テレビはリビングに設置するのが一般的ですが、それとは別に寝室にテレビを置いている方もいるのではないでしょうか。ベッドでくつろぎながら好きな番組を視聴できるのは、テレビ番組や映画を見るのが好きな方にとって大きなメリットです。
しかし、その一方でいくつかデメリットもあるので、よく検討したうえで設置したいところです。この記事では、寝室にテレビを置くメリット・デメリットや、テレビを置く際に気をつけるべきポイントを詳しく解説します。
寝室にテレビを置くメリット
寝室にテレビを置くメリットとしては、主に下記の4つが挙げられます。
- ベッドの上でテレビを視聴できる
- チャンネル争いが起こりにくい
- 災害情報など重要なニュース速報をすぐに視聴できる
- 目覚ましの代わりとして使える
以下で詳しいメリットを順番に紹介します。
ベッドの上でテレビを視聴できる
リビングに設置してあるテレビは、ソファや座椅子に座った体勢で視聴するのが一般的です。しかし、長時間座った体勢を保とうとすると筋肉が緊張してリラックスできず、人によっては苦痛に感じる方もいるかもしれません。
一方、寝室に設置されているテレビは、ベッドに横になった体勢のまま視聴できるため、リラックスした状態で楽しめます。また、寝室のベッドは自分だけの空間であるため、静かに大きな画面で集中して映画を楽しみたい時にも最適です。
チャンネル争いが起こりにくい
家に設置してあるテレビがリビングに1台しかない場合、好きなチャンネルの番組を視聴できないことがあります。例えば、一緒に住んでいる家族と番組の好みが違う場合、視聴したい番組を巡ってチャンネル争いが起きる可能性もあるでしょう。
しかし、1人用の寝室にテレビを置けば、ほかの家族にチャンネル権を譲ることなく自分が好きな番組を視聴できます。
災害情報など重要なニュース速報をすぐに視聴できる
就寝中に大規模な地震などの災害が発生した場合、その場ですぐにニュース速報を確認できる点も寝室にテレビを置くメリットです。
重要なニュースはスマホやタブレットからも調べられますが、ある程度の時間が経過するまでは断片的な情報しか得られないケースも少なくありません。また、場合によっては不確実な情報が拡散されることもあります。
しかし、テレビなら映像を交えて正確な情報を発信してくれるため、「具体的に何が起きているのか」「災害が発生した現地の状況はどうなっているのか」など、詳細な内容を把握しやすくなります。
テレビは同じ情報を一斉に多くの人に伝達できるという点で優れており、災害情報の取得には欠かせない存在といえます。寝室にテレビを置けば、災害に備えることができるでしょう。
目覚ましの代わりとして使える
設定した時間に自動で電源が入るタイマー機能が搭載されているテレビなら、目覚ましの代わりとしても使えます。
決めた時間に起床するためには、目覚まし時計やスマホのアラーム機能を活用する方法が一般的でしょう。しかし、人によっては無意識にアラームを止めてしまい、二度寝してしまう可能性があります。
一方、テレビは自分で設定や操作をしない限り止まらないため、目覚ましとして使えば二度寝をする心配を軽減できるかもしれません。
寝室にテレビを置くデメリット
寝室にテレビを置くかどうか悩んでいる方は、下記のようなデメリットが発生することも踏まえたうえで検討しましょう。
- 夜更かししてしまう可能性がある
- 体内時計の乱れに繋がる
- 目が疲れる原因になる
以下で具体的なデメリットを詳しく解説します。
夜更かししてしまう可能性がある
ベッドからいつでもテレビを視聴できる環境では、つい遅い時間まで番組を視聴することもあるかもしれません。視聴時間が長引くと睡眠時間が減り、翌日の眠気や朝のだるさに繋がるリスクが上がるため、注意が必要です。
川上洋平
かわかみ整形外科 院長・医学博士
睡眠には、記憶の整理のほか、脳や体の疲れをとり、体の成長を促し、傷ついた細胞を修復するという大切な役割があります。夜更かしをすると、脳や体に疲労が蓄積し、体のだるさ(医学的には倦怠感と呼ばれる症状)を感じます。
また、夜更かしによって睡眠時間や食事の時間が不規則になることで体内時計が狂い、体のだるさなどの体調不良を引き起こすこともあります。
体内時計の乱れに繋がる
人間の体には、覚醒と休息のリズムをコントロールする体内時計が備わっています。普段私たちが「日中に活動して夜に眠くなる」という生体リズムを自然に保てているのは、体内時計のおかげです。
しかし、体内時計は日常の過ごし方によっては乱れてしまうことがあります。その原因の一つが、テレビの液晶画面から発されるブルーライトです。
