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2024.04.11 更新

【医師監修】寝過ぎると頭痛が起こる原因は?対処法・予防法を解説

【医師監修】寝過ぎると頭痛が起こる原因は?対処法・予防法を解説

「長時間寝過ぎると頭が痛い…」という場合、「片頭痛」や「緊張型頭痛」の可能性があります。

「片頭痛」や「緊張型頭痛」では対処法がほぼ真逆で、対処を間違うと悪化する恐れもあるため、症状から頭痛の種類を見極めて対処する必要があります。

この記事では、寝過ぎた時の頭痛のタイプの見極め方、起こりやすい場面、頭痛の種類ごとの対処法について紹介します。寝起きの頭痛に悩まされている方はぜひ参考にしてください。

  1. 起床時の頭痛は寝過ぎが原因で起こる?
  2. 寝過ぎてしまう原因は?
  3. 寝過ぎが原因で起こる頭痛は2種類
  4. 寝過ぎによる頭痛が起こりやすい場面
  5. 片頭痛の場合
  6. 緊張型頭痛の場合
  7. 寝過ぎで頭痛が起きた時の対処法
  8. 片頭痛が起きた時
  9. 緊張型頭痛が起きた時
  10. 寝過ぎで頭痛を起こさないための予防法
  11. 寝過ぎによる頭痛のタイプごとの予防法を習慣化する
  12. 昼寝の時間をとる
  13. 自分に合った適切な睡眠時間を心がける
  14. 快適で質の高い睡眠をとる
  15. 寝起きに頭痛が続く場合は医師への相談も検討する
  16. まとめ

起床時の頭痛は寝過ぎが原因で起こる?

頭痛の種類は大きく「慢性頭痛急性頭痛」「そのほかの頭痛」の3つに分けられます。

慢性頭痛は、毎日もしくは1週間おきなど周期的に起こる頭痛とされ、さらに3つの種類があります。

それぞれの特徴を紹介すると下記のとおりです。

頭痛の種類特徴
慢性頭痛緊張型頭痛・一般的に両側から締め付けられるような重い痛み
・心身のストレスにより頭の筋肉が緊張することで起こりやすい
片頭痛・頭の片側に起こることが多くズキズキと激しい痛みを伴う
・女性や、家族が片頭痛持ちの方に多いとされている
群発頭痛・年に1度、1ヶ月ほど一定時刻になると片目がえぐられるような激しい痛みが発生する
・20~30代の男性に多く、睡眠中に起こりやすい
急性頭痛・何らかの脳の病気が原因で激しい痛みが突発的に起こる頭痛
・命にかかわることもあるため、急性頭痛が起こった場合はすぐに医療機関を受診する
そのほかの頭痛・風邪や二日酔い、薬の副作用などによる頭痛
・原因がわからない場合は医療機関での受診がおすすめ

日本の15歳以上の方を対象とした調査では、22%が「緊張型頭痛」で圧倒的に多く、8.4%が「片頭痛」ということがわかっています。つまり、日本の人口を1億人と仮定すると、約840万人の方は片頭痛持ちということになります。

頭痛の原因は諸説あり、何らかの原因で三叉神経(痛みを感じる神経)が炎症を起こすケースや、血管の拡張などのほか次のようなことが考えられます。

  • 長時間の不自然な姿勢
  • 心身的なストレス
  • アルコールや食事
  • 温度差や天気の変化
  • 月経周期
  • 睡眠リズムの乱れ

原因はさまざまですが、頭痛の原因やきっかけが明確になると、対処もしやすくなります。

寝過ぎてしまう原因は?

寝過ぎてしまう原因はさまざまですが、主に「睡眠時間の不足」と「睡眠の質の低さ」が考えられます。

平日に寝不足が続くと、休日に寝過ぎてしまうこともあるでしょう。慢性的な睡眠不足の状態を「睡眠負債」といいますが、休日に寝溜めをしても睡眠負債は解消できません。

また、就寝前にカフェインを摂取したり、寝る直前にスマホやパソコンの明るい画面を眺めたりすると、脳が覚醒して睡眠の質が低下します。睡眠の質が低くて深い眠りにつけないと、疲れをとるために長時間の睡眠が必要になります。

より詳しい寝過ぎの原因や対処法は、以下の記事で紹介しています。寝過ぎは体の不調のサインである可能性も考えられるため、ぜひご覧ください。

寝過ぎ
【医師監修】寝過ぎは体の不調のサイン?原因や対処法について詳しく紹介

寝過ぎが原因で起こる頭痛は2種類

寝過ぎが原因によって起こる頭痛としては「片頭痛」もしくは「緊張型頭痛」の2つが考えられます。

片頭痛と緊張型頭痛の特徴や原因は、次のとおりです。

項目片頭痛緊張型頭痛
特徴目の奥から側頭部や頭全体にズキズキした、脈打つような痛み筋肉の緊張によって起こる頭部を締め付けられるような痛み
原因血管の拡張と血流の変化睡眠時の姿勢

