「ヨーグルトは健康にいい」という話を聞いたことはありませんか。この噂を聞いて、夕食後のデザートの代わりにヘルシーなヨーグルトを食べようと考える方もいるかもしれません。
ヨーグルトを食べると、睡眠の質の向上に繋がり、さまざまな良い効果を得られるともいわれています。
しかし、闇雲に食べれば良いというわけではありません。日々の生活にヨーグルトを食べる習慣を取り入れるなら、正しいヨーグルトの食べ方を理解することが大切です。
この記事では、寝る前にヨーグルトを食べる効果や正しい食べ方、食べる時の注意点などを解説します。ヨーグルトを食べる習慣を取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
寝る前にヨーグルトを食べる効果
ヨーグルトにはタンパク質や脂質、カルシウムといった豊富な栄養素が含まれているため、健康面にさまざまな良い影響を与えるとされています。
ヨーグルトを食べて得られる代表的な効果として知られているのが、乳酸菌やビフィズス菌が腸内フローラのバランスを整えることで得られる整腸作用です。
また、ヨーグルトを食べることで腸内環境が整うと、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が正常になり、結果的に睡眠の質が上がるとされています。
メラトニンの材料となるセロトニンという物質は、95%が腸で生成されているとの研究結果もあり、腸内環境と睡眠の意外な関係が注目されています。
寝る前にヨーグルトを食べることでメラトニンが正しく分泌されれば、睡眠の質が高まる効果を期待できるでしょう。
そのほか、以下のような効果も期待できるとされているため、上記と合わせて覚えておきましょう。
- 免疫力を高める
- お肌の調子を整える
- 血中コレステロール値を正常に保つ
川本徹
みなと芝クリニック名誉院長、犀星の杜クリニック六本木院長
ヨーグルトを食べると、糖尿病、不眠症、うつ病、認知症、アトピー性皮膚炎、花粉症、大腸がん、動脈硬化、高血圧、便秘、下痢、潰瘍性大腸炎、インフルエンザなどの感染症などの予防に繋がると考えられています。
ヨーグルトの食べ過ぎには注意が必要
基本的には健康に良いとされるヨーグルトですが、食べ過ぎには注意が必要です。
ヨーグルトには糖質・脂質が含まれており、加糖のものだと糖質はさらに多くなります。そのため、ヨーグルトを食べ過ぎると糖質過剰や発がんの作用のある物質(女性ホルモン、飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸)が増加する可能性があります。
また、日本人はラクターゼという酵素が少ないといわれており、ヨーグルトを食べ過ぎると、ヨーグルトに含まれる乳糖を十分に分解できずに下痢になる可能性もあります。
ヨーグルトを食べる際は、適量を心がけるようにしましょう。
川本徹
みなと芝クリニック名誉院長、犀星の杜クリニック六本木院長
加糖されているヨーグルトは過食しますとやはりカロリー過多となり、肥満に繋がってしまいますが、無糖であればかなり低カロリーなので心配は無いようです。乳酸菌の摂りすぎは問題ありません。
ヨーグルトの正しい食べ方
ヨーグルトが持つ効果を適切に得るためにも、ヨーグルトの正しい食べ方を把握しておきましょう。ヨーグルトを食べる時のポイントは、以下のとおりです。
- 毎日続けて食べる
- 適量は1日100~200g
- 食べるタイミング
それぞれ解説します。
毎日続けて食べる
ヨーグルトは、一日に大量に食べるのではなく、毎日適量を食べ続けることが大切です。
ヨーグルトを食べると悪玉菌が減少し、善玉菌が増加することがわかっていますが、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌は、一定期間が経過すると体内からいなくなります。そのため、ヨーグルトを食べるのを止めると、腸内環境は元の状態に戻ってしまうでしょう。
また、一口にヨーグルトといっても、味や栄養成分などが異なる多くの種類が販売されているため、そのなかから自分に合ったヨーグルトを選ぶことも重要です。
