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2024.06.17 更新

【医師監修】「寝言」を発するのはなぜ?原因や改善方法を解説

【医師監修】「寝言」を発するのはなぜ?原因や改善方法を解説

これまでに寝言を発した経験がある方の中には、「なぜ人は寝言を発するのだろうか」と気になっている方もいるでしょう。

場合によっては、「寝言を発する人は病気なのだろうか」「家族が寝ている際に暴言を吐いて怖い」など、寝言に関する不安を抱えているかもしれません。

この記事では、寝言を発する原因や、どのような人が寝言を発しやすいのか、寝言で発する言葉は本性なのかなど、寝言に関するよくある疑問について詳しく解説します。

対処法もいくつか紹介するので、寝言が気になっている方はぜひ参考にしてください。

人が寝言を発する原因

はじめに、なぜ人は寝言を発するのかについて確認していきましょう。

寝言を発する原因としてさまざまなことが考えられますが、主に挙げられるのは以下の5点です。

  • ストレス
  • アルコールやカフェイン
  • 寝苦しさ
  • 病気

それぞれ詳しく説明します。

まず考えられるのは、就寝中に見ている「夢」に関連した寝言を発しているケースです。詳しくは後述しますが、睡眠には脳の情報を整理する「レム睡眠」と、脳や体を休める「ノンレム睡眠」という2つの種類があり、このうち夢を見やすいレム睡眠中に寝言を発しやすいといわれています。

なお、レム睡眠の持続時間は1回あたり10~20分程度で、睡眠中に3~6回程度あらわれることも覚えておきましょう。

ストレス

次に考えられるのは、「仕事が大変」「近日中に試験がある」「布団が重くて寝にくい」といった心身のストレスの影響で寝言を発するケースです。

なお、過去に極度のストレスを受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っている場合は、「悪夢」の影響が寝言にあらわれる可能性があります。心的外傷後ストレス障害では、悪夢の内容が心的外傷をもたらした出来事の再現となることが多く、しばしば、大きな苦痛を伴います。

アルコールやカフェイン

アルコールやカフェイン摂取によって眠りが浅くなっている場合も、寝言を発しやすい状態の一つです。

アルコールを含む飲料を飲んだ直後は、リラックスした気分になり、眠気が生じます。そのため、「アルコールを飲むことは睡眠不足解消に役立つのではないか」とお考えの方がいるかもしれません。

しかし、摂取してから2~3時間程度経過すると、アルコールが代謝されて、覚醒作用を有する「アセトアルデヒド」に変化し、眠りが浅くなるので注意しましょう。

また、アルコールには「利尿作用」があるため、トイレが近くなり、目覚めやすくなります。用を足すことによって体内から水分が奪われることも、眠りの質を低下させる要因といわれています。

寝苦しさ

就寝中の寝苦しさも寝言を発する原因の一つです。寝苦しさを感じると睡眠が浅くなってしまい、寝言を発することも多くなると考えられています。

寝苦しさを感じる原因は人それぞれですが、「室温が高すぎる・低すぎる」「湿度が高すぎる」「騒音がする」などの外的要因に原因があるケースが多いです。このほか、先述したストレスやアルコールも寝苦しさに繋がる場合があります。

病気

寝言は、就寝中に寝ぼけた行動を起こす「睡眠時随伴症(すいみんじずいはんしょう)」の一つでもあります。睡眠時随伴症の具体的な例としては、寝言・ねぼけ・おねしょ・睡眠時遊行症・歯ぎしりなどが挙げられます。

おねしょなどの小児期のみに見られるものは、さほど大きな問題には繋がらないケースも多いです。しかし、極度に異常な行動を取るなど、場合によっては治療が必要となる場合もあるため気を付けなくてはなりません。

また、てんかんの「強直間代発作(前兆がなく、突然、全身の痙攣を起こす発作)」が生じた場合や、睡眠時無呼吸症候群を患っている場合には、叫び声や低いうめき声のような音を出すこともあります。

「寝言を発しながら体が痙攣する」「毎日うなされている」という方は、何らかの病気である可能性もあるため、医療機関で医師の診察を受けるほうが良いでしょう。

寝言はストレスや飲酒、睡眠不足が原因であることが多いですが、そのほかに病気の疑いもあります。寝言が毎日のように継続する場合には、身体的異常がないか、内科の医師に診てもらいましょう。

睡眠時随伴症にはどんな現象がある?

