冬になると寝室が寒くなり、眠れなかったり夜中に目が覚めてしまったりする方は多いのではないでしょうか。
暖房器具で部屋を温めても冷える場合や、厚い寝具を使用しても寒い場合もあり、どのような寒さ対策をしたら良いのかわからない方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、寝室が寒く感じる原因をはじめとして、マンションと一戸建ての寒さの比較や健康への影響など、詳しく解説します。
手軽にできる寒さ対策も紹介するので、寝室の寒さに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
寝室が寒いと感じる5つの原因
寝室の寒さ対策を考える前に、なぜ寝室が寒くなるのかについて把握しておきましょう。原因を知ることで、自分に合った対策がしやすくなります。
寝室が寒くなる原因として挙げられるのは、主に以下の5つです。
- 窓から外の冷気が伝わる
- 床に冷気が溜まっている
- 空気が乾燥して湿度が下がっている
- 寒くなりやすいタイプの寝具を使っている
- 壁の断熱材が劣化している
それぞれの原因について、詳しく解説します。
窓から外の冷気が伝わる
寝室が寒くなる大きな原因の一つは、寝室の窓です。
窓は直接外気に触れるため、家の中で最も熱の出入りが大きいといわれており、窓を開けていなくても、ガラスから伝わる冷気や隙間風が寝室の空気を冷やします。
窓の断熱性が低いと、部屋を暖房で温めても窓辺で空気が冷やされ、いつまでも寝室が寒く感じます。
床に冷気が溜まっている
暖房をつけていても、足元がなかなか暖まらない経験をしたことがある方は多いでしょう。
これは、暖房で温めた空気が窓辺で冷やされ、冷気が足元に溜まる「コールドドラフト」と呼ばれる現象が発生しているためです。
コールドドラフトは、熱い空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすい性質によって起こります。
また、フローリングの床材が合板の場合、空気の層がないため断熱効果が低く、足元に直接冷たさが伝わりやすいです。コールドドラフトと床材、この2つの原因によって床に冷気が溜まり、寝室が寒く感じます。
空気が乾燥して湿度が下がっている
室内の温度だけでなく、湿度も体感温度に影響を与える要素です。
湿度が低いと空気が乾燥して汗が蒸発しやすくなり、体温が下がって寒く感じます。
汗は、蒸発する時に体から熱を奪うため、汗が蒸発しやすくなることは体温の低下に繋がるのです。
同じ温度なら、湿度が高いほうが暖かく感じやすい傾向にあります。
寒くなりやすいタイプの寝具を使っている
使っているベッドの種類によっては、寒さを感じやすくなる場合があります。
例えば、すのこベッドは通気性が高いため、体の温もりや湿度がベッドの下から抜けてしまうことから、寒さを感じやすい傾向があるといえるでしょう。
また、ローベッドや床に直に敷布団を敷いて寝る場合は、床からの冷気の影響を直接受けて、寒さを感じやすくなります。
ベッドや敷布団での寝方も、寒さを引き起こす要因の一つです。寝具の掛布団と首の間に隙間があると、そこから風が入って布団内に冷気が溜まり、寒く感じることがあります。
壁の断熱材が劣化している
ここまで紹介した寒さ対策を実践しているにもかかわらず寒い場合は、壁の断熱材が劣化している可能性が考えられます。
断熱材の寿命は種類によって異なりますが、一般的には20年〜40年経つと性能が低下するといわれています。経年劣化によって断熱材の性能が低下すると断熱の効果を十分に得られず、寝室が寒くなる場合があります。
寝室が寒いと体にどのような影響がある?
寒い寝室で過ごしていると、「何か病気に繋がるのでは?」と心配になるかもしれません。寒さが健康面に与える影響として、以下のことが挙げられます。
- 免疫力の低下
- ヒートショック
- 寝つきの悪さ
免疫力の低下
人間の体に備わっている免疫力は体温と深い関係にあり、体温が1度上がるだけでも免疫力は最大6倍アップするといわれています。
一方で、体温が低下すると血行が悪くなり、血液中の免疫細胞が全身へ巡りにくくなってしまいます。寒い寝室で眠っている場合は就寝中に体温が下がってしまい、免疫力の低下に繋がる恐れがあります。
ヒートショック
布団の中の温度と室温との差により、ヒートショックが起こる可能性があることも懸念点です。ヒートショックとは、気温の変化による血圧の変動が原因で心臓や血管の疾患が起こる状態を指します。
ヒートショックは、寒い寝室で温かい布団から出てトイレに行く時などに起こりやすいといわれています。そのため、寝床内の温度と室温の差が大きくなりすぎないよう注意してください。
寝つきの悪さ
室温が低すぎると、寒さが気になって寝付きが悪くなることもあります。快適に寝るためには、寝室を適切な温度に保つことが大切です。
ただし、寒いからといって、過度に厚着をするのは避けましょう。厚着をしすぎると深部体温の調節が上手く行えず、睡眠の質が下がる原因になる可能性があります。
手軽にできる寝室の寒さ対策7選
寝室が寒く感じる方は、手軽にできる対策から取り入れましょう。リフォームなど大がかりな工事をしなくても、身近に手に入るもので対策を行えます。
おすすめの寒さ対策は、以下の7つです。
- 隙間テープを貼る
- 断熱効果があるシートや壁紙を使う
- カーテンを見直す
- 暖房器具を使う
- サーキュレーターを使う
- 吸湿性のある暖かい衣類を着る
- ベッドの位置や寝具を見直す
それぞれの対策について、詳しく解説します。