どのヨーグルトが自分に合っているのかわからない方は、同じヨーグルトを2週間程度食べ続けてみて、体調の変化を観察しておくと良いでしょう。
適量は1日100~200g
ヨーグルトにはいちごやブルーベリーの果実が入ったタイプなど、甘いフレーバーで美味しく作られたものがたくさんあります。
ついついたくさん食べてしまうこともあると思いますが、ヨーグルトの食べ過ぎは糖質過剰を引き起こすリスクがあるため、適量を食べるように心がけましょう。
一般的にヨーグルトは1日100~200g程度が適量とされています。小分けになった製品も売られているので、量を調節しながら食べると良いでしょう。
食べるタイミング
ヨーグルトを食べるタイミングは、「夜が良い」「朝と夜ともに食べる」など諸説ありますが、一般的には食前と食後で効果が異なるとされているようです。
食事前にヨーグルトを食べると、血糖値を下げる効果があるとされています。一方、食後2~3時間すると胃液や胆汁が少なくなり、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌を摂取しやすくなるので、腸内環境を整える効果が期待できます。
川本徹
みなと芝クリニック名誉院長、犀星の杜クリニック六本木院長
ダイエット目的であれば、食前がおすすめです。糖質の吸収が抑えられるのと、食前摂取で食事量を減らせる効果があります。腸内環境をよくするのならば、食後2~3時間すると胃酸の分泌が減少するので、その時にヨーグルトを摂取すれば乳酸菌などの善玉菌が胃酸にやられずに腸まで届きます。
寝る前にヨーグルトを食べる際のポイント
ここでは寝る前にヨーグルトを食べる時のポイントを紹介します。寝る前にヨーグルトを食べる時は以下の点に気をつけましょう。
- 就寝2~3時間前に食べる
- バナナなどを入れる時は適量を心がける
- ヨーグルトを食べたあとに歯を磨く
それぞれ解説します。
就寝2~3時間前に食べる
寝る前にヨーグルトを食べるなら、就寝2~3時間前までに食べ終えるよう心がけましょう。
一般的に、食べ物の消化には2~3時間ほど必要です。そのため、就寝直前にヨーグルトを食べると、体内では消化を優先して眠りが浅くなる可能性があります。
また、糖質を摂取するとインスリンが分泌され、インスリンの影響で糖質が脂肪に変化して脂肪が蓄えられます。ヨーグルトにも糖質が含まれているため、寝る直前に食べると脂肪が増えるうえに、脂肪を分解する活動も抑えられるため、太る原因になるかもしれません。
なお、腸のゴールデンタイム(働きが最も活発になる)は夜の10時から未明の2時までとなっています。この時間帯にあえてヨーグルトを摂取すると、腸内環境がより良くなります。夜10時にヨーグルトを摂取するとなると、7時くらいまでに夕食を済ませ、就寝するのは12時くらいがベストです。
バナナなどを入れる時は適量を心がける
ヨーグルトに、はちみつやバナナなどを入れるとおいしく食べられるため、一緒に食べている方も多いと思います。
しかし、トッピングを入れすぎるとカロリーオーバーに繋がるので注意が必要です。はちみつやバナナといったトッピングも、ヨーグルト同様に適量を心がけましょう。
ヨーグルトを食べたあとに歯を磨く
ヨーグルトに含まれている乳酸菌は口内の悪玉菌にも効果があるため、歯周病の予防に繋がるという説があるようです。
ただし、ヨーグルトを食べているからといって歯磨きをしなくて良いということではありません。特に加糖ヨーグルトでは歯磨きをしなければ口内環境が悪くなるため、寝る前にヨーグルトを食べた後も歯を磨くようにしましょう。
まとめ
ヨーグルトを食べることで得られる効果はさまざまあり、特に腸の働きを整える効果は有名です。また、ヨーグルトによって腸の働きが整えられることで、メラトニンが促されることに繋がり、睡眠の質の改善になる可能性があります。
なお、ヨーグルトは一般的に健康に良い影響を与えるとされていますが、食べ過ぎには注意が必要です。一度に大量に食べるのではなく、毎日適量を食べ続け、ヨーグルトを食べる習慣を作りましょう。
また、就寝直前に食事をとると、体が消化を優先して睡眠の質が低下する可能性があります。睡眠の質の低下は体に多くの悪影響を及ぼすため、就寝時刻の約2~3時間前にはヨーグルトを食べ終えましょう。