睡眠時随伴症を発症すると、どのような現象が起こるのでしょうか。睡眠時随伴症が起こるタイミングは大まかに以下の2種類に分けられ、タイミングによって起こる現象も異なります。

  • ノンレム睡眠の時に起こる現象
  • レム睡眠の時に起こる現象

この項目では、それぞれの内容について詳しく解説します。

ノンレム睡眠の時に起こる現象

ノンレム睡眠とは、深い眠りで脳や体を休めている状態を指します。脳や自律神経は休んでいますが、体の筋肉は完全には緩んでいません。

ノンレム睡眠の時に起こる代表的な睡眠時随伴症には、「睡眠時遊行症(夢遊病)と「睡眠時驚愕症(夜驚症)があり、どちらも小児期に多く見られます。

睡眠時遊行症(夢遊病)とは、睡眠中の人が無意識で歩き回る現象のことです。就寝環境を整えるなどして睡眠トラブルへの対策を行うことが基本ですが、治らない場合は薬剤による治療を行うこともあります。

睡眠時驚愕症(夜驚症)は、睡眠中に恐怖で叫んだり起き上がったりする現象です。子どもの場合は親が安心感を与えることで改善に向かうケースがありますが、成人の場合は薬物療法が行われることもあります。

レム睡眠の時に起こる現象

レム睡眠とは、浅い眠りで脳の情報を整理している時の睡眠の種類を指します。脳や自律神経は活動していますが、体の筋肉は緩んだ状態です。

レム睡眠の時に起こる代表的な睡眠時随伴症にはレム睡眠行動障害があり、この病気は高齢の男性に多く見られます。

レム睡眠行動障害とは、レム睡眠中に寝言を発したり異常な行動を起こしたりする現象です。例えば、怒鳴る・殴る・蹴るといった乱暴な動きをすることがあります。

レム睡眠行動障害はレビー小体型認知症やパーキンソン病と関連する可能性もあるため、症状が気になる方は医療機関を受診して適切な診断を受けましょう。

なお、睡眠時随伴症に関して詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

睡眠時随伴症
【医師監修】「寝ぼけ行動」や「金縛り」などの睡眠時随伴症はどう対処したらよい?種類や症状も解説

寝言は遺伝する?

寝言は遺伝する?

寝言にはさまざまな原因がありますが、遺伝的要因もあるといわれています。自分だけでなく親も寝言を発する頻度が多い場合は、遺伝の可能性を考えて良いでしょう。

ただし、成人の場合は遺伝的要因だけでなく、精神的な病気に合併して寝言を発しているケースが多い傾向にあります。心配な方は、医療機関に相談することをおすすめします。

寝言を発する人の特徴

寝言を発する原因が理解できたところで、寝言を発する人の特徴も見ていきましょう。

寝言を発しやすい傾向があるのは、主に以下のような人です。寝言を発することが気になっている方は、自分が当てはまっているか一度チェックしてください。

  • 生活習慣が乱れている人
  • 過度な疲労を感じている人
  • ストレスを抱えており、いいたいことがいえていない人
  • 寝る前にアルコールやカフェインを過度に摂取する習慣のある人

一般的に寝言を発しやすいとされているのは、心身に強いストレスを受けている人や、生活習慣の乱れがある人です。

また、今までに身近な人の寝言を聞いて「普段の穏やかな様子に反して、強く怒ったような寝言を発していて、それが本性なのか?」と心配になった経験がある方もいるかもしれません。

怒ったような寝言は本人の意思とは関係なく、夢の中で起こった出来事に対する発言の可能性が考えられます。また、レム睡眠中は誰でも寝言を発しやすくなる状態なので、普段我慢していることやストレスが寝言として出ているのかもしれません。

日中であれば抑制できることでも、睡眠中は理性が働かないため抑制できなくなります。寝言がすぐに治まって本人が苦しそうでなければ、寝言の内容については心配しなくて良いでしょう。

ただし、前述のとおり、睡眠時無呼吸症候群の症状として低いうめき声の寝言を発する場合もあるため、気になる場合は医療機関を受診して適切な診断を受けることをおすすめします。

特定の寝言に対する受診基準はありませんが、怒鳴り声などの寝言が継続的にでるようであれば、一度内科の医師に診てもらいましょう。

寝言を改善する5つの方法

寝言の改善方法

ストレスや夢によって寝言を発している場合は、日常生活を正して睡眠の質を高めることから始めましょう。

睡眠の質を高めるためにすぐに実践できる対策として、以下5つを紹介します。

  • 睡眠不足を解消する
  • 食生活を見直す
  • ストレスを解消する
  • 生活リズムを一定に保つ
  • 寝室の環境を整える

家族から「毎日寝言をいっている」「寝言がうるさくて困る」などと指摘されて寝言を改善したいと思っている方は、ここからの内容をぜひ参考にしてください。

睡眠不足を解消する

上述したように、「睡眠不足」が原因となって寝言を発している場合があります。

普段の睡眠について「規則正しい睡眠習慣なのか」「充分な睡眠時間を確保できているのか」を確認したうえで、睡眠不足に陥っているのであれば、解消に取り組みましょう。

一般的には「6~8時間程度」が適切な睡眠時間とされていますが、個人差はあります。

自分に合った睡眠時間を把握するためには、1週間ごとに睡眠時間を変えてみて、都度、体調や精神面の変化をチェックすると良いでしょう。昼間に眠くなったり集中力が途切れたりせずに過ごせた場合、それが適切な睡眠時間であると判断できます。

