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2024.01.22 更新

【医師監修】睡眠に良い栄養素を摂ろう!おすすめの食べ物や飲み物を紹介

【医師監修】睡眠に良い栄養素を摂ろう!おすすめの食べ物や飲み物を紹介

睡眠の質を向上させるには「寝具にこだわる」「就寝環境を整える」などの方法が有名ですが、実は普段とっている食事の内容に気を配ることも重要です。睡眠の質の向上に繋がる栄養素を食事から摂取すれば、よりぐっすりと眠れるようになります。

この記事では睡眠の質が向上する食べ物や飲み物、おすすめの食事の習慣について解説します。最近眠れていない方や睡眠の質を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 睡眠の質を向上させる栄養素と食べ物
  2. トリプトファン
  3. グリシン
  4. GABA
  5. マグネシウム
  6. ビタミンB12
  7. 睡眠の質を向上させる飲み物
  8. ホットミルク
  9. ホットココア
  10. ハーブティー
  11. 睡眠の質を向上させる食事の習慣
  12. 3食きちんと食べる
  13. 夕食はグリシン、朝食はトリプトファンを多く含む食材を取り入れる
  14. 夕食は就寝3時間前までにとる
  15. 就寝前のアルコールやカフェインの摂取を控える
  16. 昼寝の前はカフェインを摂取する
  17. 食事以外の方法で睡眠の質を向上させるには?
  18. 就寝前に軽くストレッチをする
  19. 就寝前はリラックスして過ごす
  20. 体に合っている寝具を使う
  21. まとめ

睡眠の質を向上させる栄養素と食べ物

食材に含まれている栄養素には、睡眠の質の向上を手助けする働きを持っているものもあります。特に下記5種類の栄養素は睡眠の質に良い影響を与えてくれるので、普段の食事をとおして意識的に摂取することをおすすめします。

<睡眠の質を向上させる栄養素の種類>

栄養素の種類栄養素を多く含む食材
トリプトファン
  • 納豆
  • チーズ
  • バナナ
グリシン
  • エビ
  • ホタテ
  • イカ
  • カニ
GABA
  • 玄米
  • トマト
  • カカオ
  • ブロッコリースプラウト
マグネシウム
  • 落花生
  • ひじき
  • 昆布
  • わかめ
ビタミンB12
  • たらこ
  • いくら
  • 牛・鶏・豚レバー
  • しじみ

以下でそれぞれの栄養素が睡眠にどう影響するのか、詳しい内容を紹介します。

トリプトファン

トリプトファンは、睡眠の質に関わるセロトニンの分泌に必要なアミノ酸です。

セロトニンは幸福感をもたらすなど、精神を安定させる作用がある脳内の神経伝達物質の一つで、主に朝から夕方にかけて分泌され続けます。夜になると分泌は抑制され、代わりにセロトニンを材料にして作られたメラトニンが分泌されます。

メラトニンには入眠を促す作用があり、質の高い睡眠をとるうえで欠かせないホルモンです。そのため、睡眠の質を重視するなら、メラトニンの分泌に必要なセロトニンが不足しないように心がけることが重要となります。

セロトニン不足を防ぐためには、セロトニンの材料となるトリプトファンの摂取が欠かせません。トリプトファンは体内で生成されないため、普段の食事をとおして積極的に摂取しましょう。

武井智昭

武井智昭

高座渋谷つばさクリニック 院長

セロトニンはストレスを軽減して、精神をリラックスさせる物質であるため、セロトニンが不足すると意欲・向上心の低下、抑うつ気分、めまい・頭痛、倦怠感、不眠が生じます。

グリシン

グリシンはアミノ酸の一種です。筋肉の緊張を抑え、深部体温を下げる作用があります。

深部体温と睡眠の関係性は深く、人間の体は深部体温が下がることで脳や体が休息状態となり、眠気が訪れる仕組みになっています。深部体温は夜になると自然と下がっていきますが、グリシンを摂取すればより効率的に体温を下げることができ、質の高い睡眠に繋がります。

