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2025.07.15 更新

【医師監修】生理前に眠れないのはなぜ?考えられる原因や対処法を紹介

【医師監修】生理前に眠れないのはなぜ?考えられる原因や対処法を紹介

生理前特有の症状として、日中に襲ってくる眠気があることは広く知られています。しかし、中には「生理前になると眠れずに困っている」という方もいるのではないでしょうか。

生理前の不眠は、普段の睡眠の質を高めることで改善できる可能性があります。この記事では、生理前に眠れなくなる原因や、睡眠の質を高める方法を紹介します。

  1. 生理前に眠れない主な原因
  2. 生理前に起こる不眠の種類
  3. 寝つきが悪くなる
  4. 睡眠途中で目が覚める
  5. 月経前症候群(PMS)で起こる不眠以外の症状
  6. 更年期障害が不眠の原因となっている可能性もある
  7. 生理前に眠れない場合の対処法
  8. 生活習慣を整えて睡眠リズムを改善する
  9. リラックスできる環境を作り入眠をスムーズにする
  10. 寝る前にリラックスできる飲み物を飲む
  11. 最適な睡眠環境を整備する
  12. まとめ

生理前に眠れない主な原因

生理前は、人によっては「寝つきが悪くなる」「眠りが浅く夜間に何度も目が覚める」「熟睡できない」など、不眠に関する症状が現れる場合があります。

生理前になると眠れなくなる原因には、以下の内容が挙げられます。

  • ホルモンバランスの変化
  • 自律神経の乱れ

生理前は女性ホルモンのバランスが変化する時期です。排卵後から月経前まではプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増え、月経後から排卵前まではエストロゲンという女性ホルモンの分泌量が増えます。

人は深部体温が低下すると眠気を感じる仕組みになっていますが、月経前にはプロゲステロンの働きによって深部体温が低下しにくくなり、睡眠に悪影響を及ぼします。

また、普段眠っている間は、自律神経のうち副交感神経が優位に働き、体がリラックスした状態になります。

しかし、生理前になると自律神経のバランスを整える役割を持つエストロゲンが減少し、自律神経をうまくコントロールできなくなります。すると、交感神経が優位になり、心身ともにリラックスしにくい状態になったり、眠りにくさに繋がったりする場合があります。

なお、女性のホルモンバランスの変化は、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひこちらもご一読ください。

疲れやすい
【医師監修】疲れやすいと感じるのはなぜ?男女で異なるホルモンの影響なども解説
藤東淳也

藤東淳也

藤東クリニック 理事長・院長

生理前に眠れなくなることについて、PMS(月経前症候群)の症状がある人に睡眠の質が低下している人が多いということがわかってきています。

生理前に起こる不眠の種類

生理前の不眠の種類

生理前に起きる不眠には2つの種類があります。

  • 寝つきが悪くなる
  • 睡眠途中で目覚める

上記の2つの種類を以下で詳しく解説します。

寝つきが悪くなる

前述のように、プロゲステロンの働きにより、体温も徐々に上昇します。体温が高くなると眠る時間になっても体温が下がりきらず、寝つきが悪くなり、睡眠も浅くなります。

生理前に寝つきを良くするには、深部体温を下げることが重要です。

睡眠途中で目が覚める

通常、体内のホルモンは、24時間サイクルで体内時計の調節を受けながら働いています。

しかし、生理前になりホルモンバランスが乱れると、体内時計が乱れるとともに睡眠と覚醒のバランスも崩れます。睡眠と覚醒のバランスがはっきりしないため、睡眠途中で目が覚める場合があります。

月経前症候群(PMS)で起こる不眠以外の症状

月経前症候群(PMS)とは、生理前に3日~10日の間続く精神的または身体的不調のことで、症状の1つとして睡眠トラブルが生じることがあります。そのほか、PMSには以下の症状も挙げられます。

精神的症状身体的症状
・イライラ
・情緒不安定
・集中力の低下
・抑うつ
・不安になる
・眠気など
・肌荒れ
・腹痛
・腰痛
・頭痛
・むくみ
・お腹の張りなど

PMSの原因ははっきりとわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関係しているといわれており、生理が始まるとともに、症状が軽くなるまたは回復する傾向があります。