夜の時間帯にテレビの発するブルーライトを浴びると脳が「昼間だ」と錯覚してしまい、体内時計が乱れる可能性があります。体内時計が乱れると、覚醒と休息のリズムも乱れ、就寝時間に寝つけず睡眠不足になってしまいます。
川上洋平
かわかみ整形外科 院長・医学博士
ブルーライトが健康に及ぼす影響は、いまだ研究段階でエビデンスは十分ではありません。しかし、体内時計とブルーライトの関係についてはすでにいくつかの研究報告があり、夜遅い時間までデジタル機器の発するブルーライトを浴びると睡眠障害があらわれるおそれが指摘されています。
昼間、ブルーライトを浴びるとメラトニンというホルモンの分泌が抑えられて活動が高まります。一方、夜に浴びるとブルーライトを含む明るい光を脳が昼と判断し、体内時計に作用して睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制されて、体内時計の睡眠と覚醒のリズムが乱れて眠れなくなると考えられています。
従いまして、テレビ画面にブルーライトをカットするフィルムを用いることや、ブルーライトを軽減する眼鏡を使用することは効果睡眠障害を予防するには効果的な方法であると考えられます。
目が疲れる原因になる
寝室に置いてあるテレビをつける際、そのまま眠っても大丈夫なように照明を暗くした状態で視聴する場合もあるでしょう。
しかし、暗い部屋でテレビを視聴すると目が疲れる原因になるので注意してください。目に疲れが溜まりすぎると、肩こりやめまいをはじめとした身体的な不調に繋がる可能性があります。
川上洋平
かわかみ整形外科 院長・医学博士
暗い部屋の中でテレビを見ると、テレビのディスプレイが明るすぎることで、目が画面の明るさとその後ろの暗い壁の両方に対して調整を繰り返してしまうため、眼精疲労の原因となってしまいます。
また、暗いところでは、明るいところよりもピントを合わせにくいため、より眼を疲れさせます。眼精疲労になってしまうと、肩こりや頭痛、倦怠感などさまざまな影響が出てきてしまうので注意が必要です。
寝室にテレビを置く際に気をつけるべきポイント
寝室にテレビを置く際は、下記の3つに気をつけましょう。
- 不安定な場所には置かない
- 防音対策をしておく
- 生活動線の邪魔にならない場所に置く
これらのポイントに気をつけておけば、より快適な視聴環境を整えやすくなります。以下で詳しい内容を紹介します。
不安定な場所には置かない
寝室はリビングに比べると部屋のスペースに余裕が生まれにくく、テレビ台を置くのが難しい場合があります。そのため、収納棚やラックなど、すでにある家具をテレビ台代わりに使う方も多くいるのではないでしょうか。
しかし、ほかの家具をテレビ台として使う場合、家具によってはテレビの配置が不安定になる可能性があるので注意してください。例えば、スチールラックなど天板の安定性に欠ける家具の上にテレビを置くと、少しの衝撃でテレビが落下する可能性があります。
テレビの配置が不安定だと地震が発生した際に落下してしまい、怪我やテレビの破損に繋がりかねません。テレビはできるだけ安定感がある場所に置きましょう。
防音対策をしておく
就寝前のリラックスタイムに寝室でテレビを視聴したい方は、あらかじめ防音対策をしておくことをおすすめします。
テレビを視聴するタイミングは人それぞれですが、就寝前に視聴する場合は夜から深夜の時間帯になる場合が多い傾向にあります。この時間帯は多くの方が就寝している時間でもあるため、壁が薄い場合や家族と住んでいる場合はテレビの音が原因で騒音トラブルに繋がる可能性があります。
心配な方は事前に寝室の音がどの程度漏れるのかをチェックし、必要に応じて防音グッズを購入しておきましょう。
生活動線の邪魔にならない場所に置く
テレビを置く場所は寝室のインテリア性だけでなく、生活動線の邪魔にならないかどうかも考えて決めましょう。
生活動線とは、家の中を移動する時に通るルートのことです。例えば、「ベッドからクローゼットまでのルート」「ベッドからリビングに入るドアまでのルート」が寝室の主な生活動線として挙げられます。
生活動線の邪魔になる場所にテレビを置くと移動するたびに不便を感じ、ストレスが溜まりやすい空間になってしまいます。部屋の隅や壁際など、テレビは生活動線に影響しない場所に置くことをおすすめします。
まとめ
「リラックスした体勢で好きな番組を視聴できる」「災害時はすぐにニュース速報をチェックできる」など、寝室にテレビを置くメリットは数多くあります。
ただし、テレビの視聴が夜更かしや睡眠不足に繋がってしまう可能性もあるので注意が必要です。テレビの視聴が原因で睡眠の質が低下しないか心配な場合は、「見たい番組が終わったらすぐに消す」「電源OFFのタイマーを設定する」などして、視聴時間が長くならないように工夫すると良いでしょう。