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2023.04.13 更新

【医師監修】ブルーライトが人体に及ぼす影響とは?対処法から上手な付き合い方まで解説

【医師監修】ブルーライトが人体に及ぼす影響とは?対処法から上手な付き合い方まで解説

近年、スマホなどの普及により「ブルーライト」に関して耳にする機会が増えています。ブルーライトを遮断することを謳う商品も、よく目にするようになりました。

ブルーライトと聞くと、何となく「体にあまり良くない」というイメージを持っており、人体にどのような影響を及ぼすのか疑問に思っている方は多いかもしれません。

この記事では、ブルーライトが人体に及ぼす影響や対処法などについて解説します。

そもそもブルーライトとは何なのかわからない方や、ブルーライトにどのように対応すれば良いのか気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

  1. ブルーライトとは波長が短い「可視光線」のこと
  2. ブルーライトが人体に及ぼす影響
  3. 【目への影響】眼精疲労やドライアイなど
  4. 【体への影響】頭痛や肩こりなど
  5. ブルーライトが持つ役割
  6. 身の回りにあるブルーライトを発するアイテム
  7. ブルーライトを発するアイテムを使う際の対処法
  8. 体内時計を整えるためにブルーライトと上手く付き合おう
  9. 朝起きたら太陽光を浴びる
  10. 寝室の環境を整える
  11. まとめ

ブルーライトとは波長が短い「可視光線」のこと

ブルーライトとは、光のなかでも「可視光線」といって目に見える青色の光のことです。

光の波長をあらわす単位を「nm(ナノメートル)」といい、1nmは1m(メートル)の10億分の1の長さであることを意味します。1nmは、髪の毛の太さの約10万分の1という非常に小さな値で、地球の大きさを1mと仮定した場合、1nmは1円玉ほどの大きさです。

ブルーライトの波長は380〜500nmと紫外線の次に短くなっており、これより短くなると紫外線と呼ばれるようになります。

紫外線の波長は100nm~400nmなので、ブルーライトと一部被っている部分がありますが、これは業界による捉え方の違いによって、380nm~400nmは可視光とも紫外線ともいわれるためです。

また、人間の目の角膜や水晶体は、約350〜800nmの波長を通過させる一方、それ以外の電磁波は通過できません。つまり、目の奥まで到達する光のなかで、最も強い光がブルーライトというわけです。

ブルーライトが人体に及ぼす影響

ブルーライトが私たちの体にどのような影響を及ぼすか知っておくことで、ブルーライトと上手に付き合っていくことができます。

ブルーライトが人体へ及ぼす影響として考えられるのは、以下のとおりです。

  • 【目への影響】眼精疲労やドライアイなど
  • 【体への影響】頭痛や肩こりなど

それぞれの影響について、詳しく解説します。

【目への影響】眼精疲労やドライアイなど

ブルーライトが影響を及ぼすものとして「目」に関することは代表的なものです。ブルーライトを浴びることで、以下のような症状があらわれる可能性があります。

  • 眼精疲労
  • ドライアイ
  • ぼやけ

ブルーライトの光は網膜に直接届くため、網膜に過剰な負担がかかりやすく、眼精疲労や目の痛みに繋がる可能性があります。

目の表面の角膜が乾燥することで起こるドライアイも、ブルーライトによる影響の一つです。集中してブルーライトを発する画面を凝視すると、瞬きの回数が減少してドライアイが引き起こされます。

また、スマホ操作などで目を酷使すると、目のピントを調節する機能が低下して、眩しく感じたりぼやけたりという症状が出ることもあるようです。波長が短いブルーライトは光の散乱率が高く、絶えずさまざまな筋肉を動かしてピント調整を行うため、より目の疲れが生じやすくなっています。

渥美正彦

渥美正彦

医療法人上島医院院長

眼精疲労やドライアイは自力でも改善することは可能ですが、これらの症状は生活習慣の影響を受けやすく、再発も多く、ほかの病気の結果として生じていることもあります。

そのため、痛み・見えづらさ・腫れなどが悪化したり、症状が改善しない場合には眼科でご相談されることをおすすめします。

【体への影響】頭痛や肩こりなど

ブルーライトが影響を及ぼすのは「目」だけでなく、体に対する影響も存在します。ブルーライトが体に与える影響として挙げられる一例は、以下のとおりです。

  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腰痛
  • 首の痛み

網膜へ過剰な負担がかかる状態が続くと、頭痛が発生することがあります。ブルーライトには脳を覚醒状態にする働きもあるため、ブルーライトを浴びて体内時計が狂うことで、睡眠トラブルが誘発されて片頭痛が悪化するという悪循環に陥るケースもあるようです。