なお、PMSは、以下の記事でも詳しく解説しています。 PMSに悩んでいる方は、ぜひこちらもご一読ください。

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【医師監修】月経前に眠くなるPMSの症状を緩和したい!対処法やNG行為を解説

更年期障害が不眠の原因となっている可能性もある

女性特有の不眠の原因として、生理だけでなく更年期障害の影響も考えられます。更年期障害とは、閉経に向けて訪れる体の変化に対応できず、日常生活に支障が出るレベルの症状が発生した状態です。

症状にはめまいや動悸などの身体的な症状のほか、不眠をはじめとした精神的な症状があらわれる場合もあります。心配な方は近くの医療機関に相談すると良いでしょう。

なお、更年期と不眠の関係性は、以下の記事でも詳しく解説しています。更年期と不眠の関係性を詳しく知りたい方は、ぜひこちらもご一読ください。

更年期 眠い
【医師監修】眠いのは更年期が原因かも?女性が抱える睡眠トラブルについて調査
藤東淳也

藤東淳也

藤東クリニック 理事長・院長

更年期では、ほてりや発汗といった血管運動神経症状が夜間に起こることで睡眠が妨げられることが考えられます。更年期障害の症状はさまざまありますので、症状に悩むようでしたら医療機関を受診しましょう。

生理前に眠れない場合の対処法

生理前に眠れない場合の対処法

眠れず悩んでいる方は、普段の睡眠の質を高めるよう意識しましょう。普段の睡眠の質を高められれば、生理前の不眠を緩和できる可能性があります。

睡眠の質を高める方法を、生活習慣や睡眠環境などにわけてご紹介するので、参考にしてください。

生活習慣を整えて睡眠リズムを改善する

生活習慣を整えると、睡眠リズムの改善に繋がります。具体的な方法に挙げられるのは、以下のとおりです。

  • 規則正しい生活を心がける
  • 栄養バランスの良い食事を心がける
  • 夕食は就寝3時間前に済ませる
  • 習慣的に運動する
  • 日中に仮眠をとる

規則正しい生活を心がける

睡眠の質を高めるために、普段から規則正しい生活を送るよう心がけましょう。規則正しい生活は、体内時計を調整するために重要です。

体内時計とは、睡眠のタイミングや生理的な活動を調節する役割を持つメカニズムで、人の体には必ず備わっています。

体内時計が正しく機能していれば、「朝に目が覚めて夜に眠気が訪れる」という健康的なリズムに沿って生活を送れます。しかし、体内時計が狂うと就寝のタイミングで眠気が訪れず、不眠に繋がる可能性があります。

体内時計は自分の力でコントロールできるものではなく、規則正しい生活によって正しいリズムに調整できる仕組みになっています。体内時計を正しく機能させるためにも、規則正しい生活を送るように意識してください。

栄養バランスの良い食事を心がける

より睡眠の質を高めたい方は、食事のメニューに気を配ることをおすすめします。特に「トリプトファン」「GABA」「グリシン」という3つのアミノ酸を取り入れましょう。

トリプトファンは、リラックス効果をもたらしたり心身を覚醒させる作用があるホルモン「セロトニン」へと日中に変化します。セロトニンは夜になると、人を休息モードに導く「メラトニン」に変化するため、それぞれのホルモンが不足せずにしっかり機能していれば、「朝にスッキリ目が覚めて夜には眠くなる」サイクルに沿って1日を過ごせます。

また、リラックス作用があるGABA、体の深部体温を下げる効果を持つグリシンも快眠を手助けする重要な栄養素です。それぞれのアミノ酸を食事から摂取すれば、よりスムーズに入眠できます。

これらの栄養素を意識しつつ、バランスの良い食事をとりましょう。なお、生理前の不眠の原因は、ビタミンやカルシウム不足とする説もあるため、合わせて摂取することをおすすめします。

藤東淳也

藤東淳也

藤東クリニック 理事長・院長

生理前に意識して摂取したい栄養素として、ビタミンでは特にB1・B2・B6・Dがあります。また、鉄を多く含む食材をこまめに摂ることもすすめられます。

夕食は就寝3時間前に済ませる

夕食の時間が就寝直前になると、睡眠中に消化活動が行われるため注意しましょう。睡眠中に胃腸が働くと、その活動によって脳が刺激されるため、睡眠の質の低下に繋がる場合があります。

