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2024.06.17 更新

【医師監修】寝過ぎは体の不調のサイン?原因や対処法について詳しく紹介

【医師監修】寝過ぎは体の不調のサイン?原因や対処法について詳しく紹介

「毎日寝過ぎてしまう」「寝過ぎているのに疲れがとれない」などの悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。

寝過ぎは体の不調を知らせるサインとなる場合もあります。

この記事では、寝すぎが知らせる不調のサインや、寝過ぎてしまう原因、解消方法についてそれぞれわかりやすく紹介します。

寝過ぎが原因で日中の疲労感や体調不良に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 寝過ぎが知らせる体の不調のサイン
  2. 生活リズムや生活習慣が乱れやすくなっている
  3. 頭痛が起こりやすくなっている
  4. 腰痛や肩のこりが起こりやすくなっている
  5. そもそも寝過ぎの原因として考えられるものは?
  6. 年齢が若い
  7. 睡眠負債が蓄積している
  8. 日常的な疲労やストレス
  9. 遺伝や体質
  10. 過眠症などの睡眠障害
  11. うつ病などの精神疾患
  12. 今から実践できる!寝過ぎの対処法4つを紹介
  13. 太陽の光をたっぷり浴びる
  14. 寝る直前のスマホやパソコンを控える
  15. 日中に短時間の睡眠をとる
  16. 快適な寝室環境を整える
  17. まとめ
  18. おすすめ記事

寝過ぎが知らせる体の不調のサイン

寝過ぎは、長時間眠らないと機能できない問題があるサインと捉えることが一般的です。そのため、体の不調を知らせるサインとして機能することがあります。寝過ぎで悩んでいる方は、体に不調がないかどうかを見直してみると良いでしょう。

  • 生活リズムや生活習慣が乱れやすくなっている
  • 頭痛が起こりやすくなっている
  • 腰痛や肩の凝りが起こりやすくなっている

それぞれ、詳しく紹介します。

生活リズムや生活習慣が乱れやすくなっている

寝るという行為は生活習慣の一つですが、睡眠時間のバランスが崩れることにより、ほかの生活リズムも乱れやすい状態になっていると考えられます。

これは、そもそも平日の睡眠時間が短いために起こる場合があります。理由は、平日に十分な睡眠を取れていない分、休日に寝過ぎることによって、食事をとる時間や就寝の時間が崩れてしまい、体内リズムも狂ってしまうからです。

また、体内リズムが狂った状態で生活しているとメタボリックシンドローム肥満糖尿病のリスクが高くなるともいわれています。

WHO(世界保健機関)でも、交代勤務で日勤と夜勤を繰り返す人は体内リズムが崩れやすく、日勤者よりも発がんリスクが高いことを認めています。

渥美正彦

渥美正彦

医療法人上島医院院長

体内リズムの乱れはそれ自体がストレスになり、生活習慣病やがんのリスクを上昇させる可能性があります。また、睡眠覚醒リズムの乱れは夜間のメラトニン分泌を低下させ、メラトニンによる発がん抑制作用が弱まって発がんリスクを高める危険性も指摘されています。

頭痛が起こりやすくなっている

寝過ぎの状態が続いている場合、「慢性頭痛」と呼ばれる頭痛のうち、「片頭痛」が発生しやすくなっていると考えられます。また、睡眠時に長時間同じ姿勢をとることによって起こる、「緊張型頭痛」を誘発する場合もあるため、注意しましょう。

それぞれの特徴や予防策は以下のとおりです。

項目片頭痛緊張型頭痛
特徴目の奥から側頭部や頭全体にズキズキとした脈打つような痛み筋肉の緊張によって起こる頭部を締め付けられるような痛み
原因血管の拡張と血流の変化緊張型頭痛の原因は睡眠時の姿勢
予防策・頭痛になるきっかけを把握し、そのきっかけを避ける
・チョコレート、チーズ、化学調味料など、きっかけとなる食事を避ける
・精神的ストレスを避ける
・アルコールや喫煙を控える ・空腹を避ける
・寝過ぎや寝不足を避ける
・長時間同じ姿勢をとらない
・ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
・休日はリラックスを心がける
・枕を高くしすぎない

寝起きに頭痛を感じる方は、上記のような頭痛が起こっている可能性があるため、生活習慣を見直してみましょう。

渥美正彦

渥美正彦

医療法人上島医院院長

片頭痛や緊張型頭痛はセルフケアで改善することも少なくありませんが、その背景にほかの病気が隠れている場合もあります。

突然発症した場合、段々と症状がひどくなる場合、症状の頻度が増えてきた場合、喋りづらい・手足を動かしづらいなど、頭痛以外の症状を伴う場合には必ず医療機関を受診してください。

