腰痛はひどくなると日常生活に支障をきたすこともあり、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。血行の悪化や筋肉が硬くなることが原因の一つであるため、腰痛予防や改善を目的とした体操やストレッチを行うことが大切です。
この記事では、腰痛改善のために寝ながら行えるストレッチ方法や注意点を紹介します。腰痛に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
寝ながら腰痛改善のストレッチはできる?
腰痛の予防や改善のためには、日常的にストレッチを行うことが大切です。腰痛の予防や改善のストレッチは寝ながら行うこともできるため、「起き上がってストレッチをするのはつらい」と感じる時でも気軽に取り組めます。
仰向けでできる腰痛改善のストレッチ方法
ベッドや布団のうえで、仰向けの状態で行えるストレッチを3つ紹介します。寝る前、寝起きなどのリラックスした時間で無理なく行えるので、ぜひ実践してください。
1.腰や背中のストレッチ
※上記はイメージです
腰痛に関係する筋肉の柔軟性を高めることができるストレッチです。
- 仰向けに寝た状態で片膝をお腹の方に曲げて両手で抱える
- ゆっくり深呼吸をしながら、そのまま胸の方へ引き寄せる
- そのままの姿勢で約10秒間維持する
- 反対側の脚に変えて同じように行う
ポイントは、膝をお腹に引き寄せる際に腰が浮かないようにすることです。また、曲げた膝を伸ばす際はかかとを床に下ろしてから膝を伸ばしましょう。
2.太もものストレッチ
※上記はイメージです
腰・背中のストレッチ同様、腰痛に関する筋肉の柔軟性を高めることができます。
- 1.仰向けに寝た状態で、片方の足の裏が天井に向かうようにまっすぐ脚を伸ばす
- 2.伸ばした脚の膝の裏を両手で支える
- 3.その姿勢で膝の曲げ伸ばしを行い、その後ゆっくりと膝をできるだけ伸ばす
- 4.最も伸びた状態で約10秒間維持する
1.で脚を伸ばす際は、お腹と太ももの角度が90℃になるように伸ばしましょう。
3.腰や腰横の筋肉のストレッチ
※上記はイメージです
腰をひねるようにして行うストレッチ方法です。
- 1.仰向けの状態で片脚を軽く曲げながら反対側に倒し(腰をひねる)顔は脚を倒した方向と反対側を向く
- 2.1の状態で10秒間維持する
- 3.反対側も同じように行う
腰をひねる際は呼吸を止めないように意識して、肩を浮かせないように注意しましょう。 また、両膝を立てて両足とも片側に倒すと腹斜筋のストレッチにもなります。
うつ伏せでできる腰痛改善のストレッチ方法
ベッドや布団のうえでうつ伏せの状態でできるストレッチ方法を3つ紹介します。仰向けのストレッチ同様、無理なくリラックスした状態で取り組みましょう。
1.大腰筋と大殿筋のストレッチ
太ももの内側から腰にかけてのストレッチです。腰痛のほか、股関節痛予防にも役立ちます。
- 1.うつ伏せの状態で両手の甲に額(ひたい)が乗るように手枕をする
- 2.片脚の膝を床につけたまま曲げ、膝が体の横に来るように頭の方向へ持ち上げる
膝を曲げる際は、腰が床から離れないように意識しましょう。
2.背骨をほぐすストレッチ
- 1.うつ伏せの状態で、両手の甲を顔の下におく
- 2.両足を伸ばしたまま少し開く
- 3.両膝を軽く曲げ、足裏が天井を向くようにする
- 4.両すねを左右に倒すように動かす
- 5.1セット5回を1日3セット目安に行う
ワイパーのように両すねを左右に倒す際は、背骨を動かすことを意識します。慣れてきたら徐々に倒す角度を大きくしましょう。
3.腰を反らすストレッチ
※上記はイメージです
前かがみになると痛みを感じる場合に役立つストレッチです。
- 1.うつ伏せになり全身の力を抜く
- 2.両肘で体を支えて上体を起こす
- 3.さらに両手の平を床につけて肘を伸ばし、腰まで反らせる
- 4.3の姿勢で10秒維持する
- 5.1~4を3回行う
すでに腰痛がある方は肘を伸ばしにくい場合があります。その際は、3に進まず肘を曲げたまま上体を軽く反らすだけでもストレッチになります。
腰痛改善のためにストレッチを行う際の注意点
ストレッチは、広い場所や道具が必要なく手軽に行える点が魅力です。また、運動強度が低く動作が少ないため基本的には安全な運動ですが、正しい方法で行わなければ効果も十分に期待できません。
