お腹がすいて眠れずに目が冴える状態に陥ったことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、寝る直前の食事は体重増加や健康への影響など、さまざまな面からためらうものです。
どうしても我慢できずに食事をする場合に備えて、どのようなものなら食べても良いのかを把握するのは重要です。
この記事では、お腹がすいて眠れない時の理由や対処法、寝る前に食べても良いものや避けたいものなどを解説します。
お腹がすくと眠れない理由は血糖値が下がるため
お腹がすくと眠れない主な理由は、体の血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が下がっているためです。
血糖値が下がると、人の体は空腹を感じる仕組みになっています。食事をしてブドウ糖を摂取すると、30分程度で血糖値がピークに達し、その後3〜4時間かけて徐々に血糖値が下がり、空腹を感じます。
空腹を感じると交感神経が優位になり脳が覚醒するため、眠れなくなります。例えば、夕飯〜就寝までの時間が長く空くと、お腹がすいて眠れなくなる場合がありますが、これは血糖値の低下による空腹感で脳が覚醒していることにも原因があると考えられます。
寝る前に無理に食べてしまう状態が続く場合は夜間摂食症候群の可能性も
お腹がすいて眠れない時、無茶をして食べてしまう状態が続く場合は「夜間摂食症候群」の可能性が疑われるかもしれません。
夜間摂食症候群とは、寝る前や中途覚醒した際に食べることを止められない症状です。性別に関係なく発生する症状ですが、特に男性の方に多くみられる症状だといわれています。
食事に関連する行動に症状があらわれる病気に「摂食障害」がありますが、夜間摂食症候群は摂食障害とは異なるものです。
夜間摂食症候群の症状が続くと、起床時の体調不良や胃もたれを起こす可能性があります。加えて、うつ病や不眠症に繋がる可能性もあるとされるため、注意が必要です。
思い当たる症状がある場合は、一度医療機関に相談しましょう。
寝る前の食事は何時間前までが理想?
寝る前の食事は、就寝の3時間前までに済ませることが理想です。
寝る直前に食事をした場合、口にした食べ物の消化活動は就寝中も続きます。消化活動中は臓器が活発な状態にあるため、眠りが浅くなります。また、胃腸にも負担がかかるため、寝る直前の食事はできるだけ避けましょう。
どうしても寝る前に食べ物を口にしたい場合は、消化の良いものを食べましょう。寝る前に食べても良い食べ物・避けるべき食べ物は後述するので、ぜひ参考にしてください。
なお、寝る前の食事の理想的な時間は、以下の記事でも解説しています。
お腹がすいて眠れない時の対処法
お腹がすいて眠れない時に、無理やり寝ようとするのはなかなか難しいことです。お腹がすいて眠れない時の対処法には、「水分をとる」「夜食をとる」ことが挙げられます。
それぞれの対処法を、以下で詳しく説明します。
水分をとる
水分をとると、食事をせずとも空腹感をある程度紛らわせることができます。ただし、水分のとりすぎは尿意および夜間の頻繁な覚醒に繋がり、睡眠の質を低下させるため、コップ一杯程度の水分にとどめましょう。
また、カフェインの入った飲み物やアルコールには覚醒作用や利尿作用があるため、夜寝る前に飲むことはおすすめできません。「寝酒」と称して、睡眠前にお酒を飲む方もいるかもしれませんが、睡眠の質という観点からは避けるべき行為です。
夜寝る前に飲むものには、白湯やホットミルク、ハーブティーなどがおすすめです。
寝る前に飲むおすすめの飲み物は、以下の記事で詳しく解説しています。
夜食をとる
水分程度では空腹感がおさまらない場合は、軽く夜食を食べるのも1つの方法として考えられます。ただし、食べすぎると消化に時間がかかり、快適な睡眠を妨げる点には注意が必要です。
先述したように、寝る前の食事は就寝の3時間前までに済ませるのが理想です。お腹がすいてどうしても眠れない時に夜食を食べる場合は、以下で解説するように食べ物の種類にこだわることをおすすめします。
お腹がすいて眠れない時に食べても良いものと避けたいもの
