メイクをしたまま寝ると肌に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、基本的にはメイクを落としてから寝るよう心がけることが大切です。
しかし、疲れている時や眠い時など、メイクしたまま寝ることがあるかもしれません。そんな場合に備えて、次の日の適切な対処方法を知っておきましょう。
この記事では、メイクをしたまま寝ることによる影響を解説し、翌日の対処法やメイクしたまま寝てしまうことを防止するための対策も紹介します。
メイクしたまま寝ることによる3つの影響
メイクをしたまま寝ることで、肌に以下のような悪影響を与える可能性があります。
- 毛穴詰まり
- 色素沈着
- ターンオーバーの乱れ
以下で、それぞれについて詳しく解説します。
毛穴の詰まり
メイクをしたまま寝てしまうと、ファンデーションなどの化粧品が長時間肌についていることになります。すると、毛穴には化粧品と皮脂、古い角質が混ざったものが「角栓」となり、毛穴の詰まりを引き起こします。
さらに、毛穴に詰まった角栓が放置され酸化すると、黒っぽくなりポツポツと目立つようになります。毛穴の黒ずみはファンデーションを塗ると一時的には隠れますが、時間が経つと皮脂の分泌によりファンデーションが浮き始め、より目立つようになります。
色素沈着
メイクをしたまま寝ると、肌への色素沈着も起こりやすくなります。色素沈着とは、肌への刺激や紫外線などが原因で肌に何らかの色が残ってしまうことです。
メイクをしたまま長時間放置することで、ファンデーションに含まれる油分や皮脂が酸化し、肌トラブルの原因となる活性酸素が発生します。活性酸素はシミの原因となるメラニン色素を生成するため、結果として色素沈着が起こりやすくなります。毛穴の詰まりによってニキビができた場合も、ニキビ跡になると色素沈着に繋がります。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは皮膚の新陳代謝のことで、新しい皮膚が生まれて古い皮膚が剥がれ落ちるサイクルを指します。健康な美肌を保つには、ターンオーバーが正常に行われることが重要です。
本来、ターンオーバーは20代の健康な方で約28日、30~40代の方では約45日の周期ですが、生活習慣の乱れや間違ったスキンケア、紫外線、乾燥などが原因で乱れてしまいます。
メイクをしたまま寝た場合も、本来はがれ落ちるべき皮膚がなかなかはがれなくなってしまい、ターンオーバーの乱れに繋がります。
横山歩依里
エルムクリニック麻布院 院長
肌は平均28日周期で生まれ変わっていますが、メイクをしたまま寝るとそのターンオーバーが妨げられ、古い角質や沈着したメラニンを排出できず、シミやくすみ、たるみに繋がります。
メイクしたまま寝た次の日の対処法
疲れてメイクをしたまま寝てしまう日もあるでしょう。メイクをしたまま寝てしまった次の日は、以下の対処法を実践すると肌への悪影響を軽減できる可能性があります。
- 丁寧にクレンジングする
- やさしく洗顔する
- ゆっくり入浴する
- しっかりと保湿する
- 肌に負担のないメイクにする
それぞれ解説します。
丁寧にクレンジングする
肌を清潔に保つために、まずはクレンジングで化粧品の成分に含まれる油分を浮かせて、しっかりメイクを落としましょう。
クレンジングの基本的な手順は、以下のとおりです。
- ポイントメイクを落とす
- ベースメイクを落とす
肌への負担を軽減するために、ポイントリムーバーを使って、口や目のメイクを先に洗い落とします。
顔全体のクレンジングは、ティーゾーンから肌に負担をかけないようにやさしく行い、30℃程度のぬるま湯でやさしくすすいでください。
やさしく洗顔する
洗顔は、ゴシゴシこすると肌へ負担がかかるため、泡立てネットを使用してしっかり泡立ててから、肌に残っている汚れを浮かすようになじませます。
洗う順番は皮脂の多い箇所から始め、口や目などの細かい部分は最後に洗いましょう。
