「ヨーグルトは健康に良い」と聞いたことはありませんか。
ヨーグルトを食べると、睡眠の質の向上や便秘予防、免疫力向上、筋力低下予防、美肌効果、口臭の予防など、さまざまな良い効果を得られるといわれています。
しかし、闇雲に食べれば良いわけではありません。ヨーグルトを食べる際は、正しい食べ方を理解したうえで取り入れることが大切です。
この記事では、寝る前にヨーグルトを食べる効果や正しい食べ方、食べる時の注意点などを解説します。健康のためにヨーグルトを食べる習慣を取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
寝る前にヨーグルトを食べる5つの効果
ヨーグルトにはタンパク質や脂質、カルシウムなどの豊富な栄養素が含まれているため、健康面にさまざまな良い影響を与えるとされています。主な効果は以下のとおりです。
- 睡眠の質の向上
- 便秘予防
- 免疫力を高める
- 美肌効果
- 口臭の予防
それぞれの詳しい内容を解説します。
睡眠の質の向上
寝る前にヨーグルトを食べると、睡眠の質の向上が期待できます。
ヨーグルトの代表的な効果は、乳酸菌やビフィズス菌が腸内フローラのバランスを整えることで得られる整腸作用です。
ヨーグルトを食べることで腸内環境が整うと、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が正常になり、結果的に睡眠の質が上がるとされています。
メラトニンの材料となるセロトニンは、95%が腸で生成されているとの研究結果もあり、腸内環境と睡眠の意外な関係が注目されています。
より良い睡眠のために睡眠の質を高める方法をより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
便秘予防
先述のとおり、ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌の働きで、腸内環境が整う効果があります。
お腹の調子を整えるため、便秘などのお腹の症状にお悩みの方は、ヨーグルトを食べることでお腹の調子が改善するかもしれません。
腸は夜間に活発的に働くとされるので、就寝の2~3時間前を目安に、夜の時間帯にヨーグルトを取り入れると良いでしょう。
ただし、善玉菌は腸の中に住みつかないとされているため、定期的に摂取し続けることが大切です。
免疫力を高める
腸には体の免疫細胞の約7割が集中しており、体の免疫システムで大きな役割を果たしています。そのため、腸内環境を整えるヨーグルトは、免疫力の向上に役立ちます。
腸内環境が悪くなると、便秘だけでなく免疫力の低下も引き起こし、風邪などの病気に繋がりやすくなる可能性もあります。
「腸のゴールデンタイム」とされる、起きてから15〜19時間後に食べると、善玉菌をより多く増やすことが期待できるとされています。
美肌効果
ヨーグルトをはじめとする乳製品には、ビタミンAやビタミンB2など肌を支える豊富な栄養素が含まれています。そのため、腸内環境を改善する乳酸菌とともに、肌の調子を整える効果が見込めます。
ヨーグルトに含まれるビタミンAやビタミンB2は肌の生まれ変わりに必要な成分で、タンパク質は皮膚の元になる成分です。
そして、健康な肌のためには健康な体が必要です。乳酸菌は免疫力を高めて健康な体作りをサポートするため、美肌だけでなく体全体の健康をサポートできます。
なお、前述した腸のゴールデンタイムを考慮すると、腸内環境の改善による肌への良い影響を期待してヨーグルトを食べる場合も、夕食後の時間帯が理想的だといえるでしょう。
口臭の予防
寝起きの口臭が気になる方にも、寝る前のヨーグルトはおすすめです。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌や善玉菌には殺菌効果があります。ヨーグルトが口内を殺菌すると、口臭の原因になる細菌が減少して、口臭対策になる仕組みです。