寝起きに片頭痛が起こる場合、血管の拡張と血流の変化が原因となっている可能性があります。人は熟睡している時には心拍数や呼吸数が低下し、血流が緩やかになります。

その状態から、起きた時の血流量の増加により三叉神経が引っ張られることにより起こるとされています。

一方で緊張型頭痛の場合は、首や肩に負担がかかる姿勢で寝ることで、僧帽筋(そうぼうきん)や後頚筋(こうけいきん)、側頭筋(そくとうきん)など頭痛の原因となる筋肉の血流が停滞し、強い収縮と緊張することで起こります。

それぞれ痛み方や周期、症状が異なるため、自分がどちらのタイプかを見極めて対処しましょう。片頭痛と緊張型頭痛、それぞれの見分け方はそれぞれ次のとおりです。

項目片頭痛緊張型頭痛
痛む場所片側両側
痛みの種類ズキンズキンとした痛み・締め付けられるような痛み
・圧迫されるような痛み
痛みの度合い中程度〜かなり強い軽度〜中程度
動いた時の痛み痛みが増す変わらない
頭痛以外の症状・吐き気、嘔吐
・光や音に敏感になる
・肩こり
・めまい
痛みの周期数日〜1ヶ月に1回程度数日〜1ヶ月に1回程度
佐川森彦

佐川森彦

かなまち慈優クリニック 副院長

片頭痛は家族歴のある方、緊張型頭痛は肩こりのある方に多いといえます。

寝過ぎによる頭痛が起こりやすい場面

続いて、寝過ぎによる頭痛が発生しやすい場面を片頭痛・緊張型頭痛にわけて、それぞれ紹介します。

片頭痛の場合

片頭痛は、以下のような場面で起こりやすいとされています。

  • 光の刺激を受けた時
  • 雑音・騒音にさらされた時
  • 起きてすぐ仕事・勉強などをした時

光の刺激を外から受けると、副交感神経が活性化し、頭痛の症状が悪化する場合があります。雑音や騒音が聞こえる場所で眠っている時も、音の影響で片頭痛が起こる可能性が高くなります。

また、起きてすぐに仕事や勉強をすると、血管の拡張が促され、片頭痛が起こりやすいです。

緊張型頭痛の場合

一方で、緊張型頭痛が起こりやすい場面として、以下が挙げられます。

  • 精神状態が良くない時
  • 忙しさから解放された時

筋肉の緊張が原因で起こりやすい緊張型頭痛は、寝相の悪さや睡眠時の姿勢だけでなく、ストレスを抱えている時に症状が出やすい傾向にあります。強いストレスを感じている時間が長いと、頭痛を起こす頻度も高くなるでしょう。

また、忙しい時だけでなく、仕事や家事などのストレスから解放された後の睡眠時に頭痛が起こるケースも多いです。

寝過ぎで頭痛が起きた時の対処法

寝過ぎで頭痛が起きた時の対処法

寝過ぎによって片頭痛や緊張型頭痛が起こっている場合の対処法を、それぞれ紹介します。

一般的に推奨されている方法を紹介しますが、自分に適していれば市販や処方された頭痛薬を飲むことも一つの方法です。

また、片頭痛や緊張型頭痛ではそれぞれ対処法が異なり、ほぼ真逆になる点もあることに注意が必要です。対処前にはしっかりと自分がどちらのタイプかを見極めて対処しましょう。

片頭痛と緊張型頭痛、それぞれの対処法を簡単にまとめました。

項目片頭痛緊張型頭痛
対処法・アルコールの摂取を控える
・光や騒音などの刺激を避ける
・精神的なストレスを減らす
・痛みがある部分を冷やす
・カフェインを摂取する
・ゆっくりとストレッチをする
・痛みがある部分を温める
・マッサージをする
・自分に合った方法でストレス解消をする

以下でそれぞれ詳しく解説します。

片頭痛が起きた時

片頭痛が起きた時の対処法としては下記のようなものがあります。

  • アルコールの摂取を控える
  • 光や騒音などの刺激を避ける
  • 精神的なストレスを減らす
  • 痛みがある部分を冷やす
  • カフェインを摂取する

これらの対処法の中でも、すぐにできるものがいくつかあります。

例えば、軽度な片頭痛であればコーヒーなどのカフェイン飲料を摂取すると治まることがあります。しかし、多量のカフェインを摂取すると逆に痛みが強くなることもあるため、量には注意しましょう。

