く、途中で目覚めることなく適切な睡眠時間を確保し、設定した起床時間にすっきりと起きられる睡眠を指します。
睡眠の質が高ければ徹夜で疲れた心身を回復させやすくなり、徹夜が原因で起こる生活リズムのずれも防ぎやすくなります。
反対に、睡眠の質が低い場合は心身に疲れが溜まるだけでなく、徹夜をきっかけに起床・就寝のリズムが乱れてしまい、日常的な睡眠不足に繋がる可能性があるので注意してください。
また、睡眠は体を回復させるだけでなく、「免疫力を高める」「感情を整理する」「記憶の固定」など、日々の生活に欠かせないさまざまな役割を持っています。睡眠の効果を得られるよう、できることなら徹夜は避けましょう。
なお、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」によると、日本の成人で多い睡眠時間は1日6〜8時間であり、これを標準的な睡眠時間としています。
1日6〜8時間の睡眠時間を目安にして、日々の睡眠時間を優先的に確保し、睡眠の質も高められるよう努めましょう。
(※)厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
睡眠の質を高める方法
睡眠の質は主に下記の方法で高めることができます。
- 就寝前に軽くストレッチする
- 温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
- アロマや聴き心地の良い音楽でリラックスする
- 体に合っている枕やマットレスを使う
以下では各方法を順番に紹介します。
なお、睡眠の質を高める方法をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
就寝前に軽くストレッチをする
睡眠の質を高めるには、就寝前のストレッチが効果的です。ストレッチをすると体の緊張がほぐれ、より寝つきが良くなる効果があるといわれています。暗い部屋で行うとリラックス効果にも期待できるので、ぜひ眠る前の習慣として取り入れてみましょう。
温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
人は体内部の体温「深部体温」が低くなることで、眠気が訪れる仕組みになっています。
深部体温を就寝時のタイミングで下げるには、眠る前に温かい飲み物を飲むことが効果的です。温かい飲み物を飲んで深部体温が上昇したあとに、体温が下がっていく過程で自然と眠気が訪れてくれます。
飲み物と一口にいってもさまざまな種類がありますが、睡眠の質を高めるために飲むのなら白湯やホットミルク、ホットココアなど、刺激が少なく飲んでいてリラックスできる飲み物がおすすめです。心身がリラックスすれば、より深い睡眠をとりやすくなります。
ただし、アルコールやカフェインが含まれている飲み物は、睡眠の妨げとなるので避けましょう。例としては、お酒全般やコービー、紅茶、煎茶などが挙げられます。
夕食は就寝3時間前までに済ませる
睡眠の質を高めたい方は、夕食の時間帯が遅くなりすぎないように気をつけましょう。就寝直前に食事をすると、睡眠中に行われる消化活動によって休息をとっている脳が刺激されてしまい、途中で目が覚めてしまう可能性があります。
一般的に、消化活動にかかる時間は2時間〜3時間だといわれています。消化活動に必要な時間を考えると、夕食は就寝3時間前までに済ませておくことが理想です。
アロマや聴き心地の良い音楽でリラックスする
不安やストレスが原因で就寝前に心身が緊張状態にあると、寝つきが悪くなる可能性があります。そのため、就寝前の時間帯はできるだけリラックスして過ごすことを意識しましょう。
リラックスするには、気持ちが落ち着くアロマを焚いたり、クラシックや自然音などの聴き心地が良い音楽を流したりしてみると効果的です。時間がある方は、自分に合ったリラックス方法を探してみるのも良いでしょう。
体に合っている枕やマットレスを使う
枕やマットレスなどの寝具は、自分の体に合った製品を使いましょう。高さや硬さ、触り心地の良さなど各寝具はそれぞれ異なる特徴を持っており、使う人の体格や好みによって体に合うかどうかは変わってきます。
使っている寝具が体に合っていない場合、寝にくさを感じて熟睡できない可能性があります。普段眠る時に体の違和感や寝にくさを感じる方は、自分の体に合った寝具に買い替えましょう。
なお、睡眠の質を高める方法は、以下の記事でも解説しています。
徹夜をしないために日頃の心がけも大切
徹夜で勉強に励んだり、仕事に打ち込んだりした経験がある方は多いかもしれません。
しかし、徹夜で生じるさまざまなデメリットを考えると、ここまでお伝えしているとおり、徹夜はできる限りしないことが理想です。徹夜が多い方は、徹夜をせずに過ごせるよう心がけましょう。
例えば、仕事の都合で徹夜せざるを得ない状況は、事前に余裕を持ったスケジュールを立てることで回避しやすくなります。
また、試験の直前になってから勉強を始めるのではなく、早めにスケジュールを組み、毎日コツコツ勉強しておくことが大切です。
また、夜ではなく朝に早起きをして作業に取り組むのも徹夜を回避する方法の一つです。早寝早起きの習慣をつけていれば、朝から慌てることなく、心にゆとりを持って試験などに臨めるでしょう。
まとめ
徹夜をして睡眠時間が不足すると集中力や判断力が低下して、業務でミスをしたり、勉強で覚えられなくなったりするだけでなく、心身の不調に繋がる可能性もあります。徹夜をするデメリットは多いため、できることなら避けるようにしましょう。
徹夜せざるを得ない時は、アイマスクや耳栓などを使用した仮眠をとり、翌日に早めに寝るなどして体をケアしてあげましょう。また、普段の睡眠の質を高めておくと、徹夜で疲れた体を癒しやすくなります。
睡眠の質を高めるためにも、就寝前のストレッチや、温かい飲み物を飲む、体に合っている枕やマットレスを購入するなどを試してみましょう。