以下で解説する注意点を意識してストレッチを行いましょう。
反動をつけると逆効果になる
体が硬い人ほど、ストレッチを行う際に反動をつけてしまう傾向があります。反動によって瞬間的に筋肉が伸ばされると、伸張反射という反応が起こります。
伸張反射とは筋肉が切れないように守ろうとする反射で、筋肉が余計に硬くなる原因となります。
ストレッチは反動を使わずにゆっくり行うことが大切なので、リラックスした状態で気持ち良い程度に筋肉を伸ばしましょう。
呼吸を止めると体に負担がかかる
ストレッチを行う際に呼吸を止めると、体は緊張状態になります。緊張状態になると筋が硬くなり、ストレッチを行っても十分に緩められなくなります。
また、呼吸を止めると血圧が上昇し体に負担がかかるため、ストレッチ中は呼吸を意識することが大切です。深い呼吸は緊張を和らげてくれるため、鼻と口で深呼吸をしながらストレッチを行いましょう。
無理をせず、疲労が残らない程度に行う
ストレッチで痛みを感じた場合、そのまま続けると筋を痛める恐れがあります。
腰痛対策に関わらず、ストレッチは気持ち良いと感じる範囲内で行うことが大切です。なお、すでに腰痛がある場合は無理にストレッチを行わず医師に相談しましょう。
ストレッチ以外の腰痛対策
ストレッチ以外にできる腰痛対策や日常の心がけを紹介します。
体操や運動で筋肉を鍛える
腰を支えている筋肉には、腰椎を反らせる背筋や腸腰筋、腰椎をかがめる腹筋などがあります。これらの腹筋や背筋などの背骨を支える筋肉が弱くなると、腰にかかる負担が増えて腰痛を起こしやすくなります。
腰痛を予防するには、日常的に運動を行い背骨周りの筋肉をバランス良く鍛えることが大切です。ただし、過度な運動でも筋肉疲労から腰痛に繋がるため、運動は適度に行いましょう。
姿勢や動作に気をつける
腰痛の原因の多くは日常的な姿勢の悪さです。立っている時や歩く際は、猫背や前傾姿勢、反対に反りすぎないように意識し、下腹部に力を入れて背筋を伸ばしましょう。
背もたれがあり肘が直角になるサイズ感の椅子を選び、深く腰掛けると腰の負担が軽減されます。また、重いものを持つ際は、持ち上げるものを体に近づけて腰を落とし、まっすぐにしたまま膝を伸ばして持ち上げることがポイントです。
基本的に、どの場面でも長時間同じ姿勢を維持することで腰の負担は増え、腰痛が起きやすくなります。日常的に姿勢をこまめに変えることを意識しましょう。
寝具を変える
マットレスや敷き布団を適切なものに変えることも腰痛対策になります。寝起きに腰の痛みを感じる場合や寝る際の姿勢・寝返りに違和感がある場合は、マットレスや敷き布団が体に合っていない可能性もあります。
例えば、マットレスや敷き布団が柔らかすぎると、腰部と胸部が深く沈み込むことで腰痛の原因になります。反対に、硬すぎると骨があたり痛みを感じやすくなったり、血流が悪くなったりして寝心地が悪くなります。
マットレスや敷き布団は適度な硬さで、自分にとって楽で快適な寝相を保ちやすいものを選ぶことが大切です。その際は、「寝返りがしやすい」「仰向けの姿勢での違和感がない」「眠りに入る際の姿勢が心地良い」の3点を重視して選ぶことがポイントです。
なお、腰痛とマットレスの関係や、腰痛対策としてのマットレスの選び方をさらに詳しく知りたい場合は下記記事をご覧ください。それぞれについて具体的に解説しています。
寝ながら行うストレッチで腰痛の改善を目指そう
腰痛を改善するには、日頃から運動や体操を行って筋力をつけることや正しい姿勢を意識することが重要です。
また、血流が悪化すると筋が硬くなり腰痛を引き起こす原因にもなるため、ストレッチを行い腰回りの筋肉を柔軟にほぐすことも大切です。ストレッチは、仕事の合間などでこまめに行いましょう。寝ながら行えるストレッチもあり、起き上がる必要がなくより手軽に行えます。
この記事で紹介した方法も参考に、ストレッチを習慣づけて腰痛の予防や改善を目指しましょう。
なお、寝起きに必ず腰の痛みを感じる場合はマットレスや敷き布団の硬さが合っていない可能性があるため、適度な硬さのものに変えるのも選択肢の一つです。また、「腰痛が辛い」「ストレッチを行っても改善されない」などの場合は、無理せず医療機関に相談しましょう。