腰痛や肩のこりが起こりやすくなっている

寝過ぎの状態が続く場合、腰痛や肩のこりがないかもあわせて確認しておきましょう。

体の中でも、背中や腰部分は体重が集中しやすい部位として知られており、長時間同じ姿勢をとり続けていると体への負担は大きくなります。

寝過ぎの自覚がある方は、腰痛や肩のこりが起きやすくなっていないかもあわせてチェックしましょう。これらの症状がある場合、睡眠中の寝返りが少ない可能性が考えられるでしょう。

渥美正彦

渥美正彦

医療法人上島医院院長

一般的には成人で11時間以上の睡眠が必要な場合には「長時間睡眠」と考える場合が多いです。

ただし、睡眠時間が延長している場合、寝過ぎが問題と考えるのではなく、長時間睡眠が必要になる睡眠時無呼吸症候群や貧血、うつ病などの合併症を慎重にチェックすることが重要です。

そもそも寝過ぎの原因として考えられるものは?

寝過ぎてしまう方の中には、意図せず睡眠時間が長くなってしまう方もいるのではないでしょうか。

寝過ぎの原因として、以下のようなものが考えられます。

  • 年齢が若い
  • 睡眠負債が蓄積している
  • 日常的な疲労やストレス
  • 遺伝や体質
  • 過眠症などの睡眠障害
  • うつ病などの精神疾患

それぞれ、詳しく紹介します。

年齢が若い

米国の国立睡眠財団(National Sleep Foundation)によれば、健常成人に推奨される1日あたりの睡眠時間は7~9時間とされています。

その中でも10〜20代など年齢が若い方は、40〜60代の方より睡眠時間が長い傾向にあることがわかっています。睡眠時間の平均は季節や個人の体質などによっても異なるため一概にはいえませんが、一般的に若い人が長時間眠ることは自然なことです。

そのため、寝過ぎてしまう場合でも10〜20代といった若い年齢であれば、それほど気にする必要はないかもしれません。むしろ寝過ぎではなく、「睡眠時間が足りていないかもしれない」という意識を持つことも大切です。

睡眠負債が蓄積している

慢性的な睡眠不足が重なっている状態を「睡眠負債」と呼びます。

睡眠負債の状態になると、日中に強い眠気を感じるなど心身への影響があらわれます。

睡眠負債の状態を解消しようと、休日などに寝溜めをするケースもありますが、睡眠負債は寝溜めでは解消されません。

「平日に眠気を感じているから、休日に長時間睡眠をとっている」という方は、寝溜めの考え方を一度やめて、睡眠の質や睡眠時間などを根本的に見直しましょう。

日常的な疲労やストレス

シンプルに疲労やストレスが溜まっている場合も、寝過ぎになりやすい原因の一つです。

睡眠には、疲労回復や精神安定などの効果があるため、日常的に疲労やストレスを溜め過ぎている方は長時間睡眠をとりやすくなります。

自分なりのストレス発散方法や、リラックス方法を取り入れ、心身の疲労をためないように心がけましょう。

遺伝や体質

寝過ぎの理由として考えられる一つに「ロングスリーパー(長時間睡眠者)」があります。

明確な定義はありませんが、1日に10時間以上の睡眠をとる人はロングスリーパーとされています。

ロングスリーパーは、まだ明確には判明していませんが、元々の体質のほか親から遺伝するケースが多いと考えられており、睡眠障害などの病気ではありません。

混同されやすい「過眠症」との大きな違いは、十分な睡眠が確保できれば日中に眠気がない点です。「長時間寝るほうが、体調が優れやすい」と感じる方は、ロングスリーパーの可能性があります。

過眠症などの睡眠障害

「寝過ぎてしまううえ、体調も優れない」「日中でも強い眠気に襲われて寝てしまう」などに当てはまる方は、過眠症をはじめとした「睡眠障害」である可能性があります。

古くから知られる過眠症の一つであるナルコレプシーの原因には、脳の一部が機能しないことで覚醒物質「オレキシン」が作れなくなることにより睡眠・覚醒のバランスが崩れていることが関係しているといわれています。一方、特発性過眠症に関してはいまだ原因が判明しておらず、単に過眠症と一括りにして捉えることはできません。

過眠症はロングスリーパーとは異なり、長時間寝ても日中に強い眠気があるのが特徴です。過眠症と疑わしい場合は、生活習慣を整え、自律神経を乱す原因を避けることを心がけましょう。また、日常生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診することを推奨します。