一般的に、消化活動には2〜3時間程度かかるといわれています。消化活動が終わった状態で眠るために、夕食は就寝3時間前までには済ませてください。

どうしても夕食の時間が夜遅くなる場合は、食物繊維や脂肪の少ない消化の良いメニューにすると良いでしょう。

習慣的に運動する

適度な運動も睡眠の質を高めるためには大切な要素です。習慣的に運動をすると、寝つきが良くなり深い睡眠をとりやすくなるといわれています。

普段あまり体を動かさない方は、継続して運動する機会を設けましょう。

ただし、睡眠の質を高めるために、激しすぎる運動は避け、ウォーキングやランニングなど軽い有酸素運動に留めましょう。

日中に仮眠をとる

夜にしっかり眠れず昼間に眠気が強くなる場合には、日中の仮眠も効果的です。

夜の睡眠に影響が出にくい15時までに仮眠を取り入れると、睡眠不足による眠気や不眠への対策になります。これにより心身の負担が軽減され、結果として夜の睡眠リズムの安定に繋がることも期待できます。

ただし、長すぎる仮眠は目覚めが悪くなるため、15〜30分程度の仮眠がおすすめです。

詳しい仮眠のとり方は、以下の記事でも紹介しています。

寝不足 仮眠
寝不足時の効果的な仮眠のとり方!眠気覚ましの方法も紹介

リラックスできる環境を作り入眠をスムーズにする

リラックスできる環境を作ると、スムーズに入眠しやすくなります。具体的な方法は、以下のとおりです。

  • 寝る前にリラックスできる飲み物を飲む
  • アロマを焚く
  • 湯船に浸かってリラックスする
  • 寝る直前までスマホやテレビを見るのを避ける

寝る前にリラックスできる飲み物を飲む

不眠に悩んでいる方の中には、「寝る前に考えごとをして、なかなか寝つけない」という方もいるでしょう。心身が緊張していると眠れなくなる可能性があるため、就寝前はリラックスすることが大切です。

手軽にリラックスしたい方は、就寝前に飲み物を飲むことをおすすめします。ホットミルクやハーブティーなど、リラックスできる飲み物を就寝前に飲むと、心身の緊張も解けて眠りやすくなるでしょう。

ただし、カフェインアルコールが入っている飲み物は、睡眠を妨げる要因となるため注意してください。

なお、寝る前におすすめの飲み物は、以下の記事でも詳しく解説しています。寝る前に何を飲めば良いか悩む方は、ぜひこちらもご一読ください。

眠り お茶
心地よい眠りにはお茶が効果的?おすすめの飲み物や睡眠の質を高める方法を紹介

アロマを焚く

不安やストレスが原因で眠れない場合は、アロマオイルを使ったアロマテラピーもおすすめです。心地良い香りに包まれるとリラックスでき、呼吸も深くなって自然と寝つきが良くなります。

また、アロマオイルと一口にいっても、その種類は数多くあります。お気に入りのアロマオイルがない方は、この機会に自分が好きな製品を探すと良いでしょう。

なお、睡眠に効果的なアロマの使い方は、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。

睡眠アロマ
アロマで心地よく眠りたい方へ、睡眠への効果や使い方の注意点を解説

湯船に浸かってリラックスする

普段の入浴をシャワーで済ませている方は、湯船に浸かることをおすすめします。ゆったりと湯船に浸かれば疲れを癒せるため、心身の緊張が解けてより眠りやすくなります。

また、入浴は就寝時間の90分〜120分前がおすすめです。人の体は深部体温が下がると眠くなる仕組みのため、就寝90分〜120分前に入浴すれば丁度良いタイミングで眠気が訪れます。

ただし、お風呂の温度が高すぎたり、入浴時間が長すぎたりすると逆効果になるため注意してください。入浴の温度と時間は38℃のぬるめのお湯で25~30分程度、半身浴の場合は約40℃のお湯で30分程度に留めましょう。

寝る直前までスマホやテレビを見るのを避ける

眠る前には、スマホやテレビ、パソコン、タブレットなどを見ないことも大切です。スマホなどから発せられるブルーライトには脳を覚醒させる作用があり、入眠しにくくなる可能性があります。