医療機関によっては、自宅に持ち帰ることができる「小型の脳波計」を貸し出して、睡眠時の脳波を測定する検査を実施している場合があります。

感覚ではなく、客観的な計測値によって「総就床時間」「寝つき」「熟眠度」「中途覚醒」「睡眠効率」「睡眠リズム」を評価することが可能であり、検査結果に基づいて医師から改善に向けてのアドバイスをもらえるので、自力での対処に限界を感じる方は、医療機関で診察・検査を受けることも選択肢として検討しましょう。

なお、睡眠不足の解消方法に関して詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

睡眠不足 解消
睡眠不足を解消する3つの方法!睡眠不足の兆候やリスクをチェックしよう

食生活を見直す

健康的な生活を送って心地良く眠るためにも、バランスの取れた食生活を心がけましょう。

胃腸に負担を与えないように、夕食は就寝する約3〜4時間前までに済ませることをおすすめします。夕食後は、睡眠を妨げる恐れがあるアルコールカフェインの摂取はできる限り控えてください。

食事をとる時間がバラバラで不規則な生活が続くと、体内時計のリズムが崩れて睡眠の質が低下する可能性があるため、3食規則正しく食べることが大切です。

「忙しくて時間がないから朝食を食べない」という方もいるかもしれませんが、朝食には体内時計をリセットする役割があります。体のリズムを整えるために、簡単なものでも良いので朝食を食べるようにしましょう。

ストレスを解消する

ストレスによって寝言を発している方は、不安や心配事などのストレスを溜めないようにすることも重要です。ストレスを受ける環境から逃れられない場合には、溜まったストレスを上手く解消させるよう努めてください。

ストレスを解消させる方法は何でも構いません。例えば、「眠る前にアロマを焚いてリラックスする」「読書や音楽を楽しむ」など、気分転換になる行動を生活に取り入れると良いでしょう。

また、ウォーキングやヨガなど、適度に体を動かす習慣をつけると、リフレッシュできるうえに、ほど良い疲れが睡眠を促してくれるためおすすめです。ストレスや不安で心が落ち着かない方は、瞑想をすることも効果があると考えられています。

生活リズムを一定に保つ

睡眠の質を高めるためには、起床後の行動や就寝前の行動を中心に、日々の生活習慣を整えることも大切です。

まず、朝起きたら太陽の光を浴びて、生体リズムを整えましょう。

地球の周期は1日24時間ですが、人の体内時計の周期は約25時間といわれており、この約1時間のずれが生体リズムのずれにも繋がります。太陽光には体内時計を調整する役割があるため、朝から意識して太陽光を浴びてください。

夜は、寝る前にパソコンスマホといった画面が明るいものを触らないようにしましょう。画面から出る強い光によって脳が興奮し、寝付けなくなるうえに睡眠の質の低下にも繋がる可能性があります。

また、「平日はゆっくり寝られないから、休日に多く睡眠をとりたい」という方でも、平日の睡眠時間との差は1〜2時間程度にすることがおすすめです。寝だめでは睡眠負債が解消されないばかりか、睡眠リズムが崩れることも考えられます。

安定した睡眠リズムを保つためにも、できるだけ毎日同じ起床時間と就寝時間になるように心がけてください。仕事で不規則になることが多い方も、できることから取り入れてみましょう。

寝室の環境を整える

寝室の環境が整っていないと、眠りが浅くなる可能性があります。睡眠の質を高めるためには、快適な温度・湿度を保つなど、寝室の環境を整えることも大切です。

温度・湿度に加えて、音や光にも気を配りましょう。外の音はできるだけ遮断し、照明も暗くすることで、快眠できる環境に整えることができます。

睡眠の質を高めるための環境の作り方について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

睡眠環境
快適な睡眠環境を整える方法とは?室温や照明など簡単に取り組める改善策を紹介

まとめ

寝言は、「夢」や「ストレス」「睡眠不足」「病気」が原因となって引き起こされることがあります。なお、レム睡眠中に見ている夢に反応して言葉を発しているだけであれば、あまり気にする必要はないかもしれません。

しかし、ストレスや睡眠不足が原因となって寝言を発しているのであれば、ストレスを溜めずに安心して眠れる環境(寝室の温度や湿度、音、光)を整えたり、生活習慣を改善したりすることが大切です。

家族や友人に「寝言を発している」と指摘されて気になっている方は、この記事で紹介した睡眠の質を高める対策を生活に取り入れましょう。

単発的で、すぐに終わる寝言は問題ありませんが、「寝言を発しながら体が痙攣する」「毎日のようにうなされる」といった場合には、「てんかん」「睡眠時無呼吸症候群」といった病気を患っている可能性があります。

このような症状が気になるのであれば、自己判断するのではなく、専門の医師に相談して指示を仰ぐようにしてください。

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