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2025.06.11

睡眠休養感とは?測り方・低い場合の影響・高める方法などをわかりやすく解説

睡眠休養感とは?測り方・低い場合の影響・高める方法などをわかりやすく解説

「睡眠休養感」という言葉を聞いたことがあるものの、詳しく理解していない人がいるのではないでしょうか。

睡眠休養感が高いと、リフレッシュした感覚が得られる一方、睡眠休養感が低い状態が続くと、日中の疲労感や健康リスクの増加に繋がる可能性があります。

この記事では、睡眠休養感の概要や測り方、睡眠休養感が低い場合の影響、高める方法などをわかりやすく解説します。睡眠休養感を高めたい方は、参考にしてください。

  1. 睡眠休養感とは?
  2. 睡眠休養感に関するアンケート結果
  3. 睡眠休養感の測り方
  4. 睡眠休養感が低いとどうなる?
  5. 睡眠休養感を高める方法
  6. 眠りの環境を整える
  7. 日常の生活習慣を見直す
  8. 嗜好品を過剰に摂取しない
  9. 眠りの悩みを改善する
  10. 睡眠休養感を高めるなら寝具の買い替えから始めてみよう!
  11. まとめ

睡眠休養感とは?

睡眠休養感とは?

睡眠休養感とは、朝目覚めた時に「よく休めた」「すっきり起きられた」と感じる主観的な感覚を指します。

2022年に国立精神・神経医療研究センターや学校法人日本大学などの研究グループが、成人の健康維持で重要な要素として睡眠休養感を発表しました(※1)。

また、厚生労働省が公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠時間を「量」、睡眠休養感を「質」と位置づけ、いくら長く眠っても休養感が得られなければ、健康的な睡眠ではないと明記されています(※2)。

つまり、単なる長時間睡眠よりも、朝にどれだけリフレッシュした感覚が得られているかが、日々の健康を左右する重要なポイントです。

睡眠休養感を意識することは、現在の睡眠習慣を見直すうえで重要な第一歩と覚えておきましょう。

(※1)参考:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター National Center of Neurology and Psychiatry「睡眠休養感がカギを握る:健康維持・増進に役立つ新規睡眠指標の開発」
(※2)参考:厚生労働省「Good Sleepガイド」

内村直尚

内村直尚

久留米大学学長、日本睡眠学会理事長

良い睡眠は、睡眠の量(睡眠時間)と質(睡眠休養感)が十分に確保されていることで担保されます。睡眠不足、ストレス、就寝直前の夕食、夜食、朝食抜き、早食い、運動不足(歩行速度など)や病気で睡眠休養感が低下すると心身に悪影響を及ぼします。

睡眠休養感に関するアンケート結果

NELLが全国の10〜60代の男女 500名 を対象に、独自に行った「起床時の睡眠休養感」に関するアンケートの結果は以下のとおりです。

 Q.ふだん朝起きた時に、「よく眠れた」「休養できた」と感じますか?

回答数パーセンテージ
まったく感じない42人8.4%
あまり感じない127人
25.4%
ふつう244人48.8%
やや感じる63人
12.6%
とても感じる24人4.8%

Q.「休養感」に影響していると感じる要因は何ですか?(複数回答可)

回答数パーセンテージ
睡眠時間304人60.8%
マットレスや枕など寝具の快適さ157人
31.4%
室温・湿度などの環境118人23.6%
精神的ストレス206人
41.2%
運動不足108人21.6%
飲酒・食事74人14.8%
その他9人1.8%

Q平日の平均的な睡眠時間を教えてください。

回答数パーセンテージ
4時間未満16人3.2%
4〜5時間123人
24.6%
6〜7時間298人59.6%
8時間以上63人
12.6%

Q現在使っているマットレスに満足していますか?

回答数パーセンテージ
とても満足43人8.6%
やや満足144人
28.8%
どちらでもない220人44%
あまり満足していない63人
12.6%
不満30人6%

Qマットレスが「睡眠の質」や「休養感」に影響すると考えますか?

回答数パーセンテージ
とても影響すると思う103人20.6%
ある程度影響すると思う291人
58.2%
あまり影響しないと思う71人14.2%
まったく影響しないと思う35人
7%

睡眠休養感を感じると答えた人は全体の約17%に対して、感じないと答えた人は全体の約33%と、2倍近い人が睡眠休養感を感じないと回答しています。

また、睡眠休養感に影響していると感じる要因で最も多いのは、「睡眠時間」でした。しかし、平日の平均的な睡眠時間で6時間以上寝ている人は全体の約72%と過半数を超えており、少なくとも睡眠時間の不足が睡眠休養感を感じない主な要因とは断言できません。

一方、睡眠休養感に影響していると感じる要因で2番目に多い回答は、「マットレスや枕など寝具の快適さ」です。

同アンケートでマットレスの満足度を質問すると、満足と回答しているのは全体の約37%で、半分以上の人が満足していないと考えられます。

マットレスが睡眠休養感に影響を及ぼすと考えると回答した人は約78%で、睡眠休養感を高めるためには睡眠時間を6時間以上確保するとともに、寝具の快適さや寝室の環境などが重要です。