また、ブルーライトはスマホやパソコンの画面から発する光なので、これらの機器を崩れた姿勢で長時間見ていると、肩こりに繋がる場合があります。悪い姿勢が原因となって猫背やストレートネックになれば、腰痛や首の痛みなどが発生するかもしれません。

これらの症状はブルーライトが直接及ぼす影響とは異なるものの、ブルーライトによる間接的な影響だといえるでしょう。

ブルーライトが持つ役割

ブルーライトが持つ役割

ブルーライトに何となく悪いイメージを持っている方は多いかもしれませんが、そもそもブルーライトとは、太陽光にも含まれるものです。

ブルーライトを含む太陽光には、ずれた体内時計を調節するという重要な役割があります。

人間の体内時計は約24.2時間なので、地球の周期とは毎日約10分のずれが生じています。朝から太陽光(ブルーライト)を浴びることで、ずれた体内時計がリセットされるため、規則正しい生活リズムを整えるために太陽光を浴びるのは大事なことです。

また、朝から太陽光を浴びると、スムーズな入眠に必要な「メラトニン」という睡眠ホルモンの原料となる「セロトニン」が分泌されます。自然な眠気を促すためには、日中にセロトニンを分泌させておいて、夜にメラトニンが作られるという流れを整えておくことが望ましいです。

しかし、夜にスマホやパソコン操作などでブルーライトを浴びてしまうと、目に刺激が加わって脳が覚醒するうえに、メラトニンの分泌も抑制されて眠りづらくなってしまいます。脳が「今は朝の時間帯」だと勘違いすると、生活リズムの乱れにも繋がるでしょう。

このとおり、体内時計を調節したり、生活リズムを整えて睡眠の質を高めたりするためにも、ブルーライトを全く浴びないのではなく、日々の生活に上手にブルーライトを取り入れることをおすすめします。

身の回りにあるブルーライトを発するアイテム

発光ダイオードと呼ばれる「LED」には、多くのブルーライトが含まれていますが、LEDを使用したアイテムは私たちの身の回りにたくさんあります。

LEDを使用している具体的なアイテムの一例は、以下のとおりです。

  • 照明
  • スマホ
  • パソコン
  • ディスプレイ
  • ゲーム機

スマホ・パソコン・ゲーム機などは、顔の近くで操作するため光源からの距離も近くなります。距離が近ければそれだけブルーライトの影響を強く受けるので、目や体に与える影響も大きいと考えられるでしょう。

とはいえ、スマホやパソコンは現代人が生きるうえで欠かせないものです。これらの操作を行う際には意識して目を休めるようにして、上手に付き合っていくよう心がけましょう。

渥美正彦

渥美正彦

医療法人上島医院院長

厚生労働省のガイドラインでは、パソコンやスマホなど情報機器を長時間使用する際には、1時間につき10~15分の休憩をとることが推奨されています。

ブルーライトを発するアイテムを使う際の対処法

上述したようなアイテムを夜に使う場合など、ブルーライトが気になる際には、ブルーライト比率の「認証マーク」がついているアイテムを選ぶのも選択肢の一つです。

ブルーライトの比率は、太陽光で約25%とされていますが、認証マークがついた商品の比率は25%以下であることを定めてあります。さらに、5%刻みでブルーライトの比率が表示されているため、一目でどの程度の影響を持つ商品なのか識別しやすいでしょう。

ブルーライト比率の認証マークがついたアイテムの一例は、以下のとおりです。

  • スマホ
  • パソコン
  • 液晶テレビ
  • タブレット

商品によっては、低ブルーライトモードやブルーライトカット機能を搭載したアイテムも販売されているため、気になる方は購入前にチェックしてみると良いでしょう。

渥美正彦

渥美正彦

医療法人上島医院院長

ブルーライトカット機能のあるめがねなどで網膜の障害や、睡眠の質が改善されたという報告はありますが、効果には個人差があり、完全に遮断できるわけではないため注意が必要です。