また、ヨーグルトは腸内環境の悪化による口臭にも効果的です。腸内環境が乱れると、腸の運動が正常に働かずに有害物質が溜まりやすくなります。有害物質は血流によって肺にも届いてしまうため、口臭の原因となります。
ヨーグルトの乳酸菌は、腸内で乳糖やブドウ糖を分解すると同時に乳酸を発生させます。乳酸の働きにより腸の運動が促進されると、有害物質を体外に排出しやすくなり、腸内環境が改善して口臭の予防に繋がります。
寝る前に食べるヨーグルトの選び方
寝る前に食べるヨーグルトの選び方のポイントは以下のとおりです。
- 無糖や低脂肪のヨーグルトを選ぶ
- 自分の体に合った商品を選ぶ
上記を順番に解説します。
無糖や低脂肪のヨーグルトを選ぶ
ヨーグルトには、砂糖や香料が入っていないプレーンタイプや、甘味料や寒天などを加えたハードヨーグルトなど、さまざまな種類があります。
寝る前にヨーグルトを食べる場合には、むし歯や体重増加の懸念があるため、無糖や低脂肪のヨーグルトを選びましょう。
プレーンタイプの中でも無糖のヨーグルトを選ぶと、余計な砂糖の摂取を避けられます。低脂肪タイプはカロリーが控えめなので、夜食に適しています。
自分の体に合った商品を選ぶ
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は製品ごとに異なり、人によって相性も変わります。なぜなら、腸内細菌の構成が人によって異なるためです。ある人には効果的な乳酸菌が、別の人には合わないケースがあります。
そのため、ヨーグルトを選ぶ際は、自分の体に合った製品を見つけることが重要です。
一つのヨーグルトを最低でも2週間ほど続けて摂取し、自分の体調や便通の改善の変化を見て、ヨーグルトとの相性を観察しましょう。
寝る前にヨーグルトを食べる際のポイント
ここでは寝る前にヨーグルトを食べる時のポイントを紹介します。寝る前にヨーグルトを食べる時は以下の点に気をつけましょう。
- 就寝2~3時間前に食べる
- 虫歯にならないためにヨーグルトを食べたあとに歯を磨く
それぞれ解説します。
就寝2~3時間前に食べる
寝る前にヨーグルトを食べるなら、就寝2~3時間前までに食べ終えるよう心がけましょう。
一般的に、食べ物の消化には2~3時間ほど必要です。そのため、就寝直前にヨーグルトを食べると、体内では消化を優先して眠りが浅くなる可能性があります。
また、糖質を摂取するとインスリンが分泌され、インスリンの影響で糖質が脂肪に変わり脂肪が蓄えられます。ヨーグルトにも糖質が含まれているため、寝る直前に食べると脂肪が増えるうえに、脂肪を分解する活動も抑えられるため、太る原因になるかもしれません。
なお、先にも少し触れましたが、腸のゴールデンタイム(働きが最も活発になる)は、朝起きてから15~19時間後とされています。
例えば、朝6時に起きた場合、腸のゴールデンタイムは夜の9時から未明の1時までです。夜の9時にヨーグルトを摂取するなら、夜の6時頃までに夕食をすませて、就寝するのは夜の11時頃となります。
虫歯にならないためにヨーグルトを食べたあとに歯を磨く
ヨーグルトに含まれている乳酸菌は口内の悪玉菌にも効果があるため、歯周病の予防に繋がる説もあります。
ただし、ヨーグルトを食べたから歯磨きをしなくて良いわけではありません。特に加糖ヨーグルトでは、歯磨きをしなければ口内環境が悪くなるため、寝る前にヨーグルトを食べた後も歯を磨きましょう。
ヨーグルトの食べ過ぎには注意が必要
基本的には健康に良いとされるヨーグルトですが、食べ過ぎには注意が必要です。
ヨーグルトには糖質・脂質が含まれており、加糖されていると糖質はさらに多くなります。そのため、ヨーグルトを食べ過ぎると糖質過剰や発がん作用のある物質(女性ホルモン、飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸))が増加する可能性があります。