睡眠休養感の測り方

睡眠休養感には、血圧や体温のような明確な「測定基準」が今のところ存在しません。 現時点では科学的に確立された客観的指標がなく、あくまでも自分の感覚に基づいて判断されます。

例えば、「朝の目覚めがスッキリしている」「ぐっすり眠れたと感じる」場合は睡眠休養感が高いとされ、「起きても眠さを感じる」「浅い眠りだった気がする」などの場合は、睡眠休養感が低い可能性があります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、自分の睡眠を見直すためのセルフチェックとして、1週間分の「就寝・起床時刻」「睡眠時間」「睡眠休養感」を5段階で評価する、以下のような記録表の作成を推奨しています(※)。

前日の就床時刻(寝床に入った時刻)起床時刻 (寝床から出た時刻)
床上時間 (寝床で過ごした時間)
睡眠時間 (実際に眠っていた時間)
睡眠休養感 非常に良い(5)~非常に悪い(1)
休日 (休日にチェック)
例)4月1日(日)23時 00分6時 30分7時 30分7時 00分3 / 5
月 日( )時  分時  分時  分時  分/ 5
月 日( )時  分時  分時  分時  分/ 5

記録表で1週間の睡眠休養感の平均が3点未満となった場合は、睡眠の質が低下していると考えられるため、生活習慣の見直しや医療機関の受診を検討しましょう。

(※)参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

内村直尚

内村直尚

久留米大学学長、日本睡眠学会理事長

睡眠休養感はあくまで主観的な指標ですが、睡眠休養感の低下を招く要因として、睡眠不足、仕事等による日中のストレス、就寝直前の夕食、夜食、朝食抜き、早食いなどの食習慣の乱れ、運動不足、歩行速度の遅さ等の運動習慣の不良、糖尿病、高血圧、がん、うつ病等の慢性疾患といったものが挙げられますので、そうした点に留意して下さい。

睡眠休養感が低いとどうなる?

睡眠休養感が低いと日中の疲労感が強まり、活動量の低下を招く傾向が見られます。この状態を放置していると、運動不足や気力の低下が重なり、夜の寝つきが悪くなる悪循環に陥りやすいです。

特に、高齢者が悪循環に陥ると「フレイル(虚弱)」のリスクが高まり、心身機能の低下を引き起こす恐れがあります。

また、2022年に発表された研究によると、働き盛り世代の人で、睡眠時間が短く、なおかつ睡眠休養感が低い人ほど死亡リスクが有意に高くなると明らかにされました(※)。

つまり、睡眠休養感が低い状態を放置すると健康や精神に悪影響を及ぼし、命に関わる問題に発展する可能性を否定できません。

快適な目覚めを得ることは、単なる習慣改善ではなく、将来の健康寿命を延ばす重要なステップだと覚えておきましょう。

(※)参考:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター「睡眠休養感がカギを握る:健康維持・増進に役立つ新規睡眠指標の開発」

内村直尚

内村直尚

久留米大学学長、日本睡眠学会理事長

睡眠休養感の低下について、欧米の研究では自分自身が健康であると感じる度合いの低下と最も強く関連し、身体機能、認知機能、感情の不安定度とも関係するとされました。また、米国の調査では、うつ病発症や高血圧発症との関連が示されています。

さらに、日本の調査では睡眠休養感の高さが心筋梗塞、狭心症、心不全等の心血管疾患の発症率低下と関連し、睡眠休養感の低下が肥満や糖尿病、高脂血症等の代謝機能障害と関連しているとされています。

睡眠休養感を高める方法

睡眠休養感を高める方法は、主に以下のとおりです。

  • 眠りの環境を整える
  • 日常の生活習慣を見直す
  • 嗜好品を過剰に摂取しない
  • 眠りの悩みを改善する

それぞれ、順番に解説します。

眠りの環境を整える

睡眠休養感を高めるためには、以下のような方法で眠る環境を整えることが大切です。

  • 寝室を静かにする
  • 寝室を暗くする
  • 室温をコントロールする
  • リラックスできる服装を選ぶ

寝室はできる限り暗くて静かな空間が望ましいため、部屋の明かりを消し、遮光や遮音カーテンを設置しましょう。

また、睡眠中の体温調整がスムーズに行えるように、エアコンや加湿器などで室温や湿度をコントロールします。夏場の室温は25〜26℃、冬場の室温は22〜23℃に調整し、湿度は通年50~60%になるように維持します。

さらに、リラックスした状態で入眠するためには、体の締め付けが少なく、肌触りの良いパジャマや部屋着を選びましょう。 小さな工夫を積み重ねて眠りの環境を整えることで、ぐっすりとした眠りと朝のすっきり感に繋がり、日中の活力を支える土台となります。

なお、快適な睡眠環境を整える方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

睡眠環境
快適な睡眠環境を整える方法とは?室温や照明など簡単に取り組める改善策を紹介

日常の生活習慣を見直す

以下のような方法で日常の生活習慣を見直すことも、睡眠休養感を高めるために重要です。

  • 寝る前にスマホやタブレットを使用しない
  • 寝る3時間前までに夕食を済ませる
  • 寝る1時間30分前までに風呂を済ませる
  • 食事の時間を規則正しくする
  • 継続的に運動する