GABA

GABAは精神を安定させる作用がある神経伝達物質です。心身を休息状態に導いてくれる副交感神経を優位にさせる効果もあり、寝つきの良さを高めてくれます。

GABAは体内で生成されるものの、疲労やストレスを緩和するために消耗してしまうので不足しやすいです。寝つきの悪さを感じる方は、GABAが不足しないように食事をとおして摂取しましょう。

マグネシウム

マグネシウムはミネラルの一つで、タンパク質の合成や神経伝達の制御、心機能の維持などさまざまな役割を持っている栄養素です。

また、マグネシウムは睡眠の質の向上に欠かせないセロトニンの生成にも影響するといわれています。十分な量のセロトニンを生成するためにも、マグネシウムが不足しないように心がけましょう。

ビタミンB12

ビタミンB12は、神経や血液細胞を健康に保ってくれるほか、自律神経の乱れを整える効果もある栄養素です。ビタミンB12の欠乏ではしびれなどの神経麻痺・貧血が生じます。

自律神経とは、心身を緊張させて活動状態に導く交感神経、心身を休息状態に導く副交感神経の2つから成っている神経のことです。副交感神経は夜に活性化し、心身を眠りやすい状態に導いてくれています。

しかし、自律神経のバランスはストレスが原因で乱れてしまうことがあります。自律神経が乱れると夜になっても心身がリラックスできず、なかなか寝つくことができません。ストレスを感じやすい方は習慣的にビタミンB12を摂取し、自律神経が乱れないように心がけてください。

武井智昭

武井智昭

高座渋谷つばさクリニック 院長

自律神経の乱れると、感情のコントロールが難しくなり怒りを感じやすくなります。同時に、倦怠感・息切れなど身体機能の低下もみられ、食欲コントロール不良による体重変化もみられます。

睡眠の質を向上させる飲み物

睡眠の質をより向上させたい方は、口にする飲み物の種類にも注目してみましょう。下記の飲み物には睡眠の質を向上させてくれる効果が含まれており、就寝前に飲むことでより眠りやすくなります。

<睡眠の質を向上させる飲み物>
  • ホットミルク
  • ホットココア
  • ハーブティー

以下でそれぞれの特徴や具体的な効果を見ていきましょう。

ホットミルク

ホットミルク

先述のとおり、質の高い睡眠にはセロトニンの材料であるトリプトファンの摂取が欠かせません。

トリプトファンは食べ物からも摂取できますが、より多く摂取したい場合は牛乳を飲むのがおすすめです。牛乳にはトリプトファンが多く含まれており、習慣的に飲むことでセロトニン不足を防ぎやすくなります。

また、肌トラブルの解消や疲労回復、精神の安定など、牛乳には睡眠以外にもさまざまな効果が期待できます。健康維持にも役立つので、ぜひ積極的に飲むようにしましょう。しかし、乳糖不耐症等で牛乳が身体に合わない方もいるので、体に合わない人は無理に飲まないようにしましょう。

なお、就寝前に飲むのなら、ホットミルクにしてから飲むことをおすすめします。就寝前に温かい飲み物を飲むと体の深部体温が下がりやすくなり、寝つきがよくなります。

ホットココア

甘めの飲み物が好きな方には、ホットココアもおすすめです。

ココアには、自律神経を整えて体をリラックスさせる効果を持つテオブロミンが含まれています。自律神経が整っていれば睡眠のリズムを維持しやすくなり、リズムのずれから生じる寝つきの悪さを防ぎやすくなります。

また、ココアにはカカオ由来のGABAが含まれており、精神を安定させる作用があります。

睡眠のほかには、疲労回復や腸内環境改善の効果にも期待できます。ホットミルクと同様、温めてから飲むと良いでしょう。

ハーブティー

味だけでなく香りも楽しみたい方は、就寝前にハーブティーを飲んでみてはいかがでしょうか。ハーブの優しい香りには心身をリラックスさせる効果があり、就寝前に飲むことで寝つきが良くなります。