また、痛みがある箇所を冷たいタオルで冷やすと、拡張した血管が収縮し、痛みが和らぐ可能性があります。温めたり揉んだりすると逆効果になる可能性があるので注意しましょう。

刺激があるほど片頭痛の症状は悪化しやすいため、暗い静かな部屋で安静にすることをおすすめします。また、痛みがある際の入浴も、血流が促進され痛みが増す可能性があるため控えましょう。

緊張型頭痛が起きた時

緊張型頭痛が起きた時の対処法としては以下のようなものがあります。

  • ゆっくりとストレッチをする
  • 痛みがある部分を温める
  • マッサージをする
  • 自分に合った方法でストレス解消をする

このように片頭痛の対処法とは異なり、痛みのある部分を温めるか冷やすかは真逆となる点に注意しましょう。

緊張型頭痛は筋肉の緊張によって起こるため冷やすのではなく、痛みがある箇所を温めたりマッサージしたりして「緊張をほぐす」ことが大切です。

佐川森彦

佐川森彦

かなまち慈優クリニック 副院長

片頭痛・緊張型頭痛への対処法は、いずれも過剰に行わないことが重要です。

また、片頭痛は血管の走行の問題であることもあり、薬の内服が必要になる方もいます。必要に応じて、医師に相談しましょう。

寝過ぎで頭痛を起こさないための予防法

寝過ぎによって頭痛を起こさないためにできる予防法としては主に次の4つがあります。

  • 寝過ぎによる頭痛のタイプごとの予防法を習慣化する
  • 昼寝の時間をとる
  • 自分に合った適切な睡眠時間を心がける
  • 快適で質の高い睡眠をとる

それぞれの予防法について、以下で詳しく紹介します。

寝過ぎによる頭痛のタイプごとの予防法を習慣化する

それぞれの頭痛を予防するには、次の方法が推奨されています。日常的に習慣化し、頭痛のきっかけとなるものをできるだけ日常から取り除きましょう。

頭痛のタイプ予防法
片頭痛・頭痛になるきっかけを記録し、そのきっかけを避ける
・原因となりやすい食べ物を控える(チョコレート、チーズ、化学調味料など)
・精神的ストレスを避ける
・アルコールや喫煙を控える
・空腹を避ける
・寝過ぎや寝不足を避ける
緊張型頭痛・長時間同じ姿勢をとらない
・ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
・休日はリラックスを心がける
・枕を高くしすぎない

片頭痛は血管が広がり、血流が変化することによって起こるため、そのきっかけとなる行為を避けるように心がけましょう。

一方で、緊張型頭痛は筋肉が緊張して起こるため、
ストレッチやリラックスなどによって肩や首周りの筋肉をほぐす習慣をつけることをおすすめします。

昼寝の時間をとる

寝過ぎによる頭痛を起こさないための予防策として、昼寝をとり入れることも有効です。昼寝によって睡眠時間を補うことで、夜の睡眠での寝過ぎを防止できます。

ただし、むやみに昼寝の時間をとれば良いわけではありません。昼寝の時間が長すぎると、かえって片頭痛を引き起こす可能性があるため、昼寝の時間は15〜30分程度を目安にしてください。

また、15時以降に昼寝をすると、夜の入眠や睡眠の質に影響が出ます。昼寝をするなら、昼から15時までの間にしましょう。

昼寝の時間をとると、睡眠時の寝過ぎを防ぐだけでなく、日中の作業パフォーマンス向上にも繋がります。昼寝が難しい場合は、1時間に10分程度休憩をとるだけでも、筋肉の緊張を緩める効果が期待できます。

なお、以下の記事では、効果的な昼寝の長さや時間帯の目安や、昼寝をする際の注意点を詳しく紹介しています。ぜひこちらもご一読ください。

昼寝 時間
【医師監修】昼寝に最適な時間の長さはどれくらい?効果的な時間帯や方法など紹介

自分に合った適切な睡眠時間を心がける

自分に合った適切な睡眠時間を心がけることも頭痛の予防策の一つです。

一般的に「理想の睡眠時間は6~8時間」といわれていますが、これはあくまでもさまざまな研究結果の平均であり、すべての人に当てはまるわけではありません。

実際には季節の影響や年齢の影響のほか、一人ひとりの体質などの個人差によって「適切な睡眠時間」は人によって異なります。

そのため、一般的な平均睡眠時間にこだわり過ぎず「日中に快適に過ごせる」という状態を基準にすることをおすすめします。

自分にとって最適な睡眠時間を見つけることで、日中の体調不良やストレスがなく快適な日常を過ごせます。

理想の睡眠時間に関係する年齢・季節・体質の3つの要素や、自分に合った睡眠時間を見つける方法など、詳しくは以下の記事をご覧ください。

睡眠時間 理想
【医師監修】理想の睡眠時間はどのくらい?短すぎることによるリスクも解説

快適で質の高い睡眠をとる

睡眠は「時間」だけでなく「質」も大切です。十分な睡眠時間をとっても、睡眠の質が低ければ日中の眠気や体調不良などに繋がるため、睡眠時間と合わせて「質」にもこだわる必要があります。