なお、対策方法によっては、逆効果になる可能性もあるので注意しましょう。間違った冷え対策の例は以下の記事で紹介しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。
寝室の窓に隙間テープを貼る
外の冷たい空気が直接入る窓は、最初に対策しておきたい場所です。窓が開いていなくても、窓枠のパッキンが劣化していると隙間風が入りやすくなります。
隙間風が気になる場合は、窓枠とサッシの間に隙間テープを貼りましょう。隙間テープは100円ショップやホームセンターなどで手に入れられるため、リーズナブルに対策できます。
隙間テープを貼ったあとは、窓がきちんと閉まるか、隙間風がしっかりシャットアウトできているかを確認しましょう。
断熱効果があるシートを窓・床・壁に使う
住宅が古くて断熱材が劣化していると、冷気が伝わりやすくなります。その場合は、寝室の窓・床・壁に、断熱効果があるシートを使って対策しましょう。
場所ごとに使えるアイテムは、以下のとおりです。
- 窓:断熱シート・プチプチ・アルミシートなど
- 床:ジョイントマット・コルクマット・アルミシート・絨毯など
- 壁:断熱シート・プチプチ・段ボールなど
断熱シートを貼ると空気の層ができて冷気を通しにくくなり、温かい空気が逃げにくい室内ができます。賃貸住宅にお住まいの方は、簡単にはがせる商品を使用しましょう。
寝室のカーテンの長さや厚さを見直す
カーテンを付けているのに寒さを感じる場合は、カーテンの長さや厚さを見直すことが大切です。
賃貸住宅で窓にシートを貼りたくない方でも、カーテンを見直す方法なら取り入れやすいでしょう。
窓の大きさに比べてカーテンの面積が小さいと、冷気が入りやすいため、長めの丈・幅のカーテンの使用をおすすめします。また、薄い生地は冷気を通しやすいので、厚めの生地を選ぶと良いでしょう。
もし長めの丈・幅のカーテンを付けても寒いのであれば、冬用の裏地付きのものや、防寒機能が付いたものを使用する方法もあります。
暖房器具を使う
冬場の寝室は、室温22℃〜23℃、湿度50%〜60%が理想的です。この環境が保てていないのであれば、暖房器具を上手く使って寝室を温め、寒暖差によるヒートショックを防ぎましょう。
寝室で使える暖房器具はさまざまありますが、代表的なものは以下の3つです。
- エアコン
- 電気ストーブ
- 電気毛布・湯たんぽ
エアコンの温かい空気は天井付近に溜まりやすいため、足元にも暖気がくるように羽を下向きにして使用しましょう。
また、電気ストーブは就寝中に倒れて火事にならないように、安全機能を搭載した製品を選ぶことが望ましいです。
もし布団の中が冷たく感じるなら、就寝前に電気毛布や湯たんぽで布団全体を温めておくと入眠しやすくなります。
なお、暖房をつけると室内が乾燥するため、加湿器の併用がおすすめです。
サーキュレーターを使う
エアコンだけを使うと室温にムラができるため、サーキュレーターを併用して室内の空気を循環させましょう。暖房の効率がアップするうえに、省エネ効果も期待できます。
サーキュレーターをより効果的に使うには、エアコンとサーキュレーターの位置関係が大切です。
エアコンに向かって対角線上にある部屋の隅にサーキュレーターを設置し、エアコンの送風口に風を当てると、空気が上手く循環します。対角線上に設置できない場合は、サーキュレーターを真上に向けて、天井に風を当てましょう。
サーキュレーター使用時の注意点は、直接風を体に当てないことと、火を使う暖房器具には風を当てないことです。思わぬ事故が発生する可能性もあるため、正しい使い方を心がけましょう。
吸湿性のある暖かい衣類を着る
寝室が寒いからといって、分厚い衣類を着たり厚着をしすぎたりすると、就寝中に寝返りが打ちにくくなり、かえって睡眠の質の低下に繋がる可能性があります。
就寝中に着る衣類は、暖かさと着心地の良さの両方に優れていることが重要です。
パジャマとして使うのは、汗を吸いやすい綿やウールの生地がおすすめです。
化学繊維のフリースは暖かくて着心地が良い点は魅力的ですが、通気性が悪くて汗がこもりやすいため、睡眠の質のことを考えると、あまりおすすめできません。
もし足元が冷えるなら、緩めのレッグウォーマーを着用しましょう。
足元の寒さ対策として靴下を使う方もいるかもしれませんが、靴下は足からの放熱を妨げやすいため、足先が開いているレッグウォーマーの使用が好ましいです。
寝室のベッドの位置や寝具を見直す
同じ寝室内でも、場所によって寒さの感じ方は異なります。
室内のレイアウトが適切でないと感じるのであれば、一度ベッドの位置や寝具を見直してください。
窓際は隙間風や冷気の影響を受けやすいので、ベッドは窓際を避けて設置しましょう。
また、床に近いほど冷気を感じやすくなるため、寝室が寒いと感じるのであれば、ローベッドや床に敷布団を敷く寝方は避けたほうが良いといえます。床の冷気から遠ざかるためにも、高さのあるベッドに変えることも選択肢の一つです。
ベッドと一緒に使う寝具は、保温性に優れた素材を使用することをおすすめします。ウールや断熱素材入りのアイテムなど、冬の寒さ対策ができるものを選びましょう。
まとめ
寝室が寒く感じるのは、窓や床から伝わる冷気が主な原因です。寝室が寒いと熟睡しづらくなるうえに、ヒートショックを引き起こすことも考えられます。
暖かい環境で快適に寝るには、自分の寝室が寒くなる原因を把握して、適切な寒さ対策を行うことが重要です。
リフォームなどの大がかりな工事をしなくても、隙間テープや断熱シートなどの手軽な方法で寒さ対策が行えます。この記事で紹介した7つの寒さ対策を参考にして、暖かい寝室で快適に眠りましょう。