また、日本人は乳糖分解酵素「ラクターゼ」が少ないといわれており、ヨーグルトを食べ過ぎると、ヨーグルトに含まれる乳糖を十分に分解できず、下痢など胃腸の不調に繋がる可能性もあります。そのため、ヨーグルトを食べる際は、適量を心がけましょう。
加糖されているヨーグルトは食べ過ぎるとカロリー過多となり、肥満に繋がってしまいます。しかし、無糖であればカロリーも低く、適量の摂取であればカロリー過多の心配はほとんどありません。
また、ここではヨーグルトの食べ過ぎによるカロリー過剰摂取を解説しましたが、乳酸菌の摂りすぎは特に問題ないといわれています。
ヨーグルトの正しい食べ方
ヨーグルトが持つ効果を適切に得るためにも、ヨーグルトの正しい食べ方を知りましょう。ヨーグルトを食べる時のポイントは、以下のとおりです。
- 毎日続けて食べる
- 適量は1日100~200g
- 食べるタイミングは目的によって異なる
それぞれ解説します。
毎日続けて食べる
ヨーグルトは、一日に大量に食べるのではなく毎日適量を食べ続けることが大切です。
ヨーグルトを食べると悪玉菌が減少し、善玉菌が増加するとわかっています。しかし、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌は、一定期間が経過すると体内からいなくなります。そのため、ヨーグルトの摂取を止めると、腸内環境は元の状態に戻ってしまうでしょう。
また、一口にヨーグルトといっても、味や栄養成分などが異なる多くの種類が販売されているため、その中から自分に合ったヨーグルトを選ぶことも重要です。
自分に合うヨーグルトがわからない方は、同じヨーグルトを2週間程度食べ続け、体調の変化を観察してみると良いでしょう。
適量は1日100~200g
ヨーグルトにはイチゴやブルーベリーの果実が入ったタイプなど、甘いフレーバーで美味しく作られたものがたくさんあります。
ついたくさん食べてしまうこともあると思いますが、ヨーグルトの食べ過ぎは糖質過剰を引き起こすリスクがあるため、適量を食べるように心がけましょう。
一般的にヨーグルトは1日100~200g程度が適量とされています。小分けになった製品も売られているため、量を調整しながら食べると良いでしょう。
食べるタイミングは目的によって異なる
ヨーグルトを食べるタイミングは、「夜が良い」「朝と夜ともに食べる」など諸説ありますが、一般的には食前と食後で効果が異なるとされています。
食事前にヨーグルトを食べる効果は、血糖値を下げる効果です。一方、食後2~3時間すると胃液や胆汁が少なくなり、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌を摂取しやすくなるため、食後のヨーグルト摂取は腸内環境を整える効果が期待できます。
ダイエット目的であれば、食前がおすすめです。糖質の吸収が抑えられ、食前の摂取で食事量を減らせる効果があります。
腸内環境をよくするのならば、食事の2~3時間後は胃酸の分泌が減少する時間であるため、ヨーグルトを摂取すると乳酸菌などの善玉菌が胃酸の影響を受けずに腸まで届きます。
まとめ
ヨーグルトを食べる効果はさまざまあり、特に腸の働きを整える効果は有名です。
また、ヨーグルトによって腸の働きが整えられるとメラトニンの分泌が促され、睡眠の質の改善に繋がる可能性があります。そのほか、口臭の予防や肌の調子を整えたい方、便秘にお悩みの方、免疫力を高めたい方にもヨーグルトはおすすめです。
ヨーグルトは製品によって「自分に合う・合わない」があります。2週間程度続けて同じ製品を食べてみて、便通や体調の変化を観察し、自分に合った製品を選びましょう。
また、ヨーグルトは一般的に健康に良い影響を与えるとされていますが、食べ過ぎには注意が必要です。一度に大量に食べるのではなく、毎日適量を食べ続け、ヨーグルトを食べる習慣を作りましょう。
なお、就寝直前に食事をとると、体が消化を優先して睡眠の質が低下する可能性があります。睡眠の質の低下は体に多くの悪影響を及ぼすため、就寝時刻の約2~3時間前にはヨーグルトを食べ終えましょう。