睡眠の質を高める方法としては以下のようなものがあります。

睡眠の質を高める方法効果
規則正しい生活を心がける・睡眠も生活習慣の一つのため、規則正しい生活は質の高い睡眠に繋がる
適度な運動をする習慣をつける・寝る3時間前ほどの軽い運動は一時的に体温を上げ、寝床に入るタイミングで下がるため、スムーズな入眠をサポートしてくれる
寝る2〜3時間前のぬるめのお湯での入浴・運動と同じく、一時的に体温を上げ、入眠をサポートしてくれる
・38℃ほどのぬるま湯で25〜30分ほどの入浴がおすすめ
起床後に日光を浴びる・太陽光を浴びると体内時計のズレがリセットされ、生活リズムが崩れにくくなる
食生活を乱さない・寝る直前の食事は、睡眠中の消化活動により睡眠の質を下げるため避ける
・アルコールやカフェインなど覚醒作用がある飲料は寝る前に飲まない
15分ほどの昼寝をする・日中に眠気がある場合は15分程度の昼寝をすると、夜に良く眠れるようになることがある
室内環境を整える・寝室の湿度や温度を快適にし、静かで暗い良く眠れる環境作りを心がける
自分に合った寝具を使う・硬すぎず、柔らかすぎず、体にフィットするマットレスを使うなど、自分の体に合った負担が少ない快適な寝具を使う

寝過ぎが原因で頭痛が起こる方の中で「特に日常生活に心当たりがない」「生活習慣に問題はない」という方は、睡眠の質と密接な関係がある寝具や寝室の環境に問題があるかもしれません。

まずは温度や湿度、照明の明るさなどの寝室環境を整え、それでも改善しない場合はマットレスなどの寝具に原因がある可能性もあるので、自分に合った寝具に変えることも検討してください。

睡眠の質を高める方法は、以下の記事でより詳しく解説しています。生活習慣や寝室環境に着目した具体的な方法を紹介しているので、ぜひご覧ください。

睡眠の質を上げる
【医師監修】睡眠の質を上げる方法13選!生活習慣や寝室環境を見直そう

寝起きに頭痛が続く場合は医師への相談も検討する

もし長期的に寝起きの頭痛が続くのであれば、自分で解決しようとせずに医師に相談してみましょう。

「寝起きが悪い」「寝起きに頭痛がする」という原因として、睡眠時無呼吸症候群などの病気の可能性も考えられます。

放っておくと高血圧や心臓循環障害や脳血管障害などに繋がるリスクもあるため、改善しないのであれば専門の医師の診察を受け、適切なアドバイスをもらいましょう。

佐川森彦

佐川森彦

かなまち慈優クリニック 副院長

医療機関での対応は、症状と緊急度に応じて異なります。一般的にはCTやMRIなどの画像検査が行われ、診察により片頭痛、緊張型頭痛を鑑別したうえでそれぞれに適した処方が行われます。

なお、片頭痛には特効薬や予防する薬もあります。

まとめ

寝過ぎによって起こる頭痛は「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類が考えられます。

片頭痛は頭の片側に起こることが多く、ズキズキと激しい痛みを伴う頭痛で、緊張型頭痛は両側から締め付けられるような重い痛みを伴う頭痛です。

片頭痛では患部を冷やす、緊張型頭痛では患部を温めるといった真逆の対処法となるため、どちらかを見極めて対処や予防を行う必要があります。それぞれの頭痛を予防する方法として、「昼寝をする」「自分に合った睡眠時間を知る」などとり入れやすい方法もあるため、ぜひ試してみてください。

なお、基本的に睡眠時間の見直しや質の高い睡眠をとることも大切ですが、症状がひどい場合は自分だけで解決しようとせず、医師に相談することも検討しましょう。

この記事の監修者
佐川森彦
佐川森彦かなまち慈優クリニック 副院長
平成14年慶應義塾大学卒業。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本血液学会血液専門医。慶應義塾大学医学部血液・感染・リウマチ内科(当時)、埼玉医科大学総合医療センター血液内科、日本橋かきがら町クリニックを経て現職。
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