ぬるま湯でやさしくすすぎ、洗い流しがないように注意して、最後に清潔なタオルで肌をこすらないようにやさしく水分を吸い取ります。
なお、長時間の洗顔は乾燥の原因になるため、1分程度を目安にしましょう。
ゆっくり入浴する
時間がある場合はゆっくり入浴するのもおすすめです。
メイクをしたまま寝た次の日は、乾燥や荒れなど肌の調子が悪いことが考えられるため、入浴をして肌にうるおいを与え、化粧水や乳液を浸透しやすくしましょう。入浴して血行が促されると、代謝アップも期待できます。
なお、入浴の時間がない場合は、蒸しタオルを活用して肌を温めるのも効果的です。
しっかりと保湿する
クレンジングや洗顔はもちろん大事ですが、その後の保湿も重要です。
入浴後や洗顔後は水分が失われていきます。肌の水分量が減少すると、外からの異物による攻撃や侵入、水分の蒸散を防ぐバリア機能が低下するため、適量の化粧水で肌に水分を与えて乳液で蓋をしましょう。
横山歩依里
エルムクリニック麻布院 院長
保湿を重視するならセラミドという成分に注目しましょう。
肌のうるおいを保つ保湿因子には「皮脂膜」「天然保湿因子(NMF)」「細胞間脂質」の3つがありますが、その中でも特に保湿にとって重要なのは、細胞間脂質の50%以上の組成を占めるセラミドです。
肌に負担の少ないメイクにする
メイクをしたまま寝た次の日は、できるだけ肌を休めたほうが良いですが、仕事や用事などメイクを必要とするケースもあるでしょう。
肌にできるだけ負担をかけたくない場合は、「すっぴんメイク」など普段よりメイクを薄目にすると良いかもしれません。
よく伸びる下地を使用する、ファンデーションと乳液を混ぜて使用する、肌にやさしい成分が含まれているメイク用品を使用するといった工夫も試してみましょう。
メイクしたまま寝ないための工夫
基本的にメイクは落としてから寝ることを推奨しますが、疲れて何もせずに寝たい日もあるでしょう。
そんな時のために、疲れた日でも簡単にお手入れできるアイテムを持っておくと、メイクをしたまま寝てしまうのを防止しやすくなります。
簡単に肌のお手入れができるアイテムとしては、以下のものが代表的です。
- クレンジングと洗顔が同時にできる商品
- クレンジングが可能な拭き取りシート
- オールインワンのスキンケア商品
便利なアイテムを上手に活用して、良好な肌の状態を保ってください。
睡眠不足が原因でメイクを落とせないなら生活リズムを整える
そもそもメイクをしたまま寝てしまうのは、睡眠不足で疲れている可能性もあります。メイクを落としてから寝られるように、日頃から睡眠の質を高めて、睡眠不足を解消させることも大切です。
睡眠の質を高めるために心がけるポイントは、以下になります。
- 適度な運動
- 規則正しい食事
- 環境作り
適度な運動や規則正しい食事を心がけるのは、睡眠の質を向上させることに繋がります。特に食事は消化活動を考慮する必要があるため、夕食は遅くても寝る3時間前には済ませましょう。
また、睡眠の質を高めるには環境作りも重要です。自分の体に合ったマットレスや枕などの寝具選び、適度な室内環境(温度・湿度)、体温調節に気を付けて、快適な就寝環境を整えるよう意識してください。
横山歩依里
エルムクリニック麻布院 院長
睡眠の質を向上させるためには、眠る前のスマホ操作を控えましょう。電子機器が放つブルーライトは太陽の光に近い性質のため、脳が時間を誤認識して、覚醒してしまうことがあります。
さらに、眠る時に必要な副交感神経の働きを鈍くするカフェインや、アルコールを分解するためにアセトアルデヒドが発生するアルコール類を飲むことも控えましょう。
まとめ
メイクをしたまま寝ると、肌に悪影響を与える可能性があります。もしもメイクをしたまま寝てしまった場合は、次の日のスキンケアを丁寧に行ないましょう。
また、メイクを落とす前に疲れて寝そうになった場合に備えて、簡単なクレンジング用品を持っておくのも良いかもしれません。
そのほか、メイクをしたまま寝てしまうのは、そもそも睡眠不足で疲れが取れていない可能性があるため、思い当たる方は睡眠の質を向上させることにも注力してください。