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2024.03.14 更新

【医師監修】睡眠と勉強の関係性は?睡眠不足による悪影響や眠りの質を高める方法を解説

【医師監修】睡眠と勉強の関係性は?睡眠不足による悪影響や眠りの質を高める方法を解説

勉強中に、効率が悪くなったり集中力が低下したりするなら、睡眠環境を見直すことも検討しましょう。

なぜなら、良質な睡眠をとることで勉強した内容が定着し、効率や集中力がアップするなどの可能性があるためです。反対に、睡眠時間が短すぎたり、睡眠の質が低下していたりすると、勉強の効率や意欲などが下がる可能性が高くなります。

この記事では、睡眠と勉強の関係性や睡眠不足が与える悪影響などを解説します。学生や受験生、資格試験の勉強をしている方は参考にしてください。

  1. 睡眠と勉強の関係性
  2. 適切な睡眠時間
  3. 適切な睡眠が勉強に与える良い影響
  4. 勉強内容が定着しやすくなる
  5. 勉強への意欲や集中力が高まる
  6. 体力が回復して免疫力が高まる
  7. 睡眠不足が勉強に与える悪い影響
  8. 勉強の効率が落ちやすい
  9. 授業への遅刻や居眠りが増える恐れがある
  10. 勉強には良質な睡眠が必要
  11. 質の高い睡眠をとるための方法
  12. 規則正しい生活を心がける
  13. 適度な運動やストレッチで体をほぐす
  14. 就寝の約90〜120分前に入浴する
  15. 自分の体に合ったマットレスや枕を使う
  16. アロマや読書などでリラックスをする
  17. 質の高い睡眠をとるためにやらないほうがいいこと
  18. カフェインを含むドリンクを飲む
  19. 就寝前に食事をとる
  20. 勉強内容を時間帯で変えることでより効率良い勉強ができる?
  21. 朝は思考力を使う勉強をする
  22. 昼は持久力の必要な勉強をする
  23. 夜は暗記をする
  24. 睡眠の質は勉強に大きな影響を与える

睡眠と勉強の関係性

睡眠中の脳はノンレム睡眠レム睡眠を繰り返しています。次の表はノンレム睡眠とレム睡眠の特徴をまとめたものです。

睡眠段階特徴
ノンレム睡眠・脳と肉体の疲労を回復する
レム睡眠・脳が活発に動き、記憶の整理や定着が行われる
・筋肉は弛緩した状態(外眼筋や呼吸筋など一部を除く)
・夢を見ることが多い

ノンレム睡眠・レム睡眠の周期は90~120分程度を1セットとして、睡眠時間にもよりますが3~5回ほど繰り返します。

就寝して1回目と2回目の周期ではノンレム睡眠の時間が長くなるため深い睡眠となり、後半の周期ではレム睡眠の時間が長くなり浅い睡眠となる傾向があります。

そして、レム睡眠中は昼間覚えたさまざまなことを、相互に関連付ける働きがあります。

つまり、睡眠時間が短すぎると、レム睡眠の割合が増えず、勉強した内容の定着が行われない可能性があります。

山本耕司

山本耕司

奏の杜耳鼻咽喉科 千葉いびき・無呼吸クリニック 院長

睡眠時間が十分でない場合、睡眠中の脳における情報整理の時間も減るため、記憶の定着に悪影響を与えると考えられます。中学生や高校生の最適睡眠時間は8~10時間、成人の場合は7~9時間といわれています。

適切な睡眠時間

適切な睡眠時間は7時間前後と言われています。ただし、適切な睡眠時間には個人差があり、短時間で睡眠が足りる人もいれば、8時間以上寝なければ足りない人もいます。自分にあった睡眠時間を把握するには、朝目覚めたときに疲れが取れている感覚がある時間を目安にするとよいでしょう。

また、適切な睡眠時間は年齢季節によっても変わります。子どもは長めの睡眠が必要で、年齢が上がっていくほど短くなっていきます。季節に関しては、日照時間の短い秋冬は睡眠時間が短くなり、日照時間の長い春夏は長くなる傾向があります。