寝る前に軽い食事をとることは、眠れなくなったり睡眠の質が低下したりといった事態の回避に繋がりますが、どのようなものでも食べて良いわけではありません。
寝る前に食べても良いものにはどのようなものがあるか、どのようなものは避けるべきか、以下で詳しく説明します。
寝る前に食べても良いもの
寝る前に食事をとる場合は、なるべく消化の良いものを選びましょう。胃腸の消化活動を長引かせないことで、睡眠の質が低下するリスクを軽減できます。
消化に良いものには炭水化物が挙げられますが、その中でも特に消化の良い雑炊・おかゆ・うどんなどがおすすめです。また、スープやみそ汁といった汁物も消化に良いため、炭水化物を避けたい場合はそういったものを選ぶと良いでしょう。
食事の際の飲み物は、先述したように白湯やホットミルク、ハーブティーなどがおすすめです。
寝る前に食べるのを避けたいもの
消化に時間のかかるものを食べると、寝ようとしている間も胃腸の活動が活発になるため、消化に時間のかかるものを寝る直前に食べるのはできるだけ避けるべきです。
脂肪の多い肉や魚・揚げ物などは、寝る前に食べるものとしては好ましくありません。また、先述のようにカフェインの入った飲み物やアルコールも避けたほうが無難です。
なお、寝る前に食べても良いもの、避けたほうが良いもので分類はしましたが、どのようなものでも食べすぎると消化に時間がかかることは間違いありません。
食べても良いものであっても、食べすぎは控えましょう。
寝る前にお腹がすくのを防ぐには?
お腹がすいて眠れない悩みを根本的に解消するには、寝る前にお腹がすかないように対策することも大切です。例えば、夕食の食べ方に工夫すると、寝る前の空腹感を軽減できる可能性があります。
以下では、寝る前にお腹がすかないように対策する方法を紹介します。
早食いを避ける
寝る前にお腹がすきやすい方は、夕食をゆっくり食べるように心がけましょう。早食いをすると、食事をとった後も空腹を感じやすくなります。
そもそも人が満腹だと感じるのは、食事をした際に血糖値が上昇するためです。ブドウ糖の濃度が上昇すると脳の満腹中枢が刺激され、満腹を感じる仕組みになっています。
満腹中枢が刺激されて満腹を感じるには、食事を始めてから15~20分程度かかります。しかし、早食いだと満腹を感じる前にどんどん食べ物を口にし、食べ過ぎてしまうでしょう。その結果、血糖値が急激に変動し、たくさんの量を食べたにもかかわらず、すぐにお腹がすくことになります。
食事の早食いは、咀嚼回数を増やすことを意識すると防ぎやすくなります。理想的な咀嚼回数は一口につき30回程度です。
食物繊維を積極的に取り入れる
夕食のメニューには、食物繊維を多く含む食べ物を取り入れてみてください。体内に取り込まれた食物繊維は膨らんでかさが増すため、満腹感を得やすくなります。また、食物繊維は腸内でゆっくりと吸収される性質もあるため、満腹感が長く続きやすいです。
食物繊維が豊富に含まれている食品の例には、納豆・里芋・玄米・ごぼう・アスパラガス・キャベツ・しめじなどが挙げられます。
適度にお腹がすいた状態で眠ることにはメリットもある
お腹がすいた状態での睡眠には、成長ホルモンの分泌が促されるメリットもあります。
成長ホルモンは主に睡眠時に分泌されるホルモンで、空腹状態だとより分泌されやすくなるといわれています。適度な空腹状態で眠れば、睡眠中の成長ホルモンの分泌を促せる可能性があります。
ただし、極度の空腹状態での睡眠は、自律神経系のうち体を活動的にする役割を果たす交感神経が優位となり、リラックスできなくなります。すると、結果的に睡眠の質が低下する可能性があるため注意してください。
まとめ
お腹がすいて眠れない主な原因は体の血糖値が下がっているためです。水分をとったり軽めの夜食をとったりすることで、空腹感をある程度軽減させられ、お腹がすいて眠れない状態から抜け出せるでしょう。
また、寝る前に食べるものは、消化に良い雑炊・おかゆ・うどん、汁物、ノンアルコール・ノンカフェインの飲み物などがおすすめです。
消化に時間のかかる脂肪の多い肉や魚・揚げ物や、カフェインの入った飲み物やアルコールなどは、避けましょう。