寝る前にスマホやタブレットを見るとブルーライトが脳を刺激し、眠気を妨げます。そのため、就寝の2時間前にはデジタル機器の使用を控えることが理想的です。

また、消化を促すために夕食は寝る3時間前までに済ませ、体温の自然な低下を促すために入浴は寝る1時間半前までに終えることで、スムーズな入眠に繋がります。

さらに、食事の時間を毎日同じ時間にすると体内時計が整い、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れることも睡眠休養感を高める方法としておすすめです。

日常の生活習慣は一朝一夕で変わるものではありませんが、少しずつ意識して生活リズムを整えれば、自然と睡眠休養感の向上が期待できます。

なお、生活習慣を見直す方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

睡眠の質を上げる
【医師監修】睡眠の質を上げる方法13選!生活習慣や寝室環境を見直そう

嗜好品を過剰に摂取しない

快適な眠りを得るためには、嗜好品の過剰な摂取に注意が必要です。

タバコやアルコールは一見リラックス効果があるように思えますが、実際には睡眠の質を低下させる要因となります。

特にアルコールは入眠を早めますが、眠りを浅くして夜中に目が覚めやすくなる「中途覚醒」の原因になりやすいとされています。

また、タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があり、脳を刺激して寝つきを妨げます。 さらに、コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは眠気を抑えますが、摂取しすぎると睡眠の質が悪化する恐れがあります。

嗜好品を完全に避ける必要はありませんが、睡眠休養感を高めるためにも節度を持って付き合いましょう。

なお、睡眠と嗜好品の関係についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

眠気を覚ます 飲み物
【医師監修】眠気を覚ます飲み物とは?カフェインを摂取する際の注意点も解説
休肝日 眠れない
【医師監修】休肝日は眠れない?お酒を飲まずに睡眠の質を高める方法も解説

眠りの悩みを改善する

睡眠休養感を下げる要因として、睡眠中に生じる次のような悩みが挙げられます。

  • 睡眠中に何度も目が覚める
  • いびきをかく
  • 起きた時に背中や腰が痛い

このような症状があると、快適な睡眠が妨げられやすいです。

夜中に何度も目覚めて、その後寝つけない状態は「中途覚醒」と呼ばれ、加齢やストレス、睡眠時無呼吸症候群などの病気、あるいは寝具が合っていない、部屋が明るいなどのさまざまな原因が考えられます。

特に、起床時に背中や腰の痛みを感じる場合、現在使用している布団やマットレスが体に合っていない可能性があります。体圧が上手く分散されない寝具を使い続けると、寝返りが増えて眠りが浅くなり、疲労が残る原因になります。

まずは、自分の抱えている眠りに関する悩みを整理し、寝具の見直しや医療機関への受診などを検討しましょう。

なお、中途覚醒についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

睡眠 何度も起きる
【医師監修】睡眠中に何度も起きるのは病気?中途覚醒の特徴や原因を詳しく解説

睡眠休養感を高めるなら寝具の買い替えから始めてみよう!

睡眠休養感を高めたい方は、まずは「眠る環境」の見直しから始めましょう。なかでも、毎晩体を預ける寝具の質は、睡眠の質を大きく左右します。

例えば、マットレスや枕が体に合っていないと、寝返りが増えたり、背中や腰に負担がかかったりして、深い眠りを妨げる原因になりやすいです。

マットレスや枕には寿命があります。素材やメンテナンスの有無によって異なりますが、マットレスの場合は一般的に5年〜10年が交換の目安とされています。

長年使用していると、マットレス内部の素材が劣化して体圧分散機能が失われ、理想的な寝姿勢の維持が難しいです。なお、体圧分散とは、寝ている時に体にかかる圧力(体重による負荷)を分散させることを意味します。
睡眠の質を改善するには、自分の体に合ったものを選ぶことが重要です。まずは、寝具の状態をチェックし、必要に応じて買い替えを検討しましょう。

まとめ

まとめ

睡眠休養感とは、朝起きた時に「よく休めた」と感じるかどうかを主観的に評価する指標であり、睡眠の質を測る大切な要素です。 睡眠休養感が高い人は日中に眠気を感じにくく、夜もスムーズに寝つける傾向があります。

一方、睡眠休養感が低い状態が続くと、日中の活動に支障をきたすだけでなく、健康リスクの増加や睡眠の悪循環に陥る可能性もあるため、注意が必要です。

睡眠休養感を高めるためには、「寝室環境を整える」「生活習慣を見直す」「カフェインやアルコールの摂取を控える」などの日常の工夫が鍵となります。

特に寝具は睡眠の質に直結するため、まずは現在使っているマットレスや枕を見直すことから始めてみませんか。

この記事の監修者
内村直尚
内村直尚久留米大学学長、日本睡眠学会理事長
1981年に日本初めての睡眠障害専門外来を開設し、リーダーとして牽引してきた睡眠障害のエキスパート。「地域に貢献できる臨床家の育成」を自らに課せられた役割だとし、現場に強い医師を多く育成
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