ハーブには数多くの種類がありますが、下記の8種類がおすすめです。

<安眠効果のあるハーブの種類>
  • カモミール
  • ローズ
  • イングリッシュラベンダー
  • オレンジブロッサム
  • パッションフラワー
  • スペアミント
  • レモンバーム
  • リンデン

ただし、紅茶とブレンドされているハーブティーは、逆効果となってしまうので気をつけてください。紅茶には覚醒作用があるカフェインが含まれているため、就寝前に飲むと睡眠の妨げとなる可能性があります。

安眠効果を目的にハーブティーを飲むのなら、ノンカフェインの商品を選びましょう。

睡眠の質を向上させる食事の習慣

睡眠の質を向上させるには、食べ物や飲み物の種類だけでなく食事の習慣も重要なポイントです。正しい食習慣を意識することで、睡眠の質をより高めることができます。

ここでは睡眠の質を向上させるために心がけたい食習慣を紹介するので、ぜひ実践してみてください。

<睡眠の質を向上させる食事の習慣>
  • 3食きちんと食べる
  • 夕食はグリシン、朝食はトリプトファンを多く含む食材を取り入れる
  • 夕食は就寝3時間前までにとる
  • 就寝前のアルコールやカフェインの摂取を控える
  • 昼寝の前はカフェインを摂取する

以下で各項目の内容を解説します。

3食きちんと食べる

質の高い睡眠をとるには、正しい体内時計のリズムを保つことが大切です。

体内時計とは、覚醒と休息のリズムをコントロールする役割を持つ人間に備わった機能を指します。人間の体は意識せずとも日中は活動状態に、夜間はリラックスした状態に切り替わりますが、これは体内時計が正しく機能しているおかげです。

しかし、体内時計は一般的な時計と同じように、ずれてしまうこともあります。体内時計のずれは寝つきの悪さに繋がるため、普段から体内時計のリズムを維持するように心がけなければいけません。

体内時計のリズムを維持するには、規則正しい生活習慣を送ったうえで3食しっかり食べることが重要です。生活習慣の乱れを防ぐためにも、毎食同じ時間帯に食べると良いでしょう。

また、朝の忙しさを理由に朝食を抜く方は多くいらっしゃいますが、睡眠の質を向上させたいなら朝は必ず食事をとりましょう。朝食をとることで体内時計はリセットされ、正しいリズムを刻めるようになります。

武井智昭

武井智昭

高座渋谷つばさクリニック 院長

体内時計が乱れると食欲をコントロールするホルモンの濃度に異常が生じるため、高脂血症・高血圧症・糖尿病といった生活習慣病、いくつかのがん、アルツハイマー型認知症のリスクが高まります。

夕食はグリシン、朝食はトリプトファンを多く含む食材を取り入れる

睡眠の質の向上に繋がるグリシンとトリプトファンは、とるタイミングに気をつけることでより高い安眠効果に期待できます。

深部体温を下げて自然な入眠を手助けしてくれるグリシンは、夜の夕食時に多くとるのがおすすめです。深部体温が下がることで心身が休息状態となり、より寝つきが良くなります。

一方、トリプトファンは朝食のタイミングに多くとると良いでしょう。トリプトファンを材料に作られるセロトニンは、朝に分泌が始まります。朝にセロトニンの分泌が高まれば、その分メラトニン不足を防ぎやすくなります。

夕食は就寝3時間前までにとる

夕食をとる時間は、遅くなりすぎないように意識しましょう。就寝直前に食事をすると睡眠中に行われる消化活動によって休息をとっている脳が刺激されてしまい、途中で目が覚めやすくなってしまいます。