日中に強い眠気が生じなければ、適切な睡眠を取れていると判断できるでしょう。

適切な睡眠が勉強に与える良い影響

睡眠時間がきちんと確保され、睡眠の質が高い場合に勉強に与える影響は以下のとおりです。

  • 勉強内容が定着しやすくなる
  • 勉強への意欲や集中力が高まる
  • 体力が回復して免疫力が高まる

適切な睡眠が勉強に与える影響を順番に解説します。

勉強内容が定着しやすくなる

上述したように、レム睡眠時に記憶の定着や整理が行われるため、レム睡眠がきちんと確保されていると、昼間に勉強した内容が定着しやすくなります。

そのため、勉強した記憶を効率良く定着させるには、適切な睡眠時間の確保が必要です。

勉強への意欲や集中力が高まる

睡眠は記憶の定着だけでなく、精神的な疲労を回復する効果も期待できます。そのため、睡眠時間がきちんと確保されていれば、精神的な情緒が安定して、勉強への意欲や集中力が高まる可能性があります。

一方で、睡眠不足が続くと精神的な疲労を回復できず、情緒が不安定になる場合があります。情緒が不安定だと、勉強に対する意欲や集中力が下がり、結果として成績が下がってさらにやる気が低下するといった悪循環に陥る可能性があるので注意しましょう。

体力が回復して免疫力が高まる

睡眠中に体内で分泌される成長ホルモンには、体の成長や修復、疲労回復などの役割があります。睡眠の質が高いと成長ホルモンが多く分泌され、体力が回復しやすくなります。

体力が回復すれば、集中力も高まり長丁場の勉強にも耐えられるので、結果として学力の向上にも繋がります。また、成長ホルモンは細菌やウイルスに対する免疫力にも影響を与えており、多く分泌されれば風邪などにかかりにくくなるメリットもあります。

そのため、受験や資格試験の勉強をしている方は本番前に遅くまで勉強をせず、適切な睡眠時間を確保して、免疫力を高めましょう。

山本耕司

山本耕司

奏の杜耳鼻咽喉科 千葉いびき・無呼吸クリニック 院長

成長ホルモンは体力の回復効果以外にも、脳内の神経細胞やシナプスの発達や形成を促進して脳内の成長因子を刺激し、ストレスホルモンの分泌を抑制することで、睡眠の質を向上させる効果があります。

そのため、学習の効果を高めるさまざまな作用を持ちます。

睡眠不足が勉強に与える悪い影響

睡眠は記憶の定着や精神疲労、体力の回復など、勉強に対してさまざまなメリットがあります。一方で、睡眠時間が短すぎる、あるいは睡眠の質が低い場合に、勉強に対して以下のような影響を与えます。

  • 勉強の効率が落ちやすい
  • 授業への遅刻や居眠りが増える恐れがある

睡眠不足が勉強に与える悪影響を順番に解説します。

勉強の効率が落ちやすい

睡眠時間が短すぎると脳の活動が低下する可能性が高くなります。脳の活動が低下すると、勉強に集中できない、勉強内容を覚えられない、ケアレスミスが増えるなどのことが起きやすくなるため、勉強の効率が落ちてしまいます。

徹夜などで睡眠時間を削って勉強する場合もありますが、かえって効率を悪くする恐れがあるので、止めましょう。

授業への遅刻や居眠りが増える恐れがある

睡眠時間が足りていないと、朝起きることができずに授業に遅刻したり、授業中に居眠りしたりするケースが増える可能性があります。

遅刻や居眠りは勉強の効率を下げてしまうため、睡眠時間を見直して、規則正しい生活リズムを取り戻しましょう。

勉強には良質な睡眠が必要

勉強には良質な睡眠が必要

上述したように、勉強した内容を定着させたり、勉強の効率を上げたりするためには、睡眠不足に陥らないことが重要です。

また、睡眠不足にならないためには、睡眠時間を確保しておくことも大切ですが、睡眠の質を維持しておくこともポイントになります。睡眠の質が高いと、日中の過度な眠気や居眠りが生じにくくなり、心身の状態が安定しているので勉強に集中できます。