うつ病などの精神疾患

うつ病などの精神疾患が原因で、寝過ぎの原因になっているというケースもあります。

実際、うつ病と診断される方の中には、前述の「過眠症」のような睡眠障害を伴う方もいます。

また、うつ病などの精神疾患に伴う治療薬の副作用で眠気が強いということもあります。日常生活に支障をきたしているのであれば、一度専門医に相談してみましょう。

なお、眠気がひどいからという理由の自己判断で、薬をやめたりしないようにしてください。

今から実践できる!寝過ぎの対処法4つを紹介

今から実践できる!寝過ぎの対処法4つを紹介

寝過ぎの原因はさまざまですが、対処法としては以下のようなものがあります。

  • 太陽の光をたっぷり浴びる
  • 寝る直前のスマホやパソコンを控える
  • 日中に短時間の睡眠をとる
  • 快適な睡眠環境を整える

それぞれの対処法について、以下で詳しく解説します。

太陽の光をたっぷり浴びる

人の体は光を浴びない生活をしていると、1日につき約10分ずつズレるといわれていますが、太陽の光を浴びることにより体内時計をリセットできます。

さらに太陽の光を浴びると、夜には眠気を誘う「メラトニン」という脳内ホルモンが分泌されるため、自然な睡眠サイクルを作ることができます。

生活リズムが乱れている方は太陽の光を活用して睡眠サイクルを改善しましょう。

寝る直前のスマホやパソコンを控える

前述した眠気を誘う脳内ホルモンであるメラトニンは、明るい光を浴びると分泌が抑制されます。

スマホやパソコンの画面は太陽の光にも含まれるブルーライトを発するため、寝る前にスマホやパソコンの光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制され、脳が昼であると錯覚します。

その結果、睡眠の質が低下し「長時間寝ないと疲れがとれない」という状態になってしまいます。

寝る直前の2時間前は、スマホやパソコンの使用を控えましょう。

日中に短時間の睡眠をとる

就寝時に強い疲労を感じるのであれば、日中の13~16時ごろに15~30分ほどの仮眠をとることがおすすめです。

15~30分ほどの短時間睡眠は、一時的な深い眠り状態から一気に覚めることにより、脳の疲れを癒す効果があります。

その結果、作業効率や集中力向上、ストレス軽減に繋がると考えられています。

15~30分ほどの睡眠であれば、「夜に眠れなくなる」などの影響はほとんどないため、日中に眠気を感じるのであればぜひ取り入れてみましょう。

ただし30分以上寝てしまうと、目覚めづらい睡眠の状態に入ってしまうため注意しましょう。

快適な寝室環境を整える

睡眠の質は寝室や寝具によって大きく左右されます。

寝室の温度は、夏は26~28℃、冬は16~21℃、湿度は季節を問わず50~60%程度が人にとって快適とされているため、快適に眠るための目安としましょう。

また、寝室の温度、湿度に加えて枕やマットレスなどの寝具にこだわることも大切です。

例えば、マットレスが柔らかすぎると体が沈み、寝返りが打てないことで睡眠の質が低下します。一方、マットレスが硬すぎると、体の一部に負担がかかり、腰痛やこりの原因になります。

マットレスなどの寝具は、個人の体重や体型によって最適なものが変わるため、「自分に合うものを探す」という意識が大切です。

「原因が良くわからないけど寝過ぎてしまう」などに当てはまる方は、睡眠の質が低い可能性があり、その根本的な原因として、自分に合っていない寝具を使用している可能性があります。

睡眠の質を高めるためには、自分の体に合う寝具を選びましょう。

まとめ

寝過ぎの原因には、睡眠不足が溜まることによって生じる「睡眠負債」やストレスなど、さまざまなことが考えられます。

寝過ぎの状態が続く場合、体が不調のサインを出している可能性も考えられます。このサインを見逃さず、できるだけ早めに対処するように努めましょう。自分に最適な睡眠時間を見つけて、日々の生活の中で規則正しく睡眠を確保することが大切です。

この記事の監修者
渥美正彦
渥美正彦医療法人上島医院院長
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部卒業。近畿大学医学部附属病院(脳神経内科)などを経て2004年、上島医院に入職。05年、同医院併設南大阪睡眠医療センター長。10年、同医院院長に就任し、現在に至る。精神科と脳神経内科での臨床経験を活かし、患者の脳と心の問題に幅広く対応。睡眠医療は国内最高水準の専門治療を提供している。また、公式YouTubeチャンネル『睡眠専門医渥美正彦』では、睡眠障害と精神疾患の正確な情報の発信を続けている。日本精神神経学会認定精神科専門医。日本睡眠学会認定睡眠医療認定医。著書に『子供が朝起きなくなったときに、親子で読む本』(セルバ出版)『子どもの発達障害がよくなる睡眠の教科書』(マキノ出版)がある。

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