市販の商品を過信しすぎず、やはり定期的にブルーライトの発生源から遠ざかって目を休めることが重要です。

体内時計を整えるためにブルーライトと上手く付き合おう

太陽光にも含まれるブルーライトは体内時計を調節する役割を持っており、ただの「悪いもの」ではありません。完全に阻害するのではなく、日々の生活のなかで適切に浴びることが大事です。

  • 朝起きたら太陽光を浴びる
  • 寝室の環境を整える

ブルーライトを正しく浴びるために、上記2つの行動を意識しましょう。詳しい内容について、以下で解説します。

朝起きたら太陽光を浴びる

ここまで紹介したとおり、体内時計を調節するために朝から意識して太陽光を浴びましょう。朝起きたらまずカーテンを開けて、室内に太陽光を取り込むことをおすすめします

朝から散歩をすると、太陽光を浴びながら運動にも取り組めて一石二鳥です。日中に運動して体が疲労すると、夜の自然な眠気にも繋がるため、時間に余裕がある方は朝の散歩を習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。

また、就寝時には、「副交感神経」というリラックスモードの自律神経が優位になった状態が理想的です。夜の時間帯は、就寝前にスマホを見るのは止めて、温かい飲み物を飲んだり好きな音楽を聴いたりしてリラックスしましょう。

朝から太陽光を浴びて活動的に日中を過ごし、夜には心身ともにリラックスするという流れを目指せば、生活リズムが整って睡眠の質を高めることにも繋がります。

寝室の環境を整える

必要に応じて、寝室の照明やカーテンといったアイテムの見直しも検討しましょう。寝室の照明にブルーライトを発する「LEDライト」を使用していると、睡眠・覚醒のリズムが崩れて睡眠の質が低下する可能性があります。

寝室の照明に使うのは、オレンジなどの暖色系ライトがおすすめです。光が直接目に入るのを避けるためにシーリングライトは消灯して、柔らかい光の間接照明やデスクライトを設置するのも良いでしょう。

また、カーテンの選び方や使い方も、体内時計を整えるのに大切なポイントです。

カーテンを完全に閉めて寝室への光を遮っている場合、少し開けて就寝すれば、朝になったタイミングで自然と光が差し込んできます。朝の時間帯に太陽光が差し込むことで、スムーズな起床に繋げやすくなるでしょう。

夜勤やシフト制の仕事で働く方は、光を遮断して室内を暗くする「遮光カーテン」を使うことで、外が明るい環境でも就寝しやすくなります。

規則正しい生活が送れるよう、自分のライフスタイルや好みに合わせて、照明やカーテンといった寝室の環境を整えてみてください。

まとめ

ブルーライトとは、スマホやパソコンの画面から発せられる可視光線のことです。長時間ブルーライトを浴びることで、眼精疲労・ドライアイ・頭痛・肩こりなど、体にさまざまな影響が及ぶ可能性があります。

しかし、ブルーライトは完全に「悪」ではありません。そもそもブルーライトは太陽光にも含まれており、体内時計を整えるために大切な役割を果たしているため、上手にブルーライトを取り入れた生活を送ることが重要です。

朝起きたら太陽光を浴びて、就寝する部屋の環境改善にも努めましょう。起床から就寝のリズムが整えば、睡眠の質が向上して日中を活動的に過ごしやすくなるかもしれません。

状況に応じてブルーライトを「取り入れる」もしくは「遮断する」という判断を下しながら、上手にブルーライトと付き合っていきましょう。

この記事の監修者
渥美正彦
渥美正彦医療法人上島医院院長
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部卒業。近畿大学医学部附属病院(脳神経内科)などを経て2004年、上島医院に入職。05年、同医院併設南大阪睡眠医療センター長。10年、同医院院長に就任し、現在に至る。精神科と脳神経内科での臨床経験を活かし、患者の脳と心の問題に幅広く対応。睡眠医療は国内最高水準の専門治療を提供している。また、公式YouTubeチャンネル『睡眠専門医渥美正彦』では、睡眠障害と精神疾患の正確な情報の発信を続けている。日本精神神経学会認定精神科専門医。日本睡眠学会認定睡眠医療認定医。著書に『子供が朝起きなくなったときに、親子で読む本』(セルバ出版)『子どもの発達障害がよくなる睡眠の教科書』(マキノ出版)がある。
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