一方で、睡眠の質が下がっていると、次のようなトラブルを引き起こす可能性があるので注意しましょう。

  • ミスの増加
  • 勉強の効率の低下
  • 思考の狭まり
  • 精神面や健康面の悪化
  • 社会性の低下など

質の高い睡眠をとるための方法

質の高い睡眠をとるための方法は以下のとおりです。

  • 規則正しい生活を心がける
  • 適度な運動やストレッチで体をほぐす
  • 就寝の約90〜120分前に入浴する
  • 自分の体に合ったマットレスや枕を使う
  • アロマや読書などでリラックスをする

質の高い睡眠をとるための方法を順番に解説します。

規則正しい生活を心がける

規則正しい生活を送ることで体内時計が正常に働くと、自律神経が整いやすくなるため、睡眠の質の向上が期待できます。

規則正しい生活を送るポイントは以下のとおりです。

  • 毎日同じ時間に起きる
  • 朝日を浴びる
  • 食事の時間を一定にするなど

毎日同じ時間に起きて、同じ時間に食事を済ませるようにしていると、自然と同じ時間に眠りやすくなります。また、朝日を浴びることで、睡眠・覚醒リズムを整えたり心を穏やかに保ったりする効果があるセロトニンの活動を高められます。

睡眠の質を高めたいと考えている方は、毎朝同じ時間に起きて日光を浴びて、決まった時間に栄養バランスのとれた食事をとる生活を続けましょう。

適度な運動やストレッチで体をほぐす

適度な運動やストレッチを習慣的に行うと、適度な疲労やストレス解消効果によって質の高い睡眠に繋がります。

ただし、激しい運動は交感神経を優位にして睡眠を妨げる可能性があるので、ウォーキングや軽いランニング、水泳などの負担が少ない有酸素運動を行いましょう。

就寝の約90〜120分前に入浴する

就寝の約90~120分前に入浴を済ませておくと、寝床に入るタイミングで自然な眠気が促されることが期待できます。38℃程度のぬるめのお湯に、25分~30分程度浸かると副交感神経が優位になり、眠りやすくなります。

ただし、熱すぎるお湯は体を興奮させてしまい、交感神経が優位になりやすく、寝つきが悪くなる可能性があるため注意しましょう。

自分の体に合ったマットレスや枕を使う

睡眠の質を高めるためには、マットレスや枕などの寝具選びも重要です。

例えば、マットレスを使用していて腰や肩に違和感を覚える、あるいは痛みが生じる場合は、体に合っていないため、睡眠の質が低下し、寝起きの体調不良に繋がる恐れがあります。

快適な睡眠をとるためにも、使用中に違和感や痛みが生じない商品を選びましょう。

アロマや読書などでリラックスをする

リラックスした状態で寝ることができれば、睡眠の質の向上が期待できます。

リラックスした状態とは、自律神経の副交感神経が優位になっている状態です。副交感神経は内臓などの働きを抑制しリラックスさせる神経で、睡眠時や休息時、食事中などに活発になります。

ただし、人によってリラックスを覚える場面や内容は異なります。そのため、アロマや読書、音楽など自分に合った趣味を見つけて、就寝前にリラックスしましょう。

質の高い睡眠をとるためにやらないほうがいいこと

質の高い睡眠を取るためにやらないほうがいいことは、以下のとおりです。

  • カフェインを含むドリンクを飲む
  • 就寝前に食事をとる

理由を含めて解説するので、ぜひご覧ください。

カフェインを含むドリンクを飲む

カフェインを含むコーヒーや紅茶には覚醒作用があり、目を覚ましてしまいます。

カフェインの効果が半分になるまでの時間は2〜8時間と言われているため、睡眠の直前だけでなく夜になってから摂取するのはできるだけ避けましょう。

就寝前に食事をとる

寝る直前に食事をとると、食べ物の消化をするために内蔵が活動し、浅い睡眠になってしまいます。

通常、胃腸の働きが落ち着くまでは3時間ほどかかるため、就寝3時間前までに食事を終えると良いでしょう。就寝時間に近いけれどお腹が減ってしまい、どうしてもなにかを食べたいという場合には、消化の良いものを選ぶのがおすすめです。

勉強内容を時間帯で変えることでより効率良い勉強ができる?