スマホやパソコンなどは就寝時間2時間前までの使用にとどめるよう心がけましょう。寝る直前までスマホを見るのではなく、寝室には置かないなど対策を行うことが大切です。

なお、寝る前のスマホ操作が睡眠に与える影響は、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。

寝る前 スマホ
【医師監修】寝る前のスマホ操作には要注意!睡眠に与える影響やおすすめの使い方など解説

最適な睡眠環境を整備する

最適な睡眠環境を整備することにも気を配りましょう。具体的な方法は、以下のとおりです。

  • 睡眠環境(光・音・温度・湿度)を整える
  • 体に合う寝具を使う

睡眠環境(光・音・温度・湿度)を整える

質の高い睡眠をとるためには、睡眠環境を整えることが重要です。いくら不眠への対策をしても、自分が眠る環境が整っていなければ寝つきの悪さに繋がります。

就寝環境を整えるためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 光・音
  • 寝床の温度・湿度

寝室はできるだけ暗くして眠りましょう。室内を暗くすることでメラトニンという睡眠ホルモンが分泌されやすくなり、自然と眠気が促されます。外の光が気になるなら、遮光カーテンの使用を考えるのも良いかもしれません。

また、騒音は眠りを妨げる原因になるため、できるだけ静かな環境で眠ることも大切です。WHO(世界保健機関)によると、睡眠時は「ささやき声」程度の音量である30dB以下が推奨されています。

もし、静かすぎて眠れないなら、自然の音やヒーリングミュージックを聴くと、リラックスできて寝つきが良くなる可能性があります。一方、周囲の音が気になるなら、耳栓を使うなどの工夫をしましょう。

そのほか、快適な睡眠には寝床の温度・湿度も大事です。夏場の室温は25℃〜26℃、冬場だと22℃〜23℃、湿度は通年50%〜60%が理想的とされているため、季節に応じて毛布やタオルケットなどの寝具を活用すると良いでしょう。

なお、快適な睡眠環境を整える方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。

睡眠環境
快適な睡眠環境を整える方法とは?室温や照明など簡単に取り組める改善策を紹介

体に合う寝具を使う

睡眠の質を高めるためには、自分の体に合った寝具を使うことも大切です。

特にマットレスと枕は、体に合っていないものを使用すると、寝返りが打てなかったり、寝姿勢が崩れたりするため、睡眠の質が低下するだけでなく、翌朝の体調不良にも繋がります。

マットレスに適度な反発力があると、体を押すようにして寝返りを打ちやすくなります。加えて、体の一部にかかる負荷を軽減するためにも、体圧分散性に優れた商品を選びましょう。

また、枕の役割は、マットレスと後頭部から首にかけての隙間を埋め、理想的な寝姿勢を保つことです。自分が寝る時の姿勢に合わせて、理想的な寝姿勢を保てる高さの枕を選びましょう。

理想的な寝姿勢は、仰向け寝だと「背骨が緩やかなS字カーブを描く高さ」、横向き寝だと「頭から背中の骨が真っすぐになる高さ」です。

なお、枕はサイズが小さすぎると、頭が落ちて寝姿勢が崩れます。そのため、寝相が悪いと感じている方は、幅の広い枕を検討してください。

快眠 寝具
寝具選びが快眠の鍵!マットレスの種類や選び方のポイントを詳しく解説

まとめ

生理前の不眠の原因には、「ホルモンバランスの変化」や「自律神経の乱れ」が考えられます。

不眠の症状があらわれていると「日中に眠気が襲ってきて集中できない」「眠りたいのに入眠できずイライラする」など、日常生活に悪影響が及ぶ可能性もあります。

生理前に眠れずに悩んでいる方は、質の高い睡眠をとれるように睡眠環境や生活習慣を見直しましょう。

この記事の監修者
藤東淳也
藤東淳也藤東クリニック 理事長・院長
藤東クリニック 理事長・院長。東京医科大学病院 産科婦人科学教室 研修医、中野総合病院、戸田中央産院、東京医科大学、東京医科大学産科婦人科学教室、東京医科大学麻酔科学教室、東京医科大学八王子医療センタ-、東京医科大学産科婦人科学教室、米国カンザス大学医学部 細胞生物学教室へ留学、東京医科大学産科婦人科学教室、東京医科大学病院産科婦人科学教室、県立広島病院医局長を経て藤東クリニック院長へ。
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