「最近枕の臭いが気になる」「枕が臭いのは加齢臭?」などと思っていても、人にはなかなかいえないものです。枕の臭いは他人には話しづらい悩みなので、1人で抱えて悩んでいる方もいるかもしれません。
枕の臭いは周囲に不快感を与える可能性もあるため、できるだけ早く対策することが大切です。
この記事では、「なぜ枕が臭くなるのか」という疑問が解消できるように、枕が臭くなる原因を詳しく解説します。さらに、枕が臭った時の洗濯方法や予防法なども詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
枕の臭いの原因は大きく分けて5つある
「枕の臭い」と聞くと、主に加齢臭を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、枕の臭いの原因には、加齢臭をはじめとした以下5つが考えられます。
- 就寝中にかく汗や皮脂の臭い
- 素材自体の臭い
- ストレス臭
- ミドル脂臭
- 加齢臭
それぞれ詳しく解説するので、自分がどのケースに該当するか確認しましょう。
就寝中にかく汗や皮脂の臭い
就寝中はコップ約1杯分の汗をかくといわれており、体はもちろん頭皮からも汗や皮脂は分泌されています。汗そのものに臭いはなくても、そのまま放置すると雑菌が繁殖して臭くなり、枕が臭う原因となります。
また、枕は頭に直接触れるものなので、汗や皮脂に加えて髪の毛やフケなども溜まりやすいです。こうしたさまざまな汚れが重なって、枕の臭いに繋がります。
素材自体の臭い
枕を使用している方に原因があるのではなく、そもそも枕の素材が特有の臭いを発しているケースもあります。
羽毛や羊毛などの動物繊維は、製造工程で素材の臭いを完全に無臭にするのは難しいものです。特に、温湿度が高くなると動物繊維の臭いが強くなる傾向にあります。例えば、羽毛に湿気が溜まると動物の独特な臭いを感じることがあるでしょう。
また、化学物質を発泡させて作るウレタンを使用した枕の場合は、購入したばかりの頃に化学薬品のような臭いを感じることがあります。
ストレス臭
ストレスが溜まると、硫黄のような臭いや脂っぽい臭いがする「ストレス臭」が発生するといわれています。緊張したりストレスが溜まったりする時に皮膚から発生するこの臭いは、男女問わず発生します。
頭皮や首から発生したストレス臭が枕に付着すると、枕が臭いと感じることがあります。
ミドル脂臭
ミドル脂臭とは、後頭部や首筋を中心として発生する、使い古した油のような強い臭いを指します。
ミドル脂臭は、汗の中に分泌された乳酸が皮膚の細菌によって分解され、「ジアセチル」という不快な臭いになることで発生します。
加齢臭
加齢臭とは、体内で増加した活性酸素が皮脂と結びついて酸化・分解し、「ノネナール」という物質になることで生じる臭いのことです。40歳を超えると、男女問わず加齢臭が発生しやすくなります。
皮脂が枕に付いたまま蓄積されると、より臭いを感じやすくなるようです。
20代でも枕が臭くなる理由とは?
枕が臭くなるのは中年からだと思われることが多いですが、中には20代で臭くなる方もいます。
20代の枕が臭くなる原因は、生活習慣の乱れによるものが多いようです。
乱れた生活習慣の一例として、肉をよく食べるが野菜を食べないなどバランスの悪い食生活、糖質や油の過剰摂取、ヘビースモーカーなどが考えられます。
一般的に、男性は女性よりも皮脂の分泌が多いため、臭いを発しやすいといわれています。
また、同じ加齢臭でも「早期加齢臭」とは、20代〜30代の加齢臭を指す言葉です。20代でも前述したノネナールが検出されることがあり、年齢に関わらず枕が臭くなることがあります。
毎日できる!枕の臭い対策
枕の臭いが気になる場合は、普段から臭い対策を行いましょう。枕の臭い対策には次の4つの方法が有効です。
- 乾燥させる
- 枕カバーを頻繁に洗う
- 洗える枕を使う
- 枕パッドを使用する
先述したように、汗を吸って湿った枕をそのまま放置すると雑菌が繁殖し、嫌な臭いの原因となります。そのため、枕を使ったあとは、日当たりの良い場所に置くなどして乾燥させましょう。