一般的に、消化活動にかかる時間は2時間〜3時間だといわれています。そのため、夕食は就寝3時間前まで、遅くとも2時間前までに済ませることをおすすめします。

就寝前のアルコールやカフェインの摂取を控える

就寝前にアルコールやカフェインを摂取すると、眠りが浅くなるので気をつけてください。アルコールやカフェインには覚醒作用があるため、睡眠の妨げとなってしまいます。

アルコールやカフェインを含む飲み物は数多くありますが、代表的な種類としては下記の5種類が挙げられます。

<アルコールやカフェインを含む飲み物の例>
  • お酒全般
  • コーヒー
  • エナジードリンク
  • 煎茶
  • 紅茶

アルコールはお酒を避けるだけで良いので分かりやすいですが、カフェインは意外な飲み物に入っている場合もあるので注意が必要です。心配な方は、飲み物の成分を確認してから飲むと良いでしょう。

昼寝の前はカフェインを摂取する

夜の就寝ではなく昼寝の質を高めたい方は、事前のカフェイン摂取がおすすめです。

カフェインには覚醒作用が含まれていますが、効果が出始めるのは摂取から約30分後です。そのため、昼寝の前にコーヒーやエナジードリンクなどを飲んでおくと、丁度目が覚めるタイミングでカフェインの覚醒の効果があらわれ、スッキリと起きることができます。

食事以外の方法で睡眠の質を向上させるには?

睡眠の質は、食事に気をつけること以外の方法でも高められます。なかでも下記の3つは実践しやすい方法なので、よりぐっすりと眠れるようになりたい方はぜひ意識してみてください。

<睡眠の質を高める方法>
  • 就寝前に軽くストレッチする
  • 就寝前はリラックスして過ごす
  • 体に合っている寝具を使う

以下でそれぞれの方法を紹介します。

就寝前に軽くストレッチをする

睡眠の質を高めるには、就寝前のストレッチが効果的です。ストレッチをすると体の緊張がほぐれ、より寝つきが良くなる効果を得られます。

また、ストレッチを行う際は、部屋の照明を暗くしておくことをおすすめします。暗い部屋でストレッチを行うと心身がリラックスしやすくなり、より高い安眠効果に期待できます。

就寝前はリラックスして過ごす

就寝前に心身が緊張状態にあると、寝つきが悪くなる可能性があります。そのため、就寝前はできるだけリラックスして過ごしましょう。リラックスする方法はさまざまですが、定番なのは下記3つの方法です。

<リラックスする方法の例>
  • 気持ちが落ち着くアロマを焚く
  • クラシックや自然音などの聴き心地が良い音楽を流す
  • 読書する

上記以外にも数多くのリラックス方法があります。時間に余裕がある方は、この機会に自分に合ったリラックス方法を探してみると良いでしょう。

体に合っている寝具を使う

睡眠の質は寝具の合う・合わないも大きく影響します。

寝具が合っていれば問題ありませんが、「枕が高すぎて違和感がある」「マットレスが柔らかすぎる」などのように、体に寝具が合っていない場合は寝にくさを感じてしまい、熟睡できない可能性があるので気をつけましょう。

睡眠の質を高めるためにも、寝具は自分の体格や好みに合っている製品を使うことをおすすめします。

まとめ

睡眠の質の向上に繋がる食べ物や飲み物を意識的に取り入れることで、より深く眠れるようになります。普段口にするものを特に意識していなかった方は、この機会に睡眠の質の向上に繋がる栄養素が含まれているかどうかを確認する癖をつけると良いでしょう。

また、睡眠の質を向上させるには、普段の食習慣に気を配ることも大切です。食事のタイミングに気をつけたうえで、毎日3食しっかり食べるように心がけてください。

この記事の監修者
武井智昭
武井智昭高座渋谷つばさクリニック 院長
高座渋谷つばさクリニック 院長。0歳から100歳まで、1世紀を診療するプラリマリケア医。現在は、普段よくある健康相談に加えて、新型コロナウイルスの診断・治療・ワクチンの他、体と心の両者のアプローチが必要とある後遺症外来に取り組んでいる。診療科目は内科・小児科・アレルギー科。
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