実は、時間帯によって脳や体の働きが変わるため、タイミングを意識した勉強内容を選ぶと効率が上がります。ここでは、朝・昼・夜それぞれの時間に適した勉強方法を解説します。

朝は思考力を使う勉強をする

朝起きてから3時間は脳が最も効率的に働く時間です。脳がクリアな状態で活性化しやすいため、思考力が求められる理系科目に取り組んだり、応用問題に挑戦してみたりするのも良いでしょう。

そのほか、朝ならではの高い集中力ややる気を活かし、苦手な科目に取り組むのもおすすめです。

昼は持久力の必要な勉強をする

昼間は体がポジティブな状態で、気力と体力が最も高い時間です。長文読解や論述問題など、持久力の求められる科目や、社会のように暗記科目でも全体の流れを理解する必要があるものを学ぶのに適しています。

ただし、昼食後は眠くなりやすい時間帯でもあります。眠気は我慢せずに10〜15分の仮眠を取ると、脳がリフレッシュされて勉強が捗るのでおすすめです。

夜は暗記をする

寝る前の脳は、1日の情報が整理されていないまま蓄積している状態です。そのため思考力が求められる勉強は避けましょう。

午後4時くらいからは記憶力が高まるため、暗記が効率的に進む時間です。また、就寝前も暗記に向いています。単語を覚えたり、内容を覚えておきたい本を読んだりするのにピッタリの時間です。

睡眠をとると、脳に蓄えた知識を整理整頓できます。寝る前に覚えて忘れる前に睡眠を取れば、記憶が定着するのを助けるでしょう。

ただし、寝る直前まで勉強するのはおすすめしません。アドレナリンが大量に分泌されて寝付けなくなり、翌日の勉強に支障をきたすリスクがあります。

睡眠の質は勉強に大きな影響を与える

睡眠は日中に勉強した内容を記憶に固定させる働きがあるため、睡眠時間や睡眠の質は勉強に大きな影響を与えます。そのため、適切な睡眠を得られていれば、勉強したことが定着しやすくなり、勉強への意欲や集中力が高まるなどのメリットがあります。

しかし、睡眠時間が短く睡眠の質が悪くなると、「記憶が定着しにくくなる」「勉強に対する意欲が下がる」「ミスを繰り返す」などの恐れがあるので注意しましょう。

学生や受験生、資格試験の勉強をしている方などで、「成績が伸びない」「勉強に集中できない」といった場合は、自分の睡眠時間や睡眠の質を見直しましょう。

山本耕司

山本耕司

奏の杜耳鼻咽喉科 千葉いびき・無呼吸クリニック 院長

睡眠以外に勉強に重要なこととして、以下の要素が挙げられます。

・勉強時間を確保する
・効率的に勉強する
・目標を設定し、モチベーションを高める
・勉強時間は集中して勉強する
・復習し、記憶への定着を促す

適切な睡眠とともに、これらの要素を勉強に取り入れてください。

この記事の監修者
山本耕司
山本耕司奏の杜耳鼻咽喉科 千葉いびき・無呼吸クリニック 院長
東京慈恵会医科大学卒業後、同大学耳鼻咽喉科学教室入局。2013年より現職。睡眠時無呼吸症候群の治療であるCPAP(シーパップ)療法や、アレルギー性鼻炎の根本治療となる舌下免疫療法にも注力しており、治療薬処方数は日本一の実績あり。日本睡眠学会専門医、日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。
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