また、定期的に枕カバーを洗う方法も臭い対策に効果的です。枕カバーを洗っても臭いが気になる場合は、本体ごと丸洗いすると良いでしょう。
ただし、丸洗いできるかどうかは枕の素材によって変わるため、洗濯表示のタグは事前に確認してください。ちなみに、ポリエステルの綿やビーズ、パイプを素材にした枕は、丸洗いできるものが多いです。
このほか、枕パッドを使用するのも一つの方法です。枕パッドには、臭いの原因となる寝汗や皮脂が枕に付着するのを防ぐ効果があります。
なお、枕カバーの選び方は次の記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
枕の臭いが気になる時の洗濯方法を紹介
ここからは、枕が臭くなった時の対処法として、枕と枕カバーを洗う方法を紹介します。臭いを蓄積させないためにも、気付いた時に早めに対処するのがおすすめです。
次の3つの洗い方をマスターして、臭う程度に合わせて洗濯しましょう。
- 枕の洗い方
- 枕カバーの洗い方
- 枕カバーを浸け置き洗いする方法
それぞれの洗い方を詳しく解説します。
枕の洗い方
枕に臭いが染み付いている場合は、枕を丸洗いして臭いも汚れもすっきり洗い流しましょう。一般的に、ウレタン・羽毛・そば殻の枕は水洗いできないものが多いです。
洗濯する前に枕の洗濯表示タグを見て、洗濯可能かを確認してください。「洗濯機または手洗いが可能」な表示があるものは、自宅で洗濯できます。
出典:消費者庁「洗濯表示 」
また、洗濯機によっては枕を洗う場合のコース指定があることもあるため、一度説明書を読んだうえで洗濯することをおすすめします。
枕を洗濯する時に準備するものは、洗濯ネットと中性洗剤、必要に応じて柔軟剤です。
枕の洗濯は、以下の手順で行います。
- 洗濯ネットに枕を入れる
- 洗濯機に中性洗剤を入れ、手洗いコースなど水流が弱いコースで洗濯する
- 中身が均等になるように整えて、中身が完全に乾くまで干す
洗濯ネットのサイズが小さすぎると枕がつぶれてしまうため、ゆとりのあるサイズを選びましょう。枕の洗濯は難しそうに思うかもしれませんが、洗濯機を使えば簡単に洗うことができます。
また、洗濯後は中身が完全に乾くまで干すことが大切です。生乾きの状態で使用すると、再び枕が臭くなる可能性があるため注意してください。
洗えないタイプの枕を使っている場合は、重曹やセスキ炭酸ソーダをスプレーにして吹きかけるのがおすすめです。重曹とセスキ炭酸ソーダには消臭効果があり、枕に吹きかけると嫌な臭いを防ぎやすくなります。
スプレーにする際は、小さじ1の重曹またはセスキ炭酸ソーダに対して100mlのぬるま湯を混ぜ合わせます。スプレーを作ったら枕全体に噴射して10分程度放置し、その後乾いたタオルで水分を拭き取りましょう。
枕カバーの洗い方
枕本体にまで臭いが移っていなければ、枕カバーだけを洗濯しましょう。枕の臭いが気になってからではなく、普段からこまめに洗濯すると枕に臭いが移るのを防ぎやすくなります。最初に枕カバーの洗濯表示タグをチェックして、表示に従って洗濯してください。
枕カバーを洗濯する時は、中性洗剤と必要に応じて柔軟剤も用意しましょう。
枕カバーは、以下の手順で洗濯します。
- 枕からカバーを取り外す
- 洗濯機の通常の洗濯モードで洗濯する
- しわを伸ばして干す
枕カバーが洗濯できる素材の場合、通常の衣類の洗濯と同じ手順で洗えます。干す時は、直射日光で生地が傷まないように裏返して干す方法がおすすめです。
臭いがひどい時は枕カバーを浸け置き洗いする
枕カバーの臭いがひどくて通常の洗濯方法で対処できない場合は、重曹を使った浸け置き洗いを試してみましょう。ただし、重曹は皮脂汚れや臭いへの効果が期待できますが、シルクなどのデリケートな素材には向かないため注意してください。
枕カバーを浸け置き洗いする時に準備するものは、重曹・ぬるま湯・中性洗剤の3つです。
浸け置き洗いは、以下の手順で行います。
- 枕カバーがしっかり浸かる量の40℃前後のお湯に、重曹を小さじ1杯程度溶かす
- 枕カバーを1〜2時間程度浸け置きする
- 重曹が残らないようにすすぐ
- 洗濯機の通常コースで洗濯する
- 脱水して、形を整えて干す
最初、お湯に重曹を溶かす時は、重曹を完全に溶かしましょう。溶け残った重曹が、繊維に入り込んでしまう可能性があります。
また、浸け置き洗いしたあとは、重曹が枕カバーに残らないように念入りにすすいでください。
日頃の習慣を見直して枕の臭いを防ぐ方法
重曹での浸け置き洗いなど、枕の臭いに対処する方法はあるものの、枕やカバーの臭いがひどくなってから洗濯するのでは手間がかかって大変です。枕に臭いが付かないように、日頃の習慣を見直して根本的な臭い対策を行いましょう。
ここからは、日常生活でできる枕の臭いを防ぐ方法を紹介します。
- 食事内容に気を付ける
- 運動や入浴など生活習慣を整える
- 洗髪方法を見直して頭皮を清潔にする
- ストレスを溜めないようにする
どれも手軽にできることばかりなので、ぜひ生活に取り入れてください。
食事内容に気を付ける
バランスの悪い食事が原因となって枕が臭う方は、皮脂の原料となる中性脂肪を増やさない食事を心がけましょう。
お菓子やジュースなど、糖質を摂り過ぎないことはもちろん、脂っこいものを食べ過ぎない、過度な飲酒を避けることも重要です。
野菜を中心とした、バランスが良い食事をとる習慣を身に付けましょう。食物繊維が豊富なものを食べて、腸内環境を整えることを意識するとより効果が期待できます。
運動や入浴など生活習慣を整える
運動や入浴などで汗をかいて汗腺を鍛えると、汗の質が向上して臭いの改善に繋がる可能性があります。ウォーキングなどの有酸素運動をするほか、階段を使う、買い物には歩いて行くなど、日常生活で体を動かすことを意識しましょう。
入浴は38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度、ゆっくりと湯船に浸かることをおすすめします。入浴で汗をかいて脱水症状にならないように、入浴前後には水分をしっかり補給することを忘れないでください。
また、生活リズムが乱れると皮脂分泌が増えやすくなるため、毎日できるだけ同じ時間に起床・就寝するように心がけましょう。
洗髪方法を見直して頭皮を清潔にする
髪を毎日洗っていても、実はしっかり洗えていなかったというケースもあるため、髪の毛の洗い方を見直すのも予防策の一つといえます。使用するシャンプーは、頭皮ケアができるタイプがおすすめです。
洗髪時には、シャンプー前にお湯だけでしっかり予洗いしましょう。シャンプーで洗う時は頭皮を洗うことを意識して、優しくマッサージする感覚で洗ってください。洗う時に爪を立てると、頭皮を傷つける可能性があるため注意が必要です。
また、整髪料を使っている方は、1度のシャンプーでは頭皮や髪に汚れが残ることがあります。2度洗いして、すっきりと汚れを落としましょう。
洗髪後は、ドライヤーでしっかり乾かすことが大切です。頭皮や髪に水分が残っていると雑菌が繁殖する原因となり、臭いに繋がる可能性が高くなります。
ストレスを溜めないようにする
ストレスが原因で枕が臭っている方は、日頃からストレスを溜めないように気を付けましょう。読書や音楽、スポーツを楽しむなど、自分流のストレス発散方法を持っておくことが望ましいです。
ストレスを発散する時間が取れない方は、お風呂に入る時にお気に入りの入浴剤を入れる、寝る前にアロマの香りを楽しむなど、癒し効果のあるものを生活に取り入れてリラックスしてはいかがでしょうか。
また、ストレスを溜めないためには、問題を1人でかかえずに周囲に相談することも大切です。完璧主義をやめて人に上手く頼ると、ストレスが軽減されることもあります。
まとめ
枕の臭いの原因は、汗や加齢臭など人によってさまざまです。「枕が臭うのは中年から」というイメージを持つ方は多いかもしれませんが、生活習慣が乱れていれば20代でも枕が臭うことがあります。
もし枕についた臭いが気になるなら、ぜひ紹介した方法で枕やカバーを洗濯してください。そして、これからは週に2回は枕カバーを洗濯して清潔に保ち、枕に臭いが付くことを防いでいきましょう。
さらに、枕に臭いがつくことを未然に防ぐためにも、バランスの取れた食事や適度な運動などを生活に取り入れて、体の中から整えることをおすすめします。